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2005年2月27日 (日)

会社人間はどこへいく―逆風下の日本的経営のなかで

■ 書籍情報

会社人間はどこへいく―逆風下の日本的経営のなかで   【会社人間はどこへいく―逆風下の日本的経営のなかで】

  田尾 雅夫 (著)
  価格: ¥693 (税込)
  中央公論社(1998/07)

 本書は、「バーンアウト」(燃え尽き症候群)や組織心理学などを専門とする著者が、主に心理学的な関心から「会社人間」について分析しています。
 「会社人間はもう要らない」、「自分らしく生きよう!」のような無責任・お調子者的な旗振りをするのではなく、「人がなぜ会社人間になるのか?」という当事者の心理を追っていくようなアプローチ方法をとっています。
 著者は、会社人間を存在自体から否定するのではなく、会社人間は必ず必要だが、ムリ・ムラ・ムダなく、上手く会社人間と会社を接合させるシステムとはどのようなものか、ということを本書の主旨としています。
 そして、滅私奉公的な高い自我関与も日本的経営が成功してきた一つの要因であり、「なんでも自助、それができないやつは無能だ」とまでの極論は過激に過ぎるのではないかという問いかけをしています。

 著者によれば、会社に過剰に同調する「会社人間」は、会社の「中間部分」から生まれてきます。幹部や幹部候補生にとっては、組織との距離はなく、「自分即会社」になっているので、特に会社人間である必要はありません。逆に周辺や底辺にいれば、会社とはどうでもよい存在であります。難しいのは、その中間にいる人で、彼らは、その不安定な立場ゆえに、同調傾向を強化することで不安な気持ちを緩和しようとして、必要以上に会社にのめりこんでしまうということです。

 本書は、ともすれば戯画的に捉えられやすい「会社人間」を、主に心理学的な視点から冷静に分析しているという点で、巷間に溢れる扇情的な「脱・会社人間」本とは一線を画しています。


■ 個人的な視点から

 「会社人間」と聞くと会社と個人との過剰な相互依存状態「モーレツ社員」「企業戦士」などがイメージされ、最近ことさらに悪いイメージが付きまといます。「会社人間」→「モーレツ社員」→「窓際社員」→「濡れ落ち葉」のようにパターン化されてしまうのか、どうにも物悲しい雰囲気です。
 では、なぜ人は会社に過剰にコミットしてしまうのでしょうか。過剰にコミットすることのどこに問題があるのでしょうか。そのような点については、これまできちんとした議論がされてきませんでした。確かに、目の前にリストラされて再就職もおぼつかない中高年や、退職してから見る見る老け込んで行く人を突きつけられれば、「会社人間は悲惨だ」「ああはなりたくない」と思うかもしれません。
 しかし、物事を本質的に見ようとすること、「なぜ?」「どうして?」を自問することなく、社会のムードに身を任せてしまうことの方が、「会社人間」問題のより根が深い部分なのではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?
 ・「自分は会社人間なんじゃないか」と不安に思ってしまった人。
 ・「会社人間にだけはなりたくない」と思っている学生や新入社員。


■ 関連しそうな本

 田尾 雅夫 『組織の心理学』
 ステファン・P. ロビンス (著), 髙木 晴夫, 永井 裕久, 福沢 英弘, 横田 絵理, 渡辺 直登 (翻訳) 『組織行動のマネジメント―入門から実践へ』 2005年02月17日
 金井 壽宏 『組織を動かす最強のマネジメント心理学―組織と働く個人の「心的エナジー」を生かす法』


■ 百夜百マンガ

ストリッパー【ストリッパー】

 青春苦悩系マンガです。『さくらの唄』なんかみたいに中途半端なハッピーエンドは付けてません(電気グルーヴのオールナイトニッポンで酷評してました。→『さくら』のラスト)。
 こういうマンガを10代のときに読むのと、20代、30代のときに読むのではまるで違ったものになるとおもいますが、相変わらず読むとはまってしまうのは、「10年前の僕らは胸を痛めて いとしのエリーなんて聴いてた」と同じようなことなんでしょうか。

 ちなみにタイトルは、「これこれ、踊り子に手をだしてはいかん 」の方ではないのでご注意!(何を?)

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