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2005年7月

2005年7月31日 (日)

クリック―佐藤雅彦 超・短編集

■ 書籍情報

クリック―佐藤雅彦 超・短編集   【クリック―佐藤雅彦 超・短編集】

  佐藤 雅彦
  価格: ¥1,365 (税込)
  講談社(1998/03)

 本書は、電通のCMクリエイターとして一時代を築き、現在は慶應大学SFCの教授として教鞭をとっている(どんな授業かぜひ一度聞いてみたい)著者による、短編集というか短文集というか、場合によっては本文が無い場合(手形とか)すらある「超・短編集」です。
 タイトルの「クリック」は、コンピュータのマウスをカチッとするときなどを表しますが、本書の冒頭に、「そのとき、頭の中でカチッ(click)という音がする。」と書かれているように、著者がひらめいたときの音をタイトルにしています(従って、著者が一休さんの場合はタイトルは「チーン」になっていたと考えられます。鼻をかんでいるようで売れなさそうです。)。
 本書に63個収められた「クリック」の中には、読者の頭の中にカチッという音を立てさせるものもあれば、そうでないもの(センスの違いということになりますか)もありますが、下手な「頭の体操」系のクイズ本よりも遥かにあなたの頭をカチカチと「クリック」することは間違いありません。


■ 個人的な視点から

 ある時期、何だかとってもブームになった「だんご3兄弟」の原作(原案)も本書に収められています。それが、だんごの長男はの位置は串の一番上か一番下か、を論じた「団子レポート」と「だんご3兄弟」です。隣り合ったエピソードなのに漢字表記と平仮名表記になっているのは、「団子」が報告書風の堅い文章で、「だんご」が擬人化された文章だからかもしれません。あれほど見慣れた団子たちが、串に刺さるのを痛がっているのを見るのは何だかショックです。カチッ。
 「『だんご3兄弟』の生みの親が語る『だんご3兄弟』はこうして生まれた」によりますと、本書を読んだ「おかあさんといっしょ」(通称「おかいつ」)のディレクターが著者に声をかけてあのヒット曲が生まれたそうです。
 結論としては、CDジャケットを見ると、だんごの長男は一番上に刺さっています。つまり、弟たちを守るために一番最初に食べられる決死の覚悟で長男は死と隣り合わせの最前線でがんばっているということです。皆さんも団子を食べる機会がありましたら、弟たちをかばう長男の覚悟に思いを馳せながらパクついてください。


■ どんな人にオススメ?

・頭の中をカチカチとダブルクリックしたい人。


■ 関連しそうな本

 佐藤 雅彦 『佐藤雅彦全仕事』 | 2005年05月07日
 佐藤 雅彦, 竹中 平蔵 『経済ってそういうことだったのか会議』 2005年06月26日
 慶応義塾大学佐藤雅彦研究室, 佐藤 雅彦 『日本のスイッチ』
 佐藤 雅彦, 内野 真澄 『だんご3兄弟 あっという間劇場』


■ 百夜百音

NHKおかあさんといっしょ~いっしょにうたおう大全集40+カラオケ10【NHKおかあさんといっしょ~いっしょにうたおう大全集40+カラオケ10】 速水けんたろう オリジナル盤発売: 1999

 娘のお気に入りのCDです。ただし、お気に入りの曲は「だんご3兄弟」ではなく、「公園にいきましょう」「バナナのおやこ」「ゴリラのおんがくかい」「ハミガキじょうずかな」などの2枚目が中心で、1枚目で良く歌うのはは「パンダ うさぎ コアラ」「どんな色がすき」くらいです。お気に入り過ぎて傷だらけなのが心配なところです。
 茂森さんが出演しているマツケンサンバで有名な「ゆうがたクインテット」も楽しいのですが、CDが見当たらなかったので似たような番組のにしときます。


『ハッチポッチステーション~What's Entertainment?~』ハッチポッチステーション~What's Entertainment?~

2005年7月30日 (土)

名将に学ぶ人間学―人生は、この頭の働きと器量しだい!

■ 書籍情報

名将に学ぶ人間学―人生は、この頭の働きと器量しだい!   【名将に学ぶ人間学―人生は、この頭の働きと器量しだい!】

  童門 冬二
  価格: ¥1,130 (税込)
  三笠書房(1995/12)

 本書は、『小説 上杉鷹山』で知られる作家である著者が、歴史上の人物・出来事を現代の組織・人間管理の目で解釈し直すという自身の持ち味を活かして、戦国武将や幕臣たちの行動・逸話から現代社会に生きる我々に有益な人間学を読み解いているものです。
 戦国の乱世にあってこそ、なお活きてくる人の心の機微に対する細やかな心遣いや、幕藩体制という巨大なサラリーマン社会を生きる名将たちの人たらしな手練手管など、現代社会に生きる者としても思わずうなづかずにはいられない様々な教訓が込められています。
 「歴史小説なんてオヤジが通勤電車の中で読むもの」という抵抗感がある人(というか私がそうでした)でも、一つ一つのエピソードが短く、また現代のサラリーマン社会(著者が現役だった高度成長期テイスト溢れるものですが)に読み替えながら書かれているので、気軽に読むことができます。うっとうしそうな時代劇だと思っていたら、植木等の一連のサラリーマン映画や『釣りバカ日誌』のようなビジュアルが浮かんできそうです。


■ 個人的な視点から

 著者は、元は東京都の職員をされながら小説を出版しているという二足の草鞋を履いていることで、現役時代から有名だったそうです。当時部下だったという方のお話によると、小説家という顔を持っているということにとどまらず、職員として、そして上司としても大変傑出した方だったそうです。仕事の中で培った人間観察眼が小説に深みを与え(というよりこの人の場合はそれが売りだったわけで)、一方、歴史を見る目が仕事上の人間管理に好影響を与える、というような相乗効果があったのではないかと推測されます。
 3年前に行政経営フォーラムの例会にお招きし、「リーダーシップの本質」と題したご講演をいただきました。さすがに人の心の機微に通じた方だけあって、どっと笑わせるところ、ぐっと引き込むところのメリハリの利いた講演はすばらしかったです。


■ どんな人にオススメ?

・「歴史小説はどうも苦手」という人。


■ 関連しそうな本

 童門 冬二 『小説 上杉鷹山』
 童門 冬二 『上杉鷹山の経営学―危機を乗り切るリーダーの条件』
 童門 冬二 『渋沢栄一 人生意気に感ず "士魂商才"を貫いた明治経済界の巨人』


■ 百夜百音

BLUE HEARTS【BLUE HEARTS】 (試聴あり) THE BLUE HEARTS オリジナル盤発売: 1987

 高校生のときにめちゃくちゃ流行りました。当時のバンドブームの中で一番コピーしやすかったというのもあるかも。「あんなの歌謡フォークだ」ってバカにして言う人もいますが、カテゴリーにこだわる人たちはレーベルしか読まないで音は聴いていないんじゃないかと。そういう人たちが蔓延っているのは音楽に限った話ではないのですが。
 そういえば、同じころ流行っていたジュンスカってありましたけど、こっちは「なんだかな~?」って感じでした。

『WALK TOWARDS THE FUTURE~JUN SKY WALKER(S) BEST~』WALK TOWARDS THE FUTURE~JUN SKY WALKER(S) BEST~

2005年7月29日 (金)

まちづくりの実践

■ 書籍情報

まちづくりの実践   【まちづくりの実践】

  田村 明
  価格: ¥735 (税込)
  岩波書店(1999/05)

 本書は、平仮名の「まちづくり」という言葉の定着に大きな意味を持った、同著者による前著『まちづくりの発想』の続編として位置づけられ、多くの実例を挙げることによって「まちづくり」の実際をイメージしやすくすることを目的に、前著のフォローアップとして書かれたものです。
 内容的には、一部前著と重複する部分もありますが、「まちづくり」という考え方を紹介することを中心に書かれていた前著に対して、実例が中心になり、実際にまちづくりに取り組んでいる人や、これからまちづくりに取り組みたいと思っている人にとっては、本書の方がより伝わりやすいのではないかと著者は述べています。
 構成としては、なぜ「町づくり」や「街づくり」ではなく平仮名の「まちづくり」なのか、「マチ」とは何か、などといった基礎知識的な解説部分を最低限度に抑え、とにかく日本中のまちづくりの実践事例を、それに取り組むキーパーソンの実名入りで、ドンドン紹介しています。
 本書で取り上げている事例には、他にも色々なところで取り上げられている超有名な事例もあれば、今となってはすっかり忘れされられてしまったようなマイナーな事例もありますが、これからまちづくりに取り組みたいと思っている人にとっては、優れた道標になる「まちづくり事例集」ではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 一昨日紹介した『都市ヨコハマをつくる―実践的まちづくり手法』が面白かったので、昨夕ブックオフで本書を買い求め、一気に読んでしまいました。本来ならば、1987年に出版された前著『まちづくりの発想』を先に読んでから本書を読む、というのが「理論編→事例編」という順序なのかもしれませんが、事例中心の本書の方がとっつきやすいので、本書を先に読んだことは結果的には良かったかもしれません。
 本書では、日本中の様々なまちづくりに取り組まれているキーパーソンが紹介され、さながら田村人脈のショーケース的な趣もありますが、本書から伝わってくる「まず、動いてみること」の大切さというメッセージをそのまま受ければ、著者である田村氏にぜひ会ってみたくなり、また、自分がやりたいことと同じようなテーマや取り組み方をしているキーパーソンにぜひ連絡をとって現場を見ながらお話をしたくなってしまいます。


■ どんな人にオススメ?

・現に「まちづくり」に取り組んでいる人。
・これから「まちづくり」に取り組んでみたいと思っている人。


■ 関連しそうな本

 田村 明 『まちづくりの発想』
 田村 明 『現代都市読本』
 田村 明 『都市ヨコハマをつくる―実践的まちづくり手法』 2005年07月27日
 木佐 茂男, 逢坂 誠二 (編集) 『わたしたちのまちの憲法―ニセコ町の挑戦』 2005年03月25日


■ 百夜百マンガ

ツヨシしっかり2しなさい【ツヨシしっかり2しなさい 】

 パワフルな母さんや姉さんに「ヤクタタズ」扱いされている大変地味な主人公が、実は影では何でもテキパキこなしちゃうスーパーマン。家庭版「山口六平太」みたいなこの作品は、TVアニメ化もされた『ツヨシしっかりしなさい』の続編です。でもどこが面白いのかよく分からない・・・。

2005年7月28日 (木)

トヨタ式最強の経営―なぜトヨタは変わり続けるのか

■ 書籍情報

トヨタ式最強の経営―なぜトヨタは変わり続けるのか   【トヨタ式最強の経営―なぜトヨタは変わり続けるのか】

  柴田 昌治, 金田 秀治
  価格: ¥1,470 (税込)
  日本経済新聞社(2001/06)

 本書は、「最強」と呼ばれるトヨタ自動車の強さの秘密、変わり続けることができる秘密を、企業変革のプロフェッショナルである著者らが、議論を重ね、掘り下げていったものです。著者の一人である金田氏は、トヨタのグループ企業にあって長年、生産管理に携わり、生産システム構築に関する幅広い経験と深い造詣をコンサルティングに活かされている方で、本書においては、トヨタ方式がなぜ他社には簡単に真似できないものになっているのかを、長年の経験を元に解きほぐしています。また、もう一人の著者である柴田氏は、企業風土や体質を革新するプロセス・デザインの第一人者として、オフサイトミーティング手法などを使用したコンサルティングをされています。
 「トヨタ方式」と言えば、「かんばん」に代表され、「乾いた雑巾をさらに絞る」と喩えられる徹底的に無駄を省いたローコスト生産が知られています。これだけの説明だと、何やらガチガチに管理された下でロボットのように働く社員の姿が目に浮かびますが、トヨタの強さの秘密は、このシステムを社員一人ひとりの手によって作り出しているところにあります。
 「枠にはめらられた金太郎飴」ではなく「基軸をしっかりと持った金太郎飴」という組織の強さや、管理者の仕事は「明日の準備」をすること等、トヨタ方式そのものではなく、トヨタの強さを支える組織の強さを余すところ無く伝えようというのが本書の特徴です。


■ 個人的な視点から

 レクサスブランドの日本逆上陸で今週ビジネスシーンを盛り上げているトヨタ自動車ですが、本書を入手するきっかけになったのは、柴田氏が社長を務める(株)スコラ・コンサルトの元吉氏のお話で、「トヨタの強さの秘密は、『今日のための仕事』はピラミッド型組織でがっちりきっちり強さを発揮する一方で、『明日のための仕事』を横割りの組織として行っているところだ。」というようなことを聴いたからです。
 もう25年近く前になりますが、実家の父の本棚に「かんばん方式」の解説書がありました。それを見て「何で自動車の会社なのに『かんばん』なの?」と質問した記憶がありますが、四半世紀の間、強さを発揮し続ける秘密は、生産方式そのものではなく、組織や人間の方にあるということでしょうか。


■ どんな人にオススメ?

・「トヨタは凄い」と感じている人。


■ 関連しそうな本

 柴田 昌治 『なぜ会社は変われないのか―危機突破の風土改革ドラマ』
 ジョン・P. コッター (著), 梅津 祐良 (翻訳) 『企業変革力』 2005年02月19日
 ジョン・P・コッター, ダン・S・コーエン (著), 高遠 裕子 (翻訳) 『ジョン・コッターの企業変革ノート』
 中尾 英司 『あきらめの壁をぶち破った人々―日本発チェンジマネジメントの実際』
 日本経済新聞社 (編集) 『俺たちはこうしてクルマをつくってきた―証言・自動車の世紀』 2005年07月05日


■ 百夜百マンガ

うしおととら【うしおととら 】

 少年サンデーで連載されていた人気作品です。連載になる前に読み切りで一度掲載された気がするのですが、そのときは「うしおとら」というタイトルだったように覚えてしまっていて、「うしおととら」と「うしおとら」がごっちゃになって、いつもタイトルを見るたびにクラクラした感覚に襲われます。

2005年7月27日 (水)

都市ヨコハマをつくる―実践的まちづくり手法

■ 書籍情報

都市ヨコハマをつくる―実践的まちづくり手法   【都市ヨコハマをつくる―実践的まちづくり手法】

  田村 明
  価格: ¥756 (税込)
  中央公論新社(1983/01)

 本書は、「まちづくり」のカリスマと呼ばれている都市プランナー、法政大学名誉教授の著者が、横浜市役所に乗り込んで企画調整局を新設し、ヨコハマを新しい都市として作り上げていった手法を紹介しているものです。
 紹介されている事業や手法は多岐にわたり、またどれも困難なものばかり。高速道路の開通と都市公園づくりを両立させた「1章 高速道路の地下化と大通公園」などは、それだけで1冊の本になるくらいの事業ボリュームと多方面との困難な折衝、技術的課題を抱えています。
 また、「六大事業」(1.都市部強化事業、2.金沢地先埋立事業、3.港北ニュータウン建設事業、4.高速道路網建設事業、5.高速鉄道(地下鉄)建設事業、6.ベイブリッジ建設事業)は、それぞれにリンクしているとは言え、どれをとっても政治家の公約のトップに来るような大事業で、これらを平行して進めていくパワーには脱帽するばかりです。
 そして、当時の多くの自治体職員の憧れを集め、「まちづくり」の世界に引きずり込んだ土地利用の調整と宅地開発要綱、アーバンデザイン、市民参加などの手法が紹介され、以下にこの当時、権力や金ではなく、知性と情熱と交渉によって著者が「ヨコハマ」という都市をつくり上げてきたか、ということが伝わります。
 「まちづくり」に特に関心を持っていない若い人にもぜひ読んでもらいたい1冊です。


■ 個人的な視点から

 著者の田村氏は、2年前に氏が主宰されている「現代まちづくり塾」(http://www.npo-tma.com/invite/juku_info.html)にご一緒させていただく機会があり、研究会とその後の懇親会でお話をさせていただいたことがあります。70代後半とはとても思えないほどの、力に溢れる話し振りが大変印象に残っています。
 著者が横浜市役所に在籍していたのは、1968年から1981年までの13年間ですが、この13年間の「まちづくり」の栄光が、良い意味でも悪い意味でも遺産として現在の横浜市に受け継がれてきた、ということを感じます。
 良い意味の遺産の代表としては、ハード面のインフラももちろんですが、ソフト面のインフラとして、まちづくりに意欲のある優れた人材が横浜市役所に集まったことと当時の成功体験が横浜市民に共有されたことです。現在の中田市長の改革を支えている課長級以上の世代には著者が活躍した「飛鳥田市政」に憧れて市役所に入ったという人がたくさんいます。また、学校開放などで培った市民参加の風土は、現在のG30などのインフラになっていると思われます。
 逆に、負の遺産としては、飛鳥田時代のまちづくりの成功体験が、その後のイケイケドンドンの支出拡大につながったのではないかということです。著者は、カネは無くても知恵と情熱と交渉で、次々と大事業を成し遂げてきましたが、その後の人口増や好景気を背景に、何でもできるようになり、カネを使うことに対してのチェックが甘くなったのではないかと思います。
 現在、中田市長の改革が脚光を浴びていますが、中田改革を理解する上で重要なキーとなる、この時代について調べたい気持ちになりました。


■ どんな人にオススメ?

・中田改革に関心のある人


■ 関連しそうな本

 田村 明 『まちづくりの実践』
 田村 明 『まちづくりの発想』
 田村 明 『現代都市読本』
 南 学, 上山 信一 『横浜市改革エンジン フル稼動 中田市政の戦略と発想』 2005年04月13日


■ 百夜百マンガ

編集王【編集王 】

 「あしたのジョー」への夢を断たれた男が、漫画業界になぜか潜り込んでしまう、ある意味楽屋落ち的な内容ながら泣かせる作品になっています。個人的に泣けてくるのは「老害」扱いされた過去の偉大なマンガ家「マンボ好塚」編です。

2005年7月26日 (火)

「行政」を変える!

■ 書籍情報

「行政」を変える!   【「行政」を変える!】

  村尾 信尚
  価格: ¥735 (税込)
  講談社(2004/08/10)

 本書は、北川正恭前三重県知事の下で、総務部長として三重県政改革に大鉈を振るった元大蔵官僚である著者自身が、自らの経験を元に「行政を変える」とはどのようなことか、を語ったものです。
 構成は、ほぼ時系列に沿っていて、ヨット部でもやるつもりで気楽に赴任した三重県庁での北川知事との出会いから、ニュージーランドの改革の視察で受けた刺激までを描いた「第1章 岐れ路 三重県大改革のスタート」。枕元にバットを置いておかないと心配なほどの脅迫を受けるなど、改革の矢面に立った「第2章 「デーモン・ムラオ」と呼ばれて」。三重県から戻っても住民の力で役所の改革を続ける「第3章 WHY NOT 役所を変えてみようよ!」。退職金だけをつぎ込んで出馬した「第4章 純粋無党派が挑んだ県知事選挙」。そして、現在の考えである「第5章 「もうひとつの日本」をデザインする」となっています。
 前著、『役所は変わる。もしあなたが望むなら』がやや理念的な話だとすると、こちらは実体験をベースにしているので、2冊合わせて読むと理解が深まると思います。


■ 個人的な視点から

 本書の出版に先立つこと4ヶ月前の昨年3月に、都内で著者のお話を聴く勉強会に参加させていただきました。ちょうど、本書の原稿執筆と同じ時期だったのか、ほぼ本書の筋書きに近い内容でお話されていました。
 しかし、著者自らお話を聴くとリアリティが全く違います。本書を読んで関心を持たれた方は、ぜひ一度著者の講演会などに参加してみてはいかがでしょうか。


■ どんな人にオススメ?

・「変えたい」と思っている人。


■ 関連しそうな本

 村尾 信尚 『役所は変わる。もしあなたが望むなら』 2005/03/18
 北川 正恭 『生活者起点の「行政革命」』 2005年03月07日
 山田 宏, 中田 宏, 長浜 博行 『ニュージーランド行革物語―国家を民営した国』 2005年03月04日


■ 百夜百マンガ

ナイン【ナイン 】

 大ヒット作『タッチ』に先立つ野球マンガです。兄弟の話が入るか入らないかの違いが有ります。全体の長さが短いので、『タッチ』を全巻は気が重い、という人にはちょうど良いでしょう。

2005年7月25日 (月)

YOSAKOIソーラン祭り―街づくりNPOの経営学

■ 書籍情報

YOSAKOIソーラン祭り―街づくりNPOの経営学   【YOSAKOIソーラン祭り―街づくりNPOの経営学】

  坪井 善明, 長谷川 岳
  価格: ¥798 (税込)
  岩波書店(2002/06)

 本書は、今や北海道を、日本を代表する祭りの一つになり、また日本中に踊りが飛び火している「YOSAKOIソーラン祭り」を立ち上げた著者自身が、10年の歴史を振り返るとともに、街づくりNPOの経営理念やリーダーシップのあり方を語っているものです。
 本書の見所、山場は、2つの壁を乗り越えたところにあります。1つ目は、大学祭の延長のような学生実行委員会が、資金集めのために企業を回り、道路使用許可のために警察に通い、「よさこい鳴子祭り」の感動を札幌に伝えるために高知に直談判に行き、北海道と高知の両知事の対談を実現させる、という力技の実現力によって、1回目の祭りを成功させるところです。学生の熱い熱意が一人の大人の心を動かし、その人の紹介で次の人に出会い、波のように熱意が広がって行くさまは、学生起業家を描いた『ネット起業!あのバカにやらせてみよう』にも通じるものがあるように感じました。そして、もう1つの山は、学生組織だった実行委員会から、常設の事務所と専属職員を持つ「YOSAKOIソーラン祭り普及振興会」を立ち上げ、大人の組織に脱皮するところです。祭りの成長に対して、毎年メンバーが入れ替わる学生組織の限界が露呈してしまい、祭りそのものの運営以外の通年での普及活動がおぼつかなくなってしまったためです。この山を越えることができたことで、行政の補助金頼みではなく、商標収入などの自主財源を中心とした運営ができるようになったのだと思います。
 「まちづくりは行政だけの仕事」と思っている人がいたら、ぜひ読んでみてください。


■ 個人的な視点から

 著者の長谷川氏のお話は、4年ほど前に行政経営フォーラムの例会でお聴きする機会がありました。お話を聴くまでは、「YOSAKOIソーランと行政経営?」の関係にピンと来ませんでしたが、そんなこと以前に、長谷川氏の人を引き込むしゃべりに乗せられてしまいました。この熱意が、多くの人を動かしてきたのだろう、ということが伝わってきました。
 そして、本書を読んで、「祭り」がどれほど地域にとってかけがいのない財産か、ということを感じました。私の地元でも、秋になると、子供が獅子舞を先頭に列を作って家々を回ったり、山車を引いて練り歩いたり、鯛と鱸をつけた神輿を担いだり、という祭りが行われました。祭りには、長年の伝統のある祭りと新しい祭りとの両方がありますが、どちらも、祭りそのものよりも、祭りを大切に思う人たちの気持ち自体の方に価値があるのではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

・祭り好きな人。
・まちづくり好きな人。


■ 関連しそうな本

 D. ヘントン, K. ウォレシュ, J. メルビル (著), 加藤 敏春 (翻訳) 『市民起業家―新しい経済コミュニティの構築』 2005年03月15日
 谷本 寛治, 田尾 雅夫 (編著) 『NPOと事業』 2005年01月28日
 上山 信一 『「政策連携」の時代―地域・自治体・NPOのパートナーシップ』 2005年03月28日
 町田 洋次 『社会起業家―「よい社会」をつくる人たち』 2005年02月16日


■ 百夜百マンガ

ワッハマン【ワッハマン 】

 最初は大ボケ怪人のギャグ漫画か? と思いきや、悲しい過去と業を背負った主人公を襲うダークな展開。「え!?あの人が?」という意外なキャラがキーを握っていたりと油断できません。

2005年7月24日 (日)

Z(ズィー)カー

■ 書籍情報

Z(ズィー)カー   【Z(ズィー)カー】

  片山 豊, 財部 誠一
  価格: ¥714 (税込)
  光文社(2001/10)

 本書は、アメリカで「Zカー」を売りまくり、「DATSUN」ブランドを広く認知させた「ミスターK」「Father 0f Zcar」こと著者・片山豊氏(当時91歳)を軸にして、1970年代のアメリカでのZカーの大ブレイクと、ゴーン社長による日産のリバイバルの象徴としてのZカーの復活をつないだ物語です。
 片山氏の一生をかけた自動車への情熱、Zカーへの情熱と、組合との対立や内部での権力争いを繰り返して自動車作りへの情熱や感動を与えられなくなった日産という企業とが大変対照的に描かれています。
 アメリカで全く無名だった日産の車を、50歳にして調査目的で渡米した片山氏が、「ダットサンの車を野ざらしにするような売り方はできない」とアメリカ日産を立ち上げ、一軒一軒ディーラーを回って販売網を作っていく姿は、何歳になっても開拓者精神が必要であることを教えてくれます。そして、アメリカの若者がこんなスポーツカーを求めている、というところに立脚して、本社に開発を要請し、「240Z」が誕生したエピソードなど、豊田英二、本田宗一郎と並んでアメリカの自動車殿堂入りした片山氏ならではの逸話が本人の口から語られています。
 クルマ好きの人はもちろん、「車は単なる移動手段」としか思っていない人にも、一つの仕事にこれだけ深くのめりこんだ話は、ぜひ読んでもらいたいと思います。


■ 個人的な視点から

 本書で一番印象に残ったのは、男の嫉妬の恐ろしさと社内政治に明け暮れる官僚的社員の陰湿さです。片山氏は元々組合との折り合いが悪く、調査目的でアメリカに渡ったのも「体よく日本から追い出された」からだと述べられています。当時の日産は、後の社長になる石原取締役の腹心の部下が東海岸を拠点に活動していたので、片山氏は西海岸に渡ります。「販売には手を出すな」と指示されたものの、マーケットの現状をつぶさに見た片山氏は、アメリカ本社の必要性を感じてすぐさまロスに会社を登録してしまいます。そして、東海岸は一向に売れない中で、西海岸は売上を伸ばしていきます。VWのサービスを参考に、日本から観光ビザで次々に技術者を送り込み、サービス面を充実させ、ついにはVWを抜いて輸入車ナンバーワンの座を勝ち取ります。その後、Zカーを投入し、アメリカにおける「DATSUN」ブランドは不動のものになります。
 しかし、片山氏の帰国後、1980年にその「DATSUN」ブランドが姿を消すことになります。アメリカでダットサンがあまり売れるので、当時の石原社長のしゃくに障ったんじゃないか、なんてことも書かれていますが、とにかく、長年築き上げてきたブランドが一夜にして消え去った悲しみは推して知るべしです。
 また、Zカー自体も日産におけるタブーになっていきます。「若者のポルシェ」だったはずのZカーが、バブリーな高級車志向に伴ってドンドン大きく高い車になってしまいました。ついには北米での販売が中止されてしまいます。そして、日産社内では片山氏自身がタブーになり、Zカーも社史からほとんど抹殺されるほどの扱いをされ、片山氏と話をしているところを見つかると呼び出しを食らう、ほどの存在になってしまいました。
 この日産の「黒歴史」であった「Zかー」「片山豊」が、ゴーン社長の誕生によって再び表舞台に上がることになるのですが、この続きはぜひ本書をお読みください。


■ どんな人にオススメ?

・クルマ好きな人。
・クルマを単なる移動手段と思っている人。


■ 関連しそうな本

 日本経済新聞社 (編集) 『俺たちはこうしてクルマをつくってきた―証言・自動車の世紀』 2005年07月05日
 カルロス・ゴーン, フィリップ・リエス 『カルロス・ゴーン経営を語る』 2005年3月5日
 カルロス・ゴーン (著), 中川 治子 (翻訳) 『ルネッサンス ― 再生への挑戦』
 デビッド・マギー (著), 福嶋 俊造 (翻訳) 『ターンアラウンド ゴーンは、いかにして日産を救ったのか?』


■ 百夜百音

LIFE【LIFE】  オリジナル盤発売: 1994

 フリッパーズギターの片割れとして、ソロになってからの2作目の大ヒットアルバム。どの曲もシングルカットできるくらいポップな曲ばかりです。元相方が音づくりにこだわり続けるタイプとしたら、メロディと歌詞にこだわり続けるタイプと言えるでしょうか。
 関連CDは「6.今夜はブギー・バック」つながりでスチャダラパーです。


『ポテン・ヒッツ~シングル・コレクション』ポテン・ヒッツ~シングル・コレクション

2005年7月23日 (土)

コンピュータのきもち 新教養としてのパソコン入門

■ 書籍情報

コンピュータのきもち 新教養としてのパソコン入門   【コンピュータのきもち 新教養としてのパソコン入門】

  山形 浩生
  価格: ¥1,575 (税込)
  アスキー(2002/09/18)

 本書は、私たちが普段使っている「コンピュータ」(この文章も多くの人がコンピュータのディスプレイで読んでいるものと思います。)について、使い方などのハウツーの部分ではなく、「コンピュータとは何か」というところから解説したものです。
 内容は、キーボードなどの入出力装置やOSの役割、ネットワークやプロトコルの話など、「情報」の授業で言えば最初の概論のような話が中心になりますが、各章が独立したコラム(というよりも元々は『アスキー・ドットPC』という雑誌に連載されたものなのですが)なので、細切れの時間でも切りよく読むことができます。
 副題の「新教養としてのパソコン入門」というほどはパソコンは出てきませんが、教養(というより雑学)的な読み物として読んでおくと、ハウツーものの多い入門書を複眼的に読めるのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 本書は「コンピュータのきもち」というタイトルがついていますが、面白いのは、自分がコンピュータの身になって考えてしまう「オタク」の考え方や、コンピュータを擬人化して考えてしまう人が多い、ということです。つまり、コンピュータに「きもち」がないのは分かっていても、まるで「きもち」があるかのように考えてしまうということです。
 例えば、コンピュータはまるでモニターという「窓」を通じて我々とコミュニケートしているかのように錯覚してしまうこと(マックス・ヘッドルームじゃあるまいし・・・)、モニターの中にまるで「部屋」があるかのように奥行きを感じてしまうことなどは、普段は意識していなくても、「言われてみれば確かに・・・」という感じがします。
 この辺りのことは、紹介されている『人はなぜコンピューターを人間として扱うか』などに書かれているようです。
 そこまで擬人化していなくても、コピー機やFAXの動作が遅いときと、自分が使っているパソコンの動作が遅いときとではイライラする度合いが異なるような気がします。これも愛着の裏返しなのかも知れません。


■ どんな人にオススメ?

・コンピュータに名前をつけちゃうような人。


■ 関連しそうな本

 坂村 健 『痛快!コンピュータ学』 2005年07月02日
 相田 洋 『電子立国日本の自叙伝』
 バイロン リーブス (著), クリフォード ナス (著), 細馬 宏通 (翻訳) 『人はなぜコンピューターを人間として扱うか―「メディアの等式」の心理学』


■ 百夜百音

空手バカボン ナゴムコレクション【空手バカボン ナゴムコレクション】 空手バカボン オリジナル盤発売: 2005

 大槻ケンヂとケラリーノ・サンドロヴィッチらによる自称テクノユニットです。YMOの曲に合わせて「てくの~てくのらいでぃーん~」と歌ってしまうところが有名ですが、他にも迷曲ぞろいの才気溢れる作品です。
 8月に再発するらしいので要チェック。
 関連CDは大槻&内田の「まんが道」です。


『ボヨヨンロック』ボヨヨンロック

2005年7月22日 (金)

ベンチャー企業の「仕事」―脱日本的雇用の理想と現実

■ 書籍情報

ベンチャー企業の「仕事」―脱日本的雇用の理想と現実   【ベンチャー企業の「仕事」―脱日本的雇用の理想と現実】

  太田 肇
  価格: ¥714 (税込)
  中央公論新社(2001/01)

 本書は、日本の雇用問題の「救世主」とされているベンチャー企業について、そこで働く人の仕事面からその実態に迫り、また、ベンチャー以外のいわゆる「日本的雇用」に対してのヒントを提供するものです。
 まず前半部分(第1章~第3章)では、ベンチャー企業の「光」の部分を取り上げ、閉塞感のある大企業では得られない仕事のやりがいや、地方・女性・高齢者という大企業では「周辺」に追いやられてきた条件をプラスに転じさせることができること、「組織人」ではなく個人を軸にした「仕事人(しごとじん)」としての働き方、「公私融合」的な私生活とのバランス、より市場を指向した「インフラ型組織」などが語られています。
 人が職業生活に求めている価値は、Goalに関する「G価値(夢や目標)」、Processに関する「P価値(仕事のプロセス)」、Stability(安定)やSafetyに関する「S価値(生活の維持)」の3つに分類することができるとされています。ベンチャー企業ではこのうち、G価値とP価値に関して高い満足を得る代わりに、一般的には生活の安定に関するS価値の面では不利と考えられがちですが、「仕事以外の生活との両立」という点でS価値を捉えると、融通の利く勤務時間や転勤の少なさは不利とは言い切れないと述べられています。
 また、ベンチャー型のワークスタイルとして、一般的な仕事のスタイルが「行動→成果」という結びつきを持つのに対し、創造的・革新的な仕事の場合は、(1)「行動→思考→成果」または(2)「思考→行動→成果」という結びつき方をすることが述べられています。そのため、組織主導で「行動」をコントロールするやりかたでは創造的・革新的な仕事の成果には結びつきにくく、この点でも個人主導のベンチャーの強みが述べられています。
 一方、ベンチャー企業の「影」の部分については、実態調査を元に、ベンチャー企業の厳しい実情が解説されています。まず、人材の不足・ミスマッチの問題や、「成果主義」の理想に対して日本型能力主義になってしまう現実、社員にとっては「ハイリスク・ローリターン」な報酬体系、「ベンチャー」という理想はよそに現実にはサラリーマン出身のガチガチの組織人である中高年が社長になっていること等が述べられています。
 本書は、「起業家精神」の一方的な礼讃でもなく、逆にベンチャーの影の部分だけを取り上げるのでもなく、両方のバランスがよく取れていると思われます。今は組織に属しているけど「いつかは起業」を考えている人や、実際にベンチャー企業で働いている人のどちらにもお奨めできます。


■ 個人的な視点から

 ベンチャーに関する文献・情報は、国策としての企業支援やフランチャイジーを集めたい企業の思惑が透けて見えるようなものが多かったり、逆に「ベンチャー残酷物語」的に軽々しく起業することを戒める内容のものが多いような気がします。また、学術的・客観的な文献も、「ベンチャー企業」という組織の外観を分析対象としたものが多いようです。
 本書の特色は、ベンチャーで働く人の「やりがい」や「価値」など、内面の部分に着目している点です。ベンチャーで働く人にあって大きな組織で働く人に無いものは何か、逆にベンチャーに欠けているものは何か、それぞれの立場の人にとって、自分の姿を映す鏡になるのではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

・「ベンチャーで働く」という生活が想像できない人。


■ 関連しそうな本

 田尾 雅夫 『成功の技法―起業家の組織心理学』 2005年04月23日
 ダニエル ピンク (著), 池村 千秋 (翻訳), 玄田 有史 『フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか』 2005年02月02日
 秋山 進, 山田 久 『インディペンデント・コントラクター 社員でも起業でもない「第3の働き方」』 2005年04月11日


■ 百夜百マンガ

ポチのへなちょこ大作戦【ポチのへなちょこ大作戦 】

 「へなちょこ」というタイトルどおり、ヘタレ系のギャグマンガです。続編?の「へなちょこ大作戦Z」と合わせて10年以上マガジンに4コマを連載し続けるというのは、考えてみればものすごい快挙なのかもしれません。

2005年7月21日 (木)

ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる

■ 書籍情報

ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる   【ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる】

  P・F・ドラッカー (著), 上田 惇生 (翻訳)
  価格: ¥2,310 (税込)
  ダイヤモンド社(2002/05/24)

 本書は、これから起こるであろう、または既に起こっている社会の変化について、論文やインタビューの形でドラッカーが論じてきたものを一冊にまとめたものです。
 特に強調されているのは、雇用のあり方が変化すること、トップマネジメントを含む企業の形が変化すること、ITが情報産業以外の部分を大きく変えるのはこれからだということ、そして、これらの共通する要因として、知識が社会の中核的な資本になるということです。
 IT化やアウトソーシングの進展に関しては、一つの方向として一定の理解を示していますが、あくまでも、「人こそビジネスの源泉」であることを主張しています。企業の形が大きく変わる中で、人の育成こそ最も重要な課題だと言うことです。著者は、「雇用と人事を手放すことによって、人を育成する力を失うならば、小利に目がくらんだとしかいいようがない」という言葉で競争力の源泉を失う愚を批判しています。そして、雇用、人事をアウトソーシングするのであれば、知識労働者の育成、動機付け、満足度、生産性についてアウトソーシング先と密接に連携する必要があるとしています。
 また、企業だけでなくNPOや政府という「公」を担う部門の起業家精神の重要性については、これからのNPOは 今までのように単に小切手を切るだけでは不十分で、多くの成功者は、セカンドキャリア(第二の人生)やパラレルキャリア(第二の仕事)を求めていることや、NPOには、収益という評価基準がないからこそマネジメントが必要になり、使命と活動を明確に定義し継続的に評価する必要があることを述べています。そして、これからの社会において、イノベーションと起業家精神が最も必要とされているのが政府であるとも述べています。
 短い論文・インタビューをまとめたものなので、本の構成としての一体性はやや弱いものの、様々な分野に及ぶ著者の主張には一貫性があり、読みやすい、伝わりやすい内容になっています。


■ 個人的な視点から

 今年の2月、日本経済新聞の『私の履歴書』にドラッカーが登場しました。オーストリアでの少年時代から、イギリス~アメリカに移り住み、「マネジメントの発明者」と呼ばれるようになるまでの様々なエピソードは大変読み応えがありました。このシリーズは書籍になることが多いのですが、この連載も発売されるのが楽しみです。
 本書は、2年前に日経の「電子政府戦略会議」の打ち上げで知り合った某IT企業の方から奨められて入手したのですが、やっと読むことができました。やっぱり人から奨められる本は当たりが多いですね。


■ どんな人にオススメ?

・今おきている社会の変化を見極めたい人。


■ 関連しそうな本

 P.F. ドラッカー (著), 上田 惇生 (翻訳) 『新訳 イノベーションと起業家精神〈上〉その原理と方法』
 P.F. ドラッカー (著), 上田 惇生 (翻訳) 『新訳 現代の経営』
 P.F. ドラッカー (著), 上田 惇生 (翻訳) 『新訳 経営者の条件』
 P.F. ドラッカー (著), 上田 惇生 (翻訳), 田代 正美 (翻訳) 『非営利組織の経営―原理と実践』
 町田 洋次 『社会起業家―「よい社会」をつくる人たち』 2005年02月16日
 斎藤 槙 『社会起業家―社会責任ビジネスの新しい潮流』 2005年06月01日


■ 百夜百マンガ

ドリームジェネレーション【ドリームジェネレーション 】

 連載マンガとしては珍しいミュージシャンの成長物語です(単発ものではマガジンとかでありそうですが)。アルフィーのファンなら必ず持ってる?
 高見沢のハイトーンボイスが発見されたのが学食でおばちゃんに注文している声だったというエピソードが、本当なのか脚色なのかは不明です。
 それにしても「メリーアン」がヒットした当時でさえ、「苦節十何年」の彼らが未だに現役なのは尊敬ものです。

2005年7月20日 (水)

仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在

■ 書籍情報

仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在   【仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在】

  玄田 有史
  価格: ¥1,995 (税込)
  中央公論新社(2001/12)

 本書は、それまで中高年のリストラばかりが注目される一方で、「パラサイト・シングル」などと呼ばれ、無気力さやモラトリアムの問題とされてきた若年層の雇用問題に、きちんと統計データの分析から光を当てたものです。本書をきっかけに若年層の雇用問題が社会的な問題として認知され、ジョブカフェなどの若年向け雇用対策が進展しました。また、後に同じ著者が共著で出版した『ニート―フリーターでもなく失業者でもなく』は、「ニート(NEET:Not in Employment, Education or Training)」という言葉を一気に社会に認知させ、「若者は気楽でいい。」「若いうちは好きなことをやっていればいい。」と軽く考えられていた就職しない/できない若者に対する見方を一変させました。
 本書の構成は、中高年以上に深刻な20代、30代の失業/無業の問題と将来的な就業人口の低下を指摘する「1 雇用不安の背後で」。中高年の雇用という既得権を保護するために若年層の新規雇用が抑制されている問題を指摘した「2 「パラサイト・シングル」の言い分」。正社員としてやりがいのある仕事につけるかどうかというシビアな問題に目を向ける「3 フリーターをめぐる錯誤」。定年延長と若年雇用との関係を検証する「4 世代対立を避けるために」。所得格差以上に深刻な、学習や訓練の機会の有無という「仕事格差」の問題に着目した「5 所得格差、そして仕事格差」。能力と強運・愛嬌がある人物が育つ本当の意味での「成果主義」を考える「6 成果主義と働きがい」。会社外の信頼できる友人・知人をもつ重要性を説く「7 幸福な転職の条件」。「自分で自分のボスになる」開業に必要なキャリアを分析する「8 自分で自分のボスになる」。最後に、都立高校の2年生に向けて話したかったメッセージである「終章 十七歳に話をする」という構成になっています。
 どの章も、統計データをグラフや横浜市の人口などを交えて、効果的に分かりやすく引用していて、かつ各章が短いので読みやすい構成になっています。


■ 個人的な視点から

 将来、就業者人口が減少することが予測されるなかで、若者が職業能力を身につける機会と、女性と高齢者が能力を活かす機会を持つ社会をつくる必要があります。本書は特に若年層の雇用の問題に光を当て、世論を喚起し、若年雇用政策に影響を与えましたが、同じように、女性と高齢者の雇用問題に関しても、本書のような存在の登場が待たれます。
 本書の著者である玄田氏は、若年者の雇用をテーマに精力的に講演をされていますので、機会があればぜひ講演をお聴きしたいと思います。


■ どんな人にオススメ?

・「フリーター」は本人のやる気の問題だと思っている人。


■ 関連しそうな本

 玄田 有史 『仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在 中公文庫』
 玄田 有史, 曲沼 美恵 『ニート―フリーターでもなく失業者でもなく』
 宮本 みち子 『若者が『社会的弱者』に転落する』 2005年05月04日
 大久保 幸夫 『新卒無業。―なぜ、彼らは就職しないのか』
 佐藤 博樹, 武石 恵美子 『男性の育児休業―社員のニーズ、会社のメリット』 2005年04月07日
 日本経済新聞社 (編) 『働くということ』 2005年02月24日


■ 百夜百マンガ

帯をギュッとね!【帯をギュッとね! 】

 今となっては15年以上前の作品ですが、その当時でも柔道マンガっていまさらな感じでした。それでも、きちんと引き込んでしまう構成力は、次の『モンキーターン』に引き継がれます。師匠(上条淳士)と違ってきちんと連載が続くところが偉いです。

2005年7月19日 (火)

「ピカソ」のキャリア「ゆでガエル」のキャリア

■ 書籍情報

「ピカソ」のキャリア「ゆでガエル」のキャリア   【「ピカソ」のキャリア「ゆでガエル」のキャリア】

  村山 昇
  価格: ¥1,470 (税込)
  すばる舎(2003/10)

 本書は、30代半ば、社会人12年目くらいをターゲットに、キャリア形成のスタイルをキャリア形成の意志と形成環境から、「ピカソ」「耕一さん」「タンポポの種」「ゆでガエル」の4つに類型化し、それぞれのタイプが歩むキャリアをシミュレートしているものです。
 著者自身も、雑誌編集者からスタートし、教育関係など4つの職を経た後、「キャリアの自画像を描く」というキャリア・ポートレート・コンサルティングという会社を興し、キャリア開発支援を行っている方です。
 本書の構成は、大学卒業後、消費財メーカーのF社に就職した「加藤さん」が、自らの意志と行動でキャリアを選択して行く(または選択しない)うちに、そのキャリアが「ゆでガエル」、「タンポポの種」、「耕一さん」、「ピカソ」の4つのキャリアに枝分かれして行く、というものです。
 「ゆでガエル」の加藤さんは、居心地の良い環境のHOWに安住し、WHATやWHYを考えなくなるうちに、すっかり茹で上がってしまいます。「安すれば、鈍する」というメッセージが伝わってきます。
 「タンポポの種」の加藤さんは、「俺のいる場所はここじゃない」と言っては、開拓のためではなく逃避のための転職を繰り返します。「納得」したキャリア選択であれば自分らしさを出して行くことができますが、「妥協」したキャリア選択は「当たり・ハズレ」に大きく左右され、また逃避を繰り返すことになります。
 「耕一さん」の加藤さんは、「消費者の曖昧な思考や感性を数値化する」プロフェッショナルになりたい、という目標イメージを持ち、そこから逆算してスキルや行動特性を高めていく、演繹的なイメージングを行い、専門スキルを深堀りしていきます。著者は、能力形成のスタイルを「T字型」と「t字型」の2種類に分類し、汎用スキルを広く取る「T字型」のピカソ型能力形成に対し、専門スキルを深堀りしていく「t字型」の能力形成を耕一さん型の能力形成に位置づけています。
 最後に、「ピカソ」の加藤さんは、いくつかのプロジェクトを経験する中で、コミュニケーションを軸としたブランディングを学ぶために米国に留学し、コンサルティング会社に転職します。ピカソ型のキャリアは、「七放・五落・十二達」(目標の7割の目途が立てば行動に移し、いったんは5割レベルまで後退するものの、状況との格闘の中で当初目標より高い地点に到達する。)を繰り返していきます。

     キャリア形成の意志<強>
          ↑
     耕一さん |  ピカソ
キャリア      |
形成環境      |
<固定的>←――――+――――→<流動的>
          |
          |
    ゆでガエル |  タンポポの種
          ↓
     キャリア形成の意志<弱>


■ 個人的な視点から

 本書を読むきっかけは、先週、「キャリアデザイン研修」という形で著者の講義を受ける機会があったことです。研修では、おもちゃの「レゴ」をスキルや行動特性に見立ててグループで船を組み立てたり、「キャリアMQ」という特性診断を受けたりしましたが、「キャリアデザイン」という意識が希薄な人でも理解しやすい研修だったのではないかと感じました。
 とかく、大きな組織にいると「自分でキャリアを形成する」という意識が弱くなりがちですが、茹で上がってしまう怖さや浮浪してしまう怖さを、著者のビジネスマンとしての経験を元にしたリアリティのある形で描写しています。


■ どんな人にオススメ?

・30代半ばの人。


■ 関連しそうな本

 金井 壽宏 『働くひとのためのキャリア・デザイン』 2005年01月30日
 上山 信一, 梅村 雅司 『行政人材革命―"プロ"を育てる研修・大学院の戦略』 2005年04月16日
 秋山 進, 山田 久 『インディペンデント・コントラクター 社員でも起業でもない「第3の働き方」』 2005年02月02日
 ダニエル ピンク (著), 池村 千秋 (翻訳), 玄田 有史 『フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか』 2005年02月02日


■ 百夜百マンガ

ゴリラーマン【ゴリラーマン 】

 とにかく主人公なのにしゃべらない。しゃべらないのに、これだけ面白く話が回るのはなぜ?
 特異なキャラクターの主人公に周りの人間が勝手に絡んで自滅するタイプの話が多かった気がします。

2005年7月18日 (月)

ネット起業!あのバカにやらせてみよう

■ 書籍情報

ネット起業!あのバカにやらせてみよう   【ネット起業!あのバカにやらせてみよう】

  岡本 呻也
  価格: ¥1800 (税込)
  文芸春秋(2000/10)

 本書は、日本のネット業界を作り上げてきた若き経営者たちのハイテンションな青春を綴った日本IT業界黎明期の記録です。
 日本のITバブルの原点がダイヤルQ2にあり、その人脈が後のネットベンチャーと呼ばれる企業群を生んでいった話には、ポンと膝を打つところがあります。また、ビットバレーの若者たちが夢を語る大盛り上がりとITバブルで金が一気に流れ込んだ狂想曲に変わっていく姿、iモードの誕生など、日本のネット業界の10年の記録としても非常に良質なものであることは間違いありません。
 しかし、本書の魅力はネットベンチャーで行け行けドンドンの成功をする若者の姿だけではなく、慢心、おごり、若さからボロボロに転落して行く姿が併せて描かれていることです。それこそ企業小説が何作も書けるような(悪い意味でも)魅力的な若き経営者たちの姿は、サラリーマンの成れの果ての大企業の社長にはない勢いがあります。


■ 個人的な視点から

 本書には様々なネット界のカリスマが登場します。iモードの松永真理氏など成功した人の成功にいたるまでの話も、もちろんハラハラする物語になっています。しかし、本書で一番インパクトが強く、魅力的に描かれているのは「ダイヤル・キュー・ネット」でがむしゃらに仕事をこなし、我が世の春を経験し、そして絵に描いたような転落を経験する真田哲哉氏です。自らの力を信じ、坂本龍馬が大好きで「ビッグな人物になってやる」という夢を持つ、絵に描いたような起業家というキャラクターは、ある程度誇張して描かれている部分はあるにせよ、似たようなキャラクターの人物は結構誰の身の回りにもいるものです。
 この真田氏が、金の先物に手を付けて会社を傾かせ、ついには暴力団の事務所に連行され、ズルズルと落ちて行く中で、わが身を振り返り、何が得意で何が苦手かを自覚するシーンは本書の最大の山場の一つです。
 同様に、『社長失格』の著者である板倉氏の成功から転落までの軌跡も真田氏以上に高みまで上っただけに「下りのジェットコースター」も強烈ですが、キャラクター的には真田氏の方が破天荒に描かれています。
 ほかにも、ビットバレーの盛り上がりや今ではすっかり有名人になってしまったライブドア(当時はオン・ザ・エッジ)の堀江社長も描かれていて、ネットベンチャーの「熱」も伝わってきます(ビットバレーの事務局を任されていたETIC.の宮城代表のクールな中に熱を秘めたコメントも掲載されています。)。
 最後のiモード編では、それまでの10年間の人間模様の複線がある程度収束していきます。転んでもただでは起きない起業家たちが失敗を糧に成長する姿は下手な小説よりも遥かにドラマティックです。


■ どんな人にオススメ?

・起業したいと思っている人
・坂本龍馬が好きな人。


■ 関連しそうな本

 板倉 雄一郎 『社長失格―ぼくの会社がつぶれた理由』
 岡本 呻也 『「人間力」のプロになる―誰もここまで教えてくれなかった仕事ができる人の基本メソッド』 2005年05月03日
 堀江 貴文 『100億稼ぐ仕事術』 2005年03月05日


■ 百夜百音

有頂天【有頂天】 サンハウス オリジナル盤発売: 1975

 シナロケの鮎川誠(TVドラマ「ちゅらさん」にでてきたライブハウスのマスター)が在籍していた伝説のロックバンド。「レモンティー」はシナロケのバージョンの方が有名で、高校の文化祭なんかでは定番だった曲です。
 で、カバー(というかパクリ)元はロックの定番の曲「Train Kept A Rollin' 」です。聴けば思い出すかも?


『The Ultimate Collection』The Ultimate Collection

2005年7月17日 (日)

上司は思いつきでものを言う

■ 書籍情報

上司は思いつきでものを言う   【上司は思いつきでものを言う】

  橋本 治
  価格: ¥693 (税込)
  集英社(2004/04)

 本書は、作家である著者が、「なぜ上司は思いつきでものを言うのか」という問題を切り口に、日本の社会のあり方を語っているものです。
 本書を、立ち読みを始めたら止まらなくなってしまった、というスリリングなものにしているのは、常人にはなかなか思いつきにくい、極端な比喩です。
 まず冒頭で読者のココロをつかむのは、「副葬品としての埴輪の製造販売」会社の新規事業企画会議です。そして、あなたはこの突飛な会社の社員です。「我が社の技術力を活かした新規事業」というお題に「美術品としての埴輪販売」を提案したあなたは、上司の思わぬ反撃を受けます。そして上司から出された「思いつき」は「いっそコンビニを始めたらどうか。」です。実際に日本に副葬品としての埴輪の販売会社に勤めているサラリーマンなんかがいるはずがないのに、多くのサラリーマンが、この会議の描写に「アルアル」とうなづいてしまうことでしょう。
 そして、「寒流と暖流がぶつかる豊かな漁場」という表現もすばらしい。現場と上司がぶつかるところに「思いつき」が生まれるのです。日々、「豊かな漁場」で悪戦苦闘しているサラリーマンにとってこんなに分かりやすい表現はありません。
 一方で、上司の側の心理の解説も、「上司は故郷に帰れない」という私的な表現が使われています。「現場」という故郷を離れて「上司」というピラミッドの一員となった人を「田舎から出てきて都会に職を得、一人前の都会人になった」に喩えているところが秀逸です。そして、「田舎の青年団の若者」(現場の若者)が故郷の村のために建設的な提案を持って意見を聞きに来る・・・。ここに思いつきが生まれる、というのはとてもイメージしやすい書き方です。なにしろ上司は「故郷」に帰れないのですから。
 後半は、この「上とした」との関係を、会社組織から日本社会全体に拡張し、儒教や平安時代まで話が展開します。一般のビジネス書のように、スパッと頭に入る書き方ではないですが、著者のジェットコースターのような話の流れに任せてみると、あっという間に読み終わってしまいます。


■ 個人的な視点から

 本書の著者である橋本治氏にはサラリーマンの経験がありません。なのに、どうして本書のような上司と部下との間の微妙な心の機微を、書くことができたのでしょうか。
 著者は、自らを出版社という会社における「お出入り業者」に喩えます。すると「担当編集者」という「仕入れ担当の若い方」を通して会社の姿、上司と部下の関係を知ることができるのです。
 サラリーマンは「自分たちは"サラリーマン"という特殊な悲劇を背負わされている」と勝手に考えがちだと指摘されていますが、同じように、公務員も自分たちの状況を特殊な悲劇と考えがちです。一度、「会社とはいかなるものか」「役所とはいかなるものか」をよく考える機会を持ったほうがいいかもしれません。


■ どんな人にオススメ?

・一度でも上司の「思いつき」に憤慨したことのある人。


■ 関連しそうな本

 高橋 伸夫 『できる社員は「やり過ごす」―尻ぬぐい・やり過ごしの凄い働きを発見した』 2005年05月12日
 高橋 伸夫 『日本企業の意思決定原理』


■ 百夜百音

決定版!!爆風スランプ大全集【決定版!!爆風スランプ大全集】 試聴あり 爆風スランプ オリジナル盤発売: 1994

 なんと前半部分M1からM8までは高校時代のバンドのレパートリーでした。試聴のクリップを聴くと高校時代がよみがえってくるような一枚です(「無理だ!」が試聴ではイントロ切れしてますが)。
 「THE TSURAI」とか難しい曲でしたが、江川ほ~じんの真似して親指アップダウンチョッパーとか練習して指の皮がベロベロになりました。とは言え自分はギター担当だったわけですが・・・。
 関連CDはデビューアルバムの「よい」です。初期の頃はライブでやっていた「えらいこっちゃ」が良かったです(このアルバムには収録されてませ)。


『よい』よい

2005年7月16日 (土)

ウルトラマン研究序説―若手学者25人がまじめ分析 科学特捜隊の組織・技術戦略を検証する

■ 書籍情報

ウルトラマン研究序説―若手学者25人がまじめ分析 科学特捜隊の組織・技術戦略を検証する   【ウルトラマン研究序説―若手学者25人がまじめ分析 科学特捜隊の組織・技術戦略を検証する】

  SUPER STRINGSサーフライダー21
  価格: ¥1,427 (税込)
  中経出版(1991/12)

 本書は、30歳前後の若き研究者(出版当時)によって、法学や経営学、自然科学の各分野から真剣にウルトラマン及び科学特捜隊を分析した「学術書」です。その後の様々な「謎本」ブームのきっかけになったことから、本書もお気楽な謎本の一つにカテゴライズされることが多いようですが、本書は方法論としての学問をきちんと踏まえた「書いた本人たちは大真面目」な点が異色です。
 本書の基本姿勢として、「署名原稿であること」というものがありますが、本書の後に雨後の筍のように現れた数多の「謎本」が「○○の謎研究会」などの適当な名前をでっち上げて匿名で無責任な「考察」を垂れ流していったのに比べて、本書の執筆者たちは、専門誌に論文を発表するのと同じ真剣さ、もしかすると発行部数から考えればそれ以上の真剣さで、「科学特捜隊」という架空の組織の姿を明らかにすることに対峙しています。
 本書が出版されてから早15年近くが経ち、一連の謎本ブームを経過した後に読み返すと、今読んでも陳腐化していない本書の真剣さと先見性を再評価することができるのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 「謎本」ブームのはるかかなたに追いやられていた本書を「発掘」するきっかけになったのは、キャリアデザインやリーダーシップの研究で知られる神戸大学の金井教授が「終章 「科特隊型」組織が社会を変えるヒントになる!?」を執筆していることでした。
 終章の内容は、組織論的なアプローチもあれば、ウルトラマンの「働く意味」を問う、科特隊の使命を問い直す、など様々ですが、後の著者の研究に連なっているものばかりです。数多くの著者の関心、という様々な角度から科特隊という多面体を分析している、といった趣です。
 金井教授の研究に関心のある方は一度ご覧ください。


■ どんな人にオススメ?

・幼い頃ウルトラマンに夢中だったおじさん。


■ 関連しそうな本

 金井 壽宏 『働くひとのためのキャリア・デザイン』 2005年01月30日
 ヘンリー ミンツバーグ (著), 奥村 哲史, 須貝 栄 (翻訳) 『マネジャーの仕事』
 マックス H・ベイザーマン (著), マーガレット A・ニール (著), 奥村 哲史 『マネジャーのための交渉の認知心理学―戦略的思考の処方箋』 2005年07月04日
 金井 寿宏, 高橋 潔 (著) 『組織行動の考え方―ひとを活かし組織力を高める9つのキーコンセプト』 2005年04月27日


■ 百夜百音

史上最大全集しょのいち【史上最大全集しょのいち】 試聴あり 所ジョージ オリジナル盤発売: 1984

 今やテレビタレントとして有名な所さんですが、実は歌手だった、ということを知らない人も多くなりました。ましてやオールナイト日本を知っている人は・・・。
 ということで、関連CDはオールナイトの「パッパラ~」という曲です。


『ビタースウィート・サンバ』ビタースウィート・サンバ

2005年7月15日 (金)

The Net ITは日本企業をどう変えるか―現場から探る勝ち組の条件

■ 書籍情報

The Net ITは日本企業をどう変えるか―現場から探る勝ち組の条件   【The Net ITは日本企業をどう変えるか―現場から探る勝ち組の条件】

  日経産業新聞 (編集)
  価格: ¥1,470 (税込)
  日本経済新聞社(2001/01)

 本書は、日経産業新聞に連載されたITが日本企業に与えたインパクトに関する記事を元に編集されたものです。
 前半部分は、新聞記事らしい短い事例紹介が中心で、企業の変化、ネット上に生まれる「場」、ネットを活かした「匠」の姿を紹介しています。中盤は、トヨタ、デル、BASF、新日鉄、ヤマト運輸、キヤノンの事業モデルの変化をやや紙幅をとって紹介しています。最後は、米国のIT革命の紹介です。
 見所というほどではありませんが、数行ながらサイバー世界の法律の第一人者であるハーバード大のローレンス・レッシグ教授のコメントが掲載されています。「ネットプライバシーの問題は公害問題のようなもの」、株主への利益還元という企業の使命が社会全体の利益に反する場合は「強制力を持つルールが必要」というものです。
 本書のタイトルである「日本企業をどう変えるか」の部分については、サラリーマンの仕事における直接の変化として、「モバイル営業」の記事が印象に残りました。モバイル機器を駆使した営業スタイルへの変化がオフィスのあり方や人事管理手法を変え、机はフリーアドレス、出社は1日最低30分、賃金は成果重視型というものになっています。その成果として、顧客訪問回数は20%増加、残業が減り売上は増加したそうです。しかし、IT化によって必ずしも成果が上がるというものではなく、「モバイル営業を生かすも殺すも管理職次第」ということです。
 4年前に出版されたものなので、現在の目から見ると、もはや当たり前になった部分や記事のとおりにならなかった部分などがありますが、現在起きている企業の変化を読み解くカギがあるかもしれません。


■ 個人的な視点から

 「日本企業のIT化」というと、ネットベンチャー等、若い企業の躍進が目に付くところですが、本書で大きく取り上げられているのは、既存企業が生き残りのために必死の変化を起こしていることです。特に、重厚長大型産業の典型と言われる製鉄業が、IT化で新しい「儲ける仕組み」をつくっているところに注目です。
 新日鉄では、多種多様な鉄を生産する最先端の生産管理システムを、社外事業のSCMシステムに応用したり、デリバティブ(金融派生商品)の管理システムに応用するなど、鉄以外の分野に応用させています。これは、新日鉄の競争力の源泉が、単に鉄を生産することにあるのではなく、生産過程の管理システムにあったということです。
 現在の生産物のみで、業種をカテゴライズするだけでは、その企業の競争力の源泉が見えにくくなります。ITは、日本企業に自社の競争力がどこから来るものなのかを再検討することを迫っているようです。


■ どんな人にオススメ?

・「IT革命ってそういえばどうなったんだろ?」と思っている人。


■ 関連しそうな本

 尾高 煌之助, 都留 康 (編著) 『デジタル化時代の組織革新―企業・職場の変容を検証する』 
 奥野 正寛, 池田 信夫 『情報化と経済システムの転換』 
 エリック ブラインジョルフソン, ブライアン カヒン (編著), 室田 泰弘, 平崎 誠司 (翻訳) 『ディジタル・エコノミーを制する知恵』 2005年03月10日
 カール シャピロ, ハル・R. バリアン (著), 千本 倖生, 宮本 喜一 (翻訳) 『「ネットワーク経済」の法則―アトム型産業からビット型産業へ…変革期を生き抜く72の指針』 
 ローレンス レッシグ (著), 山形 浩生 (翻訳), 柏木 亮二 (翻訳) 『CODE―インターネットの合法・違法・プライバシー』 38384
  『』 


■ 百夜百マンガ

名門!第三野球部【名門!第三野球部 】

 電気グルーヴの曲、「あすなろサンシャイン」に「なろう!なろう!明日なろう! 明日は檜の木になろう」というフレーズが出てきますが、第三野球部にも出てきたフレーズのような気がします。さらに遡ると、『まんが道』にも同じフレーズが・・・。大本の出典が何かあるのでしょうか?

2005年7月14日 (木)

人事異動

■ 書籍情報

人事異動   【人事異動】

  徳岡 晃一郎
  価格: ¥714 (税込)
  新潮社(2004/09)

 本書は、日本企業で働くサラリーマンにとって、最大の関心事である「人事異動」について、人事異動の現場の今・昔を現場感溢れる分析と簡潔な解説によってまとめ、併せて、知識創造の観点から人事異動のあり方を再検討したものです。
 本書前半の人事異動の解説は、人事の現場やキャリア論の知識がない人にとっては簡潔にまとまっていて、「なるほど」と思わせるものだと思います。「土管管理職」「粒々族」「その日暮らし」などのネーミングは、面白いとは思うものの、せいぜい研修講師の話のマクラ程度ではないかと思います。また、「異動用語の基礎知識」は簡潔にまとまっていますが、著者ならではというものではありません。
 本書の真髄は、後半部分のSECI(セキ)プロセスと人事異動とのリンクです。これまで、人事やキャリア論に関する研究の中での「企業特殊的知識」や、知識創造に関する研究の中での現場での議論の重要性が、それぞれ個別に語られてきましたが、人事異動と知識創造を明示的にリンクさせ、読みやすい新書にまとめている点に本書の価値があると思います。


■ 個人的な視点から

 本書が読者、特にサラリーマンの読者を惹きつけるのは、冒頭のマクラの部分、現実の職場で交わされているような会話ではないかと思います。これは著者自身が日産自動車という典型的な日本企業での勤務経験があるからではないかと思います。
 「序、考えない組織、考えない人々」、「1、多様化する人事異動」、「2、人事部の功罪」の部分までは、著者のサラリーマン経験に基づいたリアリティのある会話が再現されています。本書をベースに講演や研修を行うとすれば、この前半部分は聴衆(特にサラリーマン)をぐっと惹きつける部分なのではないかと思います。
 後半部分が難しい、と思った方はさらっと読み直したり、そこで挫折したとしても、前半部分の面白さが大きく印象に残るのではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

・人事異動に関心を持っている人。


■ 関連しそうな本

 野中 郁次郎 『知識創造の経営―日本企業のエピステモロジー』 2005年03月02日
 野中 郁次郎, 竹内 弘高 (著), 梅本 勝博 (翻訳) 『知識創造企業』
 野中 郁次郎, 紺野 登 『知識経営のすすめ―ナレッジマネジメントとその時代』
 エドワード・P. ラジアー (著), 樋口 美雄, 清家 篤 (翻訳) 『人事と組織の経済学』 2005年04月05日
 八代 尚宏 『日本的雇用慣行の経済学―労働市場の流動化と日本経済』 2005年03月23日
 稲継 裕昭 『日本の官僚人事システム』 2005年02月10日


■ 百夜百マンガ

おはよう!スパンク【おはよう!スパンク 】

 私はつい最近までスパンクはウサギだと思ってました・・・。
 そして、今日まで『おジャ魔女どれみ』の作者ということも知りませんでした。息の長いマンガ家さんなんですね。

2005年7月13日 (水)

判断力はどうすれば身につくのか―アメリカの有権者教育レポート

■ 書籍情報

判断力はどうすれば身につくのか―アメリカの有権者教育レポート   【判断力はどうすれば身につくのか―アメリカの有権者教育レポート】

  横江 公美
  価格: ¥777 (税込)
  PHP研究所(2004/10)

 本書は、アメリカの有権者教育、特に子供や若者に対する教育に関して、学校やNPOの活動を題材に取り上げながら、政治に関するメディアリテラシー教育の重要性を指摘しているものです。
 アメリカでも日本と同様に、若者の政治離れや投票率の低下が問題となっています。しかし、アメリカは1世紀を超える有権者教育の長い歴史を持ち、学校教育の中で民主主義の原則や知識を学び、また、有権者教育を支える様々なNPOの活動が盛んに行われています。アメリカで有権者教育が盛んになった背景には、移民に対しての民主主義やアメリカ誕生の理念などの教育から始まり、東西冷戦の元での民主主義の賛美、そして、ベトナム戦争を経て、「一人の有権者として国のために何ができるのか」という個人の視点が加わり、争点の設定、議論、現場体験という民主主義の技術を学ぶものになりました。
 本書で紹介している有権者教育の事例では、小学生に、内容を知らずに投票することの怖さを教える「キッズ教材」では、「学校、休憩時間、アイスクリーム、宿題、テレビ」のそれぞれの項目にイエスかノーを付けさせます。各選択肢に関する付随的な情報は与えません。そして、投票が終わってから、「<学校>の休みは無くします。」「<アイスクリーム>はニンニク味です。」という各項目の詳細な情報を教えます。これによって、子供たちは、投票には何が必要か、を学びます。
 教育関係者はもちろん、判断力が身についているはずの大人にもぜひ一読いただきたい一冊です。


■ 個人的な視点から

 日本では低投票率に対する対策は、ただひたすらに「投票に行きましょう。今日は投票日です。」の連呼を繰り返すだけです。名前と「お願いします」をひたすら連呼する候補者と同じことを選挙管理委員会もやっていることになります。これでは、ただでさえ中身のない候補者の演説にうんざりしている有権者の気持ちを逆撫でするばかりです。
 候補者が、「政策の話をしても票にはつながらない。お願いと人間性を訴えるしかない。」と思っているのと同様に、選挙管理委員会も、「選挙権の大切さと怖さを理屈で説明しても通じない。お願いと倫理に訴えるしかない。」と思っているようです。
 そして、候補者や政党がマニフェストを出し始めたのと同様に、選挙管理委員会も正面から、有権者教育とメディアリテラシーの重要性を打ち出してもいい頃かもしれません。


■ どんな人にオススメ?

・自分は判断力があると思っている人。


■ 関連しそうな本

 横江 公美 『第五の権力 アメリカのシンクタンク』 2005年06月13日
 横江 公美 『Eポリティックス』 2005年02月11日
 高瀬 淳一 『情報と政治』 2005年06月23日
 丸楠 恭一, 坂田 顕一, 山下 利恵子 『若者たちの"政治革命"―組織からネットワークへ』 2005年05月11日


■ 百夜百マンガ

のんきくん【のんきくん 】

 藤子・F・不二雄先生の直系のお弟子さんの作品です。子供の頃にコロコロコミックや小学館の学習雑誌でお馴染みでした。「風立ちぬ。今川焼き。塩辛、綿菓子、心の食べ物」という替え歌が頭から離れません。

2005年7月12日 (火)

人材育成の進め方<第3版>

■ 書籍情報

人材育成の進め方<第3版>   【人材育成の進め方<第3版>】

  桐村 晋次
  価格: ¥872 (税込)
  日本経済新聞社第3版 (2005/05/14)

 本書は、永年、企業で人事の実務に携わってきた著者による、実践的な人材育成のテキストです。初版が1985年ということもあり、基本はあくまでオーソドックスなところにありますが、今回の改訂(第3版)にあたり、キャリア形成、リーダー養成、非正規雇用者の能力開発、カウンセリングの部分を大幅に強化し、より現場のニーズに即したテキストにアップデートしています。
 しかし、本書の強みは前の版から引き継いでいる部分、つまり、
・第1章「企業と人材育成」
・第2章「OJTの進め方」
・第3章「集合研修の進め方」
の部分にあるのではないかと思います。どれほどキャリア論の研究が進んだとしても、やはり、従業員に最も大きな影響を与え、最も親身になって気付きを与えてくれるのは上司です。本書には、著者の長い企業人としての経験に基づいた、上司から学ぶことができること、上司が部下をどのように見ているか、そして、どのような失敗に陥りやすいか、などが自信を持って書かれています。この自信が、読者に安心感を与えているのだと思います。
 もちろん、最新の理論や雇用環境の変化のフォローも重要です。特に、人事や研修など人材育成に携わる人のための入門書という本書の位置づけにおいては、最新の情報がフォローされていることは価値がありますが、それでも、本書のコアの部分は前の版から受け継がれた前半部分にこそあるのではないかと考えます。


■ 個人的な視点から

 研修の担当者というのは、その仕事の性質上、常に新しい理論、情報に接しているためか、「新しい物好き」になりがちな部分があります。もちろん、体系的にきちんと導入しているところもありますが、コンピテンシーやリーダーシップ養成など、新しいテーマに場当たり的に飛びつきやすいところもあります。特にリクルートワークス研究所の『Works』とかを読むと、「今さらこんなやり方でいいんだろうか。時代遅れなんじゃないか。」「あれもやりたい、これもやりたい。」という気持ちに急かされてしまいます。
 しかし、本書を読むと、やはり人材育成の基本は上司であり、職場であることに気付かされます。人事や研修の担当者にはぜひ読んで欲しい一冊です。


■ どんな人にオススメ?

・研修担当者必読。


■ 関連しそうな本

 上山 信一, 梅村 雅司 『行政人材革命―"プロ"を育てる研修・大学院の戦略』 2005年04月16日
 金井 寿宏 『リーダーシップ入門』 2005年03月31日
 C.I.バーナード (著), 山本 安次郎 (翻訳) 『新訳 経営者の役割』 2005年03月29日
 高橋 伸夫 『経営の再生[新版]―戦略の時代・組織の時代』 2005年06月10日


■ 百夜百マンガ

岸和田博士の科学的愛情【岸和田博士の科学的愛情 】

 マッドサイエンティストものの下ネタギャグを精緻な絵でやらかしてしまうところは、さすがトニーという感じです。
 ストーリーはないんですが、安川くんと大塚長官の性格が破綻していて、毎回楽しみでした。

2005年7月11日 (月)

人を動かす

■ 書籍情報

人を動かす   【人を動かす】

  デール カーネギー (著), 山口 博
  価格: ¥1,575 (税込)
  創元社新装版 版 (1999/10)

 本書は、いわゆる「自己啓発本」の元祖とも言われているもので、1936年、つまり今から70年前に出版されたものです。タイトルの「人を動かす」という言葉からは、何やら人を意のままに操る術でも書かれていそうな印象を受けますが、むしろ「人の心を動かす」という言葉の方が本書の内容に近いように思われます。
 本書の構成は、
・人を動かす3原則
・人に好かれる6原則
・人を説得する12原則
・人を変える9原則
・幸福な家庭を作る7原則
という5部に分かれており、それぞれに様々な実例・逸話を交えながら大変分かりやすく書かれています。そして、分かりやすさの秘訣は、同じことを何度も繰り返しているからです。それは冒頭の3原則の中に出てくる、「人の立場に身を置」き、「重要感を持たせる」(「自己主張は人間の重要な欲求の一つである」と書かれています)ということです。この他の6原則や12原則などは、この変形、具体的な方法だと考えられます。
 本書は、決してページの順番どおりに読む必要はありません。冒頭の3原則を読んだあとは、自分の関心のある「好かれる」「説得する」「変える」「幸福な家庭をつくる」のそれぞれの分野から読めばいいのではないでしょうか。そして、同じことを切り口を変えて読ませているからこそ、本書が長く読み継がれるベストセラーになった理由だと考えられます。


■ 個人的な視点から

 先日、オフサイトミーティングの世話人交流会で滋賀県に行ってきました。オフサイトミーティングでは、非常に長い時間(長いときは1時間以上)をかけて自己紹介をします。そして、相手の話を否定しない、というルールがあります。このルールによって、安心して自分のことを話すことができるのです。
 本書を読んで気づいたことは、オフサイトミーティングというのは、本書で書かれている「好かれる」「説得する」「人を変える」のそれぞれの原則を、ルールに組み込むことで、信頼感のある対話を実現しているのではないか、ということです。
 本書は、1年前に職場の知人に奨められたのですが、やっと読むことができました。その知人は、電車の中で本書を読んでいたら、知らない人から「その本はとてもよい本だ」と話しかけられたそうです。


■ どんな人にオススメ?

・人の心を動かしたいと思っている人。


■ 関連しそうな本

 ステファン・P. ロビンス (著), 高木 晴夫, 永井 裕久, 福沢 英弘, 横田 絵理, 渡辺 直登 (翻訳) 『組織行動のマネジメント―入門から実践へ』 2005/02/17
 柴田 昌治 『なぜ会社は変われないのか―危機突破の風土改革ドラマ』


■ 百夜百マンガ

ドラえもん (17)【ドラえもん (17) 】

 誰もが一度は使ってみたいと考える「バイバイン」(増えすぎた栗まんじゅうを宇宙に捨てる)や「自家用衛星」「未知とのそうぐう機」など、宇宙ネタが多いのが特徴です。先週エピソード3が公開された「スター・ウォーズ」も「ドラやき・映画・予約ずみ」では「スター・ジョーズ」というタイトルで登場します。「未知との遭遇」はとても大昔に感じますが、SWもそんな時代からの作品なんですね。

2005年7月10日 (日)

日本の地名

■ 書籍情報

日本の地名   【日本の地名】

  谷川 健一
  価格: ¥777 (税込)
  岩波書店(1997/04)

 本書は、日本各地に残る地名に込められた先人の思いと歴史を、黒潮や中央構造線に沿って足で調べた、地誌という横糸に歴史や伝説という縦糸をかけて紡ぎ上げたものです。
 「第1章 地名の旅 黒潮のながれに沿って」では、はるか昔に南方から黒潮に乗って日本に渡来してきた先人に思いを馳せながら、全国各地に広がる日和山という地名や、楠にまつわる地名や楠神の分布、海人の足跡としての「青」の地名の伝播など、様々な地名が結び付けられています。
 また、「第2章 地名と風土 中央構造線に沿って」では、今度は本州を縦断し、地すべりや姥に関する地名など、各地の地名を、地形や風土、伝説に結びつけながら解説しています。
 国内各地を旅行するのが趣味という人は、ぜひ一度読んでおくと、各地で目にする変わった地名から様々な発想を得ることができるのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 本書を購入したきっかけは、何気なく手にしたところ、房総と紀州、伊豆の黒潮を通じた交流の部分を眼にしたからです。勝浦や白浜など、紀州に共通した地名が多い房総ですが、他にも、布良や川名など共通の地名や風向きの呼び方など、共通の文化を持っている、という話に、黒潮に乗ったロマンを感じました。
 市町村合併で多くの小さな村の名前が失われ、ひらがなが多用される新市名に変わりましたが、行政区画の名称は変わっても、先人から受け継がれてきた地名は今後も受け継がれることに価値があるのではないかと感じます。


■ どんな人にオススメ?

・国内を旅行するのが好きな人。


■ 関連しそうな本

 谷川 健一 『続 日本の地名―動物地名をたずねて』
 谷口 研語 『地名の博物史』
 網野 善彦 『日本社会の歴史』


■ 百夜百音

オールディーズ・バット・ゴールディーズ(2)【オールディーズ・バット・ゴールディーズ(2)】 奥田民生セレクション オリジナル盤発売: 0

 「1.お化けのロック(郷ひろみ&樹木希林)」や「2.生きてるって言ってみろ(友川かずき)」のような、企画ものにありがちな「ヘンな歌謡曲」からスタートして、「5.リボンの騎士(仙波清彦とはにわオールスターズ)」のようなマニアックなヘンな曲ばかりかと思ったら、「8.哀愁のヨーロッパ(サンタナ)」のような等の超定番(昔好きだった曲)や「13.甘い罠(チープ・トリック)」のように今聴くと結構いい曲、まで幅広くセレクションされています。
 後半の極めつけは杉様。


『君は人のために死ねるか』君は人のために死ねるか

2005年7月 9日 (土)

気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ

■ 書籍情報

気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ   【気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ】

  リズ・ダベンポート (著), 平石 律子 (翻訳)
  価格: ¥1,365 (税込)
  草思社(2002/09/07)

 本書は、どうやって仕事に優先順位をつけて時間を効率的に使うか、というタイムマネジメントの技術を、「ぐちゃぐちゃな机を整理する」という分かりやすいテーマを切り口にして解説しているものです。ですので、本書はぐちゃぐちゃになった机の上の書類やら文具やらメモやら何やらを、見栄えよく整頓するための収納法では決してありません。むしろ、優先順位の低い書類を捨てる習慣をどうやって身につけるか、そして、優先順位の低い仕事を切り捨てる習慣をどうやって身につけるか、という方法の解説をしています。
 構成的にも、机の上に空きスペースを作るところから始まって、デスクをコクピットに変え、「管制塔」になるメモ帳をつくり、仕事の優先順位付けを習慣にするところまで、机の上から仕事のやり方まで話が進展していきます。
 「机の上がぐちゃぐちゃ」→「書類の優先付けができない」→「仕事の優先順位付けができない」→「時間に余裕がない」→「机の上がさらにぐちゃぐちゃ」という悪循環から抜け出したい方は、一度読んでみてはいかがでしょうか。


■ 個人的な視点から

 いくつか、タイムマネジメント系の本を読んで感じることは、ほとんどの話は優先順位付けにつきる、ということです。そのやり方は様々で、本書のように「管制塔」となるメモ帳の付け方であったり、ポストイットの使い方であったり、スケジュール帳の使い方であったりと様々なのですが、書類の整理の仕方やメモ帳の付け方を変えただけで、作業スピードが数倍になるということはあり得ないということは共通しています。
 しかし、作業スピードを3倍にすることはできませんが、やる仕事を3分の1に絞り込むことならばできます。つまり、効果的な仕事だけに集中すれば3分の1の時間で大きな成果を上げることができるのです。
 では、どうすれば仕事に当てる時間を絞り込むことができるのでしょうか。一つの方法は、長期の休みを思い切ってとってしまう方法です。仕事に振り向けられる時間の総枠が減ってしまえば、優先度の高いもの以外を切り捨てざるを得なくなります。以前紹介した未来工業ではこのやり方で、一から仕事のやり方の見直しをしたそうです。そうやって、やらなければやらなくても何とかなることを体感してしまえば、思い切って優先度の低いものを切り捨てる習慣がつき、バカンスシーズン明けには仕事の効率が上がっているのではないでしょうか。


■ どんな人にオススメ?

・机の上がぐちゃぐちゃな人。


■ 関連しそうな本

 アレック マッケンジー (著), 倉田 良子 (翻訳) 『時間の罠(タイムトラップ)―タイム・マネジメント20の鉄則』
 行本 明説, 日本タイムマネジメント普及協会 『図解・仕事術 最強の時間力―タイムマネジメントの法則60』
 奥井 規晶 『外資の3倍速仕事術―「できる自分」へのムダ消しレッスン!』
 高橋 伸夫 『できる社員は「やり過ごす」―尻ぬぐい・やり過ごしの凄い働きを発見した』 2005年05月12日


■ 百夜百音

Our Favourite Shop【Our Favourite Shop】 試聴あり The Style Council オリジナル盤発売: 1985

 「スタカン」の愛称で日本でも人気の高い彼らの最高傑作といわれているアルバムです。フリッパーズギターをはじめ、日本にも多くのフォロワーを生みました。
 若者に人気のアーティスト、佐野元春によって、彼らのカバーアルバムも発売されています。「15.Shout to the Top!」や「4.Internationalists」などは日本のファンにもお馴染みです。ただ、日本語版にする過程で「Internationalists」が「Individualists」に変更されるなどの改変があった模様です。


『Cafe Bohemia』Cafe Bohemia

2005年7月 8日 (金)

黒字浮上!最終指令―出向社長奮斗の記録

■ 書籍情報

黒字浮上!最終指令―出向社長奮斗の記録   【黒字浮上!最終指令―出向社長奮斗の記録】

  猿谷 雅治
  価格: ¥1,680 (税込)
  ダイヤモンド社新装版(2003/11)

 本書は、20年間赤字を続けていた子会社に、1年間で黒字浮上するかつぶすかの目途をつける、という使命を負って送り込まれた出向社長が、現有人員、現有設備で黒字基調に浮上させるまでを描いた企業小説です。
 劣悪な作業環境の中で、目が死んでいた社員に対して、新任社長はまず工場内を歩き回り、一人ひとりに話しかけることから始めます。そして、赤字の原因を前工程へ前工程へと押し付けあう管理職たちと夜を徹して徹底的に話し合います。その中で、社員の前で「オレがやる、協力する、明るくする」の3つの方針を語りかけ、折に触れてアピールし続けます。また、「黒字になったらやる」と言って、赤字を理由にカットし続けていた賃金を復元し、劣悪なトイレを改修するなど、身をもって「オレがやる」を実践して示し続けます。
 社長は、社員との情報の共有を進めます。それまでは「業績が悪い。働け。がんばれ。」しか言われてこなかった社員たちは、月1回の朝礼で業績の数字を丁寧に説明する社長の言葉に、次第に熱心に耳を傾けるようになります。そして社内報も発行されるようになります。
 また、社員一人一人に積極的にアイデアを求め続けます。最初は社章やポスターから始まり、自分の意見が無視されないことが分かり始めると、次第に業務改善に関するアイデアが出始めます。
 本書はもちろん小説なので、「そんなに何もかも上手くいくはずがない」と思われる人がいるとは思いますが、一人一人の能力や熱意が発揮され始める姿を見るのはやはり感動的です。


■ 個人的な視点から

 本書は、2年前にある研修で講師の方から奨められていたものですが、2年経ってやっと読むことができました。当時は絶版になっていたようですが、ちょうどその頃に新装版として出版されたようです。
 本書を読んでいて、社長の「沢井」の姿に、なぜだかニセコ町の逢坂町長の顔をダブらせながら読んでしまいました。もちろん、作中で53歳に設定されている沢井社長とは年代も違うのですが、「町長室日記」で毎日職員に語りかけている口調や姿勢と、毎日工場を歩き回り、社員一人ひとりに話しかける沢井社長の姿に共通するものがあるのかもしれません。


■ どんな人にオススメ?

・組織を「燃える組織」に変えたいと思っている人。


■ 関連しそうな本

 柴田 昌治 『なぜ会社は変われないのか―危機突破の風土改革ドラマ』 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532192048/pm100-22/ref=nosim
 中尾 英司 『あきらめの壁をぶち破った人々―日本発チェンジマネジメントの実際』
 安土 敏 『小説スーパーマーケット』 2005年03月08日
 ジョン・P. コッター (著), 梅津 祐良 (翻訳) 『企業変革力』 2005年02月19日


■ 百夜百マンガ

今日から俺は!!【今日から俺は!! 】

 「ヤンキー少年マンガ」といえば、少年マガジンやヤングキングの得意ジャンルですが、少年サンデーでやるとこうなる、という感じです。
 「友情」が強さの秘密の拓(これじゃキン肉マンみたいだ)に対して、頭が切れる三橋の強さがサンデーっぽさなのかも知れません。

2005年7月 7日 (木)

すぐれた意思決定―判断と選択の心理学

■ 書籍情報

すぐれた意思決定―判断と選択の心理学   【すぐれた意思決定―判断と選択の心理学】

  印南 一路
  価格: ¥1,995 (税込)
  中央公論社(1997/06)

 本書は、日本では過小に評価され、公式な教育がほとんど行われていない「意思決定論」について、著者が日米の大学院で教えてきた理論的なバックボーンを踏まえた、実務で使えるテキストです。
 特に重視されているのは、個人や組織が行う意思決定にはどれほど自信過剰やバイアスがあるか、そして、どうすれば、それらを最小にするような態度習慣を身につけることができるか、ということです。
 本書の構成は、3部構成になっています。「第1部 我々と意思決定」では、我々が日々行っている様々な意思決定を意思決定論のフレームに落とし込みます。「第2部 直感的意思決定のおとしあな」では、情報データ、数値データ、記憶情報、推論、直感的な決定ルール、のそれぞれの意思決定に付きまとう「罠」について解説しています。「第3部 高質な意思決定の実現と組織の意思決定」では、「すぐれた意思決定」を行うために必要な態度習慣を身につけるために、
 ・入手不可能な情報と無視しやすい情報に注意する
 ・フィードバックの歪みを知る
 ・後知恵を克服する
の3点を学習することを推奨しています。
 本書は、内容的には難しそうですが、「へぇ~」と思うような実例や質問を多用しているので、電車の中でも気楽に読めます。


■ 個人的な視点から

 「意思決定」という言葉には、「それはリーダーの役目」「自分には関係ない」「下っ端は指示されたことをやるだけ」という先入観を持ちがちですが、本書を読んでの気づきは、私たちの日々の生活は、数え切れないほど無数の意思決定の積み重ねだということです。
 よく「意思決定論はリーダーの必須科目だ」ということが言われます。これは一見もっともらしいことですが、裏返すと「リーダー以外には意思決定論は必要ない」ということを言っています。しかし、体系的に意思決定を学ぶことはリーダーになってからでは遅すぎます。むしろ、子供にこそ意思決定論が必要ではないかと思います。
 例えば、メディアリテラシーについても、局地的にメディアの読み方を学ぶ以前に、人間のものの考え方は様々なバイアスによって影響を受けやすい、ということを学んだ方がすんなり入るのではないでしょうか。同じことには人権教育などにも言えると思います。


■ どんな人にオススメ?

・「自分には意思決定など関係ない」と思っている人。


■ 関連しそうな本

 印南 一路 『すぐれた意思決定―判断と選択の心理学 中公文庫』
 印南 一路 『すぐれた組織の意思決定―組織をいかす戦略と政策』 2005年03月14日
 印南 一路 『ビジネス交渉と意思決定―脱"あいまいさ"の戦略思考』 2005/06/28


■ 百夜百マンガ

ウッシーとの日々【ウッシーとの日々 】

 「comic essay」と銘打たれているとおり、雑誌の1ページ程度のエッセイのような、ほんわか感のある作品です。北海道で「ウッシー」とは言っても本物の牛ではなく、牛柄の犬の名前です。作者(主人公)が心配性で、すぐに「ガーン」とかいって心配モードに入ってしまいます。
 ヘタウマな絵をギャグマンガ以外のローテンションな作品にも拡張したという意味では結構実験的だったような気がします。

2005年7月 6日 (水)

アスクル―顧客と共に"進化"する企業

■ 書籍情報

アスクル―顧客と共に   【アスクル―顧客と共に"進化"する企業】

  井関 利明, 緒方 知行 (著), 『2020AIM』編集部 (編集)
  価格: ¥1,365 (税込)
  PHP研究所(2001/01)

 本書は、今ではオフィスに欠かせない存在となった「アスクル」の、「ビジネス・デザイン」の秘訣を探るものです。
 オフィスで必要になる事務用品やコーヒーまで、注文すれば「明日来る」(実際には「キョウクル」ことも可能な体勢になっていますが)ことで注目されたアスクルですが、決して単なる通販事業者ではありません。「お客様の購買代理業であって、決してメーカーの販売代理業ではない」という信念のもと、「プラス」というメーカーから出発したのにプラス以外のライバル会社の商品も扱い、メーカー中心の「天動説」の発想に対して、顧客中心の「地動説」のビジネスをデザインしています。
 これを、著者の一人である井関教授は、「スイッチボード・ビジネス」と位置づけています。これは、中小オフィスのニーズと商品をつなぐ、というアスクルのビジネスが、多様多彩な、必ずしも大きくないニーズを、数多くの供給サイドと的確につなぐスイッチボード(配電盤、電話交換台)になっていると考えられるからです。
 また、アスクルが持つ、単なるメーカー系の直販事業にはない特徴としては、「エージェント」システムを挙げることができます。これは、(1)新規顧客の開拓、(2)代金の回収の役割を、文具店、文具事務機の販売業者が担うものです。このシステムには、地元の利、人間関係、毎月締めの掛売決済などのメリットがあり、「空中戦(アスクル)と地上戦(歩兵部隊)」に喩えられます。
 「明日来る」を直接支えているのは、強力な物流センターです。デジタルピッキングや商品の重量を利用した検品システムを備えた物流センターは「e-tailing center」と呼ばれ、アスクルの価値生産工場と言うことができます
 しかし、アスクルは物流やコールセンターなどのシステム自体が強みなのではありません。システムは他者も真似ることができますが、アスクルを支える最も重要な経営資源は顧客の声です。「コールセンターからカスタマー・リレーションシップ・センターへ」の掛け声のもと、「トイレット・ペーパーが高い」という顧客の声に応えられることが、文房具屋からの脱皮なのだと語られています。このセンターは、物理的にもセンター、つまりアスクルのオフィスレイアウトの中心に位置し、アスクルという「ラグビーチーム」を支えています。
 最後に、能力をフルに活かせる企業風土もアスクルの大きな資源の一つです。女性の顧客が多いことと、生き生きと働く女性社員が多いこととは、必ずしも無関係ではありません。


■ 個人的な視点から

 札幌市の「ちょっと教えてコール」をはじめ、近年は自治体でもCRM的な取り組みを行うところが増えてきました。ちょうど1年ほど前に、札幌市のコールセンターを見学させていただきました。あらゆる問い合わせに、オペレータ同士が協力し合いながら迅速に回答しているさまは、役所に問い合わせの電話をして、何分も待たされた挙句に「その仕事はうちではない」と言ってたらい回しにされた経験のある人ならば、感動すること間違いありません。これがあるだけでも、「札幌に住みたい」と思わせるのに十分です。このコールセンターには、札幌市外からもかけることができますので、仕事や観光などで札幌に行く用事がある人は、携帯にメモしておくと、いざという時に便利かもしれません。
   札幌市コールセンター「ちょっと教えてコール」
     011-222-4894
   http://www.city.sapporo.jp/callcenter/
 しかし、本書を読んで感じるのは、CRMのシステムだけを導入しても、強みとなる価値は創造できないということです(もちろん全くやらないよりはましですが。)。アスクルの強さは、顧客の声を最重要経営資源と位置づけ、物流も品揃えも含めて全てのサービスを顧客の声からスタートして発想していることです。
 自治体のコールセンターも、単なる苦情処理・広聴窓口として位置づけるか、自治体というサービスをドライブするエンジンとして位置づけるかで、飾り物になるかどうかが大きく差が付くところになると思います。


■ どんな人にオススメ?

・自治体の広聴担当の人。


■ 関連しそうな本

 エリック ブラインジョルフソン, ブライアン カヒン (編著), 室田 泰弘, 平崎 誠司 (翻訳) 『ディジタル・エコノミーを制する知恵』 2005年03月10日
 カール シャピロ, ハル・R. バリアン (著), 千本 倖生, 宮本 喜一 (翻訳) 『「ネットワーク経済」の法則―アトム型産業からビット型産業へ…変革期を生き抜く72の指針』』 
 キム・クラーク, カーリス・ボールドウィン (著), 安藤 晴彦 (翻訳) 『デザイン・ルール―モジュール化パワー』 


■ 百夜百マンガ

新世紀エヴァンゲリオン【新世紀エヴァンゲリオン 】

 かの有名なアニメのマンガ版です。通常、マンガを元にアニメ化・実写化したり、テレビ番組や映画が先行してマンガ化するもの(楳図かずおの「ウルトラマン」など)がありますが、この作品は、マンガの作者がアニメにも深くコミットしている点が特徴です。
 アニメを全部見た人でも、一つのマンガ作品として、また、違いを比べながら楽しめるのではないでしょうか。

2005年7月 5日 (火)

俺たちはこうしてクルマをつくってきた―証言・自動車の世紀

■ 書籍情報

俺たちはこうしてクルマをつくってきた―証言・自動車の世紀   【俺たちはこうしてクルマをつくってきた―証言・自動車の世紀】

  日本経済新聞社 (編集)
  価格: ¥700 (税込)
  日本経済新聞社(2001/08)

 本書は、戦後日本の主要産業として成長した自動車産業の歴史の生き証人とも言える人たちに、戦後の復興から米国車に負けない技術を磨き、貿易摩擦の火種になり、世界的な業界再編に突入するまでを、入念にインタビューしたものです。
 構成は、トヨタ、日産、ホンダの主要3社の勃興期に、どうやって現在の競争力の源であるコア・コンピタンスが形作られてきたのか(トヨタの生産システムや販売力、ホンダの技術力)、また、弱みが形作られてきたのか(日産の労働争議と労使協力路線)を探る第1章。合併や業務提携が繰り返された第一次再編期を描いた第2章。「ブリキの安物」と揶揄された日本車をゼロから足で売り歩き、通商交渉の最重要課題となるまでを描いた第3章。そして自動車産業を支えた「ケイレツ」や二輪車産業を描いた第4章、第5章などとなっています。
 トヨタ自動車では、1950年に人員整理を巡って2ヶ月にわたる大規模な労働争議が起き、2千人以上が退職するという苦い経験を元に、「こんなことは一度でたくさん」と「自分の城は自分で守れ」というトヨタの組織風土が作られました。「負ければもう一度路頭に迷う」という強い危機感がトヨタ生産方式を生む土壌になったことが語られています。
 生産性や職場風土など、一度世界を席巻したという現時点の目だけで語られることも多い自動車業界ですが、世界の市場から歯牙にもかけられなかった時代のこういった経験が今の強さを支えていることに再度目を向けてはいかがでしょうか。


■ 個人的な視点から

 「自動車産業の歴史を語る」という本書の性格上、インタビューに登場される方はお年を召した方が非常に多いのですが、どの方もとても生き生きと、まるで昨日のことのように自分たちの「ウォー・ストーリー」を語っています。長い労働争議や倒産の危機、タフな交渉など、その内容は決して楽しいだけのものではありませんが、自分の仕事に全身で打ち込んできたからこそ、詳細に記憶し、力強く語ることができるのだと思います。
 行政の世界では、過去の手柄話や苦労話は飲み屋で語られることはあっても「素面の時には得意になって話すもんじゃない」、という風潮がありますが、先輩方の戦いの記憶を語ってもらうことは、様々な環境の変わった現在においても、大変役に立つ教訓やヒントが込められているのではないでしょうか。


■ どんな人にオススメ?

・自動車産業の強さの秘密を知りたい人。


■ 関連しそうな本

 ジェフリー・K・ライカー (著), 稲垣 公夫 (翻訳) 『ザ・トヨタウェイ』
 カルロス・ゴーン, フィリップ・リエス 『カルロス・ゴーン経営を語る』 2005/03/05
 相田 洋 『電子立国日本の自叙伝』


■ 百夜百マンガ

青い春―松本大洋短編集【青い春―松本大洋短編集 】

 日常に閉塞感を抱く高校生が、屋上からの手放しや拳銃など、死に直面する姿を描いた作品が目を引きます。
 この年代の松本作品としては入手しやすいのでオススメです。

2005年7月 4日 (月)

マネジャーのための交渉の認知心理学―戦略的思考の処方箋

■ 書籍情報

マネジャーのための交渉の認知心理学―戦略的思考の処方箋   【マネジャーのための交渉の認知心理学―戦略的思考の処方箋】

  マックス H・ベイザーマン (著), マーガレット A・ニール (著), 奥村 哲史
  価格: ¥3,045 (税込)
  白桃書房(1997/01)

 本書は、ノースウェスタン大学ケロッグ・ビジネス・スクールとスタンフォード大学ビジネス・スクールで教えられている交渉論の内容、交渉における合理的思考を、マネジャーなどの実務者向けに噛み砕いて解説したものです。
 構成は以下のような3部構成になっています。
・「第1部 交渉における共通ミス」:交渉において陥りやすいミスを事例を挙げて解説し、二者間交渉における自分自身の意思決定プロセスのチェックを行います。・・・固定パイ幻想、係留効果(アンカリング)、フレーミング、手には入りやすい情報、勝者の呪い、自信過剰
・「第2部 交渉のための合理的なフレームワーク」:交渉の状況を合理的に理解するためのフレームを解説しています。特に交渉で吟味すべき情報として挙げている9つの「処方箋」は重要です。・・・BATNA(交渉が成立しない場合の最善の代替案)、バーゲニング・ゾーン、双方のバイアス
・「第3部 複雑な交渉を単純化する」:複数の相手、案件、制約条件などの複雑な要因を理解するための単純化の方法を解説しています。・・・専門的知識、感情と公平性、多者間交渉、第三者による交渉、競争入札、アクションによる交渉
 本書は、米国の経営書にありがちな冗長な書きぶりもなく、要点を短く、テンポよく、そして具体的な数字を織り交ぜて書かれており、学術書としてではなく、ビジネスマンにも読みやすいものになっています。専門書っぽさを漂わせる値段と出版社に物怖じしてしまいそうですが、特に予備知識がなくても読めるものですので、ぜひ手にとってみてください。


■ 個人的な視点から

 本書は、印南一路氏の『ビジネス交渉と意思決定―脱"あいまいさ"の戦略思考』の参考文献に掲載されていたことがきっかけで購入しました。本書の位置づけは、同じ著者による学術書である『Cognition and Rationality in Negotiation』の一般向け版というものになっています。
 本書で紹介されている9つの処方箋、すなわち、
・処方箋1:現在の交渉相手との合意が成立しない場合、自分はどうするか、を検討せよ。・・・自分のBATNA
・処方箋2:現在の交渉相手が、自分と合意しない場合はどうする気なのかを検討せよ。・・・相手のBATNA
・処方箋3:交渉の本当の問題点を探せ。・・・交渉当事者の利害関係
・処方箋4:ひとつひとつの案件が自分にとってどれくらい重要なのかを検討せよ。・・・自分の利害の相対的重要度
・処方箋5:交渉相手にとっての一つ一つの案件の重要度を検討せよ。・・・相手の利害の相対的重要度
・処方箋6:バーゲニング・ゾーンを検討せよ。・・・バーゲニング・ゾーン
・処方箋7:どこにトレード・オフが存在するか検討せよ。・・・交渉の統合的次元
・処方箋8:次のバイアスによって自分がどれくらい影響されているのかを検討せよ・・・自分のバイアスのチェック
・処方箋9:同じバイアスによって自分の交渉相手がどれくらい影響されているのかを検討せよ。・・・相手のバイアスのチェック
については、交渉を職業としている人は机の上に貼り出しておいてもいいくらいだと思います。


■ どんな人にオススメ?

・交渉を職業としている人。
・自分の身の回りが交渉で溢れていることに気づいた人。


■ 関連しそうな本

 印南 一路 『ビジネス交渉と意思決定―脱"あいまいさ"の戦略思考』 2005/06/28
 Margaret A. Neale (著), Max H. Bazerman (著) 『Cognition and Rationality in Negotiation』
 柳川 範之 『契約と組織の経済学』 2005年02月22日


■ 百夜百マンガ

ドラえもん (第16巻)【ドラえもん (第16巻) 】

 25年後の父親になった自分に会いに行く「りっぱなパパになるぞ!」は、実際にパパになってから読むと身につまされるものがあります。それにしても作中に登場する2002年の世界に比べると現在はそれほど未来的ではないですね。「睡眠圧縮剤」は欲しいですが。
 落語的な展開がさえているのは、「お金なんか大きらい」と「ウルトラよろい」です。ラジオドラマとかにしても面白そうです。
 虐待されている犬と飼い主が入れ替わる「ドロン葉」は、結構泣ける話です。

2005年7月 3日 (日)

世界の奇書・総解説

■ 書籍情報

世界の奇書・総解説   【世界の奇書・総解説】

  
  価格: ¥2,000 (税込)
  自由国民社(1992/11)

 本書は、神話に始まり、博物誌や聖書学、偽書・暗号書、奇想文学から悪魔学、性文学まで、古今東西の「奇書」「珍書」の類を一堂に集めた読書ガイドです。『帝都物語』で知られる博物学者の荒俣宏氏(「トリビアの泉」でいつもうれしそうに笑っているおじさん)も解説に参加していて、『博物誌』や『台湾誌』などの解説を書いています。
 各項の基本的な構成は、数ページの「大要」であらすじなどを紹介した後、若干の「解題」が加えられる、という共通の構成になっています。ところどころに紹介される古い挿絵や写真が、怪しさを醸し出しています。『博物誌』で紹介されている「胴に顔を持つ人間」や「長耳人」「一本足の人間」「象頭人」、『高等魔術の教義と儀式』で紹介されている「魔法陣」、『ムー大陸の子孫たち』の「ムーの装飾文字」、『地獄の辞典』で紹介される数々の禍々しい悪魔の姿など、パラパラと挿絵を眺めているだけでもクラクラと来てしまいそうな胡散臭い絵や写真が満載です。
 本書の構成は、ギリシャやエジプト、バビロニア、インド、北欧など各国の神話を集めた「第1部 神話学」、古代の博物誌や中世の旅行記などを集めた「第2部 博物誌と旅行記」、『死海写本』や外典を紹介する「第3部 聖書学」、世間を騙した大でっち上げや解読されていない暗号を紹介する「第4部 偽書・暗号書」、近世を中心に幻想的な世界を描く「第5部 奇想文学」、錬金術から世界の終末、超古代文明、怪奇現象を紹介する「第6部 疑似科学とオカルト学・予言学」、魔女狩りのマニュアルから悪魔の召喚までを紹介する「第7部 悪魔学」、古代の恋愛指南書・性愛書からサディズム・マゾヒズムの原書、カサノヴァまでを紹介する「第8部 性文学」、これほど怪しげな文献を分類した中でも、まだカテゴリーに収まりきらない奇書を集めた「第9部 その他の奇書」、という構成になっています。
 自宅で読んでいると家族から白い目で見られ、ましてや電車の中で読んでいると周囲に空間ができてしまうかもしれませんが、現代の文学・映画・マンガ・アニメなどで様々に引用されている原典が紹介されていますので、菊地秀行が好きな人は言うに及ばず、『エヴァンゲリオン』や『孔雀王』などが好きな人も本書からは様々な発見があるのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 小学生のときに、チャーチワードの『失われたムー大陸』を紹介している怪しげな超古代文明物の本を夢中になって読んだりした記憶がありますし(オカルト雑誌『ムー』を購読するほどではなかったですが)、『帝都物語』にもはまり、『エヴァ』の再放送を夜更かしして観るなど、本書で紹介されている奇書の二次作品的なものとは接点があるのですが、なかなか原典に当たる機会はありません。そもそも邦訳が出ていなかったり、入手が困難なものも多いようです。
 本書で紹介されいている奇書に一つ一つ当たって行くことは現実的ではないかもしれませんが、文学その他様々な作品を読む上での基礎知識(ずいぶん偏った知識ですが)として、知っておいて損はない内容だと思います。


■ どんな人にオススメ?

・オカルト好きな人(必携)。
・『エヴァ』にはまった人。
・「世界ふしぎ発見」が好きな人。


■ 関連しそうな本

 荒俣 宏 『帝都物語』
 荒俣 宏 『新編 帯をとくフクスケ―複製・偽物図像解読術』
 荒俣 宏 『広告図像の伝説』
 高馬 三良 『山海経―中国古代の神話世界』


■ 百夜百音

ベストアルバム【ベストアルバム】 かまやつひろし オリジナル盤発売: 1987

 「何かに凝る」ということで、ムッシュかまやつ氏の名曲「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」を紹介します。「そうさ何かにこらなくてはダメだ」というムッシュのメッセージは、痺れるほどカッコいいです。オカルトに凝るのが傍から見てカッコいいかどうかは別ですが・・・。
 (試聴もできます。
 関連CDは、歌詞の中に「ゴロワーズ」が出てくるということでパール兄弟の「6.AMのパーク」です。もっとも「語呂ワーズ」だったような気もしますが。

『ブルー・キングダム』ブルー・キングダム

2005年7月 2日 (土)

痛快!コンピュータ学

■ 書籍情報

痛快!コンピュータ学   【痛快!コンピュータ学】

  坂村 健
  価格: ¥1,785 (税込)
  集英社インターナショナル(1999/11)

 本書は、日本のコンピュータ界の権威である著者が、「大学で教えているコンピュータ科学の講義をレベルを下げずに分かりやすく解説する」という無茶なお題にチャレンジしたものです。
 「コンピュータ学」と銘打たれていますが、決してパソコンの解説本ではありません。むしろ、我々が「コンピュータ」という言葉から想像するデスクトップ型やノート型などのパソコンは「あと10年で滅びる?」(本書の出版が1999年ですのであと4年?)とまで言っているくらいです。本書で取り扱う中心は、スーパーコンピュータから携帯電話まで含めた広い概念の「コンピュータ」そのものです。今から6年前の本書が発売された時点でも、我々の生活はコンピュータに囲まれ、コンピュータのない生活など想像もできないものでした。商品についているバーコードを読み取るレジスター、24時間お金が下ろせるATM、ビデオデッキやエアコン、自動車などもコンピュータ無しでは動きません。「コンピュータとは何か」を知らなくても、分厚いマニュアルを読まなくても、快適に生活を送ることができますが、コンピュータの本質や原理を知った上でうまく付き合う方が、より豊かな人生を送ることができる、というのが本書のメッセージです。
 著者はコンピュータを「無色透明の道具」と説明しています。同じコンピュータが計算機やゲームや電話など様々な用途に使われるからです。しかし、この「無色透明さ」がコンピュータを難しいものにしている要因でもあります。コンピュータ以前の発明品、例えば自動車や時計は、中を覗けばその基本原理と実際の働きとの関係を直感的に理解しやすくなっていますが、コンピュータのマザーボードをいくら眺めてもコンピュータの働きは直感的に理解できません(だから昔の映画やアニメに登場する「コンピュータ」は赤や黄色や緑の様々なランプがチカチカ点滅するという映画的な表現をしているとも言えます。)。こうした分かりにくさを「セマンティック・ギャップ」(Smantic:意味的な)と呼ぶそうです。つまり、「一を聞いて十を知る」ことが難しいと言うことです。
 本書では、このギャップを克服するために、情報のコード化から始まり、論理回路の仕組み、アルゴリズムなど、大学の「情報処理論基礎」の講義とも言えそうな内容を図解入りで分かりやすく説明しています。易しく書いたとは言え、ちょっととっつきにくい部分ではありますが、ここを通過すると、CPUやOS、インターネットなど、今コンピュータを使っている人にとっては馴染みのある言葉の意味が非常に理解しやすくなります。
 要所要所に著者が開発した「TRON」というOSの宣伝も出てきますが、「コンピュータとは」から考えて行くと、TRONが欲しくなってしまうかもしれません(実際には多くの人が気づかないうちに複数のTRONを使用しているのですが。)。


■ 個人的な視点から

 個人的には、ミーハーな坂村ファンなので、ユビキタス関係の講演を聴きに行ったり、ノートパソコンに B-Right/Vをインストールしたり、TiPOを使っていたりと、すっかりTRON漬けの生活を一時送っていたのですが、互換性の問題や入力効率の問題などで、あんまり使わなくなってしまいました。(^^;
 B-Right/Vは文書の中に文書をどんどん入れ子状に作成できるので、論文を一から構想するのにはとても便利でした。また、TipoはPDAの形状ながらハイパーメディアを使うことができるので、記憶に近い形で思いついたことをどんどん入力できるのが魅力でした。ただし、キーボードがなくペンによる手書き入力なので入力速度が低く、結局Windows CEが乗ったSigmarionを愛用しています。
 速いCPUにカラーモニターとキーボードが付いた「新TiPO」とかがあれば速攻で買ってしまうのですが・・・。Sigmarionやモバギにインストールできる「超漢字」とかないものでしょうか。クリックすると拡大します。

TRON PROJECT
BTRONとは
通信用語の基礎知識 - #BrainPad TiPO
ハイパーメディア 【hypermedia】


■ どんな人にオススメ?

・コンピュータはブラックボックスだと思っている人。


■ 関連しそうな本

 坂村 健 『痛快!コンピュータ学 集英社文庫』
 相田 洋 『電子立国日本の自叙伝』
 PMC研究所 『はじめてみようBTRON―考えることを助ける国産OS』
 鹿嶋 育朗 『WindowsユーザーのためのB‐right/V入門―発想を形にシンクロするコンピュータ活用術』
 美崎 薫 『TiPO PLUS究極活用術―TiPO TIPS ULTIMATE』
 美崎 薫 『ハイパーメディア徹底活用術―情報が知恵になる』


■ 百夜百音

シングルス【シングルス】 ジューシィ・フルーツ オリジナル盤発売: 1992

 「ジェニーはご機嫌ななめ」は有名なジューシー・フルーツのベストアルバムです。やっぱり前半の近田春夫が手がけた頃が一番勢いがあります。「恋のぼんちシート」の元ネタの「3.恋はベンチシート」も収録。後半の桑田メロディも名曲ですが、バンドの個性としてはやはり弱い感じです。
 何気にShi-ShonenやFair Childの戸田誠司が「9.夢見るシェルター人形(夢見るシャンソン人形)」をプロデュースしています。


『DO DO DO Plus』DO DO DO Plus

2005年7月 1日 (金)

石原都政副知事ノート

■ 書籍情報

石原都政副知事ノート   【石原都政副知事ノート】

  青山 やすし
  価格: ¥777 (税込)
  平凡社(2004/01/21)

 本書は、第1期石原都政で副知事を務めた著者の目から見た石原都政の姿を描いたものです。いくつかの政策や出来事ごとに章を当てる形で構成されています。
 内実話として面白いのは、都職員だった著者の目から見た都知事選挙の分析や、当選者のスケジュールを押さえるために当選に沸く選挙事務所に等から入っていったエピソード等です。一方で副知事選任にまつわる話はそれほどボリュームがありません。以外にこういうことは、本人の与り知らぬところで話が付いてしまうものなのか、ここには書きにくいような裏話がたくさんあったのかはわかりませんが、いずれにせよ、自分の人事に関する話は書きにくいようです。自宅に呼ばれて「森伊蔵」をご馳走になった話のほうが印象に残ったくらいでした。
 本書の構成としては、内実話や石原知事の人物評などは第1章の「石原都政スタート――副知事になる」と第9章の「これからの石原都政――破壊と創造」という巻頭と巻末に集約されています。本書のタイトルから想像されるような「側近から見た石原知事」のような内容はこの辺りだと思ってください。残りの第2章から8章までは、横田飛行場、財政再建、首都再生、災害対策、土地収用、福祉改革、ディーゼル車規制などの政策に関して、著者の目から見た都政の姿が語られています。


■ 個人的な視点から

 個人的に印象に残ったのは、第5章の三宅島噴火のエピソードです。ヘリコプターや揺れる船で現場に乗り込み、最前線で指揮をするリーダーの姿が、臨場感溢れる語り口で述べられており、こちらまでハラハラさせます。
 最近は副知事問題で大揺れに揺れていた石原都政ですが、1千万人都市のリーダーとして、災害などの緊急時には、副知事のリーダーシップの必要性を感じるのかもしれません。
 現在は明治大学公共政策大学院で後進の公務員や政治家の育成に携わられている著者の現役時代の奮闘記は、読む者を奮い立たせます。


■ どんな人にオススメ?

・都民
・都道府県の職員。


■ 関連しそうな本

 佐々木 信夫 『都庁―もうひとつの政府』


■ 百夜百マンガ

T・P(タイムパトロール)ぼん【T・P(タイムパトロール)ぼん 】

 ドラえもんでも歴史上の人物や出来事が出てくることがありますが、ドラえもんと違うのは、歴史を変えてしまわないように任務を果たさなければならないことです。
 歴史上の出来事や物語が題材になっているので、元の話を知っているとより楽しめます。

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