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2006年5月 2日 (火)

大卒女性の働き方―女性が仕事をつづけるとき、やめるとき

■ 書籍情報

大卒女性の働き方―女性が仕事をつづけるとき、やめるとき   【大卒女性の働き方―女性が仕事をつづけるとき、やめるとき】

  脇坂 明, 冨田 安信 (編集)
  価格: ¥1575 (税込)
  日本労働研究機構(2001/03)

 本書は、女性の大学進学率が向上し、「女子大生」という言葉が死語になりつつある時代の、四大卒女性の就職後の歩みを分析したものです。
 大卒女性の働き方の特徴は、日本の女性の就業状況の特徴として知られる「M字カーブ」が存在しないことです。「20歳代、30歳代では他の学歴より高いが、その後急激に下がり、他の学歴のように中高年のもう一つの山が来ることはない」ことが示されています。そして、大卒女性の労働力率はそれほど高くないのです。このグラフは、「平成11年版女性労働白書」では「きりん型」と名づけられているそうです。これに対する説明のひとつは、「ダグラス=有沢の法則」として知られる、「大卒女性は大卒男性と結婚しやすく、高い収入の夫をもつので専業主婦のままでいられる」というものがあることが紹介されています。なお、大卒女性の就業行動を世代別に見ていくと、「若い世代ほどダグラス=有沢法則が弱まったものの、出産・育児による就業中断が多くなっている」ことが指摘されています。
 また、日本企業における派遣社員の増加に関して、銀行においては、金融規制緩和と、業務が機械化されたことにより、融資業務や外国為替業務などの高いレベルのスキルが要求される職務に女性一般職が配置されるようになったことや、そのような高度な仕事への配置を可能にするための教育・訓練が重要になったことなどが解説されています。
 大卒女性の就職先選びに関しては、「日本の会社では活躍のチャンスがないため、意欲と能力のある女性は外資系企業をめざすとか、結婚・出産後も働き続けたいと考える女性は公務員を目指す」など、さまざまなことが言われてきた中で、卒業時の就業意識と就職動機についての調査では、それぞれ以下のような動機が明らかになっています。
・非営利:結婚・出産後も働き続けたいと考えていた人が多い。
・外資系:仕事内容を重視し、賃金・休日数などの労働条件のよさにひかれた人が多い。
・大企業:外資系ほどではないが、仕事内容や労働条件を重視した人が多い。
・中小企業:不本意な就職だったという気持ちを持つ人が多い。
 大卒女性の初職継続期間に焦点を当てた第6章では、大卒女性の多くが30歳を待たずに初職を離れる一方で、仕事に習熟するには最低5年近くかかることから、20歳代で離職する者は将来のキャリアを開いていくには不十分な技能レベルのまま、その後の労働市場に出ている可能性があることが指摘されています。また、第6章の後半では、離職の理由が、20歳代前半では仕事のきつさや会社や仕事への不満であることに対し、20歳代の後半では結婚や出産が第1の理由になることが指摘されています。
 本書は、直接の研究対象である大卒女性はもちろん、今後深刻な戦力不足を憂慮している企業経営者にとっても見逃せないものではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 公務員などの非営利の仕事を選んだ人の多くが、結婚・出産後も働き続けたい、という動機を持っていたことに関して、実感としても大卒の地方公務員の女性で、20歳代で辞める人というのは本当に少ないように感じます。結婚や出産を理由に辞めるという話もあまり来ません。
 むしろ多い理由としては、夫の転勤や実家へのUターンに伴い通勤が難しくなったために辞めるという人が多いような気がします。また、夫が転勤しても単身赴任という話も聞いたことがあります。


■ どんな人にオススメ?

・女性の働き方に関心を持っている人。


■ 関連しそうな本

 赤岡 功, 長坂 寛, 渡辺 峻, 筒井 清子, 山岡 煕子 『男女共同参画と女性労働―新しい働き方の実現をめざして』 2005年09月08日
 ロザベス・モス カンター (著), 高井 葉子 (翻訳) 『企業のなかの男と女―女性が増えれば職場が変わる』 2005年10月11日
 佐野 陽子, 志野 澄人, 嶋根 政充 (編著) 『ジェンダー・マネジメント―21世紀型男女共創企業に向けて』 2005年12月06日
 白波瀬 佐和子 『少子高齢社会のみえない格差―ジェンダー・世代・階層のゆくえ』 2006年03月10日
 樋口 美雄, 太田 清, 家計経済研究所 (編集) 『女性たちの平成不況―デフレで働き方・暮らしはどう変わったか』 2006年03月30日
 佐藤 博樹, 武石 恵美子 『男性の育児休業―社員のニーズ、会社のメリット』 2005年04月07日


■ 百夜百マンガ

杯気分肴姫【杯気分肴姫 】

 ドラマ化された『のんちゃんのり弁』のタイトルくらいは知っている人が多いと思いますが、現代の下町ものを模索していた本作品の方がストレートな内容になっています。
 「酸いも甘いもかみ分けた人生知ってる人との出会い」は、夫の新井英樹氏の作品にも共通するところです。

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