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2005年10月 2日 (日)

これから働き方はどう変わるのか―すべての人々が「社会起業家」となる時代

■ 書籍情報

これから働き方はどう変わるのか―すべての人々が「社会起業家」となる時代   【これから働き方はどう変わるのか―すべての人々が「社会起業家」となる時代】

  田坂 広志
  価格: ¥1,575 (税込)
  ダイヤモンド社(2003/10)

 本書は、「私たちは何のために働くのか?」というストレートな問いかけを出発点に、営利企業の中で働く人を含めたすべての人が「社会起業家」となることができる「7つのスタイル」を提示するものです。
 本書は、有名な「二人の石切り職人」(様々な人が色々なバリエーションで語っています)という寓話からスタートします。同じような仕事をしていても、一人は「このいまいましい石を切るために、悪戦苦闘しているのさ。」と語り、もう一人は「今、私は、多くの人々の心の安らぎの場となる素晴らしい教会を作っているのです。」と語ります。著者は仕事の報酬を「目に見える報酬」と「目に見えない報酬」に分け、前者には(1)給料や収入、(2)役職や地位、の2点を挙げ、後者には(1)職業人としての能力、(2)働き甲斐ある仕事、(3)人間としての成長、の3点を挙げています。そして、「目に見える報酬」がだいじなのはもちろんだが、これらに目を奪われすぎて「目に見えない報酬」を見失っていないか、という問いかけをします。そして、「社会に貢献する仕事」こそが「働き甲斐ある仕事」、すなわち「社会起業家」のスタイルであると述べています。
 「社会貢献」という言葉からは、非営利組織で働くことがイメージされ、「起業家」という言葉は、独立してベンチャーを起こす困難さが想起されます。しかし、著者は、次の2つの疑問を投げかけます。1つは、「営利企業に勤めているかぎり、社会貢献はできない」という固定観念は、企業が本来持っていた社会貢献という原点を忘れてしまったからではないか、という疑問です。もう1つは、「起業家」とはベンチャー起業家のような「新しい企業を起こす人」という狭い意味ではなく、「新しい事業を起こす人」という広い意味に解釈できるのではないか、という疑問です。
 著者はこれらの疑問を踏まえ、誰でも「社会起業家」になることができる「6つの理由」を挙げています。それは、
(1)「社会貢献」の働き方を求める人々が増えている。
(2)営利企業にも「社会貢献」が求められる時代となる。
(3)非営利組織にも「事業性」が求められる時代となる。
(4)「起業家」という言葉が広い意味で使われるようになる。
(5)会社を創らずとも「起業家」としての活動が可能になる。
(6)「起業家」に必要な知識が容易に手に入るようになる。
の6点です。そして、社会起業家に必要になるのは、冒頭の石切り職人の寓話で示された、わずかな視点の転換であると述べています。
 著者は、新しい「社会起業家」の定義のもとでの、働き方の新たなスタイルとして、「7つのスタイル」を提唱します。これは、「立志、成長、共感、革新、創発、信念、伝承」の7つです。この7つのスタイルによって、単なる個人としての働き方の問題を超えた、百年単位で社会を変革する「社会起業家」のあり方を提唱しているのです。


■ 個人的な視点から

 昨年5月に、ETIC.の「スタイル2004」のプレ交流会で著者のお話を聴く機会がありました。「スタイル」とは、ETIC.というNPOが開催している社会起業家向けのビジネスプランコンペで、当日は、過去の「スタイル」に参加した若き社会起業家のゲストスピーカーとともに、「社会起業家の7つのスタイル」のお話をされていました。
 著者が設立した「社会起業家フォーラム」ではメールマガジンも発行していますので、本書を読んで関心を持たれた方はこちらも購読してみてはいかがでしょう。
 
「社会起業家フォーラム」


■ どんな人にオススメ?

・働き甲斐ある仕事を探している人。


■ 関連しそうな本

 渡邊 奈々 『チェンジメーカー 社会起業家が世の中を変える』 2005年08月11日
 町田 洋次 『社会起業家―「よい社会」をつくる人たち』 2005年02月16日
 斎藤 槙 『社会起業家―社会責任ビジネスの新しい潮流』 2005年06月01日
 D. ヘントン, K. ウォレシュ, J. メルビル (著), 加藤 敏春 (翻訳) 『市民起業家―新しい経済コミュニティの構築』 2005年03月15日
 谷本 寛治, 田尾 雅夫 (編著) 『NPOと事業』 2005年01月28日
 金子 郁容 『ボランタリー経済の誕生―自発する経済とコミュニティ』 2005年08月29日


■ 百夜百音

恋する惑星【恋する惑星】 オリジナル・サウンドトラック オリジナル盤発売: 1994

 金城武が出演していて日本でもヒットした映画ですが、フェイ・ウォンが歌う主題歌の「夢中人」が凄く良いです。
 カバー元のクランベリーズの「Dreams」は今でもコーヒーのコマーシャルで使われていました。

『Everybody Is Doing It, So Why Can't We: The Complete Sessions 1991-1993』Everybody Is Doing It, So Why Can't We: The Complete Sessions 1991-1993

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