« 誤記ブリぞろぞろ―校正の常識・非常識 | トップページ | 資源ベースの経営戦略論 »

2006年2月 6日 (月)

超・成果主義―個力を引き出し強い組織をつくる

■ 書籍情報

超・成果主義―個力を引き出し強い組織をつくる   【超・成果主義―個力を引き出し強い組織をつくる】

  加藤 昌男
  価格: ¥1,890 (税込)
  日本経済新聞社(2005/06)

 本書は、成果の上がらない成果主義の原因が、成果『査定』主義にあることを指摘し、「成果総合主義人事」への展開によって高業績達成を目指す、というものです。
 著者は、成果『査定』主義を、
「社員一人ひとりの『成果』目標を決め、競争のルールを『成果』中心に決めて、労働の『成果』を査定する。そして、誰が一番『成果』をあげたか社員同士を競争させることで、社員の成果達成意欲を高め、業績を向上させようとする施策」
と定義しています。この成果『査定』主義の問題点は、個人が高く査定されうる上辺だけの目標が設定されることで、個人目標と戦略の連携が切れることであると指摘されています。著者は、「今ここで、成果『査定』主義に「NO!」と言わなければならない」とボルテージを上げていきます。
 では、どうすればいいのでしょうか。
 ここから先は、コンサルティングの「カタログ」になって行きます。材料は、一昔前に流行った「ナレッジ・マネジメント」と、成果主義以降の人事コンサルの定番である「コンピテンシー」です。
 第2章では、「成果創造主義人事」と銘打たれたナレッジ・マネジメントの焼き直しの解説がされています。おなじみの「SECIモデル」なんかも出てきますが、具体性はないまま「成果創造主義人事」のメリットが語られています。
 また、第3章では、「コンピテンシーは仕事の『型』」として、「高業績を達成するためのよい行動パターン」を真似することで、皆が楽に高業績を達成できると述べています。
 本書で読み応えがあるのは、第4章中の「茨城キリスト教学園のコンピテンシー・コーチング技法事例」です。「No rule is our rules.」という初代学長のローガン・J・ファックス博士(本書では一部「ファックス」博士になってましたが)の精神をよりどころに、評価制度に反対する教員たちと話し合いを重ねてシステムを作り上げていくところはプロジェクトの実録としての迫力がありました。
 『超・成果主義』というタイトルは正直なところ羊頭狗肉なのではないかと思いますが、人事をきっかけにオーソドックスなコンサルティングをしているという印象を受けました。


■ 個人的な視点から

 コンサルタントの世界では次から次に新しいバズワードが生まれては消えていきますが、コンサルタント自身は家族と生活を背負った生身の人間ですから流行と一緒に消えてしまうわけにはいきません。
 そこで過去に身につけたコンサルティング技法に新しい看板をつけ返す作業が繰り返されることになります。なんだかんだ言っても多くの日本のコンサルタントのコアになっている部分は品質管理ですから、最新のバズワードを看板に掲げた本の多くが中盤以降では著者の得意分野に無理やり引きずり込まれて行くことになります。
 ただし、それが悪いことだとはあまり思いません。最新流行の経営手法を求めるクライアントの要求どおりに流行りものを取り入れるよりも、もっとオーソドックスな品質管理などの手法の方が確実に効き目がある場合が多いのではないかと思うからです。


■ どんな人にオススメ?

・査定型の「成果主義」に疑問を感じている人。


■ 関連しそうな本

 城 繁幸 『日本型「成果主義」の可能性』 2005年12月08日
 城 繁幸 『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』
 高橋 伸夫 『虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ』 2005年3月30日
 高橋 伸夫 『〈育てる経営〉の戦略―ポスト成果主義への道』 2005年06月16日
 溝上 憲文 『隣りの成果主義』 2006年01月20日


■ 百夜百マンガ

犬家の一族【犬家の一族 】

 「冷食捜査官」シリーズもカッコイイですが、「あしたのために」も古本屋巡りをしていた学生時代を思い出させます。元ネタが全部わかったら相当の重症です。
 それでも一番の衝撃は進研ゼミに巨匠とり・みき先生が連載していたことです。

« 誤記ブリぞろぞろ―校正の常識・非常識 | トップページ | 資源ベースの経営戦略論 »

キャリアデザイン」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1244312/30598666

この記事へのトラックバック一覧です: 超・成果主義―個力を引き出し強い組織をつくる:

« 誤記ブリぞろぞろ―校正の常識・非常識 | トップページ | 資源ベースの経営戦略論 »

2016年12月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

最近のトラックバック

無料ブログはココログ