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2005年1月

2005年1月31日 (月)

戦略的思考とは何か―エール大学式「ゲーム理論」の発想法

■ 書籍情報

戦略的思考とは何か   【戦略的思考とは何か―エール大学式「ゲーム理論」の発想法】

   アビナッシュ ディキシット (著), バリー ネイルバフ (著), 菅野 隆 (翻訳), 嶋津 祐一 (翻訳)
   価格: ¥3,873 (税込)
   TBSブリタニカ(1991/09)

 「ゲーム理論」を説明する事例集としてこれほど使いやすいものはないだろう、と言える秀逸なテキストです。
 もともとはディキシットがプリンストン大で、ネイルバフがプリンストン大とイェール大で講義に使用していた教材をベースにしています。(イェール大に留学していた職場の先輩は、「ネイルバフは天才だ」と言ってました。)
 ここに収められた数々のケースは、さらに様々なテキストなどに引用され、例えば、伊藤 元重(著)『ビジネス・エコノミクス』のゲーム理論の部分は本書からケースを引用しています。
 難しい数式が出てくる本ではありませんので、ゲーム理論に興味を持った人は、まずこの本か『戦略的思考の技術』辺りから読んでみてはいかがでしょうか。


■ 個人的な視点から

 なぜ行政経営にゲーム理論が不可欠なのでしょうか。
 それは、行政の役割が「管理から経営へ」と変化する中で、これまでは権力を背景にして自分たちが決めたことを住民や企業に強制するという仕事のやり方が、情報とインセンティブを重視した(暗黙の契約も含む)契約型の仕事のやり方に変化して行くからです。

 「自分の行動が相手の行動に影響を及ぼす」というゲーム理論の思考を身に付けることは、「相手の身になって考える」という言葉を、単なる人生訓や心構え以上のプロとして必要な技術に変えるものになると考えられます。
 また、PPP(Public-Private Partnership)は、単に「仲良くしましょう。」「協力してください。」では実現できません。ましてや、「金出すから言うこと聞け」というような"業者に下請けに出す感覚"では問題外です。相手が、そして自分がどのような思惑(利得表)を持ち、どうすれば双方の利益になるかを考えることなしには、参入するか撤退するか、外注するか内製するか、という判断ができません。行政の場合で言えば、どこまでが行政が行うべきか、委託するか直営するか、などの判断ができないということです。
 役所に跋扈している「あるべき論」「スジ論」ではこのような判断を適切に行うことはできません。これから先、プロとして行政や社会変革に携わって行きたい人であれば、本書で紹介されているような「ゲーム理論に基づいた戦略的思考」は不可欠です。


■ どんな人にオススメ?
 ・なんとなくゲーム理論に興味はあってもどれから読んでいいか分からない人
 ・これまで法律と行政学ばかり勉強してきた公務員


■ 関連しそうな本

 梶井 厚志『戦略的思考の技術―ゲーム理論を実践する』 2005年02月20日
 松井 彰彦, 清水 武治『ゲーム理論―どんなケースでも「最高の選択」ができる“勝つための戦略”』
 バリー・J. ネイルバフ, アダム・M. ブランデンバーガー (著), 嶋津 祐一, 東田 啓作 (翻訳)『コーペティション経営―ゲーム論がビジネスを変える』
 アビナッシュ・K. ディキシット(著), 北村 行伸 (翻訳) 『経済政策の政治経済学―取引費用政治学アプローチ』 2005年02月06日
 伊藤 元重 (著)『ビジネス・エコノミクス』 2005年02月18日
 Prajit K. Dutta 『Strategies and Games: Theory and Practice』


■ 百夜百マンガ

炎の転校生【炎の転校生】
 目的のためならばどんな屁理屈も通す、という姿勢はここから学んだような気がします。
 特に伊吹三郎の「心に棚を作れ」は名言中の名言です。
 改革の道には、常に「じゃあお前自身はどうなんだ」というカウンターパンチが待ち構えています。そんなときこそ「心の棚」です。自分のことを棚に上げて言わなければならないことははっきりと主張できることが大切です。

2005年1月30日 (日)

働くひとのためのキャリア・デザイン

■ 書籍情報

働くひとのためのキャリア・デザイン   【働くひとのためのキャリア・デザイン】

   金井 壽宏 (著)
   価格: ¥819 (税込)
   PHP研究所(2002/01)

  本書では、「キャリア」を「成人になってフルタイムで働き始めて以降、生活ないし人生(life)全体を基盤にして繰り広げられる長期的な(通常は何十年にも及ぶ)仕事生活における具体的な職務・職種・職能での諸経験の連続と、(大きな)節目での選択が生み出していく回顧的意味づけ(とりわけ、一見すると連続性が低い経験と経験の間の意味づけや統合)と、将来構想・展望のパターン」と定義しています。これではあまりにも長いので、著者は通常「長い目で見た仕事生活のパターン」と言っているそうです。
 「キャリア・デザイン」をテーマにした本はたくさん出版されていますが、傾向として「キャリアアップのための戦略」のような捉えられ方をされているケースが多く、20代~30代半ばくらいまでの就職や転職をしようとしている人をターゲットにしているように感じます。
 本書では「キャリア」を、長旅をしてきた馬車が後ろを振り返ったときに見ることができる轍、に喩えています。また、「人生の正午」である中年期に大きなウエイトを置いており、単なる仕事上の身の振り方ではなく、人生を通じた仕事との関わり方を論じている点で、若いサラリーマンや学生だけでなく、より幅広い年代の皆さんにぜひ読んでいただきたい一冊です。


■ 個人的な視点から

  「キャリア」というと思い浮かべるのはどんなイメージでしょうか?
 国家公務員上級試験採用のエリートは「キャリア組」と呼ばれています。また、「キャリア・ウーマン」なんて言葉もありました。こんな使われ方をしていた経緯から、「キャリア」という言葉には、シャカリキになって働くエリート臭さがまとわりついています。
 しかし、本書で述べられているような「キャリア」とは、人が社会の中で仕事をして生きていくことそのものを指しています。つまり、専業主婦には専業主婦のキャリアデザインがあり、中年サラリーマンには中年サラリーマンのキャリアデザインがあるということです。

 そして、キャリアについて考える上で重要になる3つの問いかけをしています。

 (1)自分はなにが得意か。(能力・才能についての自己イメージ)
 (2)自分はいったいなにをやりたいのか。(動機・欲求についての自己イメージ)
 (3)どのようなことをやっている自分なら、意味を感じ、社会に役立っていると実感できるのか。(意味・価値についての自己イメージ)

 これらは、キャリア論の大家であるシャイン教授の問いを引用したものですが、まずはこの3つの問いによって自己のイメージを再認識することが重要だと思うわけです。
 「行政経営」というとどうしてもシステムをいじっていくハード的な改革に目が行きがちなんですが、システムを動かしている個人個人が仕事との関わり方を見直していく方が重要なのではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?
 ・プライベートな生活が仕事に押しつぶされそうで悩んでいる人。
 ・10年後の自分の姿が思い浮かべられないことを気にしている人


■ 関連しそうな本

 エドガー・H. シャイン (著), 二村 敏子, 三善 勝代 (翻訳)『キャリア・ダイナミクス―キャリアとは、生涯を通しての人間の生き方・表現である。』
 上山 信一, 梅村 雅司『行政人材革命―“プロ”を育てる研修・大学院の戦略』
 日本経済新聞社 (編)『働くということ』 2005年02月24日
 玄田 有史『仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在』


■ 百夜百マンガ

STRAIGHT【STRAIGHT】
 昔持っていて好きだったんですが、本棚がいっぱいになったので古本屋に。
 他の本とあわせて紙袋一袋で古本屋に持っていって6千円くらいになりました。
 「やけに多いな」と思ったんですが、しばらくしてヤフオク見て「SHOCKだ!」という状態に・・・。
 それでも高値で買い取ってくれた「おもしろ文庫」(高校の同級生の実家)さんは良心的ということですね。

2005年1月29日 (土)

市場(スーク)の中の女の子

■ 書籍情報

市場(スーク)の中の女の子   【市場(スーク)の中の女の子】

   松井 彰彦 (著), スドウ ピウ (イラスト)
   価格: ¥1,575 (税込)
   PHP研究所(2004/10/21)

 『ミク戦』の名で知られている教科書の著者の最新著作がなぜかファンタジー?
 中世のベネチアからアラビア、そして日本へと舞台を変えながら、貨幣の機能や成り立ち、市場の役割など、普通に経済学っぽく話をすすめるうちに、言語や慣習、規範、文化、正義など、通常は経済学では扱わなかったエリアまでその分析を拡張して行きます。


■ 個人的な視点から

 『ミク戦』という教科書は、各章はパン屋の話や新米教員の話などのエピソードが導入部分になり、本文はエピソードの解説のような形で展開され、最後に練習問題、という構成でした。最初に人間同士のドラマを見せることで、登場人物各々の動機や目論見を思い浮かべながら、ゲームや情報、市場取引や契約の解説を読むことができるので、それぞれの立場からものを考える、というスタンスを自然にとることができる良書でした。
 そんな教科書に慣れていたせいでしょうか。本書を読んでいて、物々交換の市場や奴隷売買、交易ルートの盛衰、バスク語の構造などのエピソードが語られるたびに、各章末には解説が載っているんじゃないか、ということを思い浮かべてしまいました。ファンタジーの読み方としては良くないですね。
 ところが、本書には種明かしはついていません。日経の書評コーナーで取り上げられたこともあり、「やさしい経済学の本」だと思って読んでみた人にとっては「なんだかよく分からない本」に感じられるかもしれません。もし、種明かしも読まないと気分が晴れない、と思われるのであれば、参考文献に挙げられている『慣習と規範の経済学』『経済システムの比較制度分析』を読んでみてください。


■ どんな人にオススメ?
 ・「経済学ってお金の話でしょ」と思っている人
 ・一般向けゲーム理論の本がたくさん出版されているけど、どれも同じような本だな、と感じた人

■ 関連しそうな本

 松井 彰彦『慣習と規範の経済学―ゲーム理論からのメッセージ』
 青木 昌彦, 奥野 正寛『経済システムの比較制度分析』
 梶井 厚志, 松井 彰彦『ミクロ経済学 戦略的アプローチ』
 星野 秀利 (著), 斎藤 寛海 (翻訳)『中世後期フィレンツェ毛織物工業史』
 ダグラスC. ノース (著), 竹下 公視 (翻訳)『制度・制度変化・経済成果』
 スロウイン エッゲルトソン (著), 竹下 公視 (翻訳)『制度の経済学―制度と経済行動』〈上〉〈下〉


■補足情報

【絶版本はアマゾン・マーケット・プレイスで探してみましょう。】

 先日ご紹介した『わかりたいあなたのための経営学・入門』はすでに絶版になっているようですが、アマゾンマーケットプレイスで購入することができます。
 本体価格+送料で500円ちょっとで買えるようです。
 商品は出品者(古本屋さんの場合が多いです)から直接発送されますが、支払いはアマゾンを通じてクレジットカードで行います。
詳しくは「マーケットプレイスでの注文」をお読みください。


■ 百夜百マンガ

アズマニア【アズマニア】
 数年前、ローマで「ななこSOS」が放送されているのを見てしまいました。
 まだ「北斗の拳」や「タイガーマスク」くらいまでは理解できたのですが、どういう基準で買い付けが行われているのか謎のままです。
 まあ我々も「トムとジェリー」を見てアメリカ人は何十センチもある分厚いサンドイッチを食べてる、と思ったんですからお互いさまなのでしょう。

2005年1月28日 (金)

NPOと事業

■ 書籍情報

NPOと事業   【NPOと事業】

   谷本 寛治, 田尾 雅夫 (編著)
   価格: ¥2,730 (税込)
   ミネルヴァ書房(2002/06)

 「NPOとマネジメント」「NPOと中間支援システム」「NPOと市民事業体」の三部構成になっています。
 日本では「NPO=ボランティアグループ」というイメージを持つ人が多い中で、事業体としてのNPOをいかに経営して行くか、という視点からNPOの様々な側面を描いています。
 「ソーシャル・アントレプレナー」を取り上げている日本語の刊行物が少ない現状では、ボリューム・値段的にもオススメの1冊です。


■ 個人的な視点から

 NPOというと、「非営利」という点ばかりが強調され、「何でもただでやってくれるボランティアの人たち」という先入観を持っている人が多くいるのではないかと思います。もちろん行政の人間にはそんな考えの人が多いようで「ボランティア=金のかからない物好きな下請け」くらいにしか思っていない人がたくさんいます。
 しかし、「NPO=ボランティア」だと思っているのは役人ばかりではありません。NPOが提供するサービスの対価を請求することに対して、「何でお金取るの? ボランティアなんでしょ。」という反応をする人多いのではないでしょうか。
 NPOとは、あくまでも「オーナーに利益を分配できない」というだけであって、常勤スタッフにはきちんと給料を支払い、事務所の家賃を払い続けなければ事業を継続できません。その点は営利企業と同じです。
 そして、プロフェッショナルなマネジメントが必要になるという点では、行政組織と変わりません。現在、民間企業の経営手法を行政に取り入れることがトレンドになっていますが、ミッションの捉え方や成果の考え方に関しては、NPOのマネジメントから学ぶことは大変大きいと考えます。


■ どんな人にオススメ?
 ・「NPO=ボランティア」と思っている人
 ・「NPO=金のかからない下請け」と思っている公務員

■ 関連しそうな本

 町田 洋次『社会起業家―「よい社会」をつくる人たち』 2005年02月16日
 D. ヘントン, K. ウォレシュ, J. メルビル (著), 加藤 敏春 (翻訳) 『市民起業家―新しい経済コミュニティの構築』 2005年03月15日
 斎藤 槙『社会起業家―社会責任ビジネスの新しい潮流』

 HotWired Japan 「社会起業家という生き方」


■ 百夜百マンガ

遠くにありて【遠くにありて】
 学生から社会人になったときに感じる未練があります。それは自由な時間、都会での生活、捨てられない夢、憧れの職業など様々です。
 特にUターン就職をした人には一度読んでいただきたい一冊です。

2005年1月27日 (木)

地方交付税の経済学―理論・実証に基づく改革

■ 書籍情報

地方交付税の経済学   【地方交付税の経済学―理論・実証に基づく改革 】

  赤井 伸郎 (著), 山下 耕治 (著), 佐藤 主光 (著)
  価格: ¥2,940 (税込)
  有斐閣(2003/11)

 地方交付税制度に内在するインセンティブの歪みや過剰な財源保障などの問題に、理論と実証の両面からの分析に基づいた鋭いメスを入れる一冊です。
 現状の地方交付税制度の分析をベースに、三位一体改革を含めた制度改革への提言を行っています。


■ 個人的な視点から

 著者は、私と同じ30代の研究者の皆さんです。
 用いているのは経済学、特に情報やインセンティブの問題などの「鋭い刃物」によって、地方交付税という現実の問題に切り込んでいます。
 経済学者、特に財政学の研究者は、「御用学者」と呼ばれ、総論的な財政理論や海外の政策の分析など当たり障りのないことしか言わない、というイメージ(私の偏見かシら?(^_^; )があって、「研究室のドアの向こう」から現実の政策を見ている、という気がしてなりません(研究者とは本来そういうスタンスにあるべきだ、という考えもあると思いますが。)。
 その点で、本書の著者の皆さんや『三位一体改革ここが問題だ』の土居氏らは、「経済学」という斬鉄剣を持って現世に乗り込み、現実の政策(霞が関や地方の役人)を斬りまくっていて痛快です。
 「バイオハザード」でゾンビをバッタバッタ斬りまくるというか、「エコノ侍」が「基準財政需要額の算定なんて匙加減一つでどうにでもなりますから~! 残~念! ソフトな予算制約斬り!」とか言っているような感じというか・・・(古!)?

 こうしたスタンスの取り方というのはこれから重要になって行くと思います。
竹中さんじゃないですが、財政・金融・行革などに限らず、社会保障政策を担当する厚生労働大臣や教育問題を担当する文部科学大臣なんかは経済学者に任せてみてはどうでしょうか。俗議員や官僚にはめちゃくちゃ嫌われると思いますが。


■ どんな人にオススメ?
 ・「三位一体改革」と言っても数合わせの政治ゲームのニュースしか流れないので本質が見えない、と思っている人
 ・地方交付税ってこの先どうなっちゃうんだろう、と漠然と不安に思っている公務員

■ 関連しそうな本

 土居 丈朗(編著)『地方分権改革の経済学―「三位一体」の改革から「四位一体」の改革へ』
 土居 丈朗『三位一体改革ここが問題だ』
 井堀 利宏『公共部門の業績評価―官と民の役割分担を考える』
 山内 弘隆, 上山 信一 (編)『パブリック・セクターの経済・経営学』 2005年03月01日
伊藤 秀史, 小佐野 広『インセンティブ設計の経済学―契約理論の応用分析』 2005年02月26日

■ 百夜百マンガ

MW【MW】
 一般的に手塚治虫というとアトムやレオのイメージが強いわけですが、読み始めたら止まらないグイグイ引っ張る力はさすがなのです。
 風呂敷が大きいだけに最終回へのまとめ方が納得いかない人もいると思いますが、漫画を読む楽しさはストーリーの一貫性や謎解きではなく、作品の世界観の中にむんずと首根っこを掴んで引きずって行く豪腕にこそあるような気がします。
 『デビルマン』なんかもそうですし。永井豪の場合は世界観が広がって収拾がつかなくなって行く過程を楽しむ、というのが正しいとも思います。

2005年1月26日 (水)

わかりたいあなたのための経営学・入門

■ 書籍情報

わかりたいあなたのための経営学・入門   【わかりたいあなたのための経営学・入門―最新の成果が一目瞭然! 】

  別冊宝島編集部編
  価格: ¥980 (税込)
  宝島社(1998/04)

 高橋伸夫、金井壽宏、伊藤秀史、田尾雅夫、印南一路など、経営学だけでなく、各分野から気鋭の研究者が参加し、学生時代はあれほどつまらなかった「経営学」を生き生きとした学問として紹介しています。
 特に、制度的な組織論や戦略論でなく、個人に焦点を当てて組織を見つめなおす本書の姿勢が一貫して感じられます。
 発売は7年前ですが、その内容が大きく古びてはいないことが、本書の質の高さを表しています。


■ 個人的な視点から

 本書を足がかりにして、気に入った研究者の著書を読んで行くブックガイドとして使えます。

 金井壽宏「「任せる」ことの機微に迫る」や「ミドルたちは、どうしたら元気になれるのか!?」に関心を持った人は『「はげまし」の経営学』『部下を動かす人事戦略』『組織行動の考え方』を読んでみるといいでしょう。

 高橋伸夫「職場の「ぬるま湯的体質」と社員の「やり過ごし」「尻拭い」が組織を支える」や「敵同士、利己的なメンバー同士でも協調行動が生まれる不思議に関心を持った人は『できる社員は「やり過ごす」』『組織の中の決定理論』を読んでみるといいでしょう。「ぬるま湯」の温度を測ったり、「やり過ごし」と「尻拭い」の重要性をまじめに調査しています。単に成果主義批判をしているだけの人ではないことが分かると思います。同じく高橋「日本企業の意思決定原理としての「未来傾斜原理」」に関心を持った人は、ちょっとハードルが高くなりますが、『日本企業の意思決定原理』を読んでみてください。

 伊藤秀史「「組織の経済分析」とはいかなるものか?」に関心を持った人は、『組織の経済学』『経営戦略のゲーム理論―交渉・契約・入札の戦略分析』を読んでみてください。まちがって、うかつに『契約の経済理論』を買ってしまうと痛い目を見ることになります。

 印南一路「すぐれた組織の意思決定--診断論的アプローチのすすめ」に関心を持った人は、『すぐれた組織の意思決定―組織をいかす戦略と政策』『すぐれた意思決定―判断と選択の心理学』を読んでみてください。


■ どんな人にオススメ?
 ・書店に行っても「経営」や「ビジネス」のコーナーから何を選んでいいのか悩んでしまう人
 ・説教臭い人生訓ばかりの「おやじビジネス本」に厭き厭きした人

■ 関連しそうな本

 金井 壽宏『「はげまし」の経営学』
 金井 壽宏『部下を動かす人事戦略』
 金井 壽宏『組織行動の考え方―ひとを活かし組織力を高める9つのキーコンセプト』

 高橋 伸夫『できる社員は「やり過ごす」』
 高橋 伸夫『組織の中の決定理論』
 高橋 伸夫『日本企業の意思決定原理』

 ポール・ミルグロム, ジョン・ロバーツ (著), (翻訳)奥野 正寛, 伊藤 秀史, 今井 晴雄, 八木 甫『組織の経済学』 2005年01月24日
 ジョン マクミラン (著), 伊藤 秀史, 林田 修 (翻訳)『経営戦略のゲーム理論―交渉・契約・入札の戦略分析』 2005年03月24日

 印南 一路『すぐれた組織の意思決定―組織をいかす戦略と政策』2005年03月14日
 印南 一路『すぐれた意思決定―判断と選択の心理学』


■ 百夜百マンガ

アフター0【アフター0】
 基本的には一話完結ですが、いくつかのシリーズがあり、中でも一番のヒットはスーパーベビー「あきお」が難事件を解決するシリーズ。
 けして期待を裏切らないショートショートの名作が詰まっています。
 一度全巻そろえたのですが処分してしまい、再度集めなおしているところです。
 最近になって再編集版も発売されています。

2005年1月25日 (火)

米国の「非営利セクター」入門

■ 書籍情報

米国の「非営利セクター」入門   【米国の「非営利セクター」入門】

    レスター・M. サラモン (著), 入山 映 (翻訳)
  価格: ¥2,548 (税込)
  ダイヤモンド社(1994/03)

 アメリカでは元々公的部門が生活にしめる割合が低くなっています。医療、福祉、教育も営利企業や非営利セクターによって供給されることが多いのです。
 著者は、アメリカ社会において非営利セクターが占める大きさを紹介するとともに、アメリカにおいて非営利セクターが大きい理由について以下の5つの理由を挙げています。


  • 歴史:政府機関が成立する以前にコミュニティによる問題解決がなされていた。また、君主制や官僚制度の復活をおそれて政府に依存したがらなかった。
  • 市場の失敗:「公共財」は市場では過小に供給される。非営利組織を作ることによって、特定の小集団に属する人々に必要な公共財を生産することができる。
  • 政府の失敗:政府の行動につきまとう煩わしさ、対応の遅さ、官僚的な反応に対し、政府権力の拡大に伝統的に強い抵抗感を抱くアメリカでは特に抵抗が大きい。
  • 多元的な価値観/自由:自由を保証し、多元的な価値観を確保するための機構として、非営利セクターの活発な活動にこだわる。
  • 連帯:個人主義的社会において、連帯の感情を表現するために何らかの機構が欲しいと思う気持ちに答える。

 本書の後半では、保健医療、教育、ソーシャルサービス、芸術・文化、アドボカシーなどの各分野について、非営利セクターの活動と役割を解説しています。


■ 個人的な視点から

 日本では「官と民」と「公と私」は同じような意味で使われることが多いですが、アメリカではこの2つの軸は全く意味が異なり、「民が担う公」のセクターである非営利セクターの存在が大きいということが示されています。
 もちろん、非営利セクターにも多くの問題点があり、組織のガバナンスが弱い、非効率な運営、市場的な競争環境が整っていない、などを挙げることができます。
 しかし、日本においても、雇用問題など「市場の失敗」が深刻化し、政府部門の非効率性が顕在化する形で「政府の失敗」が強く認識され、「多元的な価値観」が広く受け入れられるようになった現在、非営利セクターの役割は大きくなるものと考えられます。


■ どんな人にオススメ?
 ・最近「NPO」って言葉を聞く機会が増えたのはなぜ?と思った人
 ・「NPOの時代」って言うけど自分たちの役割はどうなっちゃうの?と不安に思う公務員

■ 関連しそうな本

 谷本 寛治, 田尾 雅夫『NPOと事業 シリーズNPO』 2005年01月28日
 山本 啓, 新川 達郎, 雨宮 孝子『NPOと法・行政 シリーズNPO 』
 山内 直人"『NPO入門 日経文庫』
 上山 信一『「政策連携」の時代―地域・自治体・NPOのパートナーシップ』 2005年03月28日


■ 百夜百マンガ

寄生獣【寄生獣】
 タイトルの「寄生獣」という言葉が作品中で使われているのは一度だけです。人間の頭を乗っ取る「パラサイト」の存在を通して人間自身の存在を考えます。
 個人的に一番好きなのは「疲れるから自分で持ちな」のシーンです。
 ちなみに、役所には「寄生獣」も「規制獣」もたくさんいます。さすがに「奇声獣」はあまり見かけません。

2005年1月24日 (月)

組織の経済学

■ 書籍情報

組織の経済学   【組織の経済学】

  ポール・ミルグロム (著), ジョン・ロバーツ (著), (訳)奥野 正寛, 伊藤 秀史, 今井 晴雄, 八木 甫
  価格: ¥5,775 (税込)
  NTT出版(1997/11)

 経済学の手法を用いて組織を分析したビジネススクールの「教科書」です。
 「経済学」というと需要と供給のグラフが浮かぶ人が多いと思いますが、本書で用いられているのは、ゲーム理論、情報の経済学、契約理論、オークション理論などの比較的新しい分野の研究成果が盛り込まれています。
 本書の構成は次のようになっています。


第I部 経済組織
第II部 コーディネーション:市場と組識
第III部 モティベーション:契約、情報とインセンティブ
第IV部 効率的なインセンティブの提供:契約と所有
第V部 雇用:契約、報酬、キャリア
第VI部 資金調達:投資、資本構成、コーポレート・コントロール
第VII部 組織のデザインとダイナミックス

 読み進める順序はいろいろあると思いますが、序文によると、スタンフォードの学部の授業では第V部は飛ばす、MBAの授業ではケーススタディの教材として使用することが多いということです。
 とりあえずは、第IV部までを読んで、その後は自分の関心にしたがって読めばいいでしょう。


■ 個人的な視点から

 私が「NPM(New Public Management)の研究をしたい」という動機で大学院に入って2ヶ月ほどでこの教科書に出会いました。それまで「NPMの背景にある理論は何?」ということをいろいろテキストや論文に当たるうち、どうも「新制度派経済学」というものがNPMの理論的バックボーンになっているらしい、ということを知り、この本にたどり着いたわけです。
(大住(1999)→Ferlie et al.(1996)→Hood(1991)→Williamson(1975)という辺りのルートをたどった気がします。)

 この本に出会うまでは、「大学に来ちゃったけどこのまま何の手がかりもなく2年経っちゃうんじゃないか」と不安に感じていたのですが、その年の7月にはこの本を夢中で読みました。丸々2~3週間かけてメモを取りながらひたすら読みました。読み終わったあとは、「文献ノート」を参考にして参考文献を読み漁り、図書館やダウンロードサービスから論文を集め、googleでキーワード検索してはワーキングペーパーを集めました。そういった意味で、私の大学院時代がこの1冊に集約されていると言えるようなものです。

 もう13年も前に出版(原書)されたものなので、その後の研究成果については他の教科書やサーベイ論文等でフォローする必要がありますが、教科書としてのバランスは非常に優れたものです。「電話帳」「タウンページ」などと呼ばれるように非常に厚い(日本語版は702ページ!)教科書ではありますが、各章ごとに、「まとめ」「文献ノート」「参考文献」「練習問題」が整っているので、ここからスタートした方が何冊も脈絡もなく読むよりも近道です。


組織の経済学 ちなみに、原書のハードカバーはデカイ!重い!高い(140$)!の三拍子がそろっていてとても買えませんでしたが、八重洲ブックセンターで廉価版(逆輸入禁止)のペーパーバックを4,620円で購入しました。


■ どんな人にオススメ?
 ・「NPMと呼ばれる一連の改革が成果を挙げた、機能したのはなぜだろう」ということを理解したい人。
  例えば、なぜPFIでは所有権を民間に移転するのだろう?など。

■ 関連しそうな本
 柳川 範之『契約と組織の経済学』 2005年02月22日
 赤井 伸郎, 山下 耕治, 佐藤 主光『地方交付税の経済学―理論・実証に基づく改革』 2005年01月27日
 伊藤 秀史, 小佐野 広"『インセンティブ設計の経済学―契約理論の応用分析』 2005年02月26日
 エドワード・P. ラジアー『人事と組織の経済学』
 Ewan Ferlie, Lynn Ashburner, Louise Fitzgerald, Andrew Pettigrew  『The New Public Management in Action』
 オリヴァー・E.ウィリアムソン『市場と企業組織』


■ 百夜百マンガ

コジコジ【コジコジ】
 「ちびまる子ちゃん」でおなじみのさくらももこの世界が全開な作品。
 「メルヘンの国だから」という理由で何でもありのイマジネーションが飛びまくりの世界には最初はクラクラするかもしれません。
 第1話で担任の先生から「将来何になりたいんだ」と聞かれて「コジコジは生まれたときからずーっと将来もコジコジはコジコジだよ」と答えてしまうところは何気に感動的です。

2005年1月23日 (日)

ニュー・パブリック・マネジメント  理念・ビジョン・戦略

■ 書籍情報

ニュー・パブリック・マネジメント   【ニュー・パブリック・マネジメント  理念・ビジョン・戦略 】
   大住莊四郎 (著)
   価格: ¥2,520 (税込)
   日本評論社 (1999/12)

 NPM(New Public Management)について、各国の改革の方向性、理論的バックボーン、「英国・ニュージーランド」型モデルと「北欧」型モデルを中心とした改革の実際、などの構成により、国内で初めてまとまったボリュームで紹介した本です。
 個別に発表した論文をまとめたものがベースになっているので、各章をある程度独立して読むことができますが、より体系的に読みたい、ということであれば、同じ著者による『パブリック・マネジメント―戦略行政への理論と実践』の方が、各章の流れがまとまっています。


■ 個人的な視点から

 この本が発売された当時は、「NPMについて調べたい!」と思うと、まず1冊にまとまっているのはこの本でした。この本の参考文献リストから、NPMの古典であるHood(1991)論文や、Ferlie, et al.(1996)のようなNPMに関する研究書、Williamson(1975)などの新制度派経済学の古典にアクセスすることができました。

 よく「NPM理論とはどんな理念に基づいているのか。どんな体系になっているのか。」ということを聞かれて困ってしまうことがあります。そんなものは(おそらく)無いからです。
 「New」という言葉を頭に付けたカテゴリーを作ってしまうことはカテゴライズする上では楽なんです。それまでのカテゴリーに収まらないものをみんな放り込むことができるんですから。
 音楽の世界でも「ニューウェイヴ」「ネオアコ」「ネオGS」などいろいろな「ニュー」が付いたカテゴリーが生まれては消えてきました。しかし、それらにカテゴライズされた個々の曲は、「ニュー○○」というカテゴリーの音楽を作りたくて生まれたのではなく、「かっこよくて気持ちのいい音楽を作りたい」というだけなんだと思います。
 もちろんその背景となる音楽のジャンルは存在します。「レゲエっぽいベースラインだ」「ボサノバのコード進行を使っている」「このベードラの打ち方はテクノの影響が感じられる」・・・、などです。しかし、ミュージシャンたちは評論家が後付けするような理論を実現したくてやっているわけではありません。思いつきのアイデアをトライ・アンド・エラーで繰り返すうちに新しい音が生まれるのです。

 同じように、NPMとよばれる公的部門の改革の潮流も、各国の政府や自治体関係者などのプレイヤーが、より少ない資源でより量・質の高いサービスを供給するための試行錯誤をしていった中で生まれたものであり、何かの理論を具体化したというものではないと考えます。
 しかし、あとから客観的に、試行錯誤の結果を調べることで経済学的な裏づけを発見することはできます。過去の実践や失敗を体系的に捉ることで、現在と未来への豊富な示唆を得ることができるのです。
 この辺りは、法学系の人と経済学系の人とで物事の捉え方(「~すべき」か「~である」か)が異なっているのかもしれません。


■ どんな人にオススメ?
 ・行政評価、市場化テスト、指定管理者制度、バランスシート・・・、個別に進んでいるようないろいろな改革の背景を知りたい人。

■ 関連しそうな本
 大住莊四郎『パブリック・マネジメント―戦略行政への理論と実践』
 Ewan Ferlie, Lynn Ashburner, Louise Fitzgerald, Andrew Pettigrew  『The New Public Management in Action』
 オリヴァー・E.ウィリアムソン『市場と企業組織』


■ 百夜百マンガ

エレキな春【エレキな春】

 当時現役サラリーマンとの二束のわらじを履いていた著者が描くくだらなくも悲しいサラリーマンマンガに泣けてきます。
 どんなラッシュでも必ず座る伝説の中間管理職「流星課長」、社会人になりたての頃に必ず感じる違和感を描いた「フレッシュマン狂熱のライブ」、30歳の若者が就職予備校に通う「リクルート・ウォーズ」・・・。
 20年以上昔の作品でも違和感を感じないのはなぜでしょうか?

2005年1月22日 (土)

行政革命

■ 書籍情報

【行政革命】
行政革命    【行政革命】デビッド オズボーン (著), テッド ゲーブラー (著)
   価格: ¥3,873 (税込)
   日本能率協会マネジメントセンター (1994/12)
   

 『「舟の魯を漕ぐ行政」から「船の舵を取る行政」への転換』を打ち出し、GPRAなどのクリントン政権の公的部門改革に大きく影響を与えた一冊。
 この『行政革命』を三重県の職員が読んだことがきっかけとなり、出版元である日本能率協会が三重県の事務事業評価システムの構築に携わることになったということです。


■ 個人的な視点から

 著者がコンサルタントということもあり、非常に「アメリカ人向けビジネス書」的な構成になっています。
 各章のタイトルには、触媒、地域社会が所有、競争、氏名重視、成果重視、顧客重視、企業化、先を見通す、分権化、市場志向、などのキーワードが盛り込まれ、「触媒としての行政」の章を最初に読んだあとは、各々の関心のある章から読んでいけばいいでしょう。
 326ページもあって、さらに2段組になっているようなボリュームのある本ですので、最初のページから順番に読んでしまうまじめな人には、同じような話が繰り返される冗長な本に見えてしまうかもしれません。
 一気に全部読もう、とは思わず、好きな分野、例えば地域社会や顧客重視などの章だけ読んでみよう、というつもりで気楽に読んでみましょう。きっと他の章も読んでみたくなると思います。


■ どんな人にオススメ?
 ・「改革!改革!」って言うけど世の中はどんな方向に向かっているんだろう、と疑問に思っている人
 ・「自分たちの存在価値はこれからどうなってしまうんだろう」と悩む公務員


■ 関連しそうな本
 大住莊四郎『ニュ-・パブリック・マネジメント  理念・ビジョン・戦略 』 2005年01月23日
 オズボーン、プラストリック『脱「官僚主義」―欧米の行政に革命を起こした「リインベンション」とは何か』
 中村 征之 『三重が、燃えている』
 上山 信一『「行政経営」の時代 評価から実践へ』


■ 百夜百マンガ
まんが道  
【まんが道】
 「天才」Fを羨みながらも生活の全てをマンガに打ち込むAの目を通して若き日の二人の青春が描かれています。
 中高生くらいの頃は、この本や『大東京ビンボー生活マニュアル』を読んで「ビンボーなアパート暮らし」に憧れたものです。
 実際に大学生になって、「築25年の木造モルタル日当り不良アパートで仕送り無しテレビ無しの自炊生活」を体験すると、それどころじゃなかったですが、若い頃の貧乏は振り返ると楽しいですね。学生時代はバイト代をCDと楽器につぎ込んで、電話、電気、ガスを止められたりしてました。今はすっかり「本貧乏」になってしまい、アマゾンからダンボールが届いたりブックオフの袋を抱えて帰ってくるたびに家族の冷たい視線にさらされています。

(参考)
日上への道
『大東京ビンボー生活マニュアル 』

2005年1月21日 (金)

行政評価の時代

■「百夜百冊」スタートにあたって

本棚20050121
 おはようございます。こんにちは。
 「行政経営の~」というタイトルのついた本も最近ずいぶん増えましたが、その内容は著者のバックボーンや解釈の違いによって千差万別です。
 そんな状況の中で、「どんな本を読んでいいのか分からない」という声も多くなっているようです。
 そこで、そんな混乱に乗じて(!)、徐々にマニアックな私のNPM(New Public Management)観である「契約理論による公的部門改革」の世界に皆さんを引きずり込むため、書評blog&メルマガをスタートいたします。
 紹介する予定の本は、定番のものからマニアックなものまでありますが、どれも私のごく個人的な視点からのセレクションであることをご了承の上お楽しみください。

 なお、「行政経営百夜百冊」のアイデアは、「松岡正剛の千夜千冊」と「百式」という超有名サイトのパクリであることを予めネタバレします。

松岡正剛の千夜千冊
百式


■ 書籍情報

「行政評価」の時代  【「行政評価」の時代―経営と顧客の視点から】
   上山 信一 (著)
   価格: ¥2,415 (税込)
   NTT出版 (1998/03)

 日本で「行政評価」という言葉を一般化させた歴史的(大げさなヨイショが入ってますです。)な本。
 「行政評価」を前面に出していますが、表紙に記載されている英語タイトルは'Reinventing Japan: A Review of Government Performance'となっており、評価そのものではなく、評価を含めたマネジメントサイクルが行政に不可欠、という(少なくとも行政学などの学問上は)当たり前のメッセージが書かれています。
 しかし、理論上では「当たり前」のメッセージを、海外のNPMの事例を「評価」という切り口で紹介することで、行政の実務家に大きなインパクトを与えました。


■ 個人的な視点から

 私をこの世界に引きずり込むきっかけになった「歴史的」な本です。
(本当は出版に先立って『地方行政』に1997年秋から連載されたものがきっかけでしたが。)
 この本が出版された1998年3月30日の号の「地方行政」に「行政経営フォーラム」の第一回例会の開催通知が掲載されました。
 当時の私は、
 「何も知らない若造がノコノコ出て行っていいんだろうか?」
 「こんな得体の知れない集まりに参加したことが職場にばれると大変なことにならないだろうか?」
などの無駄な心配をして、せっかくのチャンスを逃してしまいました。
 結局、2年後に入会することになったのですが、行政評価が日本に浸透し始めた一番面白い時期を逃してしまったということに入会後に気づき、たいしたことのない「最初の一歩」を踏み出せなかったことを悔やみました。
 それ以来、直感で「面白そう!」と思ったことは深く考え込む前に参加するように心がけています。
 「とりあえず跳んでから考える」です。


■ どんな人にオススメ?
 ・「自分の仕事にどんな意味があるんだろう」と考えてしまった公務員
 ・「お役所仕事」には腹が立つけどその原因は何?と思った人


■ 関連しそうな本
 上山 信一『「行政経営」の時代 評価から実践へ』
 大住莊四郎『ニュ-・パブリック・マネジメント  理念・ビジョン・戦略 』 2005年01月23日

 上山信一、玉村雅敏、伊関友伸編著『実践・行政評価』


■ 百夜百マンガ

究極超人あ~る  【究極超人あ~る】
 自分にとって笑いの「原点」になっている大切な作品です。
 「間」の悪さ、論点のすれ違い、脈絡のなさ・・・。
 今の自分を形成する大切な要素がこの作品に凝縮されています。

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