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2005年11月11日 (金)

ビル・ゲイツの面接試験―富士山をどう動かしますか?

■ 書籍情報

ビル・ゲイツの面接試験―富士山をどう動かしますか?   【ビル・ゲイツの面接試験―富士山をどう動かしますか?】

  ウィリアム パウンドストーン (著), 松浦 俊輔 (翻訳)
  価格: ¥2,310 (税込)
  青土社(2003/06)

 本書は、マイクロソフト社の入社試験で出題されるパズル式面接、例えば、「時計の長針と短針は、1日に何回重なるか?」などの問題をキーとして、そういったパズル式面接が持っている長い歴史を解説し、この方式の面接が機能しているかどうかの分析を行う、採用と知能テストに関する解説書であるとともに、純粋にパズル本として、自分がもしマイクロソフト社を受けるとしたらどんな問題に当たるだろうか、を想像して楽しむこともできます。
 パズル式面接の「先祖」を辿ると、知能を定義し、IQの概念を広め、古典的な知能検査を生み出した、スタンフォード大学の心理学者であるルイス・ターマンに行き着きます。IQテスト自体は、文化的な偏向や人種差別の問題などを抱え、万能薬ではないことが明らかになっていきますが、マイクロソフト社などで使用されるレドモンド式面接は、少なくとも形式的にはIQテストの流れを汲んだものになっています。
 では、この面接のやり方はうまく行っているのでしょうか。この方式の面接の狙いは、「間違った不採用はよくないが、それで会社にダメージがあるわけではない。間違った採用は会社にダメージになり、それを除去するには時間がかかる」ため、ふさわしくない「害のある」人を採用することを避けることにあります。この面接方式は、
・テクノロジーが日々変化し、特定の技能がすぐ陳腐化する環境では、一般的な問題解決能力を重視する。
・悪い採用による損害は、いい判断から受ける利益を上回る。
という2つの現実を認めることになります。つまり、「面接パズルは、下手な採用を防ぐためのフィルター」なのです。
 本書は、レドモンド式面接の切り抜け方を以下に引用する9つのポイントにまとめています。
(1)まず、どういう答えが期待されているか、はっきりさせる(頭の中で、あるいは対話で)
(2)最初に考えたことは、どれも間違っている。
(3)習った微積分は忘れよう。
(4)大きくて複雑な問題には、ふつう単純な答えがある。
(5)単純な問題は、複雑な答えを求めていることが多い。
(6)「完全に論理的な」存在は、普通の人間とは違う。
(7)壁にぶつかったら、自分の立てている前提を列挙しよう。その前提ひとつひとつについて、それを捨てればどうなるか、順に考えること。
(8)論理パズルで決定的な情報が欠けているときは、可能性のある筋書きを展開しよう。きっと問題を解くには欠落した情報は不要であることが分かる。
(9)可能なときは、相手が聞いたことのない、いい答えを出すこと。
 これらのポイントは、日常生活や仕事の中の「パズル」に行き詰った時にも解決のヒントを与えてくれるものかもしれません。
 パズル本としての本書にチャレンジしてみようと考えている方、またはマイクロソフト社に入社したいと考えている方は、この9点を先に読んでから本書を開いた方が良いでしょう。


■ 個人的な視点から

 本書では、パズルを使ったレドモンド式面接の他に、東部の投資銀行界で用いられる「ストレス面接」(面接担当者が10分間何も話さない、窓の開かない部屋で窓を開けるように求める(43階の窓を椅子を投げつけて「開けた」志望者もいる)、椅子がぐらぐらするように椅子の足を二本切っておく、など)や、人為的な完結した環境に人を放り込んで様子を見る「研修面接」、レゴ・ブロックを与えられて5分で何か作りそれを説明させる「不条理面接」などが紹介されています。
 また、マイクロソフト文化の紹介の中で、『イノベーションのジレンマ』がマイクロソフトが気にしていることをずばり指摘し、著者のクリステンセンが「ロックのスター並みの存在」であると紹介されていることが愉快でした。まさにマイクロソフトは「破壊的イノベーション」で現在の地位に躍り上がり、そして新たな破壊的イノベーションに怯えているというものです。


■ どんな人にオススメ?

・マイクロソフト社を志望している人


■ 関連しそうな本

 クレイトン・クリステンセン (著), 玉田 俊平太, 伊豆原 弓(翻訳) 『イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』 2005年10月17日
 ビル ゲイツ 『思考スピードの経営 - デジタル経営教本』
 DOTリストラ総合研究会, 秋月 めぐる, 清野 耕平 『面接Q―人事コンサルタントが教える最強の面接攻略法!!』
 コモエスタ坂本 『ビル・Gからの手紙』


■ 百夜百マンガ

名探偵コナン【名探偵コナン 】

 昔の子どもは、コナン・ドイルの推理小説を一生懸命読んだものですが、コナンが好きな今時の子どもたちは、シャーロック・ホームズを読んだりするのでしょうか。

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