« 2005年3月 | トップページ | 2005年5月 »

2005年4月

2005年4月30日 (土)

自治体再生戦略―行政評価と経営改革

■「百夜百冊」達成しました!

 1月21日から開始したこの『行政経営百夜百冊』ですが、本日4月30日をもって100冊目となりました。
 ご購読いただいた皆さん、また、コメントやご意見をいただいた皆さん、ありがとうございました。
 「百夜百冊ということは、100冊で終わりなの?」というご質問も何件かいただきましたが、せっかく早起きの習慣もついたところなので、今後もネタと体力の続く限り(何しろ、在庫無しの自転車操業で、本当に毎朝、旅行先からも更新しています。)は続けさせていただきたいと思います。今後もごひいきによろしくお願いします。
 とは言いながら、休日の朝っぱらから堅い本を読むのは結構疲れるものなので、100冊達成を機に、一部紙面構成を変更して、土日は「文化面」ということで、もう少し柔らかい本の紹介に変更させていただきます。
 今後とも変わらぬご愛顧をどうぞよろしくお願いいたします。<(_ _)>


■ 書籍情報

自治体再生戦略―行政評価と経営改革   【自治体再生戦略―行政評価と経営改革】

  上山 信一, 伊関 友伸
  価格: ¥2,625 (税込)
  日本評論社 (2003/02)

 本書は、2000年前後の百花繚乱の行政評価ブームを総括する形で出版された「行政評価本の決定版」です。
 本書の特徴は、20件に及び事例分析という地に足の着いた部分からスタートしつつも、行政をガバナンスするツールとしての観点から、一段高いメタなレベルから、様々な行政評価ツールの使われ方を類型化している点です。自治体の行政評価を、「組織内←→組織外」、「中央集権←→現場主義」の2軸で切り分けて、そこに進化というストーリーを組み立てています。

○自治体行政評価の進化モデル

自治体行政評価の進化モデル

 具体的には、「自治体行政評価の進化モデル」は、
 A型:査定管理モデル(行政内部の管理ツールとして活用)
 B型:TQMモデル(職員の意識改革ツールとして活用)
 C型:住民コミュニケーション・モデル(住民参画ツールとして活用)
 D型:ニュー・パブリック・ガバナンス・モデル(戦略的な行政経営ツールとして活用)
の4つのモデルに類型化されています。ここでのポイントは、A型からD型への進化のルートが左上(B型)経由のものと、右下(C型)経由の複数存在するということです。もちろんその進化は、漫然と続けていれば時間が解決してくれる、という類のものではなく、不祥事や大きな政権交代などの外圧がきっかけになることが多いことも示されていますが、「進化」という形で将来の見通しを見せていることで、読者(特に自治体関係者)に希望を与えてくれるものではないかと思います。
 「行政評価」「政策評価」「事務事業評価」など様々なタイトルがついた本が多数出版されていて、例えば八重洲のブックセンターの2階に行くと、どれから手をつけていいのか迷ってしまいますが、まず1冊目には本書を手に取られてみることをお奨めします。


■ 個人的な視点から

 「評価」という言葉には、「公正」「客観的」「科学的」という言葉がついて回ります。しかし、経営という生き物を評価しようとすれば、限られた情報の中での判断が求められます。まして、様々な外部性の塊である行政を評価しようとすればなおさらです。学術目的ならば別ですが、客観的な科学的の評価を行うこと自体を目的に、10年かけて行政評価を行っても、現実の経営には全く生かすことができず意味がありません。
 そして、限られた情報を取捨選択して行政評価を行おうとする際に、重要になるのは、どうしてその情報を選択するのか、という判断基準です。それなしに選んだ情報では「お手盛り」という批判を免れません。
 本書で示されている「A型モデル」には、そのような意味での判断基準があいまいという問題点があります。何のために評価するのか、評価結果にどんな意味があるのか、という点があいまいなままで行政評価を行うことは、評価のための評価ということになってしまいます。
 本書の「D型モデル」実現のためには、数多くの抵抗を乗り越える必要があります。多くの自治体の職員が行政評価に出会ったときに感じた「これは現状を打破できるかもしれない」という直感は、「A型モデル」の行政評価ばかりという現実を目の当たりにして、揺らいでしまうことが多いようです。しかし、「D型モデル」という目指す姿と現状の姿とのギャップを認識し、課題を一つ一つ解決して行く、というプロセスは、行政評価が本来的に意図している姿勢ではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

 ・「行政評価なんて役に立たない」と失望してしまった人。
 ・行政評価に関心はあるが、何から読んだらいいか分からないという人。


■ 関連しそうな本

 上山 信一 『「行政評価」の時代―経営と顧客の視点から』 2005年01月21日
 上山 信一, 玉村 雅敏, 伊関 友伸 (編) 『実践・行政評価―事例、解説、そしてQ&A』


■ 百夜百マンガ

大日本天狗党絵詞(エコトバ) 【大日本天狗党絵詞(エコトバ) 】

 何しろ「天狗」ですから。まあこの際天狗はどうだって良いのですが、師匠や高間教授や平井や美味しい脇役たちがずらりと揃っています。
 実際に高間教授は作者の他の作品(『茄子』、「西遊記を読む」)に主役として登場していたり、シノブを主人公にした短編(「海に行く」)もあることですので、ぜひ、手塚治虫の「スター・システム」に習ってどんどん色々な作品に登場してもらいたいものです。

2005年4月29日 (金)

企業・市場・法

■ 書籍情報

企業・市場・法   【企業・市場・法】

  ロナルド・H. コース (著), 宮沢 健一, 藤垣 芳文, 後藤 晃 (翻訳)
  価格: ¥3,990 (税込)
  東洋経済新報社(1992/10)

 本書は、著名な「企業の本質」と「社会的費用の問題」を含むコースの代表的な論文を収めた論文集です。
 1937年に発表された「企業の本質」では、「企業はなぜ存在するのか」という企業そのものの存在に対する問いかけを行っています。もし、全ての取引を市場で行うことができるならば、企業組織の内部で資源配分を行う必要はなくなります。また逆に、市場によらず、企業組織内で常に資源配分が行われるとすれば、市場は必要なくなり、全ての資源配分がその内部で行われる巨大な一つの企業が存在することになってしまいます。では、市場での資源配分と企業内での資源配分とを峻別する要素はどこになるのでしょうか。この論文の中で、コースは後に「取引コスト(transaction cost)」と呼ばれることになる「市場を利用するコスト」という概念によって、「市場」というミルクの中で凝固したバターのような「企業」が存在する理由を論じています。
 1960年に発表された「社会的費用の問題」では、後に「コースの定理」と呼ばれることになる、交渉に費用がかからなければ事前の所有権配分にかかわらず効率的な資源配分が可能、という問題を論じています。しかし、コース自身が第7章の「社会的費用の問題に関するノート」で触れているように、「コースの定理」はコース自身が意図していたものとは違う方向で議論されることになりました。コース自身は「交渉に費用がかからなければ」という前提に重きを置いていて、現実には交渉に費用がかかるので事前の資源配分が重要になる、という議論の出発点にすることを意図していました。コースは、交渉に費用のかからない世界、つまり取引コストゼロの世界で何が起こるか、という研究にエネルギーを費やすつもりはないことを述べています。
 本書は、「ノーベル経済学賞受賞者の論文集」ということで、なにやら難解そうな印象を与えますが、数式は全く出てきませんので、関心と時間のある方は、じっくり読み込んでみてはいかがでしょうか。


■ 個人的な視点から

 本書に収められている論文には、今から約70年前のものが含まれていますが、この論文が注目されるようになったのは、1972年のアルチャン=デムゼッツの論文や、1975年のウィリアムソンの著作などをきっかけにしていますので、この30年ほどの間のことです。この間に、「取引コストの経済学」や「契約理論」は大きく発達しましたが、その一つの原点となっているのが1937年の「企業の本質」なのです。
 「取引コストの経済学」に関する文献については、『組織の経済学』の第2章や第9章の章末の文献ノートなどを参考に読み進めていくとよいでしょう。
 また、「契約理論」に関しては、『契約と組織の経済学』か『Firms, Contracts, and Financial Structures』が入門書として読みやすいと思います。


■ どんな人にオススメ?

 ・企業は何のために存在しているのか、を疑問に思っている人。
 ・役所は何のために存在しているのか、を解明したいと思っている公務員。


■ 関連しそうな本

 ポール・ミルグロム, ジョン・ロバーツ (著), 奥野 正寛, 伊藤 秀史, 今井 晴雄, 八木 甫(翻訳)『組織の経済学』 2005年01月24日
 Oliver Hart 『Firms, Contracts, and Financial Structures』
 柳川 範之 『契約と組織の経済学』 2005年02月22日
 オリヴァー・E.ウィリアムソン 『市場と企業組織』 2005年04月19日
 伊藤 秀史 『契約の経済理論』


■ 百夜百マンガ

にゃんにゃん女子高校【にゃんにゃん女子高校】

 なぜかいつも購買に行くと焼きそばパンは売り切れ。で、ヒツジが買い占めている、というのがお約束ギャグの基本パターン。
 当時はいがらしみきおや相原コージ、吉田戦車、朝倉世界一などの不条理系四コマが人気でしたが、雑誌に1本くらいは、お約束ギャグに安心して読めて飽きさせない四コマというのが大事でした。

2005年4月28日 (木)

リエンジニアリング革命―企業を根本から変える業務革新

■ 書籍情報

リエンジニアリング革命―企業を根本から変える業務革新   【リエンジニアリング革命―企業を根本から変える業務革新】

  マイケル ハマー, ジェイムズ チャンピー (著), 野中 郁次郎 (翻訳)
  価格: ¥2,039 (税込)
  日経(1993/11)


 本書は、1993年に出版され、いまや古典となったリエンジニアリングの原典です。このご時世に「リエンジニアリング」というと、「昔ブームになったやつね。結局何の役にも立たなかったよ。」という言葉が返ってきそうですが、はたしてその人は、本書を一度でも通して読んでいるのでしょうか。洋服と同じで、ファッションとしての経営用語は、流行が一回りした後は徹底的にこき下ろされるのが宿命です。そうしないと、新しいファッションにお金を使ってもらえないものですから。
 さて、『組織行動のマネジメント』では、「リエンジニアリング」という言葉の元もとの意味は、電子部品を白紙から設計しなおすこと、だと紹介されています。身近さは失われますが、この定義は非常にイメージしやすいものではないかと思います。本書で紹介しているケースは、外食産業や通信会社などですが、変化のスピードの速い電子部品やコンピュータ産業の方が、概念的にはイメージしやすいのかもしれません。
 2002年には文庫版も出版されていますので、新しい経営書・経営用語ブームに飽き飽きした方は、一度10年遡ってみてはいかがでしょうか。


■ 個人的な視点から

 本書の一番のメッセージは、これまでのプロセスをいったん捨てて白紙から設計し直す、というものです。「設計」という言葉からつながるのは、現在読んでいる『デザイン・ルール』です。本書では、行き過ぎた分業というこれまでの設計を白紙に戻し、仕事を一まとまりにまとめる、集権化と分権化を組み合わせる、などの解説をしていますが、そこにまだ統一的なルールがなく場当たり的な印象を受け、それが本書の冗長的なイメージになっているのではないかと思います。本書で紹介されている、プロセスを白紙から設計し直すということは、新たなデザインルールを設定する、と捉えることもできるのではないでしょうか。
 10年前の古典を新しい理論で読み解き直す、ということをしてみると面白いと思います。本書をデザインルール、モジュール化の観点から組み立て直したら、さらに輝きを増すのではないでしょうか。誰かやりませんか。言いだしっぺがやらなければならなくなると大変なんですが、本格的な書評が書けるような気がします。


■ どんな人にオススメ?

 ・「リエンジニアリングはもう古い」という言葉を真に受けている人。
(タイプミスで「離縁時にはリングはもう古い」と打ってしまいました・・・。古女房?)


■ 関連しそうな本

 キム・クラーク, カーリス・ボールドウィン (著), 安藤 晴彦 (翻訳) 『デザイン・ルール―モジュール化パワー』
 青木 昌彦, 安藤 晴彦 (編著) 『モジュール化―新しい産業アーキテクチャの本質』 2005年04月22日
 野中 郁次郎 『知識創造の経営―日本企業のエピステモロジー』 2005年03月02日


■ 百夜百マンガ

僕はムコ養子【僕はムコ養子】

 ドラマにもなったこの作品ですが、今の人はこの作品がアフタヌーンに連載されていたなんて想像しにくいのではないかと思います。
 地味な登場人物の中で一番キャラが立っていたのはお母様ですね。

2005年4月27日 (水)

組織行動の考え方―ひとを活かし組織力を高める9つのキーコンセプト

■ 書籍情報

組織行動の考え方―ひとを活かし組織力を高める9つのキーコンセプト   【組織行動の考え方―ひとを活かし組織力を高める9つのキーコンセプト】

  金井 寿宏, 高橋 潔
  価格: ¥2,520 (税込)
  東洋経済新報社(2004/04)

 本書は、MBAプログラムでは必修科目となっている「組織行動(Organizational Behaivior)」をテーマに書かれたもので、元々は、『一橋ビジネスレビュー』に連載されていた「元気の出る経営行動科学」を加筆修正したものです。
 本書が主なターゲットとしている読者層は、第1は経営学に関心のある社会人、つまり『一橋ビジネスレビュー』のメイン購読層と思われます。第2は、さらに絞り込んでMBAの社会人院生、つまり著者らが神戸大学のMBAコースで接している院生に代表されているということです。第3は組織の人事部門のスタッフや経営者層、第4はちょっと背伸びをしたい学部学生、ということになっています。
 元々が雑誌の連載ということもあり、各章で取り上げているトピックは適度なボリュームになっているので、第1のターゲットである社会人が通勤電車の中で読むのにもちょうどよい分量になっています。また、各章は学術的な(つまり教える方の都合での)観点からの章立てではなく、読む側の関心に沿った章立てをしているので、教科書的に端から読んで行くのではなく、人事評価、成果主義、コンピテンシー、モチベーション、キャリアデザイン、職務満足、リーダーシップなどのトピックのうちから関心のあるものを読んでいけばいいと思います。


■ 個人的な視点から

 本書にまとまる前の連載は、『一橋ビジネスレビュー』でポツリポツリ読んではいましたが、雑誌内の一連載として読むの場合とは相当違った印象になりました。もちろん大幅に加筆した部分もあるということですが、それ以上に、一冊の本として文脈の中で読むことで、組織行動論における、それぞれのトピックの位置づけが明確になるという部分が大きかったと感じます。
 『組織行動の考え方』というタイトルは、本書を実際に手に取るまでは何やら難しそうな印象を与えますが、組織行動論の考え方によってそれぞれのトピックを分析していく、というスタイルになっているのでハードルはそれほど高くありません。タイトルだけ見て食わず嫌いでOB(out of bounds)にしてしまうのは大変もったいない一冊です。


■ どんな人にオススメ?

 ・経営学に関心のあるビジネスマン、MBAの社会人院生、経営・人事スタッフ、学部学生。
 ・組織における個人のあり方に関心のある公務員。


■ 関連しそうな本

 ステファン・P. ロビンス (著), 高木 晴夫, 永井 裕久, 福沢 英弘, 横田 絵理, 渡辺 直登 (翻訳) 『組織行動のマネジメント―入門から実践へ』 2005年02月17日
 二村 敏子 (編集) 『現代ミクロ組織論―その発展と課題』 2005年03月26日
 金井 壽宏 『変革型ミドルの探求―戦略・革新指向の管理者行動』 2005年03月12日
 金井 寿宏 『リーダーシップ入門』 2005年03月31日


■ 百夜百マンガ

ウイングマン【ウイングマン】

 千葉県出身ということで。当時は鳥山明とドイナカ対決をしていました。確か、「駅の周りに大きな建物がないから家の窓から駅が見える」と言っていた駅は八幡宿駅だったような気がします。
 連載当初はアイデアが面白くてTVアニメ化もしましたが、連載が続くとダレてきた感じがしました。「ちぇいんぐ!」
 この作品には全然関係ないですが、内房近辺が舞台といえば、『木更津キャッツアイ』『五年生』くらいしか思い浮かばないです。

2005年4月26日 (火)

日本型NPM―行政の経営改革への挑戦

■ 書籍情報

日本型NPM―行政の経営改革への挑戦   【日本型NPM―行政の経営改革への挑戦】

  大住 荘四郎, 玉村 雅敏, 上山 信一, 永田 潤子 (著)
  価格: ¥2,400 (税込)
  ぎょうせい(2003/01)

 本書は、平成13年10月に総務省に設置された「新たな行政マネージメント研究会」の議論をベースに、研究会メンバーから有志4人が書いた論文からなる前半部分と、平成14年5月に公表された研究会報告「新たな行政マネージメントの実現に向けて」を収録した後半部分からなっています。
 「第1章 改革のビジョンと工程表」(大住)は、瀬戸市行政経営委員会での実践を核に、NPM改革の工程表を解説しています。
 「第2章 NPM改革の実践」(玉村)は、「成果志向の改革イニシアティブ」をキーワードにして、海外のNPM改革の事例を洗い直し、日本の改革において「改革イニシアティブ」をいかに引き出すかを論じています。
 「第3章 検討試案:中央省庁のNPM改革シナリオ」(上山)は、企業の経営改革及び地方自治体の経営改革の経験を元に、中央省庁改革のシナリオを論じており、その流れは、今月発売された『新・行財政構造改革工程表―「霞が関」の三位一体改革』につながっています。
 「第4章 組織変革のマネジメント」(永田)は、組織論をベースに、変革をいかにマネジメントするかを論じています。
 各章は独立して読むこともできます。本書に引き続いて出版された『パブリック・セクターの経済・経営学』と執筆メンバーが重複していますので、関心のある執筆者の論文を縦割りに続けて読んでみても理解が深まるのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 本書の著者は、皆、行政経営フォーラムのメンバーということもあり、他の機会に直接話を聞いたり、論文を読むことがあります。本を読むときには、同じ著者のものを続けて読むとよい、できれば本人に直接会うか講演を聞くとなおよい、と言いますが、著者の考え方や話し方のパターンが分かっていると、読むときにもリズムが出てきてすんなり頭に流れ込んできます。本を読んでいて、著者が話している姿が浮かんで来るようになると、読むのが楽しくなります。
 著者に直接会って話を聞く、というのはなかなか難しいと思いますが、Googleでの検索や著者のwebサイトをまめにチェックするなど、いろいろと探してみると講演会やセミナーは結構開かれているものです。本を読むということは、「書籍代+読む時間」を投資しているのですから、投資を回収するためにも積極的に講演などを聴きにいってはいかがでしょうか。


■ どんな人にオススメ?

 ・海外のNPM改革にはどうも実感が湧かない、という人。
 ・中央省庁のNPM改革に関心のある人。


■ 関連しそうな本

 大住莊四郎 『ニュ-・パブリック・マネジメント  理念・ビジョン・戦略』 2005年01月23日
 山内 弘隆, 上山 信一 (編著) 『パブリック・セクターの経済・経営学』 2005年03月01日
 行財政構造改革フォーラム, 上山 信一, 樫谷 隆夫, 若松 謙維 (著) 『新・行財政構造改革工程表―「霞が関」の三位一体改革』


■ 百夜百マンガ

りびんぐゲーム【りびんぐゲーム】

 「職住接近」という言葉はありますが、「職」の方が「住」に押しかけてくることは少ないと思います。2DKが職場となると確かに狭いですが、無理に全員集まらなくても在宅勤務とかできるようにすると、常設の事務所、というのはそれほど必要ないのかも、と思いました。
 それにしても主人公の「不破雷蔵・・・付和雷同」はかわいそうな名前ですね。

2005年4月25日 (月)

仕事で「一皮むける」 関経連「一皮むけた経験」に学ぶ

■ 書籍情報

仕事で「一皮むける」 関経連「一皮むけた経験」に学ぶ   【仕事で「一皮むける」 関経連「一皮むけた経験」に学ぶ】

  金井 壽宏 (著)
  価格: ¥777 (税込)
  光文社(2002/11/15)

 本書は、社団法人関西経済連合会の人材育成委員会が実施したプロジェクト「豊かなキャリア形成へのメッセージ~経営幹部へのインタビュー調査を踏まえて~」を元に、「量子力学的な跳躍となった経験」、簡単に言えばサナギからチョウへの質的な変態のきっかけになった経験をピックアップし、解説を加えているものです。
 本書で取り上げられている「一皮むけた経験」には、入社直後の配置から初めての管理職、新規事業の立ち上げなどの前向きなイメージを持つものから、悲惨な部門の改善やラインからスタッフへの配属換え、降格や左遷などのマイナスのイメージを持つものまで様々な44の経験が含まれています。
 自分や会社が意識的に仕組んだものでなく、偶然に起こった「節目」が多いように思われますが、どんな経験も、それを生かして成長する、脱皮することができる人の経験談というのは読み応えがあります。


■ 個人的な視点から

 なかなか普段の仕事の場で、自分の上司や先輩から、昔の経験談を聞かせてもらう機会というのは難しいかものです。昔に比べて「飲みニケーション」が減った、と嘆く人は多いですが、その効用は、部下や後輩に自分自身の「一皮むけた経験」、戦い抜いてきた「パーソナル・ヒストリー」を伝えて行く場、というところにあったのかもしれません。
 しかし、飲み屋で上司から聞かされる、昔の成功談、失敗談には、興味深い経験談と併せて、愚痴や自慢がもれなく付いてくることが多くあります。しかも、だいぶ酒が入っているものですから、毎回同じことをくどくど繰り返したり、独善的な評価が入っているので、その経験を取り巻く状況が上手く伝わらないこともしばしばです。
 そんなわけで、「年寄りの昔話は苦手だ」という人も多くいるのではないかと思いますが、本書のように、整理された(酒の入ってない)状態で聞くと、どの経験にも大変な重みと説得力があります。
 昔と同じ「飲みニケーション」をそのまま復活させることが、必ずしも解決策になるとは思いませんが、先人の豊かな経験を後に続く人たちに伝えて行く仕組みというのは重要だと考えます。


■ どんな人にオススメ?

 ・現在、困難な状況にあって苦しんでいる人。
 ・自分も「一皮むけたい」と思っている人。


■ 関連しそうな本

 モーガン マッコール (著), 金井 壽宏, リクルートワークス研究所 (翻訳) 『ハイ・フライヤー―次世代リーダーの育成法』
 金井 壽宏 『変革型ミドルの探求―戦略・革新指向の管理者行動』 2005年03月12日
 金井 寿宏 『リーダーシップ入門』 2005年03月31日
 ステファン・P. ロビンス (著), 高木 晴夫, 永井 裕久, 福沢 英弘, 横田 絵理, 渡辺 直登 (翻訳) 『組織行動のマネジメント―入門から実践へ』 2005年02月17日


■ 百夜百マンガ

スプリンター【スプリンター】

 100メートル走という10秒程の世界をとっても長く描いてしまうこの作品。「おお神よ・・・すばらしい」と神の領域に踏み込んでしまう独自の描写は、あ~る君に三十三間堂でスプリンターごっこをされてしまうほどです。

 ・・・というのを書きながらお茶を入れようとすると、小山ゆうタッチのイラストが描かれている。「ちゃこちゃん」ってまんま「あずみ」な気もしますが。

「ちゃこちゃんのページ」

 それでも「ふさおとめ」に比べればオタ度は低いわけです。

「Fusaotome Fun Club」
「「ふさおとめ」パッケージキャラクター・アレンジ」

2005年4月24日 (日)

日本の企業システム

■ 書籍情報

日本の企業システム   【日本の企業システム】

  伊藤 秀史 (編)
  価格: ¥3,990 (税込)
  東京大学出版会 (1996/06)

 本書は、エージェンシー理論、不完備契約、実験経済学などの比較的新しい経済学の枠組みによって、「システムとしての日本企業」の分析を行っています。取り扱われているテーマは、経営者のインセンティブや企業金融、企業の境界、企業と政府、企業システムの進化などです。
 約10年前のコンファレンスでの論文をベースにしているので、現在の研究と比較すると内容的に若干古い部分も見られますが、各トピックに関する基本的な研究がそれぞれ概観されているので、企業の経済分析に関する入門書としても位置づけることができます。『組織の経済学』から読み進むと理解しやすいのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 本書が分析対象としているのは、一般的な民間企業が中心ですが、そのエッセンスの部分は行政経営に応用可能なものが多くあります。
 例えば、経営者インセンティブの問題は、国民と政府の間のエージェンシー問題や政府内部のエージェンシー問題を理解する上で重要な示唆を与えてくれます。また、企業の境界、分社化と権限委譲の問題は、組織としてのエージェンシーや公企業の民営化を理解する助けになります。
 本書は企業の中でも、特に日本の企業システムを深く掘り下げて理解しようとしていますが、日本の行政組織を、組織や人事システム的に日本企業システムの極端な一類型として位置づけると、うなづける部分が多いのではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

 ・日本企業との比較で行政組織を理解したい人。
 ・『組織の経済学』を読み終えた人。


■ 関連しそうな本

 ポール・ミルグロム, ジョン・ロバーツ (著), 奥野 正寛, 伊藤 秀史, 今井 晴雄, 八木 甫(翻訳) 『組織の経済学』 2005年01月24日
 伊藤 秀史 『契約の経済理論』
 伊藤 秀史, 小佐野 広 『インセンティブ設計の経済学―契約理論の応用分析』 2005年02月26日
 今井 賢一, 小宮 隆太郎 (編) 『日本の企業』


■ 百夜百マンガ

名たんていカゲマン【名たんていカゲマン】


 「そのときカゲマン少しもあわてず・・・」って言いながら電池が切れてたり、霧で影が出なかったりするワンパターンな展開が好きでした。
 まさか最近になってアニメ化しているとは知りませんでした。設定上は原作の孫ということになっているようですが。

2005年4月23日 (土)

成功の技法―起業家の組織心理学

■ 書籍情報

成功の技法―起業家の組織心理学   【成功の技法―起業家の組織心理学】

  田尾 雅夫 (著)
  価格: ¥798 (税込)
  中央公論新社(2003/01)

 本書は、「成功」「起業家」というキーワードがついていますが、これを読めば起業家として成功できる、という内容ではありません。社会起業家を含む数多くの起業家にインタビューした経験と組織心理学を元に、起業家に求められる特性を明らかにしているものです。
 近年、「誰でも起業できる」という風潮を背景に、起業を煽る本や雑誌が数多く出版されています。また、起業支援の政策や法制度の整備され、起業しやすい環境ができつつあると思います。しかし、起業すること自体と、その企業を経営し存続し続けることとは別物です。本書では、起業後の企業発展のステージごとに次々に現れる難問を時系列に追いながら、リーダーにはどのような条件が求められるかを組織心理学を動員して解説しています。
 「成功の条件」というタイトルに釣られて本書を手にした人の中には「期待を裏切られた」「俺は起業家に向いてないのかも」と落ち込む人もいるかもしれませんが、起業後の数々の困難を考えると、本書は、一旦立ち止まって自らを振り返る良いきっかけになるものと思います。


■ 個人的な視点から

 世の中には「成功本」というジャンルがあるらしいです。Googleで「成功本」を検索すると350万件以上ヒットしますし、有名どころでは「俺と100冊の成功本」というBlogもあります。「どんな本読みます?」「主に成功本読んでます。」という会話も普通にあったりします。
 でも不思議なのは、成功本を読むのが好きな人は何がしたいんだろう、ということです。中には「成功本」を読んでその気になって本当に起業してしまう人もいるでしょうが、多くの人は「ツイてる、ツイてる」と言い出すくらいで実際の行動につながる人は少ないのではないかと思います。「今、起業のネタを探しています」という人もたくさんいますが、その人にとっては、起業すること、成功することが目的で、何をやるかということはまだ決まっていないということなのでしょうか。
 自分の境遇とはかけ離れた話を読むことで空想をめぐらせ、読んでいる間だけその気になる、という意味では、ヤクザ映画を見た後だけ「~じゃけん」とか言ってみたり、愛憎ドロドロの昼ドラを夢中になって視る人はいても、映画を見て本当にヤクザになる人はいないことと同じなのでしょうか。もしかすると成功本はサラリーマンにとっての「昼ドラ」なのかもしれないと思いました。


■ どんな人にオススメ?

 ・起業したい、成功したい、という強い思いを持っている人。


■ 関連しそうな本

 金井 寿宏 『リーダーシップ入門』 2005年03月31日
 ステファン・P. ロビンス (著), 高木 晴夫, 永井 裕久, 福沢 英弘, 横田 絵理, 渡辺 直登 (翻訳) 『組織行動のマネジメント―入門から実践へ』 2005年02月17日
 金井 寿宏, 高橋 潔 (著) 『組織行動の考え方―ひとを活かし組織力を高める9つのキーコンセプト』
 二村 敏子 (編集) 『現代ミクロ組織論―その発展と課題』 2005年03月26日
 田尾 雅夫 『組織の心理学』


■ 百夜百マンガ

アトミック街【アトミック街】

 場当たり的なストーリー展開(というかストーリー性ないし・・・)と下ネタのオンパレード、と言うとすごくくだらなそうですが、正直、くだらなさ満点です。主人公は途中で入れ替わるし、というよりも、2回目から当初の脇役メインの作品になってます。それでも作者の持ち味である「軽み」があるのでイヤらしくなりません。
 きちんと練り込まれたコントではなく、役者のアドリブ任せで筋書きが読めない展開がスリリングといえばスリリングなのかもしれません。「むきんぽ」にはタマラとイリヤのコンビが必ず出てくるマンネリギャグは、タケちゃんマンに出てきたホタテ男を思い出させます。

2005年4月22日 (金)

モジュール化―新しい産業アーキテクチャの本質

■ 書籍情報

モジュール化―新しい産業アーキテクチャの本質   【モジュール化―新しい産業アーキテクチャの本質】

  青木 昌彦 (著), 安藤 晴彦 (著)
  価格: ¥2,940 (税込)
  東洋経済新報社(2002/02)

 本書は、産業界だけでなく社会全体へのインパクトも期待されている「モジュール化」という概念について、2001年に行われた経済産業研究所のコンファレンスをベースに編集されたものです。
 「モジュール化」とは、「半自律的なサブシステムであって、他の同様なサブシステムと一定のルールに基づいて互いに連結することにより、より複雑なシステムまたはプロセスを構成するものである。そして、一つの複雑なシステムまたはプロセスを一定の連結ルールに基づいて、独立に設計されうる半自律的なサブシステムに分解することを「モジュール化」、ある(連結)ルールの下で独立に設計されうるサブシステム(モジュール)を統合して、複雑なシステムまたはプロセスを構成することを「モジュラリティ」という。」と定義されています。
 本書では、モジュール化に関する古典であり、本書の原点的な位置づけになる『デザイン・ルール』の著者の一人、ボールドウィン教授の論文が2編収められており、モジュール化に関するエッセンスがコンパクトにまとまった一冊と言えます。


■ 個人的な視点から

 モジュール化という概念は、単に製造業の分野にとどまらず、金融サービスなどにおいても大きなインパクトを持つものだということですが、個人的には、「キャリアのモジュール化」ということに関心を持っています。つまり、個人レベルにおいても、仕事人生の中で身につけるスキルや経験が、よりモジュール化された形になるのではないか、ということです。
 本書では、藤本論文において、「組合せ型(モジュール型)」の設計思想に対する「擦り合せ型(インテグラル型)」という設計思想を対立させていますが、この考え方をキャリア論に持ってくると、日本の雇用システムというのは、スキルや経験の文脈的な統合を重視した「擦り合せ型」の設計思想の典型と捉えることができます。
 しかし、雇用を巡る環境が大きく変動している現在においては、変化のスピードを速めることができるモジュール化の強みは、キャリアデザインにおいても重要になってくると考えられます。モジュール化は、インターフェース部分の設計を事前にルール化することでモジュール間の接続性、相互依存性を高めることができるというものですが、キャリアに当てはめて考えると、自分の得意分野の経験やスキルを、仕事の文脈の中で活用することが容易になると考えることができます。
 「キャリアのモジュール化」は、まだ着想の段階で深い検討をしていませんが、もっと掘り下げていくと面白そうだという手ごたえを感じています。

 それから、「市場化テスト」の考え方も、政策を実行する部分をモジュール化して、モジュールの中での競争圧力を高めている、と捉えることができます。民営化やエージェンシー化というNPM手法を理解する上でもモジュール化という概念は重要なカギになります。「NPMとモジュール化」というタイトルでも論文が書けそうですね。


■ どんな人にオススメ?

 ・市場化テストなどの新しい改革手法を、産業界全体の潮流の中で理解したい人。


■ 関連しそうな本

 キム・クラーク, カーリス・ボールドウィン (著), 安藤 晴彦 (翻訳) 『デザイン・ルール―モジュール化パワー』
 ダニエル ピンク (著), 池村 千秋 (翻訳), 玄田 有史 『フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか』 2005年02月02日
 秋山 進, 山田 久 『インディペンデント・コントラクター 社員でも起業でもない「第3の働き方」』 2005年04月11日
 野中 郁次郎 『知識創造の経営―日本企業のエピステモロジー』 2005年03月02日


■ 百夜百マンガ

名門!多古西応援団【名門!多古西応援団】

 『疾風伝説特攻の拓』までヤンキーマンガを描き続ける作者の初期の名作です。場当たり的な冗長な感じのする『~拓』のストーリーに比べると、1話~数話完結のきちんとしたストーリー展開で少年漫画のお手本のような作品です。でも週刊誌の連載としては、人情話の多いストーリーよりも、毎週引っ張る原作付きストーリーの方が人気が出るのかも知れないですね。

2005年4月21日 (木)

電子自治体―パブリック・ガバナンスのIT革命

■ 書籍情報

電子自治体―パブリック・ガバナンスのIT革命   【電子自治体―パブリック・ガバナンスのIT革命】

  榎並 利博
  価格: ¥1,890 (税込)
  東洋経済新報社(2002/06)

 本書は、『電子自治体』というタイトルはついていますが、「IT化でこういうことができるようになりますよ、便利になりますよ。」ということを書いているものではありません。むしろ、IT化という切り口から、自治体や自治体を取り巻く環境における問題点を浮き彫りにして行くことに主眼が置かれています。その意味では、2000年に出版された前著『自治体のIT革命』での著者の主張をさらに展開したものになっていると言えるでしょう。
 なかでも、特に筆者が力点を置いているのは、市民参加と幸福感というテーマです。本書では、スイスにおける州ごとの直接民主主義の度合いと幸福感に関する調査を引用していますが、それによると、「直接、行政や政治へ参加できる制度や地方分権が整っている州ほど、市民はより多くの幸福感を感じている」という結論が指摘されています。
 シンクタンクのコンサルタントという著者の職業柄、他の章では、自治体経営の概念やCRMの事例なども紹介されていますが、これらの帰結は、ITをツールとして市民参加、市民へのエンパワーメントを実現しよう、という部分に集約されています。自治体のIT化そのものよりも、ITをツールとしてどのような社会を実現したいか、ということに関心がある方にお奨めしたい一冊です。


■ 個人的な視点から

 IT(Information Technology)やICT(Information and Communication Technology)によって社会はどう変わるのか、というテーマは様々な領域に波及する問題で、政治学や経済学以外にも社会学や心理学も絡んでくるので非常に奥深いのですが、政治や行政に限定してみても、近年多くの研究成果が出版されるようになりました。以前は日本語の文献が少なかったことを考えるとうれしい悲鳴です(特に財布が悲鳴を上げています。)。
 現実の政治においても、インターネットが投票行動、特に国政選挙の投票行動に与える影響は大きいと思います。また、市民が行政に関する情報を探す場合、例えばゴミの捨て方から子供の予防接種についての情報を探す場合には、以前ならば自治体の発行している広報紙を読むか、市役所に電話して問い合わせていましたが、最近は市役所のホームページから調べるか、その他の情報源、例えば個人サイトや掲示板から情報を得ることが多くなりました。
 「市民参加」という言葉からは、自分とは関係のない特殊な世界、一部の物好きな人たちがやっている活動、という印象を受けてしまいますが、現実に私たちが行っているネットでの情報収集という行動の一歩先くらいには「市民参加」の方法が整いつつあります。例えば、パブリックコメントや自治体の電子会議室など、探せば事例はいくらでもありますので、関心のある方は藤沢市や三重県の会議室などをのぞいてみてはいかがでしょうか。


■ どんな人にオススメ?

 ・ITをツールとして社会変革を実現したいと思っている人。
 ・市民参加なんて自分には縁がないと思っている人。


■ 関連しそうな本

 榎並 利博 『自治体のIT革命』
 D.ヘントン, J.メルビル, K.ウォレシュ (著), 小門 裕幸, 榎並 利博, 今井 路子 (翻訳) 『社会変革する地域市民―スチュワードシップとリージョナル・ガバナンス』
 岩崎 正洋 (編) 『サイバーポリティクス―IT社会の政治学』 2005年04月09日
 岩崎正洋(編) 『eデモクラシー』
 横江 公美 『Eポリティックス』 2005年02月11日


■ 百夜百マンガ

菫画報【菫画報】

 作品の一応の舞台は高校の新聞部なんですが、R・田中一郎君が光画部の部長だったことくらい部活とは関係のないところで進んでいく会話の「間」がたまりません。
 全体に白っぽい、気の抜けた、力の抜けた線で描かれたエピソードの数々は、読み出すと止まりません。

2005年4月20日 (水)

企業経済学

■ 書籍情報

企業経済学   【企業経済学】

  小田切 宏之
  価格: ¥2,940 (税込)
  東洋経済新報社(2000/05)

 本書は、「企業」を切り口にした経済学の教科書です。既存の経済学のジャンル分けにこだわらず、「企業」をキーワードに様々な経済学の成果を分かり易く教科書としてまとめています。
 「第2章 企業はなぜ存在するのか」は、コースの1937年の論文「企業の本質」からスタートして、スミスの分業やサイモンの権限の話、ウィリアムソンの取引コストの話などの古典的な企業理論から、アルチャン=デムゼッツやグロスマン=ハートの所有権アプローチまで解説していて、企業理論の大きな流れがつかめるようになっています。
 その後は、新古典派の企業理論や産業組織論、所有権アプローチなどの様々な企業理論が、各章ごとに解説されています。
 大学の学部向けに「企業経済学」や「企業理論」などの講義名でテキストに使用することを想定して書かれていると思われますが、『組織の経済学』や『戦略の経済学』などのビジネススクールのテキストのサブセット版的な構成にもなっていますので、企業の経済理論に関心のある社会人向けのガイドブックとしてもコンパクトにまとまっています。


■ 個人的な視点から

 「行政経営~」と言いながら2日連続で企業理論の本を紹介しているのですが、本書などでの企業組織の解説が、行政組織を理解する上で重要なポイントを与えてくれていると考えられます。それは、なぜ行政サービスは、市場ではなく組織(行政機構)によって主に供給されているのか、ということです。
 『市場と企業組織』によれば、企業組織は、
> (1)適切な値付けを行う。
> (2)多数の完全な契約を単一の不完全な契約(雇用契約)をもって置き換える。
の2つの点で取引コストの削減に貢献している、とありますが、フリーライダーの問題など「公共財」としての性質のために適切な根付けが難しい行政サービスを、個々人が市場から調達する(例えば、警察署が各世帯と安全保障契約を結ぶなど。)代わりに、市役所などの組織的な手段によって供給されていると考えることができます。
 そしてこのことは、適切な値付けを行うことができるのならば、必ずしも行政自身が直接的な供給者にならなくても良い、という事も示唆します。つまり、供給主体自体は行政が税金を原資として担うとしても、供給行為自体は適切に値付けをすることができれば民間企業でも構わないということです。現在話題になっている「市場化テスト」はまさにこの考え方で進められていて、入札によって直接供給者の適切な値付けを行おうとするものです。また、職業訓練や教育での導入が検討されている「バウチャー制度」は、税金を原資としながらも、サービスの供給を受ける利用者の目によって市場での適切な値付けを行おうとするものです。
 このように、企業理論を理解することは、望ましい行政組織のあり方を考える上での重要な必須科目といえるかもしれません。そして本書は、そのガイドブックとしての役割を十二分に果たすことができるものです。


■ どんな人にオススメ?

 ・ビジネススクールには関心があるけど、ちょっと敷居が高く感じてしまう人。
 ・望ましい行政組織のあり方を考えている人。


■ 関連しそうな本

 ロナルド・H. コース (著), 宮沢 健一, 藤垣 芳文, 後藤 晃 (翻訳) 『企業・市場・法』
 ハーバート・A. サイモン (著), 松田 武彦, 二村 敏子, 高柳 暁 (翻訳) 『経営行動―経営組織における意思決定プロセスの研究』
 オリヴァー・E.ウィリアムソン 『市場と企業組織』 2005年04月19日
 Oliver Hart
 ポール・ミルグロム, ジョン・ロバーツ (著), 奥野 正寛, 伊藤 秀史, 今井 晴雄, 八木 甫(翻訳) 
『組織の経済学』 2005年01月24日
 柳川 範之 『契約と組織の経済学』 2005年02月22日
 小佐野 広 『コーポレートガバナンスの経済学―金融契約理論からみた企業論』 2005年02月23日


■ 百夜百マンガ

ゲームセンターあらし【ゲームセンターあらし】

 一番最初の読みきりの時は、ブロック崩しのボールをラケットの角に当てると角度が変わる、とかそんな話だったと思います。対決の直前に電車の車窓に反射する日光を見て思いついた技だったような。
 「炎のコマ」をマスターするときには、手の皮がすりむけるまで素手で独楽を回して特訓してました。バカな小学生は真似をして手のひらで独楽を回す練習をしたものです(→私)。元々は、コンピュータのクロック数を上回るスピードでレバーを操作することで誤作動を起こす、という技で、独楽の軸が床との摩擦で火がおこる、というはずだったのですが、いつの間にか「炎のコマ」と叫ぶと手のひらから炎が出る技に変わっていました。

「ゲームセンターあらし」公式ホームページ

2005年4月19日 (火)

市場と企業組織

■ 書籍情報

市場と企業組織   【市場と企業組織】

  O・E・ウィリアムソン(著), 浅沼万里, 岩崎晃(訳)
  価格: ¥6,300(税込)
  日本評論社 (1980/11)

 本書は、階層型の企業組織に関して、取引コストの観点から分析を行ったものです。ロナルド・コースは、1937年の論文「企業の本質」において、企業組織が以下の2つの点で取引コストの削減に貢献していることを述べています。
 (1)適切な値付けを行う。
 (2)多数の完全な契約を単一の不完全な契約(雇用契約)をもって置き換える。
 著者は、本書においてこの分析をさらに展開し、階層組織の優位性として以下の点を指摘しています。
 ・限定された合理性:階層組織は、意思決定の専門化とコミュニケーション費用の節約とを可能ならしめることによって、合理性の限界を広げる。
 ・機会主義:階層組織は、追加的な誘因と統制の諸技法を、より選択的な仕方で行使することを可能ならしめ、それによって少数主体間の機会主義を抑制することに役立つ。
 ・不確実性:階層組織は、相互依存性をもった複数の単位が予期しなかった偶然事業に対して調整の取れた仕方で適応することを可能ならしめ、かつさらに不確実性を「吸収」することに役立つ。
 ・情報の偏在:階層組織は、監査を行う根本法規上の権限を拡張し、それによって(少なくとも見込みのうえで)自律的な主体の間に生じる情報ギャップを狭める。
 ・雰囲気:交換の市場型諸形態とくらべて、階層組織は、少なくとも若干の目的にとっては、より打算性の少ない交換の雰囲気を提供する。

 450ページの大著であり、翻訳も、とても読みやすいものではありませんので、かなり読むのに骨の折れるものではありますが、組織論の古典(原著の出版は1975年)として、一度は目を通しておきたい一冊です。


■ 個人的な視点から

 本書を読むことになったきっかけは、『ニュー・パブリック・マネジメント  理念・ビジョン・戦略』や『The New Public Management in Action』において、NPMの理論的背景として挙げられていたことです(さらに遡れば、Christopher Hoodの1991年の論文、“a public management for all seasons”で紹介されていました。)。
 6300円という値段にだいぶビビリましたが、いろいろな文献で参考文献として挙げられていたため、「読んでおけば使えるに違いない」と思って読み始めたのですが、非常に骨が折れました。最初は何のことやらさっぱり読んでも分からなかったからです。「古典」には往々としてあることですが、まだ概念が一般化されていない頃のものなので説明が冗長(本当は厳格とか丁寧ということなのですが)で、しかも著者自身もあれこれと思いを巡らせながら書いているので、教科書のようにコンパクトに効率よく読者の頭に流れ込んでくる、というものがありません。
 しかし、我慢して読み進めているうちに、著者の言葉や論理展開のリズムがつかめるようになると、著者の思考の過程が読者の頭に再現されることになるので、だんだんと理解のスピードが上がってきます。感覚的には読みはじめと終わりでは倍くらいスピードが違うのではないかと思うほどです。よく「読書術」などで、同じ著者の作品を続けて読みなさい、と言っているのはこういうことなのかと思いました。


■ どんな人にオススメ?

 ・NPMの基礎になっている組織論の古典を理解したい人。
 ・忙しい人にはあまりお奨めしません。


■ 関連しそうな本

 ロナルド・H. コース (著), 宮沢 健一, 藤垣 芳文, 後藤 晃 (翻訳) 『企業・市場・法』
 ハーバート・A. サイモン (著), 松田 武彦, 二村 敏子, 高柳 暁 (翻訳) 『経営行動―経営組織における意思決定プロセスの研究』
 ポール・ミルグロム, ジョン・ロバーツ (著), 奥野 正寛, 伊藤 秀史, 今井 晴雄, 八木 甫(翻訳) 『組織の経済学』 2005年01月24日
 青木 昌彦 (著), 永易 浩一 (翻訳) 『日本経済の制度分析―情報・インセンティブ・交渉ゲーム』 2005年04月01日
 オリバー・E. ウィリアムソン (編集), 飯野 春樹 (翻訳) 『現代組織論とバーナード』
 大住莊四郎 『ニュ-・パブリック・マネジメント  理念・ビジョン・戦略 』 2005年01月23日
 Ewan Ferlie, Lynn Ashburner, Louise Fitzgerald, Andrew Pettigrew 『The New Public Management in Action』


■ 百夜百マンガ

ハッピーピープル【ハッピーピープル】

 この作品にはいろいろな人間の怖い顔が出てきます。追い詰められた人の顔や怒っている顔など様々なのですが、一番怖いのが笑っている人の顔です。血まみれの臓物を書いても乾いた平面的な描写で生理的な怖さはないのですが、鋭利な刃物のように乾いた笑顔を描かせたらこの人の右に出る人はいないくらいです。
 ストーリー的には思い付きっぽいものが多いのですが、悪夢系のビジュアル、しかも人間の怖さにこだわる作品は独特のものです。

2005年4月18日 (月)

人材マネジメント入門

■ 書籍情報

人材マネジメント入門   【人材マネジメント入門】

  守島 基博 (著)
  価格: ¥872 (税込)
  日本経済新聞社 (2004/02/14)

 本書は、人事管理に関する実務書ではありません。ですので、この4月から人事担当になった人が、「実務に直接役立つ本を」という意味で買い求めるのであれば、想像しているものとはかなり違うと思います。しかし、もし間違って買ってしまった人がいるとしたら、その人はかなりラッキーです。本書は、日々の実務的な人事管理の背後にある人材マネジメントの二つの考え方、「企業の戦略達成や競争力維持」と「人材としての活用や成長」を、人材獲得から順を追って解説しているものだからです。
 本書の構成は、人材の獲得、育成、評価、処遇、配置、尊重、組合せ、の順になっています。それぞれ、単に現状を説明するだけではなく、キーとなるコンセプトが織り交ぜられています。例えば、獲得であれば「人材ポートフォリオ」や「RJP (Realistic Job Preview)」であり、配置であれば「人材フロー」という考え方であり、尊重であれば「ワーク・ライフ・バランス」といった具合です。
 冒頭では、人事担当者にお奨めできる本ということで紹介しましたが、もちろん、人事担当者以外にとっても、自分が組織の中でどのように位置づけられているかを知る上で、読んでおいて損はありません。同じようなテーマで値段も近い『人事異動』が生の現場に近いというか、よく聞くような話が書かれているのに比べると、本書の方が「目から鱗」の体系的な話によって構成されていると思います。


■ 個人的な視点から

 「人事」というと、属人的な情報を大量に処理するという業務上の性質からか、それぞれの組織が独自のやり方をしているかのような印象を与えますが、本書の主題である「人材フロー・マネジメント」という観点から捉えると、どの組織も大枠では同じ枠の中に納まることが分かるのではないかと思います。
 では、組織によって差が出る部分はどこでしょうか。もちろん、評価や処遇、配置の方法は組織によって大きく異なりますが、そのベースになっているのは育成の部分ではないかと思います。本書の中でも「人材創出企業」として、IBMやリクルートが紹介されていますが、人材を「輩出」しているか、「排出」しているか、という育成の部分がキーになり、評価などはこれに付随するサブシステムとして位置づけられるのではないかと思います。
 さて、皆さんのいる組織は人材を「輩出」していますか?


■ どんな人にオススメ?

 ・日々の仕事の背後にある人材フロー・マネジメントの考え方を知りたい人事担当者。
 ・組織における自分の位置づけを知りたい人。


■ 関連しそうな本

 徳岡 晃一郎 『人事異動』
 エドワード・P. ラジアー (著), 樋口 美雄, 清家 篤 (翻訳) 『人事と組織の経済学』
 2005年04月05日
 ステファン・P. ロビンス (著), 高木 晴夫, 永井 裕久, 福沢 英弘, 横田 絵理, 渡辺 直登 (翻訳) 『組織行動のマネジメント―入門から実践へ』 2005年02月17日
 八代 尚宏 『日本的雇用慣行の経済学―労働市場の流動化と日本経済』 2005年03月23日
 稲継 裕昭 『日本の官僚人事システム』 2005年02月10日


■ 百夜百マンガ

帽子男の画像がなかったのでひまありでご勘弁を【帽子男は眠れない】

 ウエケンと言えば何でも「五万節」(知らない人は下記CDを聴きましょう)落ちにしてしまう力技作家として有名ですが、ハードボイルドなギャグ満載の帽子男シリーズも必見です。でもなかなか入手できませんが。

 ハナ肇とクレイジー・キャッツ 『スーパー・デラックス』

「五万節」落ちが見たい方はこちら

2005年4月17日 (日)

生き生きまちづくり 埼玉県志木市の挑戦

■ 書籍情報

生き生きまちづくり 埼玉県志木市の挑戦   【生き生きまちづくり 埼玉県志木市の挑戦】

  埼玉新聞社 (編集)
  価格: ¥900 (税込)
  埼玉新聞社(2003/11)

 本書は、市長や教育委員会の廃止などの特区構想や、職員を10分の1に削減する地方自立計画・行政パートナー制度など、次々と斬新な施策を打ち出しながら個性的なまちづくりを進めている埼玉県志木市の取り組みについて、行政改革と教育改革を中心に、埼玉新聞社の取材の中から再度編集しなおしたものです。
 本書は以下のような構成になっています。
・情報共有とまちづくり
・志木市市民委員会の1年(9つの部会長に聞く)
・志木・教育は変われる
・記者取材ノートから
・資料編
 新聞社の取材がベースになっているので、分析よりもまず事実を伝えることが中心になっているので、とても読みやすいものになっています。
 「志木市という名前は新聞で見かけたことがあるけど、どんな市なのかはよく分からない」という方は、気楽な気持ちで本書を手に取られてみてはいかがでしょうか。


■ 個人的な視点から

 私が志木市の取り組み(と言うよりもほとんど存在そのもの)を知ったのは、2年ほど前に、本書の編集協力者にも名を連ねられている、志木市役所の尾崎さんのお話を聞く機会があったことでした。
 事前には「カリスマ公務員」という噂を聞いていたのですが、お会いした印象は非常に謙虚な、そして信念を持った、普通の市役所の職員でした。特区などの、派手な構想や施策を次々と打ち出している改革の中心的存在ということなので、さぞかし型破りな性格や見た目の人ではないか、という事前の予想は見事に裏切られました。それと同時に、地域のあり方や自治体の役割は何か、ということを実直に考え、信念を持って行動することが、今の世の中では非常に型破りなことなのだとも思いました。
 その後、志木市に3度ほど伺って勉強会などに参加し、昨年は何度か志木市長の穂坂さんにお会いする機会にも恵まれましたが、市長のお話からも、実直に考え信念を持って行動する、という同じような行動理念を感じました。
 新聞記事から断片的に伝わってくる志木市役所の姿は、人によってはとてもエキセントリックに見えるかもしれませんが、当事者にお話を聞き、多角的に見るようになると、自分で真剣に考え行動する、という当たり前のことをしている結果に過ぎないと感じるようになりました。


■ どんな人にオススメ?

 ・「志木市」っていう名前はよく聞くんだけれどもどんな自治体なのかよく分からない、という人。
 ・自分や自分の組織にはこんな派手なことはできない、と思っている人。


■ 関連しそうな本

 南 学, 上山 信一 『横浜市改革エンジン フル稼動 中田市政の戦略と発想』 2005年04月13日
 北川 正恭 『生活者起点の「行政革命」』 2005年03月07日
 ジョン・P. コッター (著), 梅津 祐良 (翻訳) 『企業変革力』 2005年02月19日 


■ 百夜百マンガ

ミスター味っ子【ミスター味っ子】

 いわゆる「グルメマンガ」の中には、実際に食べてみたい、作ってみたい、と思うような「実用系グルメマンガ」と、登場人物たちは上手そうに食ってるけど正直美味しそうではない、技と驚きが全てでもはや味なんて関係ない、という「魔球系グルメマンガ」の2種類があると思います。
 『味っ子』も最初のうちは実用系な展開だったのですが、だんだん魔球系にシフトして行ったように感じます。『キン肉マン』や『ターちゃん』などのギャグマンガが格闘トーナメントマンガに引きずられて行くのと同じような力を感じます。

○実用系グルメマンガ代表作
 『クッキング・パパ』
 「王子の料理 肉じゃがやめろ!」

○魔球系グルメマンガ代表作
 『包丁人味平』
 『ミスター味っ子』

2005年4月16日 (土)

行政人材革命―“プロ”を育てる研修・大学院の戦略

■ 書籍情報

行政人材革命―“プロ”を育てる研修・大学院の戦略   【行政人材革命―“プロ”を育てる研修・大学院の戦略】

  上山 信一, 梅村 雅司
  価格: ¥2,500 (税込)
  ぎょうせい(2003/09)

 本書は、行政における”プロ”を育成するための人材育成について、ともに「公務員→外資系企業→教育」のキャリアをたどった二人の著者が、戦略と実証分析を展開しているものです。
 大きく2つのパートに分けることができ、「第1部 行政の人材育成を問い直す」では、経営課題としての人材、自治体の研修・人材開発の調査・分析、日本版行政大学院や行政経営スクール構想などの、これからの行政人材の育成のあり方について展開されています。「第2部 行政大学院の選び方と活用法」では、米国の行政大学院と日本国内の大学院の体験記を中心に、行政大学院を自分のキャリアデザインの中でどのように位置づけるか、行政大学院に何を求めるか、を解説しています。また、付録の「日米大学院データブック」は、これから大学院進学を考える人にとっては貴重な資料になることでしょう。
 「自分は将来なにものになりたいのか」ということを考え始めた公務員には、ぜひ一度手に取ってもらいたい一冊です。


■ 個人的な視点から

 本書の前半部分、人材戦略や調査・分析などはもちろん読むとなるほどと思うだけのものではあるのですが、本書で一番読み応えがあるのは、8人の米国留学体験記と8人の国内大学院体験記の部分だと思っています。行政大学院に関する断片的な情報はネットや他の文献で収集することができても、これだけまとまった生の声を読む機会はなかなかないのではないでしょうか。
 米国留学体験記の筆者は、組織に属さず自費で留学した人が4人、組織から公費で派遣された人が4人(国2人、自治体2人)となっていて、留学時の年齢も20代から30代後半まで幅広く、様々な読者にとって自分の身に引き戻して考えやすいのではないかと思います。
 国内大学院体験記の筆者は、自費が4人、派遣が4人となっています。特に、読んでいて面白いのは、昼間は自治体で仕事をしながら、夜は大学院に自費で通学した3人の体験記です。週何日通学したか、どのくらいの時間勉強したか、職場の理解は、キャリアの中での位置づけは、等、身銭と睡眠時間を切って勉強している人の話は切実さが違います。キャリアとの関連では、豊中市役所の佐藤さんは、高崎経済大学に研究者として転身されています。
 地方公務員法の改正によって、大学院通学のための部分休業制度(無給)が新設され、夜間大学院に通学する公務員が増えることが考えられますが、制度創設前に、睡眠時間を削りながら(広島県庁の白川さんは平日3時間睡眠)単位を取得し、修論を書き上げた「先人」達の経験は必ず読んで役に立つものだと思います。
 最後に、付録の「日米大学院データブック」は2003年2月現在のものになっていますが、できることならば、誰か随時アップデートしてくれるとありがたいと思います。この部分だけは最新データであることが重要になるので、著者のWebサイト(http://www.new-public.org/)に最新版が掲載されていれば、ネット経由で本の宣伝になるのではないかと思うのですが。


■ どんな人にオススメ?

 ・大学院進学、特に仕事をしながら自費で通学しようと考えている公務員。


■ 関連しそうな本

 稲継 裕昭 『日本の官僚人事システム』 2005年02月10日
 金井 壽宏 『働くひとのためのキャリア・デザイン』 2005年01月30日
 日本経済新聞社 (編) 『働くということ』 2005年02月24日
 山内 弘隆, 上山 信一 (編著) 『パブリック・セクターの経済・経営学』 2005年03月01日


■ 百夜百マンガ

要塞学園【要塞学園】

 「全国からワル(不良)が集められた学園」という設定は、古くは『青春動物園 ズウ』から『私立極道高校』、『風林火嶄』と色々あるのですが、「ワル」というよりも怪獣モノ・・・?
 ダイナミックで個性的な描線はページをはみ出す勢いです。

2005年4月15日 (金)

公共選択

■ 書籍情報

公共選択   【公共選択】

  小林 良彰
  価格: ¥2,625 (税込)
  東京大学出版会(1988/11)

 本書は、「現代政治学叢書」の第9巻とした刊行されたものです。
 構成は、次のようなものになっています。

・公共選択の総論
・社会契約、正議論
・決定ルール、投票のパラドクス、一般可能性定理
・選挙、政党と有権者、情報コスト、ダウンズの期待効用モデル
・需要、集合行為論、足による投票
・供給、官僚行動論、

 同じようなサイズ、年代に発売された『入門公共選択』が、財政赤字や大きな政府、官僚制などの経済学(ブキャナンなど)寄りの問題に重点を置いていることに比較すると、本書は社会契約や投票行動などの政治学寄りの構成になっています。どちらも公共選択のテキストには違いありませんが、経済学の中での位置づけと、政治学の中での位置づけの両方を対比することができます。
 選挙や政党制などの政治学的なテーマに関心のある人には、『入門公共選択』よりも本書や『きめ方の論理』の方をお奨めします。


■ 個人的な視点から

 『公共選択論』と一言でくくっても、また同じ科目名の講義があったとしても、経済学部にあるものと政治学部にあるものではアプローチの方法や力点の置き方がまるで違ってきます。
 個人的には公共選択に関しては、経済学の側から入っていったんですが、選挙の仕事をやるようになってからは、日本選挙学会のwebサイトをのぞいたり、河野勝教授や谷口尚子先生に講演をお願いしたりする関係で論文を読んだりしましたが、政治学側のアプローチも面白いテーマがいっぱいありました。
 「自分は○○系だから~」と自らをカテゴライズすることには、立ち位置をはっきりさせるというメリットもありますが、本を読んだりする上では、できるだけ先入観を無くして広く読んだ方が得るものが大きいように思います。


■ どんな人にオススメ?

 ・選挙や社会的選択に関心のある人。


■ 関連しそうな本

 加藤 寛 (編) 『入門公共選択―政治の経済学』 2005年03月13日
 佐伯 胖 『きめ方の論理―社会的決定理論への招待』
 谷口 尚子 『現代日本の投票行動』
 佐々木 毅 『政治学講義』 2005年03月11日
 岡沢 憲芙 『政党』
 三宅 一郎 『投票行動』
 アビナッシュ・K. ディキシット(著), 北村 行伸 (翻訳) 『経済政策の政治経済学―取引費用政治学アプローチ』 2005年02月06日


■ 百夜百マンガ

翔丸【翔丸】

 「チキチキ、チキチキ・・・。」
 「翔丸組に入るんじゃ~!!!」
 「あんた、背中が煤けてるぜ・・・。」
 ・・・なんか違うのが混じってますね。(^^;
 『よしもとよしとも珠玉短編集』にも翔丸君が出てきます。

2005年4月14日 (木)

経営行動―経営組織における意思決定プロセスの研究

■ 書籍情報

経営行動―経営組織における意思決定プロセスの研究   【経営行動―経営組織における意思決定プロセスの研究】

  ハーバート・A. サイモン (著), 松田 武彦, 二村 敏子, 高柳 暁
  価格: ¥4,725 (税込)
  ダイヤモンド社(1989/02)

 本書は、60年前に書かれた組織論、意思決定論の古典中の古典です。経営学の教科書や、様々な文献で引用されているのを目にする機会は多いですが、実際に読むとなるとためらう人も多いのではないでしょうか。なにしろ厚さは国語辞典くらいあり(447ページ、「第三版への序文」だけで45ページもあります。)、背表紙からも独特の威圧感が出ています。
 「そんな古いものが役に立つの?」とお思いになる方もいらっしゃるかもしれませんが、本書は第3版(それでも30年前ですが)の訳であり、「サイモンの『経営行動』」が話題に出たときには、大体の人はこの3版辺りを読んでいるのではないかと思います。
 なお現在、原著は第4版が1997年に出版されているので、誰か訳してくれないでしょうか。1996年の第3版までが訳されている『システムの科学』も、大きく改訂されています。
 「訳者まえがき」には、「組織論研究者にとって、誰もが一度は通らなければならない関所」(研究者はきちんと原書を読め、という意味だと思いますが)という物々しい注意書きがありますが、一から全部読むのはやっぱり堪えると思います。例えばゲーム理論経由で「限定合理性」に関心があって本書にたどり着いたのであれば、「第5章 管理上の決定の心理」が中心になると思いますし、バーナード経由で来た人ならば、「第6章 組織の均衡」の辺りに関心が集まると思います。「古典だから」という理由でいきなり本書を1ページ目から読むのは苦痛だと思いますが、自分の関心事から遡って本書を読むのであれば、知的興奮の中で楽しく読むことができるのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 私が本書を入手したのは、4~5年ほど前でした(ブックオフで100円でした。ブックオフ恐るべし。)。ちょうど本書を読んだ直後くらいに、ある学会で筑波大学の古川教授にお会いする機会があり、「君知ってるか。ハーバート・サイモンが亡くなられたぞ。」というお話を聞き、偶然に感じて印象に残りました。
 本書は、電車の中で読むには肩のこる厚さではありますが、長い期間をかけて読んで行くだけの価値がある一冊だと思います。


■ どんな人にオススメ?

 ・ゲーム論経由で意思決定や限定合理性に関心を持った人。
 ・組織論研究者を目指す人。


■ 関連しそうな本

 Herbert A. Simon 『Administrative Behavior: A Study of Decision-Making Processes in Administrative Organizations』
 ハーバート・A. サイモン (著), 稲葉 元吉, 吉原 英樹 (翻訳) 『システムの科学』
 ハーバート・A. サイモン (著), 稲葉 元吉, 吉原 英樹 (翻訳) 『新版 システムの科学』
 C.I.バーナード (著), 山本 安次郎 (翻訳) 『新訳 経営者の役割』  2005年03月29日
 オリヴァー・E.ウィリアムソン 『市場と企業組織』


■ 百夜百マンガ

イオナ【イオナ】

 学園ものにとって、現実の時間の進行と作中の時間の進行のギャップは常に問題になりますが、いくつかのパターンがあります。
 一つには、『サザエさん』や『ドラえもん』のようにお構いなしに何サイクルも回してしまう方法があり、登場人物は歳をとらないまま季節の年中行事を楽しむことができます。
 もう一つは、『コータローまかりとおる』や『タッチ』、『ドカベン』のように作中の時間の流れを極端に遅くする方法です。特に高校野球ものでは、入学から卒業までの間で甲子園に行けるチャンスは限られていますので、季節行事のように甲子園を描くわけには行きません。後は『キャプテン』のように主人公をどんどん交代させる方法もあります。
 本作品の型破りなところは、後者のバリエーションですが「小学7年生」を作ってしまったことです。中学校に行ってもイオナがいた、という『奇面組』的な展開ではなく、あくまで小学校にこだわるところが異色です。

2005年4月13日 (水)

横浜市改革エンジン フル稼動 中田市政の戦略と発想

■ 書籍情報

横浜市改革エンジン フル稼動 中田市政の戦略と発想   【横浜市改革エンジン フル稼動 中田市政の戦略と発想】

  南 学, 上山 信一
  価格: ¥1,890 (税込)
  東洋経済新報社(2004/12/22)

 本書は、2002年の中田市長就任から始まった横浜市役所の改革に、当事者として携わった著者自身(参与である南氏)が、2年半の改革の成果と課題を振り返る内容となっています。
 中田市長は、それまで24年間続いてきた役人出身の市長とは明らかに異なる「政治家としての市長」というスタンスを取ることを強調しました。そして、1年でできない改革は4年経ってもできない、と言ってスタートダッシュに力を入れ、それまでの行革担当セクションである「総務局」の改革案づくりに「営業停止」を宣告し、新たに改革の事務局となる「エンジンルーム」を設置しました。これらのことから、中田市政というと、やり手の新市長がトップダウンで独裁的に改革を進めている、というイメージを持たれがちですが、本書は、中田市長のリーダーシップのスタイルがそのような意味での「トップダウン」ではないことを示しています。それは、中田市長が持っている「市長と職員の役割分担」の考え方にあります。
 中田市長は、最終的な政策判断をするのは市民からの信任を受けた市長の責任だが、そのためのオプション(選択肢)を用意するのは職員の責任、という役割分担の意識を持っていて、市長自身から「正解」を示すのではなく、徹底的に職員自身に考えさせるための問題提起をする役割に徹しています。ドラスティックに見える横浜市の改革の数々も、業務に精通している職員自身が徹底的に考え、議論したものであるからこそ、実効を挙げることができるのです。
 このような改革は、日本最大の市役所である横浜市役所だからできたことで、特別なもの、という見方があるかもしれませんが、日本最大の市役所が自ら変わることができるのであれば、日本が変わることができる、もしかしたら自分のところも市役所も変わるかもしれない、という期待を持たせてくれる一冊です。


■ 個人的な視点から

 中田市長は、総務局作成の行革案に対して営業停止を宣告したときに、「役人の限界」という言葉を使いましたが、この言葉がマスコミを通じて独り歩きして、「中田市長は市役所職員を見限った」というイメージが流布しました。しかし、横浜市の職員は2年後、「役人の限界」という言葉に対して「役人の底力」という言葉とともに無数の実行という形で回答をしました。それが2005年2月に開催された「ハマリバ収穫祭2004~役人の底力~」です。

 「ハマリバ収穫祭2004~役人の底力~」 

 これは、職員自身の手によって「ハマリバ=横浜リバイバルプラン」の成果、市役所の各現場で取り組まれた改革の「果実」を持ち寄って、発表しあおうというイベントです。このイベントの冒頭で市長は、「このタイトルを聞いて小躍りするほどうれしかった」とあいさつしています。役人が現場で底力を発揮し、一方で役人の力ではどうしようもない制度の壁は市長の責任で変えていく、この両輪が上手く機能することで改革を進めて行くという手法は、日産のカルロス・ゴーン氏の改革に通じるところがあると感じます。


■ どんな人にオススメ?

 ・自分の住んでいるところの市役所にも変わってほしいと思っている人。
 ・自分が勤めている役所を変えたいと思っている公務員。


■ 関連しそうな本

 山田 宏, 中田 宏, 長浜 博行 『ニュージーランド行革物語―国家を民営した国』 2005年03月04日
 北川 正恭 『生活者起点の「行政革命」』 2005年03月07日
 カルロス・ゴーン, フィリップ・リエス 『カルロス・ゴーン経営を語る』 2005年03月05日
 石井 幸孝, 上山 信一 『自治体DNA革命―日本型組織を超えて』


■ 百夜百マンガ

ヨコハマ買い出し紀行マ【ヨコハマ買い出し紀行】

 ということでヨコハマを舞台にした作品を紹介します。
 残念ながらこの作品中では水没してしまっていますが・・・(>_<)
 ハマリバでも地球温暖化防止の取り組みがいくつか取り上げられていましたのでちょうどいいかもしれません。

2005年4月12日 (火)

組織論

■ 書籍情報

組織論   【組織論】

  桑田 耕太郎, 田尾 雅夫
  価格: ¥2,205 (税込)
  有斐閣(1998/04)

 本書は、主に初学者を対象にした組織論のテキストです。「組織論」と一言で言ってもそのアプローチの方法は様々ですが、本書は著者の趣味が抑えられた客観的に造りになっていて、比較的バランスの取れたものになっていると思います。
 出だしの「第1部 組織論の基礎」では、バーナード、サイモンを中心に組織の定義や様々なアプローチのある組織論の枠組みについて解説しています。ここでは本書がはじめから企業組織のみを対象としているわけでなく、官公庁やNPOなどの非営利組織も同じ枠組みで捉えることが示されています。
 続く「第2部 環境に組み込まれた組織」では、取引コスト論などの組織と環境に関する様々なアプローチや組織有効性について、「第3部 組織構造のデザインと組織文化」では、官僚制やパーキンソンの法則、ラインとスタッフの役割、ジョブ・デザイン、組織文化について解説しています。これらはマクロ的な組織論と言うことができます。
 一方、第4~第5部は、ミクロ的な組織論の分野で、「組織行動論(OB)」の領域に入っていきます。「第4部 組織内プロセス」は、モチベーション、リーダーシップ、マネジャーの役割、コンフリクトなどについて、「第5部 組織のダイナミクス」では、長期的に見た組織のライフサイクル、組織学習や変革について解説しており、OBのダイジェスト版のような内容になっています。
 最後の「第6部 非営利組織」は、著者(田尾氏)の専門としている公的セクターとボランタリー組織について解説しています。
 本書はあくまでテキストであり、各章の内容をきちんと理解しようとするためには、組織行動論のテキストや専門書に当たる必要がありますが、各章末に参考文献が示されており、自分が関心を持ったパートについて、より深く読み進めることができるような構成になっています。値段的にも手頃ですので、組織論にちょっと関心がある、という方のガイドブックとしての1冊目には最適だと思います。


■ 個人的な視点から

 かく言う私も、5年前に本書を1冊目にして組織論に取り組み始めた一人です。今日改めて見直すと、当時は学説の概要と研究者名を教科書的に読んだだけだった各章が、こんなにコンパクトに適切な内容がまとまっている、ということに感激しました。各章末に紹介されていた、バーナード、サイモン、ウィリアムソン、シャイン、ミンツバーグ、野中らの経営学の大家の著書を、あるものは本書から直接、多くはいろいろな本の参考文献から巡り巡って読んできましたが、それらのルートは本書の中にきちんと示されていたことを再度確認することができました。最初にこの本から読み始めたから未だにその枠の中に収まっているからだ、という考え方もできますが、いろいろなテキストを巡った結果であることを考えると、本書が偏りの少ないオーソドックスな組織論のテキストであったからだと考える方が妥当ではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

 ・組織論を一から学んでみたいと考えている人。
 ・組織論全体を手軽に概観できるガイドブックを求めている人。


■ 関連しそうな本

 ステファン・P. ロビンス (著), 髙木 晴夫, 永井 裕久, 福沢 英弘, 横田 絵理, 渡辺 直登 (翻訳) 『組織行動のマネジメント―入門から実践へ』 2005年02月17日
 金井 寿宏, 高橋 潔 (著) 『組織行動の考え方―ひとを活かし組織力を高める9つのキーコンセプト』
 二村 敏子 (編集) 『現代ミクロ組織論―その発展と課題』 2005年03月26日
 田尾 雅夫 『組織の心理学』
 ポール・ミルグロム, ジョン・ロバーツ (著), 奥野 正寛, 伊藤 秀史, 今井 晴雄, 八木 甫(翻訳) 『組織の経済学』 2005年01月24日


■ 百夜百マンガ

鉄人ガンマ【鉄人ガンマ】

 スーパーで働く丸麻照男の「変身」を描いたこの作品。怒りが頂点に達すると白から赤に変わるのはレッドタイガーですが、丸麻照男は筋肉隆々の体をさらけ出します。
 しかし、この作品の一番の肝は、子供の頃の「あるある」ネタ、しかも少し常軌を逸した恥ずかしいネタが一番の笑いどころだと思います。

2005年4月11日 (月)

インディペンデント・コントラクター 社員でも起業でもない「第3の働き方」

■ 書籍情報

インディペンデント・コントラクター 社員でも起業でもない「第3の働き方」   【インディペンデント・コントラクター 社員でも起業でもない「第3の働き方」】

  秋山 進, 山田 久
  価格: ¥1,470 (税込)
  日本経済新聞社(2004/09/25)

 本書は、「インディペンデント・コントラクター(IC)」という「企業に雇われて社員になって仕事をするという関係ではなく、だからといって、会社を作って人を雇い、それを大きくしていくという働き方でもない」働き方・生き方について、ICである著者(秋山氏)本人が語っているものです。
 ICの3つの特徴として本文中で挙げられているのは以下の3点です。
(1)何を遂行するかについて自ら決定できる立場を確保している
(2)実質的に個人単位で、期間と業務内容を規定した、請負、コンサルティング、または顧問契約などを、複数の企業や各種団体と締結する
(3)高度な専門性、業務遂行能力を有している
 単なる概念的な提言書ではなく、著者(秋山氏)自身が、リクルートなどを経て1998年からICを名乗って仕事をし、NPOインディペンデント・コントラクター協会を立ち上げてきた経験を基にしているので、読みやすく、かつ実感のこもった内容になっています。


■ 個人的な視点から

 本書の価値を下げるようなものではないのですが、「コースの定理」としてロナルド・コースの1937年の論文「企業の本質」の内容が紹介され、「取引コスト」の解説がされているんですが、一般的に「コースの定理」と言った場合にはコースの1960年の論文である「社会的費用の問題」を指すのではないかと思います。
 テキストによれば、「コースの定理」とは、「当事者間で交渉に費用がかからなければ、どちらに法的な権利を配分しても、交渉は同じ資源配分の状況をもたらし、しかもそれは効率的になる」(井堀利宏『公共経済の理論』)とされており、元の論文では、製菓工場の公害(振動・騒音)に隣接する医師の診察室の例などが挙げられています。


■ どんな人にオススメ?

 ・雇われない、雇わない生き方に関心を持っている人。
・自分の専門能力を活かした働き方を模索している人。


■ 関連しそうな本

 ロナルド・H. コース (著), 宮沢 健一, 藤垣 芳文, 後藤 晃 (翻訳) 『企業・市場・法』
 井堀 利宏 『公共経済の理論』
 ダニエル ピンク (著), 池村 千秋 (翻訳), 玄田 有史 『フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか』 2005年02月02日
 青木 昌彦, 安藤 晴彦 『モジュール化―新しい産業アーキテクチャの本質』


■ 百夜百マンガ

スーパーヅガン【スーパーヅガン】

 麻雀マンガと言えば「あんた、背中が煤けてるぜ」の方が有名ですが、麻雀やりながら「タコ」とか「マッコー」とか「ツカンポ」とか「チャイ」とか言って楽しめるのはこっちの方でした。

2005年4月10日 (日)

地方分権改革の経済学―「三位一体」の改革から「四位一体」の改革へ

■ 書籍情報

地方分権改革の経済学―「三位一体」の改革から「四位一体」の改革へ   【地方分権改革の経済学―「三位一体」の改革から「四位一体」の改革へ】

  土居 丈朗 (編著)
  価格: ¥2,625 (税込)
  日本評論社(2004/03)

 本書は、地方税、国庫補助負担金、地方交付税の「三位一体改革」だけでは不十分で、これに地方債を加えた包括的な「四位一体」の改革でなければならない、ということを主張する政策提言の書です。本書は二部構成になっていて、第1部は、上記提言の本文です(第1部の扉の誤植「土井丈朗」はあんまりだと思いますが)。その項目は下記のとおりです。
・地方税:税源移譲ではなく課税権の実質的な移譲
・国庫補助負担金:使途特定の定率補助金の全廃
・地方交付税:現行の差額補填方式による配分の全廃
・国から地方への「交付金」:ナショナル・ミニマムに限定した財源保証に使途を特定した「交付金」の新設
・地方債:元利償還金の交付税措置の早期全廃、市場からの規律付け、破綻法制の構築
・地方出資団体(公社、3セク):経営実態の解明とアカウンタビリティによる規律付け
 第2部は、各共著者による論文集になっています。移行経済アプローチによる地方分権の分析や、税源移譲と地方債改革、地域特性による自治体合併分析、政策評価、地方公社改革などのテーマに関する論文が掲載されています。


■ 個人的な視点から

 個人的には、第1部の政策提言と第2部の論文集の関連が分かりにくいと思いますが、本書が元々、東京財団の「財政制度改革プロジェクト」の成果をまとめたものであるので仕方のない部分かもしれません。しかし、提言との直接の関連性とは別に、個々の論文に直接関心をお持ちの方は、そちらから読み始めてもかまわないと思います。
 本書の論文はどちらかというと各論から入るものになっていますので、地方財政全般の入門書的なアプローチで三位一体改革の解説を読んでみたい、という方は、編著者による『三位一体改革ここが問題だ』の方をお奨めします。


■ どんな人にオススメ?

 ・「三位一体改革」になんか納得いかないと思っている人。
 ・地方財政の各論部分に関心を持った人。


■ 関連しそうな本

 赤井 伸郎, 山下 耕治, 佐藤 主光 『地方交付税の経済学―理論・実証に基づく改革』 2005年01月27日
土居 丈朗 『三位一体改革ここが問題だ』
 井堀 利宏 『公共部門の業績評価―官と民の役割分担を考える』
 伊藤 秀史, 小佐野 広 『インセンティブ設計の経済学―契約理論の応用分析』 2005年02月26日


■ 百夜百マンガ

ドトウの笹口組【ドトウの笹口組】

 山ちゃんと親方の掛け合いがドリフのいかりや長介と加藤・志村の掛け合いを思い出させる作品です。荒井注がいたころは、主に加藤茶が怒られ役だった様子はCDからもうかがい知ることができます。

ドリフターズ/BIG ARTIST BEST COLLECTION【ドリフターズ/BIG ARTIST BEST COLLECTION】

2005年4月 9日 (土)

サイバーポリティクス―IT社会の政治学

■ 書籍情報

サイバーポリティクス―IT社会の政治学   【サイバーポリティクス―IT社会の政治学】

  岩崎 正洋 (編集)
  価格: ¥2,730 (税込)
  一芸社(2001/12)

 本書は、政治学の立場からIT革命を分析したものです。前半は、サイバースペースと政治に関する『International Political Science Review』誌での特集を翻訳した論文4本、後半は、『Cyberdemocracy』、『Digital Democracy』、『Cyberpower』など、ICT(Information and Communication Technology)と政治に関する先行研究書に関する解説で構成されています。
 国内の文献がまだ少ない中で、この分野に関する入門書として、どの本から読み進むのかというガイドブックに使うには有効だと思いますが、想定されるのは「政治学→サイバーポリティクス」という方向での利用が中ではないかと思われます。「情報系→サイバーポリティクス」と読み進むには、「民主主義」や「権力」、「政府」などの政治学系のキーワードが壁になるように思われますので、『政治学講義』などの政治学のテキスト(有斐閣アルマなどの簡単なものでもかまいません。)を辞書代わりに脇に並べて読むとスムースに読めるのではないでしょうか。


■ 個人的な視点から

 eエコノミーを理解する場合とも共通しますが、「IT」や「e」や「サイバー」という言葉が頭につくと、何かまるっきり新しいもの、今までの常識を全て否定するもの、という印象を受けてしまいがちです。もちろん、表層的な「常識」はいったんクリアにした目で見る必要がありますが、技術的に新規な部分に目を奪われてしまわないように、まずは原点であるヒトの立場に立ち返り、その間でどのように情報やモノ、カネが取引されるのか、というところから考え直すことが大切だと考えます。
 その上で、新しい技術によって節約されるコスト(・時間)は何か、何が可能になったのか、新たに必要となるコストは何か、失われるものは何か、ということを検証して行くことが、政治におけるIT革命、経済におけるIT革命を理解するうえで重要だと考えます。
 また、直感的な理解や他者へのプレゼンテーションに有効なのは、ヴァーチャルでない世界でのメタファーです。似たような業態や体制はないか、リアルな世界の業態とどこが違うのか、ということを考えると、自分の理解や他者への説明が非常にやりやすくなります。例えば、リアルの本屋とAmazonはどこが同じでどこが違うのか、古代の直接民主主義とサイバースペースの直接民主主義はどこが同じでどこが違うのか、という比較をすることで、ICTによって変わったものは何か、ということへの理解が深まるのではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

 ・政治の世界のIT革命を政治学から理解したい人。


■ 関連しそうな本

サイバーポリティクス―IT社会の政治学 Roza Tsagarousianou, Damian Tambini, Cathy Bryan 『Cyberdemocracy: Technology, Cities and Civic Networks』
 Barry N. Hague, Brian Loader, Barry Hague 『Digital Democracy: Discourse and Decision Making in the Information Age』
 Tim Jordan 『Cyberpower: The Culture and Politics of Cyberspace and the Internet』
 Carl Shapiro, Hal R. Varian  『Information Rules: A Strategic Guide to the Network Economy』
 エリック ブラインジョルフソン, ブライアン カヒン (編著), 室田 泰弘, 平崎 誠司 (翻訳) 『ディジタル・エコノミーを制する知恵』 2005年03月10日
 横江 公美 『Eポリティックス』 2005年02月11日
 ローレンス レッシグ (著), 山形 浩生 (翻訳), 柏木 亮二 (翻訳) 『CODE―インターネットの合法・違法・プライバシー』 2005年02月01日
 高瀬 淳一 『情報と政治』
 佐々木 毅 『政治学講義』 2005年03月11日
 加茂 利男, 石田 徹, 大西 仁, 伊藤 恭彦 (著) 『現代政治学 有斐閣マルマ』
 加藤 寛 (編) 『入門公共選択―政治の経済学』 2005年03月13日
 アビナッシュ・K. ディキシット(著), 北村 行伸 (翻訳) 『経済政策の政治経済学―取引費用政治学アプローチ』 2005年02月06日


■ 百夜百マンガ

火の玉ボーイ【火の玉ボーイ】

 RCサクセションやムーンライダーズが大好きな(というかタイトルそのまま)作者による学園ものです。作者の興味の向くままヨット乗ったりバンドやったりいろんなスポーツやるところは、少年サンデー版『コータローまかりとおる』といったところです。違いはきちんと作中人物も高校を卒業するところでしょうか。
 よしもとよしともとは似ても似つかぬ絵です。

2005年4月 8日 (金)

日本の財政システム―制度設計の構想

■ 書籍情報

日本の財政システム―制度設計の構想   【日本の財政システム―制度設計の構想】

  貝塚 啓明, 金本 良嗣 (編集)
  価格: ¥3,675 (税込)
  東京大学出版会 (1994/12)

 本書は、1993年に開催された「21世紀の財政システム」というコンファレンスにおいて報告された、当時第一線の研究者の論文を元に編集されたものです。そのため、単著のような統一性も教科書のような網羅性もありませんが、個々の研究者が自らの関心をコンパクトにまとめた見本市のような構成になっています。本書で気に入った論文があれば、同じ著者の別の論文や著書に読み進む、という使い方に適しているのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 私がこの本に関心を持ったのは、他の論文で引用されていた本書の第6章「日本の行政システム」(奥野(藤原)正寛)からです。このテーマに関しては、日本の行政の制度そのものに精通した研究者が行政学者を中心にいる一方で、経済学の研究者はより一般論化した研究が中心で、両者を結びつける研究領域は充実していませんでした。
 この論文は、行政学者である森田朗氏をコンファレンスにおける討論相手とし、経済学の研究成果によって現実の日本の行政システムを分析する野心的な試みであったと考えます。経済学というツールを使って現実の行政システムの分析を行う、という本論文のスタンスは、後の竹中平蔵大臣の誕生をはじめとする、経済学者が現実の行財政改革に積極的に関与する、という現在の潮流につながって来たものではないかと考えます。


■ どんな人にオススメ?

 ・経済学は現実の社会を変える役には立たないと思っている人。
 ・日本の財政システムを経済学の観点から理解したいと思っている人。


■ 関連しそうな本

 赤井 伸郎, 山下 耕治, 佐藤 主光 『地方交付税の経済学―理論・実証に基づく改革』 2005年01月27日
 アビナッシュ・K. ディキシット(著), 北村 行伸 (翻訳) 『経済政策の政治経済学―取引費用政治学アプローチ』 2005年02月06日
 青木 昌彦 (著), 永易 浩一 (翻訳) 『日本経済の制度分析―情報・インセンティブ・交渉ゲーム』 2005年04月01日
 井堀 利宏, 土居 丈朗 『日本政治の経済分析』
 土居 丈朗(編著) 『地方分権改革の経済学―「三位一体」の改革から「四位一体」の改革へ』
 武智 秀之 『行政過程の制度分析―戦後日本における福祉政策の展開』


■ 百夜百マンガ

寄席芸人伝【寄席芸人伝】

 『ダメおやじ』の方が有名ですが、隠れた名作というか泣ける話、芸の厳しさがたっぷり詰め込まれた本作品は、ぜひ大人に読んでほしいマンガの筆頭です。

2005年4月 7日 (木)

男性の育児休業―社員のニーズ、会社のメリット

■ 書籍情報

男性の育児休業―社員のニーズ、会社のメリット   【男性の育児休業―社員のニーズ、会社のメリット】

  佐藤 博樹, 武石 恵美子
  価格: ¥777 (税込)
  中央公論新社(2004/03)

 本書は、男性の育児休業取得について、現実の男女の仕事や家庭での役割分担のデータに立脚しながら、企業にとっても、職場にとっても、本人のキャリアにとってもプラスの効果があることを解説しています。
 印象に残ったのは以下の点でした。
・両立支援は従業員から高い勤労意欲を引き出すための労働条件、「新しい報酬」であること。
・ファミリー・フレンドリー施策には、性別による役割分業を固定化しかねない要素があり、女性の職場を「マミー・トラック」(母親が子育てしながら仕事を続けられる職場)に限定させてしまうことにもなるので、均等施策と同時に進める必要がある。
・男性の育児休業取得の動機の中には、長期の休業を取れるチャンスだからこれを機会にゆっくりしたい、というものも多いが、実際に育児休業に入ると「休業」生活には程遠いこと。
・男性の育児休業取得をきっかけにして、職場においても、情報共有など仕事のやり方を見直し、生産性を上げることができること。

 次世代育成支援のための施策が行政や企業から次々と打ち出される中で、単なる従業員サービスや出生率を上げるという観点だけではなく、企業や社会全体を新しい時代に対応した生産性の高いものにしていくという観点から、個々の施策を捉え直すとより有効性が高まるのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 1月に著者による「ワーク・ライフ・バランス(WLB)」セミナーに参加しました。賃金や労働時間だけでなく、就ける仕事や能力開発が大事な労働条件になっているので、企業の側にとっても取り組む価値があることや、新しい従業員像(就業ニーズ)に対応できる人事の制度・運用・働き方の再編の必要性についての話を聴き、WLBという言葉に関心を持ちました。それまでは、男女平等の観点から捉えた男性の育児休業の話を聞くことが多かったので、育児に限らない「仕事と生活のバランス」という視点は大変新鮮でした。

 さて、キャリアデザインを考えて行く上で、仕事の上でも脂の乗る時期は、育児という家庭生活においても最もエネルギーが必要な時期でもあります。この時期に、家庭を顧みずに仕事に打ち込む、という生活を送ることは、短期的には仕事上の能力を伸ばす上で有効な選択肢かもしれません。しかし、生活の全て、体力と時間の全てを振り向けるような仕事のやり方で身につけてきた能力を、40代50代になってもそのまま活かすことができるでしょうか。中長期的に見ると、年齢を経て、仕事上の責任が重くなり、家庭や地域での責任も重くなる中で、がむしゃらに体力と時間をつぎ込むような仕事のやり方を続けていたら、仕事か家庭のどちらかがパンクしてしまうのではないでしょうか。
 高橋伸夫の『できる社員は「やり過ごす」』は、ちょうど子育て時期と重なる「係長」(的な仕事)の時期に、能力に対して過剰な仕事、全部馬鹿正直にこなしていたらパンクしてしまうような量の仕事を与えられることによって、重要な仕事を取捨選択し他者に仕事を振る能力、つまり「やり過ごす」能力を身につけることができる、ということを述べています。育児休業を取得し、その後の育児にもコミットしながら仕事を続けて行くことは、この「やり過ごす」能力を仕事と生活の全般において身につけることにもなります。そのため、将来、より責任のある仕事、体力だけでは対応しきれないような仕事に就くための能力を身につけるという意味でも、育児へのコミットは重要な役割を持つことになります。自分一人で抱え込む以上の仕事をできるようになるためには、育児休業などをはじめとする育児へのコミットは、大変有効なきっかけを提供してくれるのです。


■ どんな人にオススメ?

 ・(子供の年齢にかかわらず)子育てをしているお父さん。
 ・育児以外にも仕事と生活のバランスを考え直したい人。


■ 関連しそうな本

 高橋 伸夫 『できる社員は「やり過ごす」―尻ぬぐい・やり過ごしの凄い働きを発見した』
 ダニエル ピンク (著), 池村 千秋 (翻訳), 玄田 有史 『フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか』 2005年02月02日
 秋山 進, 山田 久 『インディペンデント・コントラクター 社員でも起業でもない「第3の働き方」』
 日本経済新聞社 (編) 『働くということ』 2005年02月24日
 金井 壽宏 『働くひとのためのキャリア・デザイン』 2005年01月30日
 田尾 雅夫 『会社人間はどこへいく―逆風下の日本的経営のなかで』 2005年02月27日


■ 百夜百マンガ

よしえサンち【よしえサンち】

 上に関連して育児マンガです。
 元「実在OL」のよしえさん夫婦の親バカぶりは、自分に子供ができる前はバカにして読んでましたが、自分も人の親になると笑えません。
 妊娠、出産、育児をリアルタイムで書いているように感じられますが、本当は心配なので1年のタイムラグを置いていたそうです。

2005年4月 6日 (水)

日本の雇用システム―その普遍性と強み

■ 書籍情報

日本の雇用システム―その普遍性と強み   【日本の雇用システム―その普遍性と強み】

  小池 和男 (著)
  価格: ¥1,785 (税込)
  東洋経済新報社(1994/12)

 本書は、約10年前に出版された日本型雇用システムについての解説書で、同著者による定評ある学術書である『仕事の経済学』を一般向け啓蒙書として焼き直した感の強いものです。巻末の初出一覧を見ると分かるとおり、いくつかの雑誌や新聞に寄稿したものをまとめてあるので全編を通じた統一感は弱いものの、いくつもの切り口から著者の主張に触れることができます。
 著者の主張の特徴としては、
(1)技能の蓄積、特に企業特殊的技能の蓄積→「知的熟練」論
(2)社内での激しい個人競争
(3)資格制度、範囲給、定期昇給、査定の4つの制度間の補完性
(4)アメリカを含む他国との共通性
等があります。
 10年以上前の議論なので、現在見るとやや古さは否めませんが、近年の「成果主義」批判ブームとは異なった視点から日本型雇用システムを論じています。


■ 個人的な視点から

 「知的熟練」論に対しては批判もあるようですが、日本の雇用システムの経済的合理性を研究してきた第一人者である著者の主張には実感としてうなづける部分が多数あります。
 内部での出世競争を、ランク・オーダー・トーナメントとして理解することは『人事と組織の経済学』にも共通していますし、企業特殊的技能については人的資本論との関連で、年功的賃金制度についても技能形成と長期的なインセンティブとの関連で理解することができます。
 最近話題になった「成果主義」批判の書である『虚妄の成果主義』は、内発的動機づけの観点からの批判が中心でした。また、『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』では、「成果主義」運用の不公正さを問題にしていました。近年、企業特殊的技能の観点からの「成果主義」批判が盛り上がらない背景には、企業特殊的技能がマクロ的な環境変化によって失われやすいという性格を持っていることがあるのかもしれません。
 80年代の日本的経営賛美ブームの中にあった「知的熟練」論ですが、現在の視点から見ても学ぶべきところは多いように思います。


■ どんな人にオススメ?

 ・最近の「成果主義」批判ブームに関心を持っている人。
 ・役所の人事制度について理解したい公務員。


■ 関連しそうな本

 小池 和男  『仕事の経済学』
 青木 昌彦 (著), 永易 浩一 (翻訳) 『日本経済の制度分析―情報・インセンティブ・交渉ゲーム』 2005年04月01日
 高橋 伸夫 『虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ』 2005年03月30日
 城 繁幸 『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』
 エドワード・P. ラジアー (著), 樋口 美雄, 清家 篤 (翻訳) 『人事と組織の経済学』 2005年04月05日
 八代 尚宏 『日本的雇用慣行の経済学―労働市場の流動化と日本経済』 2005年03月23日
 稲継 裕昭 『日本の官僚人事システム』 2005年02月10日


■ 百夜百マンガ

クッキングパパ【クッキングパパ】

 個人的には、朝食と昼の弁当は作ってるんですが、荒岩主任は原チャリで帰って晩御飯まで作っちゃう。先月福岡に行きましたが、職住接近のコンパクトないい街でした。
 よく「仕事と家庭の両立」という言葉が使われますが、「両立」というと何か相反するもののような印象を与えます。「食事と睡眠の両立」という言葉を使わないことと同じように(もちろん、食事の時間を削ってでも眠りたい、というのはあるかもしれませんが・・・)、仕事と家庭は「両立」させるものではなく、互いに必要な補完的な関係にあるものだと思います。

2005年4月 5日 (火)

人事と組織の経済学

■ 書籍情報

人事と組織の経済学   【人事と組織の経済学】

  エドワード・P. ラジアー (著), 樋口 美雄, 清家 篤 (翻訳)
  価格: ¥4,725 (税込)
  日本経済新聞社(1998/09)

 本書は、経済学の視点から人事制度を分析し、それを分かりやすく解説しています。原題は『Personnel Economics for Managers』、つまり学術書ではなくマネジャー向けの解説書として書かれています(本書の前には同著者による『Personnel Economics』が出版されています。)。各章の頭には人事制度に対する様々な立場からの意見を収めたディスカッションが配され、大抵の人の意見は(大経済学者たちの名が冠された)ディスカッション参加者の誰かが代弁してくれているのではないかと思います。このような読みやすさの工夫の結果、厚さは約600ページにも及ぶ辞書並みの容貌を持ってしまいましたが、各章に重複する部分もありますので、自分の関心のある章から読んでいけば、30ページ程度に収まった各章を読むのにそれほど時間はかからないと思います。
 主な内容は、以下のようになっています。
・適任者の採用―――自己選択
・労働者の生産性を知る―――非対称的情報
・変動給与それとも固定給与?―――インセンティブ
・人的資本理論―――学校教育の経済効果
・離職、解雇および希望退職―――企業特殊的人的資本
・情報、シグナル及び引き抜き―――シグナリング仮説
・動機づけとしての昇進―――トーナメント
・年功型インセンティブ制度
・チーム―――インセンティブ、モニタリング、フリーライダー
・職務:課題と権限
・評価―――評価のルール、アップ・オア・アウト
 入社から退社までの各イベントを、人事に関する経済理論でそれぞれ解説していて、マネジャーだけでなく雇う側の考え方を知るという意味ではマネジャー以外の人にとっても大変役に立つものになっていると思います。


■ 個人的な視点から

 この本は最初に図書館で借りて、メモを取りながら最後まで通して読んだ後、自分で買い直しました。そんなわけで手元の本書は非常に美しい状態のままです。現在は必要な部分は一度テキストファイルのメモを検索し、さらに詳しく知りたい場合だけは本書を開くようにしています。こうすることで、本自体はきれいなままですが、マーカーと付箋がベタベタ貼ってある状態のように本書の内容についてのインデックス付けをしています。
 この方式のメリットは、フォルダ内のテキストを検索すると同じキーワードで何冊もの関連する本がヒットすることです。特に同じ著者の本が何冊もあるときには、記憶だけではどの本かを特定できないので有効です。
 この方法のデメリットは、非常に時間がかかることとコンピュータが必要になることです。普段はDoCoMoのシグマリオンを持ち歩いているのでやろうと思えば新幹線の中でもできますが、紙とペンの機動性にはかないません。県内在住の松山真之助さんは都内までの始発電車の中で「マインドマップ」を書きながら本を読み、毎日メルマガで紹介しています。この「百夜百冊」も松山さんの『早朝起業』を読んで真似して始めたものですが、過去に読んだ本を紹介しているので、毎日読んでアウトプットしている松山さん方式に比べるとサステイナブルでないことが難点です。
○解決策
1.在庫が尽きるまでやる。
2.ペースを落とす。
3.毎日1冊きちんと読む(ペースを上げる)。
 もっとも前向きな選択肢は「3」ですが、朝から晩まで読んでも1週間も2週間もかかるような本もあるのでバランスをとらないといけないですね。


■ どんな人にオススメ?

 ・人事を体系的に理解したいマネジャー。
 ・雇う側から自分がどう見えるのかを知りたい人。


■ 関連しそうな本

 樋口 美雄 『人事経済学』
 ポール・ミルグロム, ジョン・ロバーツ (著), 奥野 正寛, 伊藤 秀史, 今井 晴雄, 八木 甫(翻訳) 『組織の経済学』 2005年01月24日
 八代 尚宏 『日本的雇用慣行の経済学―労働市場の流動化と日本経済』 2005年03月23日
 稲継 裕昭 『日本の官僚人事システム』 2005年02月10日
 伊藤 秀史, 小佐野 広 『インセンティブ設計の経済学―契約理論の応用分析』 2005年02月26日


■ 百夜百マンガ

頭文字(イニシャル)D【頭文字(イニシャル)D】

 連載開始の時点(1995年)でも相当古い車だったAE86ですが、連載から10年経つともはや旧車どころでは済まないような・・・。
 学園ものでは必ず問題になる「作中と現実の時差」の問題ですが(『コータローまかりとおる』では作中で自ら突っ込んでました)、車のマンガでもそういうずれは生じるもんなんですね。

2005年4月 4日 (月)

ミクロ経済学 戦略的アプローチ

■ 書籍情報

ミクロ経済学 戦略的アプローチ   【ミクロ経済学 戦略的アプローチ】

  梶井 厚志 (著), 松井 彰彦 (著)
  価格: ¥2,415 (税込)
  日本評論社(2000/02)

 本書は、「主として2人の経済主体の間の取引ないし交流において発生する戦略的な関係を人間関係の基本」にした、ミクロ経済学の教科書です。「ミクロ経済学」と聞くと、微積分やグラフが出てきて「この曲線がシフトすると・・・」などといった大学時代の講義を思い出す方がいらっしゃるかもしれません。また、公務員試験を受けた経験のある方は、無味乾燥な暗記&計算の科目、というイメージを持っているかもしれません。しかし、本書は経済現象を2者間のゲームとその応用と捉えることによって、初学者には無味乾燥に見えハードルの高いミクロ経済学を、生々しく人間臭い物語として提示しています。なにしろ最初の登場人物はパン屋の夫婦、しかも夫婦間の家事分担なんて話をまじめに解説しています。
 本書は元々『経済セミナー』に連載されていたもので、学部学生向けに書かれていますが、高校生が読んでも理解できるような内容になっています(昔、「苺ちゃんねる」というBBSで経済学に興味がある、という高校生に皆で寄ってたかって本書を奨めてました。実際に読みやすかったようです。)。「昔、大学時代に単位はとったけど、もうこりごり」という社会人の方もぜひ書店で立ち読みしてみてください。なかなか他の教科書でラブストーリーは読めませんよ。


■ 個人的な視点から

 私自身を振り返ると、大学時代は法学部だったのでミクロというと公務員試験の勉強のために受験勉強用のテキストを買ってきて勉強した覚えしかありません。やっぱり「無味乾燥」という印象が強かったです。
 ミクロ経済学のテキストも最近(と言ってももう10数年ですが)はゲーム理論や情報の経済学にウエイトを置いたものが増えてきて、スティグリッツや中泉・鴇田の日本語で読めるものやMas-Colell他やKrepsなどの定番テキストでもゲーム理論に紙幅の多くを割いて解説しています。
 一見イロモノ系に見える本書ではありますが、ミクロ経済学の山に登る道は幾つもあることを示してくれます。


■ どんな人にオススメ?

 ・経済学に関心があるが、数式に拒否反応のある社会人
 ・将来経済学の勉強をしてみたいと思っている高校生


■ 関連しそうな本

 松井 彰彦 (著), スドウ ピウ (イラスト) 『市場(スーク)の中の女の子』 2005年01月29日
 梶井 厚志 『戦略的思考の技術―ゲーム理論を実践する』 2005年02月20日
 ジョセフ・E. スティグリッツ (著), 薮下 史郎, 金子 能宏, 清野 一治, 秋山 太郎, 木立 力 『スティグリッツ ミクロ経済学』
 中泉 真樹, 鴇田 忠彦 『ミクロ経済学理論と応用』
 Andreu Mas-Colell, Michael Dennis Whinston, Jerry R. Green 『Microeconomic Theory』
 David Kreps 『A Course in Microeconomic Theory』


■ 百夜百マンガ

ゲゲゲの鬼太郎【ゲゲゲの鬼太郎】

 何度もテレビアニメ化されているので、見たことのある人は広い世代にわたります。アニメの鬼太郎は正義と人間の味方ですが、墓場から生まれた鬼太郎は元々人間の味方でも何でもありません。ぜひ原作も読んでみてください。目玉オヤジがなんで目玉だけになったのかも分かりますよ。

2005年4月 3日 (日)

組織の経営学―戦略と意思決定を支える

■ 書籍情報

組織の経営学―戦略と意思決定を支える   【組織の経営学―戦略と意思決定を支える】

  リチャード・L. ダフト (著), 高木 晴夫 (翻訳)
  価格: ¥3,360 (税込)
  ダイヤモンド社(2002/11)

 本書は、米国のビジネススクールの定番テキストを慶応ビジネススクールで使用するために翻訳したものです。テキストの構成としては、10章に分かれており、各章末には討論課題が用意されています。各章の本文には、様々な企業のケースを中心に、それを補強する形で学説が紹介されていますが、あくまで討論のためのオリエンテーションとして位置づけられているように感じます。テキストとしては非常に機能的に書かれているのではないでしょうか。
 本書においては、様々な章で不確実な環境への対応が繰り返しテーマとして登場します。それが「分化と統合」と「有機的構造と機械的構造」という2軸で解説されています。
 「分化」とは、「異なる機能部門のマネジャー間にある認識及び感情の志向の違いであり、これら部門間の公式構造の違い」を意味し、分化が進んだ各事業部門間の調整を行う業務が「統合」です。研究によれば、組織は分化と統合のレベルが環境の不確実性と合致しているとき、より良い成果を上げられる、とされています。
 組織の「有機的構造と機械的構造」とは、組織構造の公式性の度合いと従業員に対する統制の程度を表しており、
・外部環境が安定→明白な階層構造を持つ公式手続きの整った「機械的マネジメント構造」
・外部環境が不安定→権限の階層構造は明確でなく、意思決定権限が分散化された「有機的マネジメント構造」
が適しているとされています。


■ 個人的な視点から

 本書は、組織論のテキストとしての完成度は高く、講義で使いやすいのではないかと思います。きちんと予習をしてくる前提であれば、10週かけてゼミで討論するという使い方に使えそうです。
 しかし、個人で本書を読む場合、関心を持ったテーマをさらに掘り下げるためのハードルが高く設定されていることが本書の難点です。巻末に詳細な参考文献が記載されていますが、専門誌(英語のジャーナル)の論文がほとんどのため、多くの人はここで壁に当たってしまうのではないかと思います。多くのテキストにあるように、各章ごとの文献ガイドが充実していると、個人としてはより使いやすくなるのではないかと思います。日本国内の読者向けに、「訳者あとがき」の形で文献ガイドを掲載していただけるとありがたいです。


■ どんな人にオススメ?

 ・パッケージ化された組織論のテキストを探している人。


■ 関連しそうな本

 ステファン・P. ロビンス (著), 髙木 晴夫, 永井 裕久, 福沢 英弘, 横田 絵理, 渡辺 直登 (翻訳) 『組織行動のマネジメント―入門から実践へ』 2005年02月17日
 ポール・ミルグロム, ジョン・ロバーツ (著), 奥野 正寛, 伊藤 秀史, 今井 晴雄, 八木 甫(翻訳) 『組織の経済学』 2005年01月24日
 C.I.バーナード (著), 山本 安次郎 (翻訳) 『新訳 経営者の役割』 2005年03月29日
 ハーバート・A. サイモン (著), 松田 武彦, 二村 敏子, 高柳 暁 (翻訳) 『経営行動―経営組織における意思決定プロセスの研究』


■ 百夜百マンガ

さすがの猿飛【さすがの猿飛】

 テレビアニメ化もされて『GUGUガンモ』と同じくらい認知度の高い作品ですが、連載されていたのは少年サンデーの増刊(月刊誌)の方。
 「大喰らいの忍者」と言えば、『伊賀野カバ丸』と同じですが、体型がだいぶ違いますね。
(カバ丸の二世ものがやってるのを初めて知りました・・・。キン肉マンといい、集英社は小学生のときにつかんだ読者を一生放さないですね。)

「ジャンプの続編漫画リスト」

2005年4月 2日 (土)

知事が日本を変える

■ 書籍情報

知事が日本を変える   【知事が日本を変える】

  浅野 史郎, 北川 正恭, 橋本 大二郎
  価格: ¥693 (税込)
  文芸春秋(2002/04)

 本書は、日本を代表する3人の「改革派知事」(出版当時)による討論集です。
 知事になった動機、情報公開の重要性、職員の意識改革、市町村や霞が関との関係、そして選挙と様々なテーマについて語り合っていますが、もっともウエイトが置かれているのは徹底した情報公開です。北川前三重県知事は、しぶしぶ出す「情報公開」から、積極的な「情報提供」、そして「情報共有」、「情報共鳴」を目指す、ということを別の著書や講演で語っていますし、浅野知事といえば県警との情報公開でのバトルが注目されています。橋本知事も積極的な情報公開を行っていて、情報公開こそが改革のエネルギー源であることが伝わってきます。


■ 個人的な視点から

 昨日から新年度です(ということで花見に行って今日は寝坊したのですが。)。昨年度を振り返ると、全国の知事さんや市長さんとお会いしたり講演を聴く機会がありました。
 本書の著者の中では、浅野知事と一緒に席を囲む機会がありました。非常にエネルギッシュで語尾をきちんと言い切る方という印象を受けました。
 また、現在、早稲田の公共経営大学院で後進の育成に携わられている北川前知事とは、いろいろと講演をお聞きすることはありましたが、残念ながら直接お会いする機会には恵まれませんでした。私の隣の人と話をしているときに割り込めず、ということは2度ほどあったのですが。
 橋本知事とはお会いしたことがありませんが、来月、高知でお話を伺ってくる予定です。名刺交換くらいはできるんじゃないかと期待しています。
 やはり、改革を進めている方とお会いしたり、直接お話を聞くことは大切です。改革者に共通していることは、非常に人を引き込むことができること、そして人を活性化・エネルギーづけてくれることです。直接会うことは大変かもしれませんが、注意して情報を集めればいろいろな講演やシンポジウムの場でお話を聴くことができます。後で活字になるものも多いですが、ぜひ直接お話を聞く機会を増やすことが大切だと思います。


■ どんな人にオススメ?
 ・日本を変えたいと思っている人。
 ・「自分の所のトップもこういう人だったら」と思っている他力本願の人にはあまりお奨めしません。本書からのメッセージは、まず自分が行動することの大切さです。


■ 関連しそうな本

 北川 正恭 『生活者起点の「行政革命」』 2005年03月07日
 村尾 信尚 『役所は変わる。もしあなたが望むなら』 2005年03月18日
 金井 寿宏 『リーダーシップ入門』 2005年03月31日
 カルロス・ゴーン, フィリップ・リエス 『カルロス・ゴーン経営を語る』 2005年03月05日
 ジョン・P. コッター (著), 梅津 祐良 (翻訳) 『企業変革力』 2005年02月19日


■ 百夜百マンガ

ゴン【ゴン】

 本作品は世界に通用するマンガです。なにしろ台詞がありません。恐竜ですからしゃべれないのかもしれませんが、効果音もありません。それでもキッチリと書き込まれた一コマ一コマからは豊かな音が聞こえ、活き活きとした動きが伝わります。

2005年4月 1日 (金)

日本経済の制度分析―情報・インセンティブ・交渉ゲーム

■ 書籍情報

日本経済の制度分析―情報・インセンティブ・交渉ゲーム   【日本経済の制度分析―情報・インセンティブ・交渉ゲーム】

  青木 昌彦 (著), 永易 浩一 (翻訳)
  価格: ¥3,990 (税込)
  筑摩書房(1992/10)

 本書は、日本型企業のモデルとしての「J企業」とアメリカ型企業のモデルとしての「A企業」とを比較することによって、どちらが一方的に優位性を持っているということではなく、企業を取り巻く様々な制度や環境、例えば労働市場や資本市場、政府、との間の関係によって、その優位性が規定されることを示しています。また、J型・A型の企業内部における様々な制度についても、外部の制度・環境だけでなく、内部の制度同士が互いに補完しあうことで効果を発揮するという「制度的補完性(institutional complementarity)」についても明示的な形では出てこない(と思う。読書メモを検索してもヒットしなかったです。)ですが、日本企業の雇用制度の経済的合理性の部分で示されています。
 後半では、著者の分析は企業の枠を超え、日本経済を「官僚制多元主義(bureaupluralism)」として、各省庁の縦割りの中での「仕切られた競争」について分析しています。


■ 個人的な視点から

 名著だと思うんですが、筑摩書房は絶版にしちゃったんですかね?
 Amazonのマーケットプレイスの値段は、¥5,000、¥6,300、¥7,980・・・って倍の値段で売ってるのか!!!
 クロネコだと普通に売ってるのにプレミアがつくっていうのもおかしいですね。データベースの関係で注文した後でお断りが来る場合もあるかもしれませんが。
 大きな図書館には必ずありますし、必ずしも本書にこだわる必要はなく、『比較制度分析に向けて』や『経済システムの比較制度分析』を読めば十分だと思います。


■ どんな人にオススメ?
 ・「失われた10年」を見る視点がほしい人。
 ・役所の縦割り社会の原因を探りたい人。


■ 関連しそうな本

 青木 昌彦 (著), 滝沢 弘和, 谷口 和弘 (翻訳) 『比較制度分析に向けて』
 青木 昌彦, 奥野 正寛 『経済システムの比較制度分析』
 ポール・ミルグロム, ジョン・ロバーツ (著), 奥野 正寛, 伊藤 秀史, 今井 晴雄, 八木 甫(翻訳) 『組織の経済学』 2005年01月24日
 エドワード・P. ラジアー (著), 樋口 美雄, 清家 篤 (翻訳) 『人事と組織の経済学』
 今井 賢一, 伊丹敬之, 小池和男 『内部組織の経済学』
 オリヴァー・E.ウィリアムソン 『市場と企業組織』
 ロナルド・H. コース (著), 宮沢 健一, 藤垣 芳文, 後藤 晃 (翻訳) 『企業・市場・法』


■ 百夜百マンガ

MMRマガジンミステリー調査班【MMRマガジンミステリー調査班】

 1990年代初頭、全国の少年少女を恐怖のズンドコに陥れ、「どうせ1999年になれば恐怖の大王が来るんだから」と言って非行や犯罪などの刹那的な行動に走らせた悪の張本人です。
 なお、主人公(?)のキバヤシは天樹征丸や青樹佑夜のペンネームで活躍されているそうです。
「キバヤシ」
でも本当の主人公はグレイですね。


MMRマガジンミステリー調査班

« 2005年3月 | トップページ | 2005年5月 »

2016年12月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

最近のトラックバック

無料ブログはココログ