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2006年4月 5日 (水)

フリーターとニート

■ 書籍情報

フリーターとニート   【フリーターとニート】

  小杉 礼子 (編集)
  価格: ¥1,995 (税込)
  勁草書房(2005/04)

 本書は、フリーターとニートの実態を明らかにし、そうした若者への就業支援のあり方を考えることを目的としたものです。主に、労働政策研究・研修機構の研究会が行った若者へのインタビュー調査結果を基にフリーターやニートに至ったプロセスと背景要因を分析している点が特徴で、単なる統計調査ではなく、困難を抱えた若者自身に、家族背景や友達関係などより踏み込んだ領域まで話が及んでいます。
 本書は、ニート問題を考える問題設定として、
(1)学校や企業などとしっかりとした社会との関係を持っていないために将来の可能性が閉ざされがちな状態。
(2)彼らがハローワークなどの政策的支援を十分活用していないこと。
(3)そのまま放置すると、社会的コストになる可能性があること。
という3つの視点から対策を考え、ニート問題を「社会活動に参加していないため、将来の社会的なコストになる可能性があり、現在の就業支援策では十分活性化できていない存在」と捉えることを提案しています。
 本書は、日本型ニートは、「働く意欲のない青年」と解されることが多く、この点が誤解を生みがちであることを指摘し、「ふだんの状況として、求職活動をしている者はやはり少ないが、仕事に就きたいという希望を持っているものはかなりいる。これを意欲がないと決めつけるのは問題だろう」と述べています。
 本書に収められているインタビューは、教育から就業への「スムーズな移行」の経路からいずれかの段階から離脱したもので、その原因となる障害は、
(1)高校の学校斡旋や大卒の新卒採用のプロセスそのものに乗らなかった時点。
(2)斡旋プロセスに乗っても斡旋が成立しなかった時。
(3)就職が決まっても早期に離職した時。
(4)離学後・離職後に、正社員の仕事に(再)就職しない時。
の4つに整理されています。
 支援機関としての学校の役割に関する第2章では、
(1)高校在学中に学校外の支援機関(ハローワーク)を利用させるなどの対応をしている。
(2)教員側から電話をかけるなど積極的に働きかけをしている学校があった。
(3)支援しにくいタイプとして、反発するタイプ・支援外のタイプ・支援忌避タイプがいる。
(4)中退や不登校の場合、別の学校など学業継続の支援は行われているが、就業支援は行われていない。
等の点が指摘されています。
 また、無業の若者のソーシャル・ネットワークが、
・孤立型:家族以外の人間関係がほとんどない
・限定型:地元の同年齢で構成された人間関係に所属する
・拡大型:人間関係を広げていく志向が強い
の3つの累計に分けられ、孤立型、限定型が多くを占めることを紹介しています。
 家庭環境を対象とした第3章では、着眼点として、
(1)学校や仕事への移行の危機に直面している若者の成長過程で、親や家庭環境はどのような役割を果たしてきたか。
(2)親の価値規範、子供に対する親の姿勢や行動が大きい中で、家庭が、職業を持って自立することを社会化する機能が弱くなっているのではないか。
(3)1990年代の不況による親世代の職業と家計に与えた大きな打撃が、子供世代の成人期への移行にどのような影響を及ぼしているか。
(4)移行の困難に直面している若者を、家庭はどのように扱っているのか。
という4点を挙げています。
 この章では、「親の教育志向」と「経済水準」という2つの要因を用いて、移行の困難に直面している家庭を4つの類型に分けています。
・類型I:中・高卒放任家庭──経済水準が低く、かつ子どもの教育への関心が低い。
・類型II:就職難に翻弄される高卒家庭──高卒就職難に直面しているが、経済事情から進学という迂回ができにくい。
・類型III:期待はずれに直面する教育志向家庭──不況の中で、親が期待したような形で自立できない。
・類型IV:複雑な事情をかかえる家庭
 この類型に従い、それぞれの類型ごとに様々な移行困難な家庭のインタビューが掲載されています。
 本書は、ニートの若者本人から、その背景となった家庭環境や学校での経験を聞き出しているという点で貴重な資料であると同時に、表面的な若者風俗を扱った雑誌記事などよりも、深く掘り下げた若者像を描いている資料としても読むことができます。


■ 個人的な視点から

 本書を読んで衝撃を受けたのは、家庭環境について分析して第3章です。経済的に困窮し、崩壊した家庭はもちろん、両親が仕事を終わってからパチンコ屋に直行して、食事も作らず子供を放任・放置している家庭が多いことが印象に残りました。家庭の貧困とは、経済的な貧困だけを指すわけでなく、パチンコ屋に入り浸るギャンブル依存症や、職場に入り浸るワーカホリックなど、様々な依存症に陥った親の不在を意味するのではないかと思います。
 「庶民の娯楽」という言い分に反して、パチンコ依存症と家庭崩壊の関係を調べた資料はないでしょうか。探してみたいと思います。


■ どんな人にオススメ?

・「移行困難」な家庭の実情に関心がある人。


■ 関連しそうな本

 小杉 礼子 『フリーターという生き方』 2006年04月04日
 宮本 みち子 『若者が『社会的弱者』に転落する』 2005年05月04日
 本田 由紀 『若者と仕事―「学校経由の就職」を超えて』 2006年03月02日
 苅谷 剛彦 『階層化日本と教育危機―不平等再生産から意欲格差社会(インセンティブ・ディバイド)へ』 2006年02月14日
 苅谷 剛彦, 石田 浩, 菅山 真次 (編集) 『学校・職安と労働市場―戦後新規学卒市場の制度化過程』 2006年03月03日
 大久保 幸夫 『新卒無業。―なぜ、彼らは就職しないのか』


■ 百夜百マンガ

おごってジャンケン隊【おごってジャンケン隊 】

 単なる有名人ゲストの時はあんまり面白くなかったのですが、ガチャピン、ムック、Pちゃんのポンキッキーズキャラクターのシリーズは面白かったです。そういえばPちゃんは、「ピーピピー」しか話せないんだけどどうしたんでしたっけ?
 なお、ポンキッキーズは、平日の朝1時間→平日の夕方1時間→平日の夕方30分→土曜の早朝6時30分から30分→土曜の早朝6時から、とどんどんポジションが下がり、今年度からは日曜早朝になってしまいました。いよいよ次は深夜番組化でしょうか。

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