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2005年8月

2005年8月31日 (水)

早朝会議革命~元気企業トリンプの「即断即決」経営

■ 書籍情報

早朝会議革命~元気企業トリンプの「即断即決」経営   【早朝会議革命~元気企業トリンプの「即断即決」経営】

  大久保 隆弘
  価格: ¥1,470 (税込)
  日経BP社(2003/11/04)

 本書は、婦人下着メーカーのトリンプを、日本企業の官僚主義の悪いところばかり持った外資系企業から、全社で課題を共有し、デッドラインを厳守する即断即決の組織風土に変革した、吉越浩一郎社長の「MS会議」を紹介したものです。
 本書の構成は、3部構成になっていて、「第1章 MS会議ライブ」では、毎日開催されているMS会議の内容を全てそのまま掲載しています。もちろん、細かい数字の一部は伏字になっていますが、パワーポイントを使わず手書きのスライドを見ながら、数字の増減の理由の説明を求めたり、デッドラインを守れない社員が叱責されたりという会議のスピード感や緊張感が伝わってくる内容になっています。「第2章 早朝会議の舞台裏」では、ベテラン営業マンや管理職に抜擢された入社6年目の若手など現場の社員のインタビューをおさめています。「第3章 早朝会議革命への道」では、吉越社長が、1986年にマーケティング本部長として入った当時は今では信じられないくらいダメな会社だった(社内のトイレに卑猥な落書きが書いてあるようなモラルや規律の低下した会社だった)トリンプ日本法人を、最初は自部門で会議を開催、次々に他部門のメンバーを引き込み、自らが副社長になってからは全社的な会議として定着させ、社長就任後は会社の重要な意思決定を全て行う会議にしてしまいます。「MS会議」のネーミング自体がMarketing部門とSales部門とのコミュニケーションを密にするために創められた、という由来を表しています。
 毎朝8時半からスタートし、基本的には1時間、案件が多ければさらに(本書で紹介している日は10時まで)続けられるMS会議を始め、トリンプでは社長の定例会議が山のようにあります。本書で紹介されているスケジュールを見ると、月曜日には8:30~9:30のMS会議に続き、10:00~12:00のMM会議、12:30~13:30のEコマース会議、14:00~15:00のダイレクトマーケティング会議、16:00~17:00の通販会議、17:00~18:00のHOM会議、と実に朝から本当に会議が目白押しで、空いた時間は90分しかありません。おそらくこの間の時間では、対外的な電話や面会を処理して行くのでしょうが、恐ろしい集中力です。
 「会議なんて時間の無駄、メールで十分じゃないか」と思う人もたくさんいると思いますが、ぜひ本書に収録されているMS会議のライブ中継を読んで、追体験してみてください。あくびや居眠りが出るような会議しか出たことがない人は、いかに自分が無駄な会議で時間をつぶしてきたかが理解できるのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 これだけ社長が会議にばかり参加していると、「社長を捉まえて説明する暇が無いんじゃないか」と思う方もいらっしゃるかもしれません。特に役所の場合は、いかにトップの時間をとって「レク」を入れるか、が「公務員としての優秀さ」の発揮のしどころだからです。時には、ちょっとの合間でもくちばしを差し込もうと、部屋の前で何人もが説明資料を持ちながら右往左往している姿も目にすることがあります(アイドルや芸人の追っかけがやる「出待ち」を大人がやっているようなもんですね。)。
 しかし、トリンプの場合は、重要な案件を個別に説明する必要はないのかもしれません。密室で物事を決めずに、基本的には全社でオープンに情報共有した中で意思決定するのが同社のスタイルであり、その意思決定の場がMS会議だからです。この会議のスタイルは、形だけならば一見簡単にできそうな気がしますが、この意思決定のスピード感が出るようになるまでは長い時間をかけた組織風土の変革が必要だったと考えられます。だから本書のように、擬似的な生中継を自信を持って外に発信できるのです。本書自体が、「真似できるもんなら真似してみろ」という同社の自信の表れなのだと思います。


■ どんな人にオススメ?

・会議で無駄な時間を費やしている人。
・組織風土を変えたい人。


■ 関連しそうな本

 吉越 浩一郎 『革命社長』
 吉越 浩一郎 『2分以内で仕事は決断しなさい―スピード重視でデキる人になる!』
 柴田 昌治 『なぜ会社は変われないのか―危機突破の風土改革ドラマ』
 中尾 英司 『あきらめの壁をぶち破った人々―日本発チェンジマネジメントの実際』


■ 百夜百マンガ

オフィス北極星【オフィス北極星 】

 アメリカの訴訟社会を描いた作品。『勇午』などで知られる原作者で、やはりスリリングな交渉場面が魅力です。同じ原作者でも作画を担当する人によってイメージが大きく変わりますが、この作品の場合は、クールさが前面に出ます(赤名修だと拷問が、さだやす圭だと気迫が重要な要素になってしまうのですが・・・。)。

2005年8月30日 (火)

稼ぐチームのレシピ

■ 書籍情報

稼ぐチームのレシピ   【稼ぐチームのレシピ】

  キャメルヤマモト
  価格: ¥1,470 (税込)
  日本経済新聞社(2004/01/15)

 本書は、4つに分類したチームをベースに、それらのチームの特性を生かした人材選びやリーダーのタイプなどを解説し、実際のビジネスシーンでの活かし方を説いたものです。
 4つのチームとは、何よりも和を大切にする「和・仲間チーム」、規律を重んじキビキビと動く「仕組み・軍隊チーム」、最先端の価値を生み出し続ける「精鋭・開発チーム」、そして、タレントの創造性で勝負する「変幻・アメーバチーム」に分けられます。これらのチームは、「稼ぐ人中心」か「安い人中心」かというコンピテンシーレベルの高さの軸と、仕組みやプロセスや期待効果に人間を合わせる「仕組み系」かメンバーとの相性という人間的な基準に合わせる「人間系」かという軸との二つの軸によって4分割されます。

        <稼ぐ人中心>
           ↑
  精鋭・開発チーム | 変幻・アメーバチーム
           |
           |
<仕組み系>←――――+――――→<人間系>
           |
           |
 仕組み・軍隊チーム | 和・仲間チーム
           ↓
        <安い人中心>

 これらの軸は、価値判断の基準ではなく、仕組みによって安い人を使って高い価値を生み出す「仕組み・軍隊チーム」の方がグローバル展開などに向いているように、チームの目的との適合性が重要になってきます。
 本書では、これらのチームに向いた人材の組合せを6つの人材像モデルをベースに解説しています。これらは、企業やチームという「箱」との関係から大きく二つに分けることができ、「箱の中で働く人」は、「いい人」、「監督者」、「専門家」の3つに、「箱の外に出ている人材」は、「プロ人材」、「企業化人材」、「経営人材」の3つに分けられます。これらの人材像は固定されたものではなく、業務プロセスに「漬け込む」ことで大きく変化します。
 成果主義やコンピテンシーなど、人材そのものに目を向けた議論が多い中で、チームとしての稼ぐプロセスに目を向けた本書は、多くの人にとって、より現実的な内容なのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 本書の中で紹介されているコラムに、シリコンバレーでコーチングをやっている人の、あるワークショップでのエピソードが紹介されています。担当しているチームで6時間のワークショップをやった際に、そのうちの1時間をメンバーの自己紹介に当てたところ、かなり深い話が出てきて、チームが仲間になる上で効果的だということが、直感的にも、参加者からのフィードバックでもわかった、という話でした。
 これを読んで私は、「これはオフサイトミーティングじゃないか」と思いました。今週も二回くらいオフサイトを開催したのですが、一人10分程度自己紹介をすると、その人がつけている肩書きや立場の説明だけでは3分くらいしか時間が持たず、ぽろぽろとその人が持っている深い話が出てきます。こうしたプロセスを踏んだ後で議論すると、自己紹介なしで2時間議論するよりも、1時間自己紹介して1時間議論した方が、よっぽど本質的な踏み込んだ議論を本音でできるようになります。
 コンピテンシーなど、個人の発揮する能力や成果に着目した議論が多いなか、「チームで稼ぐ」ということにフォーカスした本書は、『稼ぐ人、安い人、余る人』をチームの側から照らしたものではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

・稼ぐチームをつくりたい人。


■ 関連しそうな本

 キャメルヤマモト 『稼ぐ人、安い人、余る人―仕事で幸せになる』 2005年05月24日
 キャメルヤマモト 『コツコツ働いても年収300万、好きな事だけして年収1000万―シリコンバレーで学んだプロの仕事術』
 キャメル・ヤマモト 『人材・組織コンサルタントキャメル・ヤマモトの「体感知」の技法―むずかしい仕事が必ずラクになる』 2005年08月20日


■ 百夜百マンガ

酒場つながりということで・・・【酒場ミモザ 】

 『レモンハート』と古きよき京都をカクテルにしたかのような良質の雰囲気系作品です。学生時代に友人のアパートを訪ねて以来京都はきちんと行っていない(泊まるだけなら先月滋賀に行ったときに駅前に泊まりましたが)のですが、こういうのを読むと、ゆっくり町を歩いてみたくなります。

2005年8月29日 (月)

ボランタリー経済の誕生―自発する経済とコミュニティ

■ 書籍情報

ボランタリー経済の誕生―自発する経済とコミュニティ   【ボランタリー経済の誕生―自発する経済とコミュニティ】

  金子 郁容, 松岡 正剛, 下河辺 淳
  価格: ¥2,940 (税込)
  実業之日本社(1998/01)

 本書は、小さな政府でも福祉国家でもない第三の道である「ボランタリー経済」、すなわちコミュニティに支えられた自発する経済について、著者らによる「ボランタリー・エコノミー研究会」の活動の成果としてまとめられたものです。
 本書の内容は、組織論や国家論、生命科学から日本社会の歴史まで、幅広い分野を縦横無尽に駆け巡り、目次だけ見るととっちらかっているように見えるのですが、これらは「情報」と「編集」と「自発性」という3つの言葉によって結わえられ、実態の見えにくい「ボランタリー経済」というものの姿を浮き上がらせています。
 ボランタリー経済の特徴として、本書では、「ルール」「ロール」「ツール」という3つのキーワードが頻繁に使われ、3回の調査旅行(野沢、桐生、湖北)を含め、様々な事例を読み解く上で「三種の神器」として使用されています。大まかには、ルールは制度に、ロールは組織に、ツールはメディア(=交流のための道具性)にそれぞれ対応しています。日本の伝統文化に当てはめれば、ルールは「もてなし(ホスピタリティ)」に、ロールは「ふるまい(パフォーマンス)」に、ツールは「しつらい(デバイス)」にそれぞれ対応することが述べられています。
 本書は、複数の著者による共同執筆という体裁をとっているため、章によってメインの執筆者の個性が多少出ますが、分担執筆ではなく全体を3人の著者が文責を持つというスタイルのため、多岐にわたる内容にもかかわらず、一冊の本としての統一感を見事に出しています。
 ソーシャル・キャピタルに関心のある方には、ぜひ読み逃してほしくない一冊です。


■ 個人的な視点から

 本書は、400ページに渡る「重たい」本であるにもかかわらず、その内容はあちこちに飛び回り、これ一冊を読んだだけでは全体像をつかみにくものではないかと思います。関連する書籍を全て読んでいったらきりがありませんが、本書を読んで関心を持った分野があれば、文中で紹介されている著者名を頼りに、Amazonか図書館などで検索して読み進める、という方法が現実的ではないかと思います。
 個人的には、取引コスト理論やゲーム理論などは、もともとの自分の領域だったので読みやすかったですが、「講」や「座」、「結」などの日本社会における様々なコミュニティに関する知識が乏しかったので、今後はこの方面を読んでみようかと思っています。


■ どんな人にオススメ?

・ソーシャル・キャピタルに関心のある人


■ 関連しそうな本

 ロバート・D. パットナム (著), 河田 潤一 (翻訳) 『哲学する民主主義―伝統と改革の市民的構造』 2005年03月03日
 今井 賢一, 金子 郁容 『ネットワーク組織論』 2005年03月19日
 オリヴァー・E.ウィリアムソン 『市場と企業組織』 2005年04月19日
 松岡 正剛 『知の編集工学』
 レスター・M. サラモン (著), 入山 映 (翻訳) 『米国の「非営利セクター」入門』 2005年01月25日
 網野 善彦 『日本社会の歴史』


■ 百夜百マンガ

やぶれかぶれ【やぶれかぶれ 】

 連載当時の第1話で、作者が「俺ぁ、選挙に出る!」と編集部で叫んで、みんながずっこける、という場面は記憶に残っているのですが、それ以降は全く読んで記憶がありません。政界の大物達へのインタビューなど、今読んだら面白いと思うのですが、当時はすっかり読み飛ばしていたのだろうと思います。

2005年8月28日 (日)

反秀才論

■ 書籍情報

反秀才論   【反秀才論】

  柘植 俊一
  価格: ¥1,050 (税込)
  岩波書店(2000/05)

 本書は、流体科学の第一人者である著者が、日本を飛び出しNASAで偉大なる「反秀才」たちに出会い、「反秀才」と「秀才」との違いを説き、「秀才」を促成栽培する日本の教育の在り方を論じたものです。
 「反秀才」とは、著者によると、
1.技術より情熱が上回るタイプ
2.頭の「強い」人(秀才が頭の「速い」人であるのに対して)
3.仕上がるのに時間がかかる
という特徴を備えた科学者ということですが、著者はこの「秀才」「反秀才」の概念を、才能を必要とする生き方における、人生に対する二通りの姿勢、というところまで拡張し、昭和30年代の相撲界の人気を二分した、栃錦と若乃花という二人の力士の姿に当てはめたり、ベートーヴェンに当てはめるなどしています。
 本書は、この「反秀才論」を筆頭に、日米で活躍した科学者の目から見た科学や文化、教育に関するエッセイが、独自の語り口で収められています。
 自分が「秀才」だと思う人も「反秀才」だと思う人も、どちらが読んでも面白い本ではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 本書は、単なるエッセイとしても十分楽しめる内容を持っているのですが、内容と同じくらい楽しめるのが、旧制中学のバンカラな雰囲気をもった著者独自の語り口です。本書の中には、断食に関する記述もありますが、武道家でもある著者のキャラクターが、至るところに出ていて、まるで戦前の若き学生が、相部屋の学生寮で深夜まで口角泡を飛ばして議論し、エスカレートして殴り合いのけんかになるんじゃないかとハラハラしてしまう、そんな場に居合わせているかのような錯覚を受けます。
 そんな無骨な昔のエリート臭さが鼻につく方もいるかもしれませんが、読むだけでは殴られることはありませんのでご安心ください。


■ どんな人にオススメ?

・「秀才」にも「反秀才」にもどちらにもオススメです。


■ 関連しそうな本

 柘植 俊一 『反秀才論―NASAの研究生活の中から』
 井口 和基 『柘植の「反秀才論」を読み解く』


■ 百夜百音

センチメンタル【センチメンタル】 井上陽水 オリジナル盤発売: 1972

 「国語辞典をパラパラめくりながら単語を拾い、コードをつけながらメロディーを作る」とか「『氷の世界』の頃までハーモニカを逆さまに吹いていた」など、逸話には欠かない人ですが、小学校6年生くらいのとき、レコードをひたすら聴いてました。
 当時の歌詞カードは、歌詞の上にコードネームが振ってあったのですぐ弾き語りできるようになってましたが、最近はそういうのはないんでしょうね。
 「断絶」「センチメンタル」「氷の世界」とひたすら暗いキーワードばかりがついていて、どのジャケットも気が滅入るんだかふざけてるんだか・・・。


『断絶』断絶

2005年8月27日 (土)

発想法―創造性開発のために

■ 書籍情報

発想法―創造性開発のために   【発想法―創造性開発のために】

  川喜田 二郎
  価格: ¥693 (税込)
  中央公論社(1967/06)

 本書は、「KJ法」の産みの親である川喜田 二郎(=KJ)氏による独創的発想の技術の実技と効用、応用方法、及びその背景にある「野外科学」の思想とを解説したものです。
 KJ法については、多くの企業は自治体などの研修のメニューに含まれていることが多く、研修の場ではいやいやながら、場合によっては結構楽しく、体験したことがある人は多いと思います。しかし、実際に仕事としてKJ法を使いこなしている人は少ないのではないのでしょうか。本書の中でも述べられていますが、『「収拾がつかなくなりはしないか」という恐怖心』があるために、職場においてはブレーンストーミングの発想による多様な提案という吐きだし段階を行いにくい、という理由があるようです。しかし、本書に述べられているようなKJ法の思想と実技を理解すると、そのような心配は無用になる(?)のかもしれません。
 本書の構成は、まずはKJ法の背景となる「野外科学」の思想とその方法の解説の後、まずはKJ法の具体的な手順の解説を行い、KJ法という発想法自体の解説、創造性開発や会議などへの応用が述べられています。
 本書の面白いところは、各章の冒頭には必ず各章の内容をまとめた図解がついていることです。しかも図解の各項目には該当するページが振ってあるために目次としても機能します。本書の中でも図解による読書法が解説されていますが、このような図解があると、後から内容を再確認するときにもとても便利です。
 近年、マインドマップなど様々な図解の手法が静かなブームになっています。その中でも歴史が古く(本書の出版は約40年前!)、多くの人が知っているけれど使いこなすのはなかなか難しいKJ法ですが、本書を読んでその背景を理解すると、KJ法以外の様々な「図解」手法にも応用が利くのではないかと思います。また、単なる図解の技術以上に、「他人の頭を使って考える」技術としてのKJ法は、ファシリテーションを行ううえでも役に立つのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 実際に職場でKJ法をやりにくい理由の一つには、その時間がかかる問題があるのではないかと思います。KJ法を本格的にやろうとすると数時間かかるので、職場でKJ法をやるのはなかなか難しいのが現状です。
 しかし、実は担当者が一人、または上司と二人で「ああでもない、こうでもない」と言って闇雲に長い時間頭を抱えている、という姿はあちこちで見られます。この延べ時間を考えれば、たとえ1~2時間でも数人でKJ法をやってみた方が効率が良いのではないかと思います。実際にはなかなか「やってみよう」と切り出すことが難しいのですが・・・。
 とりあえず現在は、お昼休みに自分の職場や関係する職場の人と一緒に「コーヒーミーティング」というKJ法の簡易版を不定期で開催してみています。昼食をとってから集まるので、実質30分くらいしか時間が取れません。そこで、最初のカードを書くところで、ストップウォッチを使い、「3分以内に一人3件以上」という条件で、最初にとにかく数を出すことで時間の短さを補おうとしています。発散して考えたものを整理するくらいまでしかできませんが、課題を共有するところまではできるのではないかと実験を重ねているところです。


■ どんな人にオススメ?

・発想の技術を習得したい人


■ 関連しそうな本

 梅棹 忠夫 『知的生産の技術』 2005年05月05日
 久恒 啓一 『図で考える人は仕事ができる』 2005年08月13日
 松山 真之助 『マインドマップ読書術―自分ブランドを高め、人生の可能性を広げるノウハウ』 2005年05月01日
 川喜田 二郎 『発想法 (続)』
 加藤 昌治 『考具―考えるための道具、持っていますか?』


■ 百夜百音

SURF PANIC'95【SURF PANIC'95】 The Surf Coasters オリジナル盤発売: 1835

 夏も終わろうとするのに真夏のCDですみません。
 トミカ・プラレールのテーマソング「のりものGOGOパラダイス」で知られる(というより知る人ぞ知る)ポップグループ「デカパンチョ」(1枚目の「サボテンチョップ」には私も洗面器&ベースで1曲だけ参加)が参加しています。「えびす温泉」というオーディション番組の縁のようです。
 やっぱり有名なのは、「Misirlou」です。ラブやんでよく会話に出る「ハニバニ」のネタ元がここにあります。


『Pulp Fiction』Pulp Fiction

2005年8月26日 (金)

組織文化の経営学

■ 書籍情報

組織文化の経営学   【組織文化の経営学】

  高橋 伸夫 (編著)
  価格: ¥3,360 (税込)
  中央経済社(1997/04)

 本書は、「企業」という枠にとどまらず、企業の外の特定顧客層等を含む企業外の組織までを含んだ広い意味の「組織」における文化について論じたものです。
 本書の構成は4部からなり、「第1部 自覚された組織文化」では、多国籍企業や基本企業の現地法人などにおける文化の問題について、「第2部 集団における組織文化」では、文化やコミュニケーションについての過去の研究や集団による問題解決などについて、「第3部 組織論の中の組織文化」では、組織文化に関する研究や組織を取り巻くポリティクス、組織文化とイノベーションについて、「第4部 企業を超える組織文化」では、CIやCS、企業広告といった顧客を初めとするステークホルダーを含んだ広義の組織文化について、それぞれ論じています。
 本書の執筆者は、編著者を含む研究者が3分の1、企業関係者が3分の1、大学院生が3分の1という構成となっていて、それぞれに特徴が出ています。研究者のパートは、手堅くまとまっており安心して読むことができますが、少ない紙幅の中では、過去の学説の紹介と自分の研究のさわりの部分だけを紹介するにとどまり、若干物足りない印象を受けます。企業関係者のパートは、学説の整理などの部分はそこそこに、自分の企業における経験をベースに具体的に実感を持って組織文化の問題を語っており、読み応えという点では一番面白かったのではないかと思います。ただし、学術的な研究の中での位置づけは自分で行わなければならない部分が多くなるようです。大学院生のパートは、自説の展開はなく、過去の研究のサーベイに終始していますが、この分野をこれから研究したいと思っている人にはちょうどいいガイドブックになるのではないかと思います。
 全体的な印象としては、各章のボリュームが若干物足りず、寄せ集めてきな雰囲気が漂いますが、各章で参考文献が紹介されているので、自分の関心のある部分を重点的に読む、という緩急をつければ、次に読み進むステップとしては使えるのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 最近、「成果主義」に関する著書を立て続けに出版し、新聞やビジネス氏などでインタビューやコメントの載ることが多くなっている編著者ですが、本書を含め、非常に「現場」である企業を大事にしている経営学者の一人です。編著者自身が、「趣味は企業の従業員対象のアンケート」と書いているとおり、著者の代表的研究である「ぬるま湯感」や「見通し」、「やり過ごしと尻拭い」などは、膨大なアンケートの分析の中から見出してきたものです。
 本書はそのような研究姿勢を反映し、企業関係者とのCC&C調査(Corporate Communication and Calture調査)という調査をベースにしています。残念ながら、3,360円という値段の割には、各章の当たりハズレが大きいので、丸々一冊お買い得、という感じはありませんが、図書館や古本屋で入手する分には悪くない一冊だと思います。


■ どんな人にオススメ?

・組織文化の問題について過去の研究をざっと追ってみたい人。


■ 関連しそうな本

 高橋 伸夫 『ぬるま湯的経営の研究―人と組織の変化性向』 2005年03月16日
 高橋 伸夫 『日本企業の意思決定原理』
 高橋 伸夫 『虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ』 2005年3月30日
 高橋 伸夫 『できる社員は「やり過ごす」―尻ぬぐい・やり過ごしの凄い働きを発見した』 2005年05月12日


■ 百夜百マンガ

サラリーマン金太郎【サラリーマン金太郎 】

 「スポーツマン金太郎」をもじった思いつきみたいなタイトルですが、読者層の高齢化とに合わせて、少年マンガからサラリーマンマンガに移行しただけで、中身は変わってないです。社長との個人的な関係で入社するあたりも、「釣りバカ日誌」のパクリではなく、昔からの本宮マンガのパターンです。
 ちなみに、市川駅の近くにある有名な「八百屋 銀次郎」を一昨年くらいに見ました。

2005年8月25日 (木)

コミュニティ・オブ・プラクティス―ナレッジ社会の新たな知識形態の実践

■ 書籍情報

コミュニティ・オブ・プラクティス―ナレッジ社会の新たな知識形態の実践   【コミュニティ・オブ・プラクティス―ナレッジ社会の新たな知識形態の実践】

  エティエンヌ・ウェンガー, リチャード・マクダーモット, ウィリアム・M・スナイダー, 櫻井 祐子 (翻訳), 野中 郁次郎(解説), 野村 恭彦 (監修)
  価格: ¥2,940 (税込)
  翔泳社(2002/12)

 本書は主に企業内における「実践コミュニティ」に着目し、その生起から発展と成熟、そして衰退や再生のサイクルを分析し、その「育成」方法について述べたものです。「実践コミュニティ」とは、「あるテーマに関する関心や問題、熱意などを共有し、その分野の知識や技能を、持続的な相互交流を通じて深めていく人々の集団」と定義されています。本書では、クライスラーの「テック・クラブ」の他、ゼロックス、マッキンゼー、シェル石油等の企業における実践コミュニティの実例を紹介しながら、知識を生み出す上で情報システム以上に「人と人をつなげる」ことが重要になることを解説しています。
 実践コミュニティには、「領域、コミュニティ、実践」の3つの要素があります。これらの要素はどれか1つだけ重点的に取り組むのではなく、バランスよく並行して発展させる必要があるとされています。
 実践コミュニティには、「育成」という表現が望ましいことが述べられています。注意深く種を植えて成長を見守る姿勢は、次の「実践コミュニティ育成の七原則」にまとめられています。
 1.進化を前提とした設計を行う
   ―――コミュニティの発展に触媒作用を及ぼすような方法で設計要素を組み合わせる。
 2.内部と外部それぞれの視点を取り入れる
   ―――コミュニティの本質を見抜き、知識を開発し世話する潜在能力の有無を理解する
 3.様々なレベルの参加を奨励する
   ―――「コーディネーター」「コア・グループ」「アクティブ・グループ」も重要だが、「周辺グループ」の参加が重要な特質になっている。
 4.公と私それぞれのコミュニティ空間を作る
   ―――公共空間(会合、ウェブサイト)と私的空間(一対一の人脈)は相互に影響を及ぼしあう。
 5.価値に焦点を当てる
   ―――メンバーに価値をはっきりと言葉に表すよう絶えず働きかける。
 6.親近感と刺激とを組み合わせる
   ―――おなじみのイベントと刺激的なイベントを組み合わせる。
 7.コミュニティのリズムを生み出す
   ―――発展の各段階にふさわしいリズムを見つけることが、コミュニティ開発の鍵になる。
 実践コミュニティの発展には段階があり、大きくは初期段階と成熟段階にわけられます。初期段階はさらに「潜在」(発見/想像)と「結託」(孵化させる/今すぐ価値をもたらす)に分けることができ、成熟段階は、「成熟」(集中/拡張)と「維持・向上」(所有/受容性)、「変容」(終わらせる/存続させる)に分けることができます。それぞれの発展段階には、「二つの相反する方向性の間の、緊張関係」とされる問題点が説明されています。このコミュニティ発展の各段階は、あくまで典型ですが、比較的わかりやすいものではないかと思います。
 インターネットによって、地域の壁を越えたコミュニティが構築しやすくなった現在、発展するコミュニティと発展しないコミュニティがなぜ存在するのか、コミュニティが変容してしまうのはなぜか、という問題に直面することも多くなりましたが、これらの問題を客観視するためのガイドに本書はなりうるのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 本書を手にしたきっかけは、このblog/メルマガを設置しているサーバーの大家に当たる「行政経営フォーラム」(http://www.pm-forum.org/)のML上で、紹介されていたことがきっかけです。この行政経営フォーラム自体が、「実践コミュニティ」としての性格を持った会員数500名くらいの団体で、現在設立から8年目を迎えています。
 本書は、このようなコミュニティを読み解く上で重要な示唆を与えてくれます。「潜在→結託→成熟→維持・向上→変容」というコミュニティの発展段階の分析は、かなり当てはまるように思われますし、「ROM」と言われるMLで発言しないメンバーが多いことも、実践コミュニティの重要な特性であるとの説明が当てはまるようです。
 従来の組織の枠を超えたコミュニティに重複して参加している人が増えていますが、本書はこのような組織の運営を考える上で大変有用な一冊なのではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

・従来の組織の枠を超えたコミュニティに参加している人。


■ 関連しそうな本

 野中 郁次郎 『知識創造の経営―日本企業のエピステモロジー』 2005年03月02日
 野中 郁次郎, 竹内 弘高 (著), 梅本 勝博 (翻訳) 『知識創造企業』
 野中 郁次郎, 紺野 登 『知識経営のすすめ―ナレッジマネジメントとその時代』


■ 百夜百マンガ

票田のトラクター【票田のトラクター 】

 テレビニュースは衆院選の話題で持ちきりですが、一昔前の政界の様子を伝えてくれるのがこの作品です。
 生臭い政治の世界を描いていますが、ほのぼのとした作画のおかげでドタバタした政局を楽しむことができます。

2005年8月24日 (水)

行政評価―スマート・ローカル・ガバメント

■ 書籍情報

行政評価―スマート・ローカル・ガバメント   【行政評価―スマート・ローカル・ガバメント】

  島田 晴雄, 三菱総合研究所政策研究部
  価格: ¥1,890 (税込)
  東洋経済新報社(1999/12)

 本書は、「行政評価」という言葉がまだ一般的でなかった1999年に出版されたもので、当時の行政評価を巡る状況や手法などが丁寧に網羅されています。島田氏は序章の総論を書いているだけで、基本的にはシンクタンクらしいソツのない一冊にまとまっていると言うことができます。
 本書の構成は、島田氏による総論のほかは、理念編、現状編、実践編の3編に分かれており、理念編では地方自治体の現状と行政評価を用いた成果重視の行政の必要性を、現状編ではアメリカ・イギリスの取り組みと日本の先進事例として三重県・北海道・静岡県の取り組みを、実践編では行政評価の原則や限界に加え評価システムの設計について解説しています。
 本書に先立つ約1年半前に『「行政評価」の時代』が出版され、徐々に「行政評価」や「政策評価」、「事務事業評価」という言葉が一般化し始めた時期でした。まだこれらの言葉は混同して使われ、行政学や経営学など様々な分野からアプローチされていたために、たまたま手に取った一冊によって大きくイメージが異なったものになり、議論が噛み合わない時期でもありました。
 そんな中で本書は、巻頭言を経済学者である島田氏が担当したことに象徴されるように、一歩引いたニュートラルな視点からまとめられています。当時は、「何から読んだらいいか」と聞かれると、仕事として概要を押さえたい人には本書を、改革の情熱を持った個人には『「行政評価」の時代』を奨めていました。


■ 個人的な視点から

 本書が出版された1999年頃は、行政評価の研究のために関連書籍を集めた時期でした。本書もたしか八重洲のブックセンターで買ったのではないかと思います。
 この時期は、上記のように色々な分野から行政評価に関する書籍が並び始めた頃でした。八重洲のブックセンターで「行政評価」や「NPM」というキーワードに関係する新刊が出ると端から買っていましたが、それでもまだ読むほうが早いようなくらいのペースでした。後から考えると、この当時は行政評価やNPMに関する論文が各種雑誌に競って載り始めた時期で単行本として出版されるのはもう少し後になってからでした。
 その後、2002年くらいになると出版ラッシュになり、読むほうが追いつかなくなりました。最近一段落したようなので、当時読めなかった本もフォローしていきたいと思います。


■ どんな人にオススメ?

・「行政評価」ブームの背景を知りたい人。


■ 関連しそうな本

 上山 信一 『「行政評価」の時代―経営と顧客の視点から』 2005年01月21日
 上山 信一, 玉村 雅敏, 伊関 友伸 (編) 『実践・行政評価―事例、解説、そしてQ&A』
 上山 信一, 伊関 友伸 『自治体再生戦略―行政評価と経営改革』 2005/04/30


■ 百夜百マンガ

風のシルフィード【風のシルフィード 】

 同じ競馬マンガでも、人間から引き離した存在として描いている『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』と比較して、馬の感情部分を大きく描いています。擬人化が一番著しい?と言えば、うんこたれ蔵にはかないませんが。

2005年8月23日 (火)

CHO―最高人事責任者が会社を変える

■ 書籍情報

CHO―最高人事責任者が会社を変える   【CHO―最高人事責任者が会社を変える】

  金井 寿宏, 守島 基博(編著), 原井 新介, 須東 朋広, 出馬 幹也(著)
  価格: ¥2,940 (税込)
  東洋経済新報社(2004/05)

 本書は、2003年度に20回開催された約100社の人事関係者によるCHO(チーフ・ヒューマン・オフィサー)研究会の成果をベースに、人事と経営という視点を世に問うべく出版されたものです。
 構成としては、編著者の2人が巻頭と巻末に、「第1章 これまでの人事からこれからの人事へ」、「第2章 これからの人事がもたらすべきもの:CHOの役割」(以上金井)と「第8章 人材マネジメントのバリューチェーンとCHO」(守島)を執筆しています。若干総論的な感じがしますが、より深く読みたいと思った方は、『会社の元気は人事がつくる』や『組織行動の考え方』等に読み進んでもいいでしょう。本書の中核部分は3人の著者らによって分担して執筆されていますが、主として人事部分や組織風土への関心が強い原井氏のパート(第3章~第4章)と、それ以外の2人のパート(第6章、第7章)とのギャップが大きいように感じました。もう少し「相互乗り入れ」的な叩き合いによる編集があったほうが読みやすいものになったのではないかと思います。
 個別に見ると、第3章で挙げられている様々な人事施策への評価、「警察人事/放任人事」、「問答無用人事/鎖国人事」などや、第7章で挙げられているの人材要件、すなわち「(1)経営に対する理解、(2)人的資源に対する本質的な理解、(3)経営と人的資源の統合とバランス」や船のメタファーなど各章としては面白いところはたくさんあるのですが、本全体としてのメッセージが弱い気がします。
 人事担当者や経営者にとってはヒントがたくさん含まれているのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 「CHO」という概念自体が多角的に見ることができる部分があるためかと思いますが、「群盲、象を撫でる」の話のように、編著者を含め、「それぞれが色々なことを言っている」ように伝わってしまうのはもったいないかもしれません。「CHO」をキーワードにした論説集的なものになってしまい、一冊の本としての一体感が弱いように感じました。各章でそれぞれ書かれている内容はそれなりに面白いものがあっただけに残念なところです。
 逆に、同じ原井氏の著作である『キャリア・コンピテンシー・マネジメント』は、著者のメッセージが全編を貫かれていて非常に読みやすかったと記憶しています。この辺りは、企画段階での打ち合わせや編集者の力量が現れる部分なのかもしれません。


■ どんな人にオススメ?

・人事関係者や経営者


■ 関連しそうな本

 原井 新介 『キャリア・コンピテンシー・マネジメント―どうすれば人材のミスマッチは防げるのか』
 金井 寿宏, 高橋 潔, 守島 基博 『会社の元気は人事がつくる―企業変革を生み出すHRM』
 金井 寿宏, 高橋 潔 (著) 『組織行動の考え方―ひとを活かし組織力を高める9つのキーコンセプト』 2005年04月27日
 守島 基博 『人材マネジメント入門』 2005年04月18日


■ 百夜百マンガ

うわさの姫子【うわさの姫子 】

 小学校の学習雑誌に連載していました。「おはよう姫子」というのもありましたが、どちらかが私が生まれて初めて読んだ少女漫画ということになるでしょう。「あさりちゃん」は少女漫画のカテゴリーに入るか不明ですし。

2005年8月22日 (月)

地方自治体の2007年問題-大量退職時代のアウトソーシング・市場化テスト-

■ 書籍情報

地方自治体の2007年問題-大量退職時代のアウトソーシング・市場化テスト-   【地方自治体の2007年問題-大量退職時代のアウトソーシング・市場化テスト-】

  南 学, 小島 卓弥 編著
  価格: ¥2,310 (税込)
  官公庁通信社(2005/08/01)

 本書は、2007年前後に自治体から団塊の世代の職員が大量に退職する「2007年問題」を契機に、新たに職員を雇用して補充すべきか、現在自治体職員が直接行っている業務を見直してアウトソーシングなどによって対応すべきかを、ABC(activity-Based Costing: 活動基準原価計算)によって官民のコスト比較をすることで考えるということを解説しているものです。
 編著者の二人は、自治体の様々なコストをABCで分析してきた先駆者であり、2003年には『行政経営革命―「自治体ABC」によるコスト把握』を出版されています。全国の自治体で、2007年問題への最終決断、「直営か、委託か、ご注文はどっち?」という選択に迫られる今(採用するには前年に採用試験を行う必要があります。)、大切なことは「委託するかどうか」を考えることではなく、人件費も含めた事業全体のトータルコストと住民サービスのレベルとのバランスで考えることであり、コストの把握には行政の予算書には現れてこない間接コストをきちんと計上するABCが欠かせないことが主張されています。
 本書は、経済産業省の「行政サービスの外部委託に関するビジネスプラン研究会」の研究成果がベースになっていて、研究会メンバーによる第6章の46ページに及ぶロング座談会も収録されています。この座談会は、ちょうど行政経営フォーラムのメンバーがほとんどとなっていますが、自治体職員の中でも飛びぬけた個性と行動力を持ち合わせた皆さんで、読み応えは十分です。
 本書の構成は、行政アウトソーシング総論である第1章、自治体ABCやABM(Activity-Based Management)の総論である第2章の後、第3章ではアウトソーシングにおける個別問題として、行政コストの可視化、入札制度、「公権力」行使、議会や組合など「水面下」の阻害要因、情報セキュリティの問題が議論されます。第4章~第5章では、各論的な問題として「SLA(Service Level Agreement:総合評価による契約)」と市場化テストについて解説されています。前述の第6章の座談会に続き、第7章では改革を成功に導くために不可欠な職員のプロ意識など、制度中心ではない現場からの発想の重要性が述べられています。
 本書は、定員管理や市場化テスト、指定管理者制度など、2007年問題に直結する業務に携わる自治体職員はもちろんのこと、税金を原資に活動する職員、すなわち全ての自治体や国の職員にぜひ読んでいただきたいとともに、自分が払っている税金がどう使われるかを知りたい住民や、アウトソーシングをビジネスチャンスにしたいビジネスマンにもオススメです。


■ 個人的な視点から

 昔から役所でも、「事業の費用対効果を考えろ」ということが言われます。しかし、それは予算書に見えるだけの金額をベースにした議論であったことが少なくありませんでした。例えば、「業者に委託する費用を節約するために職員自身によって○○しました。」という類のものです。これは、職員の人件費は事業予算としては現れないことから起こる誤解です。一つには、職員の人件費自体が高いという問題もありますが、熟練や規模の経済による作業効率の向上などの分業のメリットを行かせないことを考えても、上記の議論がいかにナンセンスなものかがお分かりになるかと思います。
 もちろん、職員の数はそのままで、面倒な仕事だけ外部に委託していたら純粋なコストアップになる可能性も否定できませんし、意識改革を目的としたトイレ掃除のようなケースもあります。しかし、これらの議論がごっちゃになってしまうのは、人件費も含めた活動自体のトータルなコストを把握していないことが原因の一つです。
 必ずしも全ての事業のトータルコストを算出せよ、というものではありません(算出自体にコストがかかりすぎます)が、「費用対効果」というものを考える上では、ABCの手法を抜きにして考えることは難しいのではないかと考えます。


■ どんな人にオススメ?

・全ての自治体職員
・税金の使われ方をきちんと知りたい人
・アウトソーシングをビジネスチャンスにしたい人


■ 関連しそうな本

 南 学 (編著) 『行政経営革命―「自治体ABC」によるコスト把握』
 桜内 文城 『公会計革命―「国ナビ」が変える日本の財政戦略』 2005年02月28日


■ 百夜百マンガ

押忍空手部【押忍空手部 】

 対決相手がドンドングレードアップして最後は日本社会を裏から操る大ボスと対戦したりする、「少年ジャンプ」ではお馴染みの「強さのインフレ」現象にバッチリはまった、「青年誌に掲載された少年漫画」です。
 絵柄だけは劇画調(主人公の髪型は「ダブルモヒカン」というそうです。)ですが、中身は少年漫画だと思って読みましょう。

2005年8月21日 (日)

電脳血風録

■ 書籍情報

電脳血風録   【電脳血風録】

  勝谷 誠彦
  価格: ¥1,575 (税込)
  日経BP社(2004/08/26)

 本書は、「やじうまプラス」などのワイドショーや、懐かしい「トゥナイト」でお馴染みのコラムニストである著者が、パソコンやネット(特にYahooBB)と悪戦苦闘するさまを赤裸々に描いた『日経パソコン』の人気連載を単行本化したものです。
 本書の主役は本来であれば著者である勝谷氏とパソコンであるわけですが、読者が一番楽しみにしているのは、日経パソコン編集部の担当編集者「S嬢」です。その証拠に、表紙の勝谷氏の側頭部から延びているケーブルは裏表紙の黒衣を着たS嬢のゲームコントローラーにつながっています。「トゥナイト」の勝谷氏が「○嬢」と書くと風俗レポートのようですが、本書は、「勝谷レポーターによるIT誌編集部レポート」というところが面白さの一つになっています(『日経エロサイト』誌の初代編集長の椅子が確定しているYデスクのエピソードは編集部レポートそのものです。)。
 「電脳三歳児」を自称する著者の数々の失敗体験は、32メガの添付ファイル、ウインドウズアップデート放置、どこでも仕事用うメアドを使いまくってスパムの嵐、など、まさに「三歳児」という名前にふさわしいものばかりですが、著者が欠かさずつけている日記(「勝谷誠彦の××な日々。」)を毎日朝10時までに更新するための数々の無茶は一見の価値ありです。旅先で携帯で接続して更新、などは序の口で、山の上は携帯がうまくつながらない、フィリピンのネットカフェから、戦乱のサマワから衛星回線で更新、など、モバイラーには役に立つかもしれない数々のチャレンジが収録されています。
 読書からは何か役に立つものを得たい、という人には向かないかもしれませんが、笑いたい人にはオススメです。でも「電脳三歳児」及び「身近(例えば600m以内)に電脳三歳児がいる人」には笑えないことばかりかもしれませんが・・・。


■ 個人的な視点から

 「パソコンの知識はサル並み」の著者と編集者の絡みが面白いコラム、というとまず浮かぶのが、漫画家いしかわじゅん氏がパソコン屋に行って何か周辺機器を買ってきてはパソコンが起動しなくなり、担当編集者と四苦八苦する、という『だってサルなんだもん』(略称:だサル)です。こちらの編集者は、パソコン誌らしくちょっと変わった(偏見?)人で、パソコン以外は常識人の著者の目線から、編集者を面白おかしく書いていますが、『電脳~』の場合は、常軌を逸した著者と常識人の「S嬢」という対比で書かれてます。この辺りが、観察眼が命の漫画家と、「観察眼+自身のキャラ」が売りであるコラムニストの違いなのかもしれません。表紙で著者が鉢巻に書いている「さる」は、「さるさる日記」が表の意味なのでしょうが、「だサル」にもかけているのでしょうか。
 関係ありませんが、いしかわ氏が表紙イラストを書いていた『サルパソ』という雑誌があり、サークルの先輩が「サルでもわかるDTM講座」というのを連載していました。
 アスキーつながりだと、本書の著者の「知識もないのにマニア志向。」なところは、「東京トホホ会」の会員資格として十分ではないかと思います。よせばいいのに「カツヤオリジナルモデル」の自作機のくだりは、組み立てに付き合わされたS嬢の苦労がしのばれます。


■ どんな人にオススメ?

・「電脳三歳児」に悩まされている人
・さるさる日記を読んでいる人


■ 関連しそうな本

 いしかわじゅん 『だってサルなんだもん』
 金井 哲夫, 秋元 きつね 『東京トホホ会』


■ 百夜百音

11PMのテーマ【11PMのテーマ】 三保敬太郎 オリジナル盤発売: 2000

 深夜番組のテーマ曲といえばこの曲。シャバダバシャバダバ~。後は所ジョージの「正気のサタデーナイト」とかでしょうか。
 関西方面の人は、「September」を思い出すのかもしれません。


『Earth Wind & Fire - Greatest Hits』Earth Wind & Fire - Greatest Hits

2005年8月20日 (土)

人材・組織コンサルタントキャメル・ヤマモトの「体感知」の技法―むずかしい仕事が必ずラクになる

■ 書籍情報

人材・組織コンサルタントキャメル・ヤマモトの「体感知」の技法―むずかしい仕事が必ずラクになる   【人材・組織コンサルタントキャメル・ヤマモトの「体感知」の技法―むずかしい仕事が必ずラクになる】

  キャメル・ヤマモト
  価格: ¥1,470 (税込)
  海竜社(2005/04)

 本書は、外交官としてエジプトなどで勤務した後、現在は人材・組織コンサルタントとして活躍する著者が、十年以上前にまとめた「体感知」という考えを元に、人生の様々な場面での「体感知」の活かし方を述べているものです。
 「体感知」とは、著者による造語で、受身的な観察によって「身体としての脳」の感覚を研ぎ澄ますことで、あるべき姿と現実とのギャップを埋める問題解決能力を高める技、と説明されています。
 「体感知」には3つのステップがあり、
・第1のステップ:全体をぼんやりつかむ、なんとなくわかる、では、自分がぼんやりとわかっていることを自覚しながら全体のイメージを捉える。
・第2のステップ:分析的に、割り稽古ふうにわかる、では、自分がわかる大きさまで分解してデジタル的につかむ。
・第3のステップ:体全体で仕組みがつかめる、本当にわかる、では、ある日突然すっと自転車に乗れるように、こまごまとしたことに煩わされずに流れができる。
という段階を経て、体内頭脳が開花するようになります。
 本書では、この体感知を、自分らしさを活かす「場」の見つけ方や、自分の過去の振り返り、表現などのクリエイティブの方向や、人間関係や感情、恋愛などへの活用が述べられています。
 本書を読んだだけで、「体感知」の技法をマスターできるというものではありませんが、誰もが自然に使っている「体感知」を意識的にコントロールできるようになることは、勉強も含めて物事の上達の秘訣かもしれません。


■ 個人的な視点から

 『稼ぐ人、安い人、余る人』のベストセラーで知られる著者は、人材・組織コンサルタントという職業もあいまって、ゴリゴリの市場主義的な人材獲得競争の本を書く人、というイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、著者は元々は自分の息子のために教育関係の本を書くことを企画していたところ、それでは売れないのでビジネスマン向けのものを、ということで『稼ぐ人~』を執筆したと書いています。そのため、『稼ぐ人~』で紹介されている「7つの才」は、よく読めば必ずしもビジネスマンに限らない話だということがわかると思います。その意味で、本書は元々著者が書きたかった「7つの才」の根底の部分をまとめたものに当たるのではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

・物事の上達の秘訣を身につけたい人。


■ 関連しそうな本

 キャメルヤマモト 『稼ぐ人、安い人、余る人―仕事で幸せになる』 2005年05月24日
 キャメルヤマモト 『コツコツ働いても年収300万、好きな事だけして年収1000万―シリコンバレーで学んだプロの仕事術』
 M. チクセントミハイ (著), 今村 浩明 (翻訳) 『楽しみの社会学』 2005年02月08日
 斎藤 孝 『「できる人」はどこがちがうのか』 2005年05月14日


■ 百夜百音

COSMIC WORDS【COSMIC WORDS】 (試聴あり) 鈴木 賢司 オリジナル盤発売: 1986

 中高生時代にギターを一生懸命練習してました。特に、コピーしていたのがこの作品。全曲ギターメインのインストでしたが、学ランにギター一本でステージに立つ鈴木賢司はギター少年の憧れでした。中でも、M2の「理由なき反抗」は何度も何度も練習しました。また、他のアルバムの「BATTERY CHECH OK!!」はBPM180でスケール練習のようにひたすら16分音符を弾きまくる、という無茶な曲で、遅いテンポのリズムマシンに合わせて練習しました。
 中学校や高校で部活動をやる大きな意味の一つに、スポーツでも楽器でも何でもいいので「上達のコツをつかむ」というものがあるのではないかと思います。
 なお、鈴木賢司は、坂本龍一のアルバムなどに参加していましたが、後にロンドンに渡り、Kenji Jammerを名乗ってSIMPLY REDなどで活動されてます。


『未来派野郎』未来派野郎

2005年8月19日 (金)

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学

■ 書籍情報

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学   【さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学】

  山田 真哉
  価格: ¥735 (税込)
  光文社(2005/02/16)

 本書は、世の中の物事を会計の視点で考えてみる、というもので、決して「さおだけ屋」の経営ノウハウの伝授や裏話の暴露が載っているわけではありません。「さおだけ屋」は、本書で紹介されているいくつかのエピソードのうち、最もインパクトが強い、という理由で最終的にタイトルに決まったにすぎず、おそらく副題の「身近な疑問からはじめる会計学」が本書の仮題だったのではないかと思います。エピローグにある出版社とのやり取りに「難しい入門書と一般の人とのあいだを埋めるような本を作ってほしいのです」という辺りから考えると、この副題が本当のタイトルなのではないかという思いを強くします。それにしても「さおだけ屋」という言葉が持っている、頭の片隅に残る「粘り」がヒットの大きな要因ではないでしょうか。著者の
blogによると、8月16日で20刷90万部になったそうです。

「『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』100万部?日記」

 本書で紹介されているエピソードは、「さおだけ屋」が利益を出している(事業が継続している)のは「売上を増やす」か「費用を減らす」のどちらか、という話から、ベッドタウンのマンションにある高級フランス料理店の謎、在庫が山積みでどう見ても客が入っているようには見えない自然食品店、毎回割り勘役を買って出る人が決まっているのはなぜか、など、誰もが身近に疑問に思うことを会計学の考え方で解説しています。
 本書の一番のメッセージは、「会計に必要なのは数字のセンス」という第7章です。会計学というと、1円単位までキッチリ計算する算盤上手な人をイメージする人が多いかもしれませんが、必要なものは、数学が得意なことではなく数字を大雑把に見てその意味を理解するセンスの方のようです。
 1円単位まで数字のつじつま合わせをする「大福帳会計」は得意でも、会計のセンスは皆無な人が多い公務員にはぜひ読んでもらいたい一冊です。


■ 個人的な視点から

 本書は、2月に開催された松山真之助さんのマインドマップセミナーで紹介されていたもので、気にはなっていたのですが、半年たってやっと読むことができました。セミナーの中で、本書をマインドマップにして紹介していたので、本書の大まかな内容、少なくとも「さおだけ屋」開業支援のノウハウ本ではないかとは分かっていましたが、それにしても読みやすかったです。
 さて、「身近な疑問からはじめる○○学」というフォーマットは、結構他の分野にも応用可能ではないかと思います。例えば、ゲーム理論は昔からその傾向があり、『ビジネス・エコノミクス』なんかも類書なのではないかと思います。「○○学」の体系で頭に入っているものを翻訳する作業というのは相当頭を使うものだとは思いますが、「難しい入門書と一般の人とのあいだを埋めるような本」というフォーマットに当てはめて行くと、量産も可能ではないでしょうか。「身近な疑問からはじめるマクロ経済学」とかは難しいかもしれませんが・・・。


■ どんな人にオススメ?

・数字は得意だけど数字のセンスには自信がない、という方。


■ 関連しそうな本

 桜内 文城 『公会計革命―「国ナビ」が変える日本の財政戦略』 2005年02月28日
 松山 真之助 『マインドマップ読書術―自分ブランドを高め、人生の可能性を広げるノウハウ』 2005年05月01日
 アビナッシュ ディキシット (著), バリー ネイルバフ (著), 菅野 隆 (翻訳), 嶋津 祐一 (翻訳) 『戦略的思考とは何か―エール大学式「ゲーム理論」の発想法』 2005年01月31日
 松井 彰彦, 清水 武治 『ゲーム理論―どんなケースでも「最高の選択」ができる"勝つための戦略"』 2005年08月12日
 伊藤 元重 『ビジネス・エコノミクス』 2005年02月18日
 山田 真哉 『女子大生会計士の事件簿』


■ 百夜百マンガ

金田一少年の事件簿【金田一少年の事件簿 】

 『さおだけ屋~』の著者が、『女子大生会計士の事件簿』という本を出しているので、つい出来心で紹介してしまいました。昔は推理小説というジャンルは小中高生の定番だった(ドラえもんでもシャーロック・ホームズネタが出てきますし)のですが、いつの間にか読者層が高年齢化したような気がします。読者を引き戻すという意味では『金田一少年』をきっかけに推理小説にはまっていった人がいれば、それなりの貢献があったのではないかと思います。

2005年8月18日 (木)

Google―なぜグーグルは創業6年で世界企業になったのか

■ 書籍情報

Google―なぜグーグルは創業6年で世界企業になったのか   【Google―なぜグーグルは創業6年で世界企業になったのか】

  嶋田 淑之, 中村 元一
  価格: ¥1,680 (税込)
  毎日コミュニケーションズ(2004/12)

 本書は、1998年に創業以来急成長を続け、2004年8月19日(ちょうど1年前の明日)にナスダックに上場、フォードやGMを超える時価総額となったGoogleの成長の秘密を解き明かすものです。と言っても、本書を読めば誰もが同じように「ストックオプションでお金持ち」になれるというものではありませんし、第二のGoogleをつくることができると言うものではありません。あえて言えば、戦略論の立場からGoogleを見る、といった本だというところでしょうか。
 本書は二人の著者の手によって執筆されていますが、まえがきによると、第1章から第6章までが読み物的なGoogleの紹介編、第7章~第8章が理論編とされています。おそらく、6章までが嶋田氏、7章以降が中村氏という構成なのではないかと推測されます。
 第1章が「Googleの基礎知識」的な会社概要で、個人的には「google」の語源が10の百乗を表す「googol」をもじったものであることを初めて知りました(ちなみにgoogleで「googol」という言葉を検索すると「計算機能」によって「1 googol = 1.0 × 10^100」であることが表示されます。)。

「グーゴル - Wikipedia」

 第2章は、Googleの日本法人で働く社員へのインタビューをベースに書かれています。「朝早く出社して夕方からはスポーツに打ち込む」「職場ではマッサージが無料でお菓子が食べ放題」など社員の生活が紹介され、アマゾンのカスタマー・レビューで最も酷評されている章でもあります。しかし、キャリアデザインやワーク・ライフ・バランス、組織風土の問題に関心のある人にとっては、ヒントになる事柄が詰まっているのではないかと思います。
 第3章から第6章までは、雑誌記事などにあるような「ビジネス読み物」的なGoogleの紹介がされています。個人的に「へえ~」と思ったのは、「Google Labs」(ヘビーユーザーによる実験場)、「統制の行き届いた創造性」、「20%ルール」などでした。
 第7章~第8章は、戦略論の立場から見た、Googleのコンピタンス分析と戦略課題の分析です。こちらは一転して教科書的な内容になり、実務の人は関心が湧かないかもしれません。戦略論のゼミでGoogleを取り上げた、というイメージでしょうか。
 事前に大きな期待を持って読むと肩透かしを食らうかもしれませんが、図書館や古本屋で入手してパラパラと読む分には「Google雑学+アルファ」的に読んでも面白いと思います。


■ 個人的な視点から

 Googleに初めて出会ったのは2000年の日本語対応が始まった頃ではないかと思います。ゴッゴル。9月12日に正式に日本語版サービスがスタートしていますが、夏ごろに2ちゃんで紹介されていたベータ版を使って、その検索能力の高さに驚いたものです。それまでは、Infoseekを使っていたのがGoogle一辺倒になりました。ゴッゴル
 Googleで気に入っているところは、人気の高いコンテンツが上位に表示される点はもちろんのこと、キーワードの絞り込み方が知能パズル的な部分です。適切な組合せで、一発でスパッと10個以内の検索結果が表示されたときは「やった!」という気持ちになります。ゴッゴル
 なお、Googleの登場で、SEO(検索エンジン最適化)というサービスが脚光を浴びることになり、現在のビジネスブログの盛り上がりもそんなところから来ているようです。ゴッゴル


■ どんな人にオススメ?

・Googleを使っている人。


■ 関連しそうな本

 ゲイリー ハメル, C.K. プラハラード (著), 一條 和生 (翻訳) 『コア・コンピタンス経営』 2005年02月09日
 中村 元一, 嶋田 淑之, 崔 大竜 『43の図表でわかる『戦略経営』』
 小川 浩, 四家 正紀 , 上田 一吉 『ビジネスブログブック』
 齋藤 伸也, 小暮 正人 『ビジネスブログのつくりかた 集客・営業・顧客サポートまでこれひとつ!』
 井口 稔, Su‐Jine 『ネットの中心でゴッゴルと叫ぶ?』
 津田 大介 『ググる―検索エンジンGoogleを使ってネット上の情報を検索すること』


■ 百夜百マンガ

GUGUガンモ【GUGUガンモ 】

 現在では『ギャラリー・フェイク』などのストーリーもので有名な作者も、初期の頃はコメディを書いてました。
 合唱の練習で「朧月夜」を歌う回で、曲名を間違えて「菜の花畑」と紹介してしまい、翌週号にお詫びが載ってました。「小さい秋」と逆のパターンで間違えやすいですね。

2005年8月17日 (水)

ルポ地方公務員

■ 書籍情報

ルポ地方公務員   【ルポ地方公務員】

  中国新聞社編
  価格: ¥1,350 (税込)
  日本評論社(1976/12)

 本書は、当時表面化していた地方自治体の人件費紛争をきっかけに、地方公務員の姿をきちんと伝えることを目的に掲載された長期連載をベースに出版されたものです。何しろ、今から30年以上昔の取材に基づいていますので、勤続年数の長いベテラン職員は戦前に採用されている方であったり、原爆による広島市役所の壊滅から復興までが語られていたりと、時代を感じさせる記事がある一方で、現在の自治体職員の給与の問題を考える上で欠かせない基礎知識である人件費紛争の生々しい姿や、石油ショックを受けた苦しい財政運営、自治省からの天下り幹部職員の受け入れなど、現代の地方自治体の問題を考える上で大きな教訓となるべき材料が凝縮されています。まさに「歴史は繰り返す」という言葉がぴったりかもしれません。
 本書は、8章の本編に「地方公務員と住民~二つの意識調査から」というデータ解説編をプラスした構成になっています。
 「第1章 その群像」では、離党で孤軍奮闘する山口県桂島の保健婦や、漁業を捨ててゴミ戦争に携わった広島市の清掃関係職員、漁民の信頼をえることができたエビの栽培漁業を行う山口県内海水産試験場など、当時の様々な社会問題に対峙する自治体職員の姿が描かれています。
 「第2章 労働条件」及び「第3章 広がる争点」は、本連載のきっかけとなった人件費紛争に紙幅を割き、周南新産業都市の発展に合わせ、平均勤続年数8.1年で、男子職員が次々に大企業に転職していってしまったため、女子職員の比率が70%になった山口県大和町や、原爆のために「わだつみ世代の次の「うたつみ(卯・辰・巳)世代」の職員構成が突出してポスト不足に悩む広島県庁、両棲類的存在と言われる県庁内で働く地方事務官などが紹介されている他、町を二分した加計町紛争やスト権闘争の生々しい姿が描かれています。
 「第4章 火の車財政の中で」では、景気に大きく左右される企業城下町や宮島の公営ギャンブル、「東京大使館」と呼ばれる県の東京事務所などが紹介されていて、そこに語られている問題は、景気が良くなると忘れられ、不景気のたびに同じ問題が表れているように感じます。
 「第5章 天下り」には、中国地方の県庁を中心に、自治省からの天下り幹部に対する着任拒否闘争の姿や自治省人脈の結束の強さが描かれています。さすがに、近年大掛かりな着任拒否闘争のニュースを聞くことはありませんが、自治省人脈の結束の固さは変わらないようです。特に中国地方は自治省出身の県知事が多かったのでなおさらなのではないかと思います。元総務相の片山虎之助氏が岡山県企画部長(当時45歳)として、また、現千葉市長の鶴岡啓一氏が山口県財政課長(当時35歳)として、紹介されていました。
 「第6章 公僕のモラル」では、汚職に手を染めた職員の手口や県庁ぐるみの選挙違反の紹介とともに、厳然とした力を持つ地域のボスの存在感の大きさも合わせて描かれています。
 「第7章 住民サービス」では、松戸市役所の「すぐやる課」を拡大した岡山県井原市の「しんせつ課」の奮闘が、「第8章 歴史を踏まえて」では、戦時中の召集令状や戦死公報を届けた村の「兵事係」や、山口県職員研修所での「私の県庁史」講座、焦土と化した広島市の復興の姿などが描かれています。
 巻末の「地方公務員と住民~二つの意識調査から」では、当時のサラリーマン化する自治体職員と住民との意識の乖離が浮き彫りになっています。
 現在の自治体の問題を考える上で大変勉強になる一冊です。図書館などで探せば読むことができるのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 本書は、8月1日に紹介した『地方官僚 その虚像と実像』に関連して、知人から紹介してもらったものですが、大変参考になりました。伊藤さんありがとうございます。
 人事関係者や組合関係者はもちろん、できれば全ての自治体職員に読んでもらいたい内容であるとともに、現在の自治体の姿を描いた『新・ルポ 地方公務員』があればぜひ読んでみたいと思います。


■ どんな人にオススメ?

・人事や組合の関係者
・全ての自治体職員


■ 関連しそうな本

 塩沢 茂 『地方官僚 その虚像と実像』 2005年08月01日
 稲継 裕昭 『日本の官僚人事システム』 2005年02月10日
 稲継 裕昭 『公務員給与序説―給与体系の歴史的変遷』


■ 百夜百マンガ

カバチタレ!【カバチタレ! 】

 「広島」のご当地マンガと言えばこの作品。『ナニワ金融道』に比べるとご当地っぽさは少ないのですが。大幅に設定を変えてドラマ化もされています。
 「行政書士」という地味な仕事に光を当てた作品でもあります。

2005年8月16日 (火)

日本初の大統領にしたい男

■ 書籍情報

日本初の大統領にしたい男   【日本初の大統領にしたい男】

  ばば こういち
  価格: ¥1,575 (税込)
  インターメディア出版(2001/04)

 本書は、前三重県知事である北川正恭早大教授の二期目の三重県政を取材したもので、同じ著者による『改革断行―三重県知事北川正恭の挑戦』に続く位置づけになります。おそらく出版当時ついていた帯には書かれていたのでしょうが、帯がない状態で本書を見ると、北川前知事について書かれていることが分からないのが今となっては痛いところです(シルエットになった横顔からピンと来る人がいたら相当のマニアでしょう・・・。)。
 「県民の民主主義を確立するためには、まず県庁内の民主主義を構築しなければ」と、1期目から時間をじっくりかけて県庁内に「対話:ダイアローグ」を定着させてきた北川改革によって、実際に三重県がどう変わったか、そして三重県に出向して改革に携わった中央省庁の「塾生」たちがどう変わったか、という部分が、続編となる本書の肝の部分です。
 県の職員にとって、2期目に入ってもまだ抵抗は強く、労組の委員長は、知人の精神科医から「人間は同じことをやっているのが一番楽なんで、物事を変えるということはかなりの緊張感とシンドさが伴います。だから改革を知事と一緒にやる以上相当の覚悟をすべきでしょう」と「処方」を受けます。前代未聞の労使協調委員会を開き、お互いに本音の議論を重ね、その様子を本書では、「休暇はきちんととる。毎日5時半には帰れるようにする。土曜日曜も仕事というような日常では失うものも多すぎる。県民やマスコミからは「不夜城県庁」とまるで異様な人間でも住むところのように喧伝されていた。県庁職員が人並みの休暇や労働時間で仕事がやれなくて、どうして県民に人間らしい生活を提案できるのかと労使は真剣な論議を闘わした。」と伝えています。著者が、「北川の得がたい長所は、どんな相手のところにでも飛びこんで、誠心誠意話を聴こうとするところだ。」と評しているとおり、それまでのタブーを破り、労働委員会にも原発反対闘争の真っ只中にも堂々と飛び込んでいく北川氏の姿勢が現れているエピソードだと思います。
 現在、北川氏はあちこちでの講演で、「北京の蝶々」の話を必ずしていますが、本書の終盤に収録されているインタビューの中にも、同じ内容(蝶々は出てきませんが)が語られています。「あなたの自己実現とは何か?」の問いに対し、「人を育てることです。私ひとりではたいしたことはできません。三重県庁六千人が全部やってもそれほどのことはない。しかし百八十五万人の県民すべてがやったらこれはかなりのことになる。」という部分です。氏は常々「私はしつこさなら誰にも負けない。」ということをお話されていますが、5年前から同じことを話しているとは筋金入りのしつこさです。
 最後に、著者は北川氏が持つ「日本初の大統領にしたい男」としての素養として、次の7つの点を挙げています。
1 民主主義
2 地球市民の発想
3 公けのために生きる心
4 学習と柔軟な発想
5 部下に任せて責任を取る
6 隠さない
7 人から好かれる
 この7点は、大統領にとってももちろんですが、自治体の首長になろうという人にはぜひ兼ね備えて欲しい素養ではないかと思います。その点で、本書は北川三重県政を素材に、公けのリーダーシップのあり方を追ったものでもあります。


■ 個人的な視点から

 ちょうど著者が本書の取材に三重県を訪れた2000年の秋に、私も行政経営フォーラムの例会で三重県庁に伺わせていただきました。新幹線代をケチった私は金曜日の早朝につく高速バスで津に向かったのですが、ちょうど現城西大学助教授、当時は埼玉県庁から東大の大学院に派遣されていた伊関さんにお会いし(向こうはちゃんと朝からびっちりスケジュールを入れていたのですが)、組合や梅田地域振興部長さんへのインタビューに同席させていただきました。本書には私が知るその頃の三重県庁内の雰囲気が現れており、なるほどと感じながら読むことができました。(北川知事にはそのときにはお会いすることができなかったのですが、先月滋賀県で開催された「チョウチョの会 1周年記念フォーラム」の帰路、京都の新幹線ホームでお見かけして5年越しの念願かなって名刺交換させていただきました。)
 三重県庁には、それ以来お伺いしていませんが、全国のあちこちのイベントで三重県庁の方とお会いする機会が多く、北川改革の8年間を経て、数多くの「改革のチョウチョ」が全国を飛び回るようになったのだと実感します。


■ どんな人にオススメ?

・公けのリーダーシップのあり方に関心のある人。


■ 関連しそうな本

 ばば こういち 『改革断行―三重県知事北川正恭の挑戦』 2005年06月21日
 北川 正恭 『生活者起点の「行政革命」』 2005年03月07日
 中村 征之 『三重が、燃えている』
 村尾 信尚 『「行政」を変える!』 2005年07月26日
 村尾 信尚 『役所は変わる。もしあなたが望むなら』 2005年03月18日
 浅野 史郎, 北川 正恭, 橋本 大二郎 『知事が日本を変える』 2005年04月02日


■ 百夜百マンガ

クニミツの政(まつり)【クニミツの政(まつり) 】

 前回の総選挙では、模擬選挙までやってしまったある意味では突き抜けた(と言っても連載開始後すぐ打ち切られたという意味ではなく)作品です。
 内容的には少年誌で政治マンガというのは結構辛いのかもしれませんが、こういうマンガの存在自体は大事だと思います。

2005年8月15日 (月)

情報アクセシビリティとユニバーサルデザイン―誰もが情報にアクセスできる社会をめざして

■ 書籍情報

情報アクセシビリティとユニバーサルデザイン―誰もが情報にアクセスできる社会をめざして   【情報アクセシビリティとユニバーサルデザイン―誰もが情報にアクセスできる社会をめざして】

  アクセシビリティ研究会 (著), C&C振興財団 (編集)
  価格: ¥2,940 (税込)
  アスキー(2003/03)

 本書は、情報収集やコミュニケーションという普段我々が意識せずに行っている情報行動に関して、障害者や高齢者が直面している困難とその解決策について解説しているものです。普段当たり前に行っている情報行動が失われることの不便さや辛さを、本書は『ロビンソン・クルーソー』の漂流記を引用して説明しています。我々がまず考え付くのは、「どうやって食料を入手し加工するか」等の情報収集に関する困難さです。もちろん、この困難さは想像を絶するものではありますが、それと同じくらい苦しいのは「沈黙の生活の悲しい物語」の方です。本書は、この物語を引用することで、情報が氾濫した現代社会の中で、障害者や高齢者が直面している不便と孤独を、読者に想像させようとしています。
 また、障害を持った人が普段の生活の中で感じている不便さを、逐次チェックする企画として、「遊園地に行こう」という企画を行っています。これは、高齢者や色々な障害を持った人が、地下鉄に乗って集合し、歩いて遊園地に入場し、遊具で遊び、食事をする、という行動をするうえで生じる様々な不便と、それに対してどのような解決策が用意されているか、を解説しています。
 本書のタイトルでもある、情報アクセシビリティとユニバーサルデザインに関する解説も充実していて、この問題についての標準的な一冊と言えるでしょう。


■ 個人的な視点から

 普段、情報アクセシビリティを意識する人は少ないかもしれませんが、本書にあるとおり、怪我や病気、荷物などで「一時的な障害」を持つことは誰にでもあることです。足を折れば松葉杖をつきますし、ものもらいで眼帯をする、旅行鞄を曳いて歩く等、様々なケースが考えられます。つまり、障害者にとって使いやすい交通の仕組み、情報の仕組みを作ることは、誰にとっても使いやすい社会をつくることになる、ということが本書で説かれています。
 また、「第3章 技術的なアプローチ」では、「こんな方法があったのか!」と驚くような世界中の支援技術が紹介されていて、驚くばかりです。自分が実際に見たことがあるのは、次々と点字を表示する「点字ピン・ディスプレイ」くらいでしょうか。一時は、仕事の関係でゆっくりならある程度点字を読むことができたのですが、最近は目で見ながら触ってもぜんぜん分かりません・・・。


■ どんな人にオススメ?

・「一時的な障害」を持つ可能性のある人=全ての人


■ 関連しそうな本

 関根 千佳 『「誰でも社会」へ―デジタル時代のユニバーサルデザイン』 2005年06月18
 デフォー (著), 平井 正穂 (翻訳) 『ロビンソン・クルーソー』


■ 百夜百マンガ

将太の寿司【将太の寿司 】

 小樽に行ったときには「笹寿司」を探したものですが、見当たりませんでした。当然、弱小の「巴寿司」が見つからなかったことはいうまでもありません。

2005年8月14日 (日)

あなたの子どもを加害者にしないために

■ 書籍情報

あなたの子どもを加害者にしないために―思いやりと共感力を育てる17の法則   【あなたの子どもを加害者にしないために―思いやりと共感力を育てる17の法則】

  中尾 英司
  価格: ¥1,575 (税込)
  生活情報センター(2005/07)

 本書は、「酒鬼薔薇聖斗」を名乗った犯行声明で日本中を震撼させた「少年A」とその両親の手記を、著者のカウンセリングと心理学の経験/知識によって読み解くことで、少年Aの心に闇を育て上げた家族の中の空虚な関係に光を当てたものです。
 本書は、事件後にAと両親が始めて面会した時の「真実の瞬間」、すなわちAが母親に罵声を浴びせる様子の描写から始まっています。そして、Aを救えるチャンスであった「真実の瞬間」をきちんと受け止められなかった母親の態度に深い失望を表しています。
 この第1章以降も、Aの手記と両親の手記とからAの成長にあわせて、様々なターニングポイントをカウンセリングと心理学の立場から解説しています。、「(自分を)騙してはいけない」という父親のタブーの優先順位、白黒はっきりさせなければ(自分の)気が済まないという母親の性格、などの両親の性格を紹介しながら、子どもにとって重要な生後3ヶ月の間Aはどのように育てられたか、兄弟の間での「ディスカウント」、「心の港」であった祖母の死、Aの「外骨格」になってしまった母親、など、手記を元に想像を織り交ぜながら、Aの「心の闇」がいかに育てられてきたかが述べられています。
 残念なところは、本書はルポルタージュ的なものではないので、Aや両親、関係者への直接の取材はなく、Aや両親の心情などは、手記等の二次情報に著者の想像を補足して語られています。そのため、「少年A」の事件に関して新しい事実を知りたい、という人にはお奨めできませんが、衝撃的だったあの事件を「家族」という視点から捉えなおしたい人、そして現在子育てをしていて不安に感じている人にはお奨めです。


■ 個人的な視点から

 育児をテーマにした本には書きにくいところがあるのかもしれません。それは、「書いている本人はそれほど立派な育児をしているのか。」という読者からの反撃を受けやすい点です。特に自分の育児体験をベースに語られる育児書の場合には、常にその問題に直面します。「高血圧に効く○○」とコマーシャルしている本人が高血圧で倒れてしまうようなものです。その点、本書における著者の視点は、カウンセラーとしての経験や知識を元に、できるだけ客観的に「少年A」の家族の問題を解きほぐそうとしているので、読者の反感を受けることは少なそうです。しかし、そのためにどうしても「神の視点」から見たような独善的な印象を与えてしまいがちなところがあるかもしれません。これは前著『あきらめの壁をぶち破った人々』の主人公のほか、多くの小説などに共通する問題なのかもしれませんが。
 それから、世間一般や著者にとっては「少年A」と言えば1997年の「酒鬼薔薇」事件を指す、ということが暗黙の了解になっているようですが、最初にそのことに気づかず、少年犯罪一般に使われる匿名としての「少年A」だと思って途中まで読み進めてしまいました。私の読解力不足がもちろん大きな要因ですが、本書の中でも何件か紹介されているように、近年同じように家族の問題に根を持った事件が多発しているせいかもしれません。その意味でも、本書で取り上げている「少年A」を育て上げた家族の問題は、決して特殊な問題ではないのかもしれません。


■ どんな人にオススメ?

・「酒鬼薔薇」事件をもう一度自分の中で捉えなおしたい人。
・育児中で不安を感じている人。


■ 関連しそうな本

 中尾 英司 『あきらめの壁をぶち破った人々―日本発チェンジマネジメントの実際』


■ 百夜百音

メシ喰うな【メシ喰うな】 INU オリジナル盤発売: 1981

 学生時代に「つるつるつるつるつるつるのつぼ」とかをコピーしてたときは、町蔵が芥川賞を、ケラが岸田國士戯曲賞をとるなんて想像もつきませんでした。
 大槻ケンヂも歌を歌わなくなってしまうのでしょうか。


『出鱈目的』出鱈目的

2005年8月13日 (土)

図で考える人は仕事ができる

■ 書籍情報

図で考える人は仕事ができる   【図で考える人は仕事ができる】

  久恒 啓一
  価格: ¥1,575 (税込)
  日本経済新聞社(2002/05)

 本書は、図を使って考えることの素晴らしさ、思考全般、仕事、そして人生にとっていかに役立つかを、解説したものです。自らの航空会社時代の仕事上の経験や、宮城大学の学生と作った図などを挙げながら、図で考えることで物事がよく分かるさまを説いています。
 注意しなければならないのは、図解の方法そのものを書いたノウハウ本ではないことと、本書自体は図で書かれているわけではないことです。しかし、キーワードを丸で囲んでその関係を矢印で表す、という図解の基本の説明だけあれば、本書で解説されている「図解思考」の説明としては十分です。それ以上の図解テクニックは言ってみれば「てにをは」の部分の話で、図解による思考の本質を解説しようとする本書の意図としては不要な話だと思われます。
 では、「図解思考」で肝になる考え方・視点とは何でしょうか。本書では「鳥の目」「虫の目」という言葉で、図解による思考と文章による思考の違いを表しています。あまりに高い場所、「人工衛星」から地上を見ても、分かった、という納得感を得にくいものです。一方で、あまりにも細かすぎる視点、すなわち「虫の目」で町並みを見ようとしても、全体を理解することは困難です。物事の本質的な関係性を一覧する「鳥の目」こそが「図解思考」に不可欠であることが示されています。
 本書を読んだからといって、直ちに図解を使いこなせるようになるものではありませんが、「なぜ図で考えると物事が理解できるのか」という疑問に答えてくれる一冊ではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 アマゾンのコメントを読むと、本書が文章中心で書かれていて図が多用されていないこと、そして図解のテクニックを教えてくれるものではないことに対する不満がたくさん寄せられています。確かに、図解に関する本を何冊も出している「図解の伝道師」とも言える本著者の本を買ってみたら文字ばかりだった、というのはショックかもしれません。しかし、本書の意図しているところを考えると、本書の内容はやはり図ではなく文章で書かれるべきものであったのでないかと思います。
 それは、本書のタイトルにある「仕事ができる人」は、他人の手によってよく噛み砕かれた「図解」によって思考する人ではなく、むしろ、文章で書かれたものを自分なりの理解で噛み砕いて「図解化」して理解する人ではないかと思うからです。図解には、多かれ少なかれ図解者のフィルターを通ることによるバイアスがかかります。そのため、他人のアウトプットとしての図解を見るよりも、自分自身が図解作業をすることの方が、格段に理解が深まります。
 つまり、本書で解説されている「図解思考」を理解する一番の方法は、本書を図解してみること、つまり「図読」することではないかと思います。もちろん、通勤電車の中などで読む人は図読をするスペースはないかもしれませんが、自分なりの図を頭の中に思い描きながら読み進めると、「図解思考」への理解が深まるのではないかと思います。
 (ちなみにWebookの松山真之助さんは、早朝の始発電車に乗ることで「図読」をしながら通勤をされています。)


■ どんな人にオススメ?

・なんで図で考えると理解しやすいのか、を知りたい人。


■ 関連しそうな本

 久恒 啓一 『図で考える人は仕事ができる 実践編』 
 久恒 啓一 『図解仕事人』 『知的生産の技術』 2005年05月05日
 中野 不二男 『メモの技術―パソコンで「知的生産」』 
 川喜田 二郎 『発想法―創造性開発のために』 
 板坂 元 『考える技術・書く技術』 


■ 百夜百音

Perspective【Perspective】 P-MODEL オリジナル盤発売: 1982

 日本のニューウェイブシーン(まだあるのか?)で異彩を放ち続ける平沢進率いるP-MODELは、有頂天にも強い影響を与えるなど、ミュージシャンズ・ミュージシャンとして一部では有名ですが、知らない人は全く知らない、という代物です。
 雑誌でAmigaというコンピュータを強く推奨していたのを読んで、とても欲しかったです。当時の先輩の家にあった、レコード会社に買ってもらったAmigaは高嶺の花でした。
  TOKAIというメーカーから出ていた平沢進モデルのTALBOギターというのもありました。一回弾いてみたいものです。


『Tokai TALBO A-145NP』Tokai TALBO A-145NP

2005年8月12日 (金)

ゲーム理論―どんなケースでも「最高の選択」ができる"勝つための戦略"

■ 書籍情報

ゲーム理論―どんなケースでも「最高の選択」ができる   【ゲーム理論―どんなケースでも「最高の選択」ができる"勝つための戦略"】

  松井 彰彦, 清水 武治
  価格: ¥1,470 (税込)
  三笠書房(2003/01)

 本書は、ビジネスマンを主なターゲットにしたゲーム理論の入門書です。各章の導入部分は、とある大学の経済学部のゼミ、通称「やまねこゼミ」の10年ぶりの同窓会、という設定になっており、ジャーナリストや色々な業種のビジネスマン、官僚や自治体職員など様々な進路に進んだ同窓生たちの議論をゲーム理論を使って開設していく、という構成になっています(『ミク戦』では銀行員になった「町野済子」が経産省の官僚になって登場してたりといった「スターシステム」にクスリとしてしまいます。)。
 紹介されているのは、どんな入門書にも必ず登場する囚人のジレンマやチキンゲームのほか、ゲーム理論のテキストでも大抵扱われている「新規参入ゲーム」やアクセルロッドの実験を引用した協調と裏切りの戦略、情報の非対称性や逆選択の問題を扱った架空の「つり保険」、ダメ社員にやる気を出させるプリンシパル・エージェント問題等です。
 各章の導入部分の会話をゲーム理論で解説していく、という本書の構成自体は『ミク戦』の焼き直しのようなものですが、『ミク戦』があくまでも教科書という位置づけ(『経済セミナー』で連載されていました。)であるのに対して、本書はビジネスマン向けにするために、数学的部分を取り除きテーマもビジネスに関連付けやすいものに厳選した、という感じでしょうか。
 ゲーム理論の入門書としては非常に読みやすく、本書の登場人物たちと同じ30代のビジネスマンにはピッタリなのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 3年ほど前に、ノーベル経済学賞受賞者である悲劇の経済学者ナッシュを描いた映画『ビューティフル・マインド』がヒットしたことをきっかけに、ちょっとした「ゲーム理論」ブームが起きました。研究者や経済学を学んだライターなど、様々な人たちがこのジャンルに殺到して、大量の「ゲーム理論入門書」がビジネス書のコーナーに並びました。どういうわけか「勝つため」や「絶対負けない」などの煽り文句がどれにも付いているために、ゲーム理論を知らない人は、「ゲーム理論を知らないことでとても損をしているのではないか?」と不安に感じたのではないかと思います。
 一方で、ゲーム理論の入門書を読んだからといって、字面どおり「絶対負けない」ビジネスマンになるわけではありません。そのため、読んでから「騙された!」、「理論は実践では役に立たない」、「理論を振り回すやつは使えない」という過剰反応をする人も少なくないと考えられます。自分でも「絶対負けない理論」を振り回そうとしていたのに当てが外れたわけですね。
 確かに「実践なき理論は空虚」ですが、「理論なき実践は暴挙」であると言います。ゲーム理論に限ったことではありませんが、理論を実践に翻訳する「定石」があるわけではないので、常に変化する現実を構造的に認識し、その上で初めて理論が生きてきます。そして、ゲーム理論は、社会に起こっている出来事を構造的に認識する上で大変有用なツールであると考えます。


■ どんな人にオススメ?

・社会人になって10年目くらいのビジネスマン。


■ 関連しそうな本

 梶井 厚志, 松井 彰彦 『ミクロ経済学 戦略的アプローチ』 2005年04月04日
 アビナッシュ ディキシット (著), バリー ネイルバフ (著), 菅野 隆 (翻訳), 嶋津 祐一 (翻訳) 『戦略的思考とは何か―エール大学式「ゲーム理論」の発想法』 2005年01月31日
 R. アクセルロッド (著), 松田 裕之 (翻訳) 『つきあい方の科学―バクテリアから国際関係まで』
 清水 武治 『頭がいい人の考え方が身につく本―図解ゲーム理論』
 清水 武治 『ゲーム理論最強のトレーニング55―戦略的思考が身につく!勝つための戦略が問題形式でやさしくわかる』
 清水 武治 『「ゲーム理論」の基本がよくわかる本―ビジネスの実例でやさしく解説』


■ 百夜百マンガ

カイジ―賭博黙示録【カイジ―賭博黙示録 】

 「ゲームと駆け引き」と言えばやはりこの人。この作品の場合、賭けているものは金ではなく、人生そのものです。その極限状態に置かれた人間が、パニックから合理的な選択ができなくなるところがこの作品の面白さであり、それに尽きると思います。

2005年8月11日 (木)

チェンジメーカー 社会起業家が世の中を変える

■ 書籍情報

チェンジメーカー 社会起業家が世の中を変える   【チェンジメーカー 社会起業家が世の中を変える】

  渡邊 奈々
  価格: ¥1,680 (税込)
  日経BP社(2005/08/04)

 本書は、世界を変革している18人の社会起業家、NPO/NGOを動かす人たちを、写真家である著者の手によるポートレートによって紹介したものです。もちろんそれぞれの写真には、18人の「チェンジメーカー」たちの活動の紹介やインタビューが掲載されていますが、この「世界を変革する人」のエネルギーを一番伝えているのは18枚のポートレートではないかと思います。
 紹介されているのは、「社会起業家の父」と呼ばれ、社会起業家を物心両面からサポートする「アショカ財団」(※文末にアショカの話が聴けるイベントのお知らせあり)というNPOを1980年に35歳で立ち上げたビル・ドレイトン氏や、廃墟と化していたNYのホームレスのシェルター「タイムズ・スクエア・ホテル」を再生することで周辺一帯をよみがえらせた「コモン・グラウンド・コミュニティ」のロザンヌ・ハガティ氏などの超メジャー級の社会起業家から、世界中の貧困や人権侵害に取り組む「プロジェクト・インパクト」や「国境なき医師団」、「インターニューズ」、「国境なき記者団」などのNGOまで多くのフィールドで活躍し、世界を変革している人たちです。
 彼らに共通しているのは、我々誰もが社会的な問題をTVや新聞などの報道で知り、日々の生活の中で目にしてもそのまま素通りしてしまうのに対し、「自分に何ができるだろうか?」という極めてパーソナルな問題意識から小さな実践をスタートし、大きな変革のエネルギーに育て上げていっている点です。
 読めば誰もが「カッコいい!」、「自分も何かできないか?」と勇気付けられ、熱い気持ちになれます。子供の頃、冒険モノのマンガや小説を読んで、すっかりその気になってしまったように、本書はいい年した社会人を熱い気持ちにさせてしまう「オトナの冒険モノ」なのです。


■ 個人的な視点から

 8月27日に、米国からアショカ財団とREDFという支援組織を招いたフォーラムを開催します。ちょうどその直前のタイミングに出版された本書を読んで、アショカなどの社会起業家の存在を知り、関心を持つ人も多いと思いますが、そんな人はぜひ、27日のフォーラムを聴きに来てください。文末に詳しいお知らせを掲載しています。
 本書で紹介されている社会起業家の行動力にはどれも驚かされるものばかりなのですが、個人的にツボにはまってしまったのは、不登校児向けの単位認定型フリースクール「スマイル・ファクトリー」を運営している白井智子氏が、子供たちの実態を知るために、小学5年生に成りすまして二ヶ月間「潜入」調査を行った、というものです。彼女を子供たちに紹介した校長先生のコメントは「トモちゃんはオーストラリアで毎日ステーキばかり食べていたらこんなに大きくなっちゃったんだ。」(!)。ステーキ食べ過ぎて大きくなった、という辺りに校長先生の世代感が出ちゃいますね。校長先生、GJです! 「ある日、学校に大きな同級生がやってくる。」って映画かマンガにできそうなエピソードですね。異質な存在が教室にやってくることのインパクトは子供たちにいい影響があったのではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

・小さな社会的な問題に気づいていても何をしたらいいかが分からない人。


■ 関連しそうな本

 金子 郁容 『ボランタリー経済の誕生―自発する経済とコミュニティ』
 町田 洋次 『社会起業家―「よい社会」をつくる人たち』 2005年02月16日
 斎藤 槙 『社会起業家―社会責任ビジネスの新しい潮流』 2005年06月01日
 D. ヘントン, K. ウォレシュ, J. メルビル (著), 加藤 敏春 (翻訳) 『市民起業家―新しい経済コミュニティの構築』 2005年03月15日
 谷本 寛治, 田尾 雅夫 (編著) 『NPOと事業』 2005年01月28日
 フィリップ コトラー, エデュアルド L. ロベルト (著), 井関利明(監訳) 『ソーシャル・マーケティング』 2005年02月14日


■ 百夜百マンガ

ドラゴンクエスト―ダイの大冒険【ドラゴンクエスト―ダイの大冒険 】

 ジャンプ出身の鳥山明がキャラデザしたゲームを元にマンガ化、という複雑な経緯をたどっています。このマンガがゲームになったらもっと複雑です。
 印象に残っているのは主人公よりも脇役の「クロコダイン」。悪役として登場して、敗れた後で仲間になり、体を張って主人公を守る、というジャンプ路線の王道的なキャラです。


Social Innovation Forum______________________
_____ 【CSRから社会変革投資へ、そのリターンを考える】______
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
米国において社会起業家が起す社会変革事業への支援を
を行っている財団、アショカやREDFからのゲストが参加する
「日米ソーシャル・イノベーション・フォーラム」
ご 案 内
_________________________________

■ 2005年8月27日(土曜日)13:30~17:00 ■

*** 定員 200名/日英同時通訳付 ***
_________________________________

【会  場】日本財団ビル2F・大会議室 (東京都港区赤坂1-2-2)
地図:http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html
*
【共  催】CAC-社会起業家研究ネットワーク(http://cacnet.org
東京アメリカンセンター
http://japan.usembassy.gov/t-main.html
ソーシャル・インパクト・アセスメント・プロジェクト専門委員会

【助 成】国際交流基金日米センター(CGP)(http://www.jpf.go.jp/j/cgp_j/
【後 援】東京財団(http://www.tkfd.or.jp/
【資料代】一般2000円 学生1000円
_________________________________

近年、社会変革に必要な人材として、社会起業家(ソーシャル・アントレプレナー)
が注目されるようになってきました。 しかし、一般的に社会的な問題を解決する
人材やプロジェクトに必要な投資や寄付が行われているとはいえません。

米国では、社会起業家への支援を通じて社会変革を起こすことをミッションとする
【アショカ】が世界で最初のグローバルなネットワークを構築し活躍しています。 
⇒ ≪社会変革を促す本当に必要な投資とは何でしょうか?≫

また、【REDF】など米国の先駆的な財団では、社会変革をおこす支援活動を投資と
捉え、投資効果を評価する興味深い動きがでてきました。
⇒ ≪社会的投資効果をどう測定すればいいのでしょうか?≫ 

日本でも、企業の社会的責任(CSR)や社会的責任投資(SRI)が話題になっている
にもかかわらず、その意義、成果、そして評価については、これから更に議論を深
めていく段階だと思います。

こうした2つのテーマを中心に、本フォーラムでは、ソーシャル・イノベーションを
世界の潮流ととらえ、日本での「社会変革のためのお金の使い方とその評価」につい
て話し合いたいと思います。

皆様のご参加をお待ちしております。

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■プログラム・スケジュール
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13:30~13:35 開会挨拶 東京アメリカンセンター 代表者

2005年8月10日 (水)

変革のマネジメント―明るい「リストラ」を考える

■ 書籍情報

変革のマネジメント―明るい「リストラ」を考える   【変革のマネジメント―明るい「リストラ」を考える】

  若松 茂美, 織山 和久, 上山 信一
  価格: ¥1,835 (税込)
  NTT出版(1993/07)

 本書は、組織改革や人事制度改革ばかりに目が向きがちな「リストラ」ブームの中で、いかにして「儲かる仕組み」を中心にした変革を成功させるか、そして、その変革をどのように支えるか、というチェンジエージェント(変革のパートナー)としてのノウハウを結集したものです。マッキンゼーというコンサルティング企業が、どのようにクライアントの企業の変革を後押しし、チアリーダーとして変革を応援するか、がまとめられています。
 出版が12年前ということもあり、個別の経済情勢の認識などは古いものの、組織を変革するには、どのようなメカニズムが必要になり、どこから抵抗があり、どこを応援すればよいか、などは、現在の組織変革と全く変わらない部分ではないかと思います。
 本書で一番強調されているのは、どうやって自社の「儲かる仕組み」を再定義するか、そして、「儲かる仕組み」を中心にした会社にするのか、という部分です。これは、本書の二年後に国内で紹介された「コア・コンピタンス」の概念そのものであると言えます。自社の強みはどこにあるのか、その強みは自社だけのものなのか他者とのアライアンスが不可欠なものなのか、そして、競合他社に真似されない「儲かる仕組み」をどうやってつくるか、など、コア・コンピタンスの考え方をベースに本書を読んで行くと驚くほど理解しやすくなるのではないかと思います。
 そして、本書は単なる学術書や解説書ではなく、最強のコンサルティング企業であるマッキンゼーのコンサルタントによって書かれています。そのことが現れているのは、単に「儲かる仕組み」を再定義することを奨めているだけではなく、実際に「儲かる仕組み」を中心にした会社を作るにはどうしたらよいかが述べられている点です。現場に近いところで目に見える成果を即座に出すことを重視した「キャッシュインパクトチーム」の活動や、「儲かる仕組み」の源である現場の活動をいかに支えるかを考えた「マンダラ型組織」という組織観等にそれが現れています。
 古い本ですが、アマゾンのマーケットプレイスやブックオフなどで手に入れることもできますので、流行り廃りの激しい経営用語ではなく、変革の本質をつかみたい方はぜひ読んでみてください。


■ 個人的な視点から

 本書で紹介されている「マンダラ型組織」は、古典的なピラミッド型組織との対比で紹介されていますが、私がこの図を見て思い出したのは「逆さまのピラミッド」でした。
 これは勝手な想像ですが、経営者自身がピラミッドを上下逆に書くことを提唱することはできますが、コンサルタントの立場上、社長を下にも書きづらい、ということで社長を中心に、その周りに経営機関、コーポレートセンター、現業支援チーム、現業チームを書いた「マンダラ型組織図」になったのではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

・変革の応援方法を知りたい人。


■ 関連しそうな本

 ゲイリー ハメル, C.K. プラハラード (著), 一條 和生 (翻訳) 『コア・コンピタンス経営』 2005年02月09日
 カール アルブレヒト (著), 西田 英一, 鳥居 直隆, 和田 正春 (翻訳) 『逆さまのピラミッド―アメリカ流サービス革命とは何か』


■ 百夜百マンガ

課長島耕作【課長島耕作 】

 何だかドンドンえらくなってしまう島耕ですが、最近は「ヤング~」なんてのも出るようになりました。
 面白いか、って聞かれると答えに窮するところではあるのですが。

2005年8月 9日 (火)

ハイ・フライヤー―次世代リーダーの育成法

■ 書籍情報

ハイ・フライヤー―次世代リーダーの育成法   【ハイ・フライヤー―次世代リーダーの育成法】

  モーガン マッコール (著), 金井 壽宏, リクルートワークス研究所 (翻訳)
  価格: ¥2,100 (税込)
  プレジデント社(2002/01)

 本書は、成功をおさめる経営幹部(ハイ・フライヤー:高く飛ぶ人)がどのようにリーダーシップを学ぶのか、そしてどんな有能な人でもなぜ「脱線」してしまうのかを、クリエイティブ・リーダーシップ・センターの研究等をもとに語ったものです。
 リーダーに必要な資質として、生まれながらに運命に定められた、「何かいいもの(right stuuf)」を持っている人がいるはず、という考え方が多く見られます。この考え方に基づくと、企業における人材「開発」スタッフは、生まれながらにして天賦の才に恵まれた人を探す「適者生存アプローチ」をとることになります。しかし、今日のリーダーに必要とされる複雑なスキルに対応するためには「天賦の才」だけでは十分とは言えません。そこで必要となるのが、新しい能力の獲得というもう一つの人材開発の見解です。
 それは、リーダーシップは経験によって開発されるものだというものです。そして、リーダーが直面すべき戦略的な課題を特定し、そのような「成長を促す経験」を学ばせる人と時期をどのように見極めるか、ということが問題になります。他者を開発させることはできませんが、組織は人が学習する環境を創造することはできるのです。
 一方で、期待された才能溢れる有能なリーダーでも経営幹部になったとたんに「脱線」してしまうことが多々あります。本書では、「脱線」の要因として、「『強み』は『弱み』になる」、「見えなかった部分が問題になる」、「成功によって傲慢になる」、「不運」という4つの要因を挙げています。そして効率性を追求する中で、組織と個人が「無意識の共謀」や「組織的な共謀」によって脱線を生み出していることを指摘します。
 「リーダーシップを持った人がいない」という共通の悩みを抱えている多くの日本の組織にとって、本書は有益なサジェスチョンを与えてくれますが、これは人材育成スタッフだけの問題ではなく、ぜひリーダー自身にこそ読んでもらいたい内容になっています。


■ 個人的な視点から

 昔、子供の頃放送していたアニメに「円卓の騎士物語 燃えろアーサー」というのがありましたが、「リーダーシップ」という言葉を聞くと、若きアーサー王が岩に突き刺さり誰も抜けなかったエクスカリバーをあっさりと引き抜くのと同じように、生れながら持っているもの、選ばれた者のみが持つもの、という印象を多くの人が持っています。そして、物語の中での多くの困難な経験は、選ばれた者の資質を確認するもの、「真の勇者」であるかどうかを確かめる選抜のプロセスとして描かれます。
 しかし、本書は、リーダーシップは経験から学ぶことができることが大きいことを述べていて、その実例も多く示されています
 また、本書を読むきっかけとなった『仕事で「一皮むける」 関経連「一皮むけた経験」に学ぶ』に紹介されている日本企業の経営幹部の姿も、かけがいのない経験ではありますが、全く非凡な才能のみに支えられているわけではなく、多くのことを経験の中から学び取っています。


■ どんな人にオススメ?

・「リーダーシップのある人材がいない」と嘆くリーダー。


■ 関連しそうな本

 金井 壽宏 『仕事で「一皮むける」 関経連「一皮むけた経験」に学ぶ』 2005年04月25日
 金井 寿宏 『リーダーシップ入門』 2005年03月31日
 ステファン・P. ロビンス (著), 高木 晴夫, 永井 裕久, 福沢 英弘, 横田 絵理, 渡辺 直登 (翻訳) 『組織行動のマネジメント―入門から実践へ』 38400
 金井 寿宏, 高橋 潔 (著) 『組織行動の考え方―ひとを活かし組織力を高める9つのキーコンセプト』 2005年04月27日


■ 百夜百マンガ

G組のG【G組のG 】

 「円卓の騎士」と言えばこのマンガ。アーサー王がかくれんぼしたりおちょくられているのがおかしい4コマです。
 「コダエモン」や「いっき」等のレギュラーもよいです。

2005年8月 8日 (月)

知事―地方から日本が変わる

【200回記念号】

■ 書籍情報

知事―地方から日本が変わる   【知事―地方から日本が変わる】

  橋本 大二郎
  価格: ¥714 (税込)
  平凡社(2001/05)

 本書は、平成3年に、当時全国最年少(44歳)で初の戦後生まれとして高知県知事になった著者が、約10年の経験を元に、知事の一日・一年の生の姿や、知事の仕事や県庁改革、そして高知県の将来像などを語ったものです。知事や市長が役所の改革や地域の将来像を語る機会は数多くある中で、「7時半頃起きて朝食はパンやバナナを食べる」「知事公邸から県庁までは公用車で出勤」「メールは朝、昼と時間があれば夕方にも見る」「公邸でテレビゲームをしている」「知事になってから財布を持ち歩かなくなった」「1日に届くメールは10件程度」など、知事のプライベートな面を垣間見ることができる点で大変価値があるのではないかと思います。
 また、県庁の職員に求める意識改革では、「県民へのサービス精神の徹底」「費用対効果」「締め切りの概念を持った仕事」「マーケティング手法の取り入れ」の4項目を挙げ、そしてこれらをお題目に終わらせないために、学生のインターンを受け入れたり、県民と直接メールのやり取りをするなどの実践をされています。
 本書が出版されたのは4年前のことになりますが、現在では昨年からブログ「だいちゃんぜよ」を立ち上げ、神奈川県の松沢知事と並んで「知事ブログ」として注目を集めています。完全にリアルタイムに毎日更新という訳には行かないようですが、昨年3月31日から10日分くらい毎に更新されています。ちなみに、松沢知事のブログはTVゲーム規制を巡って大量のコメントが押し寄せて大変なことになっています・・・。

「だいちゃんぜよ」

「神奈川県知事・松沢成文のブログ」


■ 個人的な視点から

 今年5月に「自治体職員有志の会」のオフ会を橋本知事をお招きして高知で開催しました。その内容は別に紹介されていますので省略しますが、翌日に県庁周辺から高知城の辺りを散策しましたが、知事公邸を含め、お城の一帯は雄藩と呼ばれた土佐藩の城下町の趣を色濃く残していました。県庁所在地の多くは江戸時代以来のお城の跡であることが多いのですが、そういった県庁では、周りをお堀に囲まれるなど、その地域の支配者的な雰囲気を持っていることが少なくありません(城跡である福井県庁の周りのお堀は県庁職員が昔ながらの装いで清掃しているそうです。)。そういった県庁に、戦後生まれの若く、しかも土地に縁のない知事がやってくるということは、大きなインパクトだったのではないかと思います。

「第7回オフ会意見交換(橋本高知県知事)」

 ところで、昔のように60を越えた人たちばかりが知事をやっていた時代はともかく、現在のように、40代の知事が増えてくると、退職後の身の振り方が重要になるのではないかと思います。一つのモデルとしては、全三重県知事の北川正恭早大教授のような、公職以外の立場から社会変革を進める、という活動の形がありますが、現在活躍されている若い知事の皆さんが公職を離れた後も社会的な活動をされるようになると、日本社会への大きなインパクトになりうるのではないでしょうか。


■ どんな人にオススメ?

・知事の生活に興味のある人。


■ 関連しそうな本

 浅野 史郎, 北川 正恭, 橋本 大二郎 『知事が日本を変える』 2005年04月02日
 北川 正恭 『生活者起点の「行政革命」』 2005年03月07日
 青山 やすし 『石原都政副知事ノート』 2005年07月01日


■ 百夜百マンガ

お~い!竜馬【お~い!竜馬 】

 高知のオフ会の翌日に、桂浜の県立龍馬記念館に行ってきました。とりあえず太平洋が大きく見渡せるのが良かったです。
 この作品のせいか、どうしても小山ゆうタッチの龍馬の顔が浮かんでしまってしかたありませんでした。

2005年8月 7日 (日)

東洋の楽器とその歴史

■ 書籍情報

東洋の楽器とその歴史表紙画像拡大   【東洋の楽器とその歴史】

  岸辺 成雄
  価格: ¥200 (税込)
  弘文堂(1948/02/01)

図 本書は、中国から東南アジア、インドを経てトルコに至るまでの広い範囲にわたるアジアの音楽と楽器を解説し、その背景となる歴史を誇大中国・インドに遡って紹介しているものです。
図 発行は1948年(昭和23年)ということもあり、地名も「支那・満州」「蒙古・西蔵」「印度支那半島」「東印度諸島」「印度」「西南亜細亜」と時代を感じさせるものですが、これは「現代篇」なので、楽器自体は現在のものとは変わらず、楽譜の表記方法自体は60年前でもあまり変わりませんので、音階や演奏方法などの解説を違和感なく読むことができます。
 また、後半の「歴史篇」では、古代中国や印度、ガンダーラやササン朝ペルシアなど、現代の楽器のルーツになるものを、出土品や彫刻を元に、推理・分析しています。特に中東や印度の楽器がシルクロードを経由して中国(一部は日本の正倉院へ)やヨーロッパに伝播して行く様子は、図や写真をふんだんに使用して解説されています。
 現在では、一時のワールドミュージックブームや、様々な場面でアジアの音楽を聴くことができ、また中国音楽の演奏会や講習会などが開催されましたが、当時は音楽の流通手段も少なく、本書に紹介されている図や写真を見ながら遠い異国の音楽に思いを馳せたのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

図 この本は、妻の伯母が学生時代に読んでいたもので、伯父が留学のため日本を離れるときに、妻の実家に置いて行ったものだそうです。数年前伯母が帰国したときに、私が「楽器好き」という理由で戴きました。結局伯父はそのまま留学先に残り、現地(ボローニャ)で研究者になってしまいましたが、伯母は数十年ぶりにこの本に再会して、大変懐かしげな様子でした。


■ どんな人にオススメ?

・東洋の楽器に関心のある人。


■ 関連しそうな本

 岸辺 成雄 『唐代音楽の歴史的研究 楽制篇 上巻 覆刻版 (1)』
 岸辺 成雄 『古代シルクロードの音楽―正倉院・敦煌・高麗をたどって』
 田辺 尚雄 『大東亜の音楽』
 小泉 文夫 『小泉文夫 民族音楽の世界』
 柘植 元一, 植村 幸生 (編集) 『アジア音楽史』
 星野 秀利 (著), 斎藤 寛海 (翻訳) 『中世後期フィレンツェ毛織物工業史』


■ 百夜百音

Freedom: Greatest Hits【Freedom: Greatest Hits】 (試聴あり) 女子十二楽坊 オリジナル盤発売: 2004

 中国の楽器を我々の身近なものにしてくれた、という意味では大きなインパクトがあったと思います。権利関係では色々ごたごたがあったようですが。
 そういえば学生時代に中国人留学生と「胡弓+ギター」という組合せでU2やジミヘンのカバーをしてました。彼は現在では胡弓奏者として各地で活動していて、千葉でもコンサートを開催しています。女子十二楽坊ほどは売れていないようですが・・・。


『女子十二楽坊~Beautiful Energy~』女子十二楽坊~Beautiful Energy~

2005年8月 6日 (土)

渋沢家三代

■ 書籍情報

渋沢家三代   【渋沢家三代】

  佐野 真一
  価格: ¥882 (税込)
  文芸春秋(1998/11)

 本書は、日本の資本主義の育ての親である渋沢栄一、巨大な父の影の重さに苦しんだ息子の篤二、大蔵大臣からの"ニコ没"を選んだ孫の敬三という渋沢家三代の人生を資料の発掘と聴き取りによって綴ったものです。
 「論語と算盤」という事業哲学で知られ、「財なき財閥」を築き上げた渋沢栄一は、「わしがもし一身一家の富むことばかりを考えたら、三井や岩崎にも負けなかったろうよ。これは負け惜しみではないぞ。」という言葉に現れているように、その生涯を日本に資本主義を根付かせることに捧げました。彼は、現在の埼玉県深谷市に位置する血洗島と呼ばれる土地で藍玉を扱う豪農「中ノ家」に生まれ、攘夷倒幕に燃える若者として家を飛び出し、ひょんなことから徳川慶喜の家臣となり、1年半の間パリで過ごす経験を得ることになります。ここで、資本主義と株式会社に出会ったことが、彼の人生を決定しました。明治新政府の大蔵官僚の経験を経て第一勧業銀行を設立し、これを皮切りに500の近代企業と600の社会公共事業に携わり、日本の近代資本主義を育て上げます。
 しかし、偉大な父のプレッシャーに苦み、父の愛に飢えていた息子の篤二は、多芸多才な趣味人として生き、家を離れ愛人の下で「高等遊民」のごとき生涯を送ります。
 そして、祖父の期待を一身に背負った孫の敬三は、銀行業務に勤しむ昼の顔と、民俗学を初めとする様々な分野の研究者たちのパトロンとしての二つの顔を持ちながら、渋沢家三代目としての重責を担うことになります。第一勧銀の副頭取から日銀総裁として終戦を迎え、終戦直後の混乱に大蔵大臣として大鉈を振るった後、自らにも財産税を課して豪邸を手放し、「にこやかな没落」を受け入れます。
 本書は、この三代に渡る渋沢家の物語を、丹念な資料収集と聴き取り調査によって新書サイズに凝縮しています。もはや歴史の教科書の中の人になってしまった、現代の日本社会を支える社会的なインフラを築き上げた彼らの生き様から、まだまだ学ぶものがあるのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 本書を読んでまず考えたのは、「本当の意味で親から子に受け継がれる『財産』とは何か」ということです。「財なき財閥」とは言え、もちろん渋沢家は子爵家という位を持ち、人並みはずれた財産を所有していました。篤二や敬三が受けた教育や社会的地位も、もちろん栄一から受け継がれたものですが、「ニコ没」して地位も家屋敷も手放してしまったとしても残ったものがあるはずです。
 それは栄一の「志」ではないかということを感じました。もちろんそれは毒にも薬にもなるもので、ネガティブに作用した部分も相当大きいと思いますが、それでも何かこの3人に通じるものを感じます。
 『不平等社会日本』では、知的エリートである親から子供に受け継がれるものは、単なる高等教育の機会だけでなく、情報や知識のリテラシー、接し方であると推測されていますが、渋沢家三代の人生からは、日本社会に資本主義を根付かせるという、初代の志が受け継がれていることを感じさせます。


■ どんな人にオススメ?

・日本の資本主義の源流を知りたい人。


■ 関連しそうな本

 佐野 真一 『旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三』
 渋澤 健 『シブサワ・レター 日本再生への提言』
 佐藤 俊樹 『不平等社会日本―さよなら総中流』 2005年03月22日


■ 百夜百音

Reggatta de Blanc【Reggatta de Blanc】 (試聴あり) The Police オリジナル盤発売: 1979

 「白いレゲエ」全開で一気に化けた彼らの二枚目です。トリオという最小限の編成で、これだけ豊かな広がりを作り出してしまうことに、初めて聴く人は衝撃を受けるでしょう。
 生まれて初めての大きな買い物(10万円以上)をしたのは、アンディ・サマーズに憧れて買った1972年製のテレキャスターでした。大学二年のときに御茶ノ水のESPで一目惚れをして22万円を衝動買いしてしまいました。今でも一番の愛用で、お弁当箱みたいな大きさのBOSSの初代CE-1CE-1を通してマーシャルを鳴らすと爽快です。

『Outlandos d'Amour』Outlandos d'Amour (試聴あり) (試聴あり)

2005年8月 5日 (金)

トヨタを知るということ

■ 書籍情報

トヨタを知るということ   【トヨタを知るということ】

  中沢 孝夫, 赤池 学
  価格: ¥1,890 (税込)
  講談社(2000/03)

 本書は、トヨタの強さを支える人材育成やシステム、そして自動車の未来に対するコンセプトについて2人の著者が調べ上げたものです。この2人の執筆分担は1章から4章までを中沢氏が、5章から7章までを赤池氏がそれぞれ担当するという形になっていますが、それぞれの個性が出ていて多面的に「トヨタ」の姿を見ることができるようになっています。
 ただし、労働組合活動からスタートして現在は経済評論家というキャリアを歩いてきた中沢氏と、ユニバーサルデザインや科学技術関係のライターをしている赤池氏のアプローチの方法が大きく異なるため、前半と後半ではまるで別の本を読んでいるような感覚になりました。前半部が現地での関係者へのインタビュー、特に労働組合関係者への仕事のやりがいや歩んできたキャリアに関するインタビューをふんだんに盛り込み、読者を引き込むリアリティーを持っているのに対し、後半部は専門誌の特集記事を寄せ集めたような感じ、もしかするとトヨタ自身がスポンサーになった企業広告の原稿さえも集めてきたのではないかという「自動車ライター調」の内容になっていたため、読む人の興味・関心によって、「前半は何だか重過ぎて読みにくい」と感じる人もいれば、「後半はパンフレットみたいで軽すぎる」と感じる人がいるかもしれません。
 いずれにせよ、「トヨタシステム」という生産システムに焦点を当ててトヨタの強さを解説する本が多い中で、トヨタで働く社員個人のキャリアややりがい、そしてトヨタのコンセプトを実現するCE(チーフ・エンジニア:主査)の役割に着目した中沢氏のアプローチは、数多くあるトヨタ解説本の中でも光を放っており、この部分だけでも読む価値は十分になると思います。


■ 個人的な視点から

 個人的な話ですが、昨日は健康診断だったので、昼休みや待ち時間を使って前半部分を一気に読んでしまいました。でもよく考えてみれば、視力検査をする直前に眼球を酷使するような読書方法は良くないですね(^^;。座って読むときには本を腿や膝の上に置くくらいまで離して読んでいるので、視力の低下にはつながらないと思うのですが、なにぶん目が疲れます。
 本書で一番面白かったのは第2章~第3章のアメリカに進出したトヨタシステムが現地の労働者にどのように受け入れられたか、という部分でした。UAW(全米自動車労組)の強いGMの工場を母体に設立されたNUMMIでの様々な衝突や驚きがトヨタを真の国際企業に変えたに違いないと感じさせます。
 「アメリカに進出した日本企業と現地労働者との摩擦、そして和解」を描いたものとしては、『ヒューマンウェアの経済学』などの文献もありますが、昔見た映画「ガン・ホー」(1986)に誇張して描かれた日米の文化摩擦も一見の価値ありと思います。

ガン・ホー   【ガン・ホー】


■ どんな人にオススメ?

・トヨタを支える社員の姿を知りたい人。


■ 関連しそうな本

 中沢 孝夫, 赤池 学 『トヨタを知るということ 日経ビジネス人文庫』
 伊藤 孝夫 『ネットワーク組織と情報』
 大野 耐一 『トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして』
 青木 昌彦, ロナルド ドーア (編集), NTTデータ通信システム科学研究所 (翻訳) 『国際・学際研究 システムとしての日本企業』
 浅沼 万里 (著), 菊谷 達弥 (編集) 『日本の企業組織 革新的適応のメカニズム―長期取引関係の構造と機能』
 島田 晴雄 『ヒューマンウェアの経済学―アメリカのなかの日本企業』


■ 百夜百マンガ

大阪豆ゴハン【大阪豆ゴハン 】

 「異文化の摩擦を楽しむ」といえばこの作品です。と言っても商品になるほど戯画化されたコテコテの大阪ギャグではなく、ほのぼののんびりしてるけど千葉とは「文化がちが~~~う!」と感じてしまう大阪人の日常を描いています。

2005年8月 4日 (木)

サッチャーの経済革命

■ 書籍情報

サッチャーの経済革命   【サッチャーの経済革命】

  ジェフリー・W. メイナード (著), 新保 生二 (翻訳)
  価格: ¥1,427 (税込)
  日本経済新聞社(1989/07)

 本書は、1979年からの8年間のサッチャー政権の政策について、主に財政金融政策と労働政策の面から分析を行っているものです。著者は、サッチャー以前のイギリスの経済政策が、生産性や効率面の犠牲の上に、雇用の維持という短期的な目標を重視し続けたこと、イギリス経済に内在する長期的な問題をないがしろにしたことを指摘しています。そして、この状況を改善するために、一時的な状況悪化を覚悟する必要があったと述べています。この状況悪化はエコノミストたちの格好の攻撃材料となり、サッチャーの政策は、大量の失業を生み、製造業を破壊し、北海原油を無駄にしたとして批判され、1981年3月31日にはイギリスの著名な経済学者364人の署名入りの抗議文がタイムズ紙に掲載されています。
 しかし、長期的に見るといつまでも過去のツケは先送りできません。このことは、労働党政権のキャラハン首相(1976~)の次のスピーチに現れています。
 「我々は、長い間、たぶん第二次大戦以降、我々の社会と我々の経済に関する根本的な選択と変革の問題を避けて通ってきた。私が我々が借り物の時代を生きているというのはそのことを指している。この国は、非常に長い間、イギリス産業の基本的な問題に取り組む代わりに、我々の生活水準を維持するために外国から金を借りて満足してきた。
 我々は減税や政府支出を増やすことで景気後退から抜け出せるという風に考えていた。
 非常に率直に言わせてもらうと、そのような選択肢はもはや存在しない。それがかっては存在したとしても、戦後においては毎回経済により大幅なインフレを注入することによって可能となっていたにすぎない。その結果、より高い失業率がもたらされた。インフレの加速が失業率の上昇につながったのである。我々はこの国が経験した最悪のインフレからようやく抜け出すことができた。しかし、我々はまだその後遺症である失業から抜け出せていない。これが過去二十年間の歴史である。」
 サッチャー政権は、長期的な生産性の改善のために、労使問題に大鉈を振るいました。それまで、労働のコストを企業にとっての賃金コストで捉えるのでなく社会にとっての機会費用で捉えることは、イギリス政府の地域政策の存在価値のよりどころとなっていたが、その政策は企業や地域を時代遅れの技術、慣行、製品に縛り付けるという大きな危険をもたらしてきたのです。政府の最も大きな成功は、労使関係を改善したことと労組の影響力を弱めたこと、つまり、「労組の合意がなければ何もできないというイギリスの妖怪が・・・・・・ついに追っ払われたのである。」と評価されています。
 著者は、サッチャーの経済政策に対して、長期的には手をつけなければならない懸案に着手した点を評価する一方で、その初期の雇用政策の無策が失業問題をより深刻化させたこと、マネーサプライを管理するという政策がマネタリストが主張するほどには容易ではなかったことなどの点を批判しています。
 現在、日本でも市場化テストなどサッチャー改革に範をとった改革の必要性が叫ばれていますが、単純に個別の政策をつまみ食いするだけでは、長期的な課題を放置し隠蔽してしまう恐れがあります。サッチャーの政策の背景にある経済情勢やイデオロギーの文脈を正しく理解する必要があるという点で、本書は貴重な参考資料になるのではないかと思われます。


■ 個人的な視点から

 長年の慣行にどっぷり漬かり、手をつけなければならない問題を先送りにしてきた・・・・・・と言うと、カラ残業やヤミ専従問題でその「組合天国」、「労使癒着」ぶりが白日の下にさらされた某関西方面の政令市役所が連想されます。「労組の合意がなければ何もできないというイギリスの妖怪」という言葉の「イギリス」の部分を「○○市」に置き換えたとしても全く違和感がありません。
 そして、キャラハン首相の演説は、「外国から金を借りて」やインフレの部分こそ異なるものの、「我々の社会と我々の経済に関する根本的な選択と変革の問題を避けて通ってきた。」という部分は現在の日本に全く共通する認識ではないかと思われます。そして減税や政府支出の増大によって国民の生活水準を維持しようという選択肢が手詰まりになっていることも30年前のイギリスに共通しています。
 我々は、サッチャー時代のイギリスの血のにじむような変革から何も学ばないまま過ごしてきたという意味で、10年ではなくバブル期を含む「失われた20年」を送っていたのかもしれません。


■ どんな人にオススメ?

・NPMが生まれた背景を知りたい人。


■ 関連しそうな本

 森嶋 通夫 『サッチャー時代のイギリス―その政治、経済、教育』
 大住莊四郎 『ニュ-・パブリック・マネジメント  理念・ビジョン・戦略』 2005年01月23日
 Ewan Ferlie, Lynn Ashburner, Louise Fitzgerald, Andrew Pettigrew 『The New Public Management in Action』
 山田 宏, 中田 宏, 長浜 博行 『ニュージーランド行革物語―国家を民営した国』 2005年03月04日


■ 百夜百マンガ

F【F 】

 1988年頃なのでサッチャー政権直後の時期の話ですが、主人公の赤城軍馬が失意の元でロンドンに渡り、ミュージシャンの卵の失業者のアパートに転がり込む、という展開で、ロンドンの若者の閉塞感が描かれていました。

2005年8月 3日 (水)

「族議員」の研究―自民党政権を牛耳る主役たち

■ 書籍情報

「族議員」の研究―自民党政権を牛耳る主役たち   【「族議員」の研究―自民党政権を牛耳る主役たち】

  猪口 孝, 岩井 奉信
  価格: ¥1,680 (税込)
  日本経済新聞社(1987/04)

 本書は、「党高政低」や「党高官低」という現象がクローズアップされ、「族議員」という存在が世に知れ渡った出版当時、政局報道などでスキャンダラスに書き立てられることの多かった族議員の姿を、政治家としてのキャリア分析やケーススタディなどによって、客観的に分析することを試みたものです。
 現在では、特定の利益と結びついているというネガティブな使われ方をすることの多い「族議員」という存在が、どのように発生し、またどのように行動しているのか、族議員の役割とは何か、などについて、冷静な分析がなされています。
 本書は、政治家が、自民党政務調査会の部会や国会の委員会において、特定の政策分野についての専門的な政策知識を蓄積し、官僚と渡り合えるようになったことが、官僚主導だった政策決定を政治主導に引き寄せた大きな原動力になったことを分析しています。この点に関して、「族議員」と認識されるようになるまでのキャリア形成のパターンがいくつか分析されており、橋本元総理のように厚生族のエリートとしてキャリアを重ねるタイプの議員もいれば、閣僚に就任したことを契機に、その省庁における人脈を形成して次々と複数の分野の族議員になっていくタイプの議員(田中元総理が代表的)など、様々なキャリア形成パターンが分析されています。
 また、一口に「族議員」と呼ばれる中にも様々な役割があり、本書では、「マスター」、「ソルジャー」、「モッブ」、「ジェネラル」の4つのレベルに分類しています。「マスター」は、その「族」の中で親方的なボス議員であり「○○6人衆」などと称され、政策決定のリーダーシップを取る存在とされています。「ソルジャー」は、利益誘導の最前線で働く実戦部隊であり、官僚たちによって、事前に協議や根回しをする必要がある自民党議員、と認識されることが重要な要件になっています。「モッブ」は、「ある政策分野に関心を持つ議員」という点で広義での族議員であり、部会への所属に関係なく、政策的なイシューごとにアドホックに形成され、「にわか族」と称される場合もあるが、群集心理的に行動する場合があるため、それまで「マスター」と官僚が築き上げてきた信頼関係すら破壊する場合もあるとされています。なお、「モッブ」には自然発生的なものと、特定の司令塔を持った「動員」されたものとがあります。「ジェネラル(将軍)」は、自民党内部で政策決定に重要な役割を果たす党内の実力者で、総理経験者や派閥の領袖など、政策の枠組みにかかる高度の政治的な問題を扱うとされています。
 よく使われる言葉の割に実態が知られていない「族議員」という存在を、その成り立ちから知る上で、本書は重要な資料になると考えられます。


■ 個人的な視点から

 新聞や週刊誌などで「族議員」という言葉が使われる場合には、「特定分野の利益集団や官僚に首根っこを抑えられて無理難題を撒き散らす駄々っ子」的なニュアンスで使われる場合が多く、一部の大物議員以外は「陣笠」的にみなされる場合が多いのですが、本書を読むと、「族議員」は単に特定分野の利害を代表すだけではなく、各部会における「仕切られた競争」の調整を図る調整者としての役割を持ち、部会を超える政策イシューに関する場合に、異なった政策分野間の交渉において、特定分野の利害を代表して行動する、ということが分かります。元々、自民党の初期においては、特定の大物議員がこの調整者の役割を果たしていたものが、政策に関する知識の高度化に伴い、それぞれの部会の「族議員」に役割分担されていった、という族議員誕生の経緯からも、それは裏付けられます。
 こうしてみると、「自民党」という利害調整システムが大変「効率的」であることに感嘆してしまいます。前回の衆議院選挙から、マニフェストが大きく着目されることになりましたが、長年の経験を持った高度な政策集団である「族議員」のシステムとどのように整合性を付けて行くか、ということを解決しないと付け焼刃的なブームに終わる可能性もあるのではないかと感じました。


■ どんな人にオススメ?

・システムとしての「族議員」を理解したい人。


■ 関連しそうな本

 村松 岐夫, 伊藤 光利 『地方議員の研究―日本的政治風土の主役たち』 2005年02月21日
 小林 良彰 『公共選択』 2005年04月15日
 谷口 尚子 『現代日本の投票行動』 2005年05月25日
 佐々木 毅 『政治学講義』 2005年03月11日
 加藤 寛 『入門公共選択―政治の経済学』 2005年03月13日


■ 百夜百マンガ

あぶさん【あぶさん 】

 元々は呑んべえの代打屋の話だったのに、いつの間にか「超人」野球選手の話になってしまいました。キャラクターとしての重要な要素だった「酒飲み」「酔っ払い」という破天荒な部分よりも、ストイックに体を鍛え続ける超高齢スポーツマン漫画になってしまったのですが、読者も一緒に歳をとってれば違和感が無いのかしら?
 なにしろこの第1巻が発売されたのは1974年。昭和でいうと49年ですから時代を感じます。

2005年8月 2日 (火)

ゲーム理論の世界

■ 書籍情報

ゲーム理論の世界   【ゲーム理論の世界】

  鈴木 光男
  価格: ¥2,625 (税込)
  勁草書房(1999/10)

 本書は、日本のゲーム理論研究者の草分けである著者自身によって語られる、「ゲーム理論」という言語の歴史書です。ゲーム理論が誕生した1928年(フォン・ノイマンの「社会的ゲームの理論について」が発表される)に著者が生を受けたということも大変な奇遇ですが、ゲーム理論誕生の背景となった社会情勢や初期のゲーム理論から、映画「ビューティフル・マインド」で有名になった経済学者ナッシュの業績や、ノーベル経済学賞を受賞したハルサーニやゼルテンの思い出など、ゲーム理論とともに生きてきた著者ならではの「ゲーム理論史観」は、初めてゲーム理論に触れる人にとってもエキサイティングなものではないかと思います。
 元々本書は、「ゲーム理論って何ですか」という質問を受けることが多かった著者が、学生や研究者、そして一般社会人向けに話してきたことをまとめたものなので、ゲーム理論自体の解説ではなく、ゲーム理論がいかにして生まれ、いかにして発展してきたか、そして著者がどのように関わってきたか、を中心に書かれています。
 日本の経済学界ではゲーム理論に対する関心が薄く、ボス研究者には「ゲーム理論など研究しても意味が無い」とまで言われながらも、著者はゲーム理論に入れ込んでいきます。そして、1990年代になって日本でもようやく認められ、というよりゲーム理論が無視できない存在になって初めて日本の若い研究者の研究が一気に花開くようになります。著者は「日本という土地でゲーム理論という生き物に毎日水をやって枯らさないようにしてきたに過ぎ」ないと言っていますが、日本にゲーム理論の「森」を根付かせるために一本一本木を植えてきた著者の努力がやっと実を結んだということができるでしょう。
 ゲーム理論を専門に研究している人はもちろん、「ゲーム理論って何だろう?」と関心を持った方にもぜひお奨めしたい一冊です。


■ 個人的な視点から

 一口に「ゲーム理論」と言っても、一般向けの簡易なビジネス書から、研究者向けのコアな学術書まで様々ですが、大雑把に分けると「平易か難解か」という軸と「理論か応用か」という軸との2つで分けることができるのではないかと思います。
 「平易・理論」に位置するのが入門書や教科書です。一方、「平易・応用」の部分には多数出版されている、ゲーム理論をビジネスや社会生活の状況に当てはめて解説するタイプのビジネス書が位置すると考えられます。また、「難解・理論」の位置には、大学院生向けの教科書等が入り、「難解・応用」の部分には契約理論の現実問題への適応などが考えられます。
 一時、平易なゲーム理論のビジネス書がブームになったことがありますが、ビジネス書をきっかけにゲーム理論に関心を持った人が教科書を読んでくれたらゲーム理論人口が増えるのではないかと思います。

■ どんな人にオススメ?

・ゲーム理論って何だろう、と思っている人。


■ 関連しそうな本

 アビナッシュ ディキシット (著), バリー ネイルバフ (著), 菅野 隆 (翻訳), 嶋津 祐一 (翻訳) 『戦略的思考とは何か―エール大学式「ゲーム理論」の発想法』 2005年01月31日
 梶井 厚志 『戦略的思考の技術―ゲーム理論を実践する』 『インセンティブ設計の経済学―契約理論の応用分析』 2005年02月26日
 金子 守 『ゲーム理論と蒟蒻問答』
 中山 幹夫, 船木 由喜彦, 武藤 滋夫 (編集) 『ゲーム理論で解く』


■ 百夜百マンガ

ムジナ【ムジナ 】

 シリアスな絵でギャグマンガを描くのが『クロマティ高校』だとすると、ギャグの絵でシリアスなストーリー書いているのがこの作品です。
 最後までギャグなのかシリアスなのか警戒しないと読めません。

2005年8月 1日 (月)

地方官僚 その虚像と実像

■ 書籍情報

地方官僚 その虚像と実像   【地方官僚 その虚像と実像】

  塩沢 茂
  価格: ¥980 (税込)
  産業能率大学出版部(1980/01)

 本書は、今から四半世紀前の自治体職員の規律のない無節操な姿を、全国の市町村役場や視察旅行先を取材して伝えているものです。
 扱われているのは、当時問題になった高ラスパイレス指数(国家公務員給与に対する比率)の自治体や、縦割りの杜撰な業務処理の問題、予算使いきりのために全国各地、果ては海外まで出かけていって観光旅行を満喫する「先進地視察」等、当時の自治体職員の高待遇に見合わない税金の無駄遣いぶりです。
 取り扱われているのは、1977年現在のラスパイレス指数が132.8で日本一だった大阪府門真市、そして最近は聞かないですが門真、蓑面、高槻といった「衛星都市連合(衛都連)」、ラスパイレス指数125、経常収支比率102という財政状況の中で新庁舎建設に踏み込んだ泉大津市などの関西の自治体、年度末の予算消化目的の観光「視察旅行」で満室の宮崎や指宿などです。
 元々が雑誌『現代』に掲載されたルポルタージュ記事ということもあり、取材としての詰めの甘さ(取材に行ったはいいけど成果なし、とか)や基礎的な法令理解の無さ(任期途中で辞職した町長の行動を「懲戒処分ものだ」・・・)など、取材自体も下調べ不足の突撃記事的な感じが否めませんが、当時はまだ自治体職員の素行に関する情報が少なかったことの裏返しなのかもしれません。


■ 個人的な視点から

 本書の衝撃的なところは、現在問題になっている自治体職員のお手盛り諸手当や予算使いきりのための観光旅行が未だに無くなっていないということです。現在、大阪市や神戸市など、関西の自治体職員のあまりの厚遇ぶりが明らかになってきていますが、これは、ラスパイレス指数というモグラを一つ叩いたところで、福利厚生やヤミ退職金などの名目で別のモグラが頭を出していた、というだけのことに過ぎません。
 そして、予算使いきりのための視察観光旅行も未だに後を絶ちません。通常、視察といえば、何か困っている課題や情報収集したいテーマが先にあって目的地や日程が組まれるものと考えられますが、現実は異なります。国内・海外問わず、旅行会社各社から「視察旅行のご案内」と題したパンフレットが送りつけられてくるのです。そこには、視察目的も日程も全て記載されており、担当者はこれを元に起案を作成し(というか書き写し)、後は旅行会社にお任せ、という状態です。これで復命書まで作ってくれれば究極のアウトソーシングなんですが。


■ どんな人にオススメ?

・大阪市役所問題に関心のある人。


■ 関連しそうな本

 稲継 裕昭 『日本の官僚人事システム』 2005年02月10日
 稲継 裕昭 『公務員給与序説―給与体系の歴史的変遷』


■ 百夜百マンガ

湘南爆走族【湘南爆走族 】

 マンガのヒットに比べて映画はいまいちぱっとしなかった感じがしますが、それでもたくさんの俳優・タレントを発掘しています。
 主人公と同じ名前の俳優さんが現在活躍していますが、当時の雑誌で「たまたま主人公と同じ『本名』だったのでオーディションに応募しました。」みたいな子供だましなインタビューが書かれていたのが記憶に残っています。

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