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2006年8月21日 (月)

ニッポンの課長

■ 書籍情報

ニッポンの課長   【ニッポンの課長】

  重松 清
  価格: ¥1575 (税込)
  日経BP社(2004/1/26)

 本書は、「ニッポン全国、さまざまな仕事をしている課長に会いたい」という思いの元、21人の課長からさまざまな本音を取材したものです。元々は、『日経ビジネス アソシエ』に連載されたものです。
 本書は5部に分かれていて、
・「会社建て直し課長」
・「イケイケ課長」
・「社会派課長」
・「"有名人"課長」
・「ニッポン全国、村の課長、町の課長」
に大別されています。思ったよりも公務員が多いのも特徴で、21人中6人が動物園や虐待、どじょうすくいなど、公務員らしい人から何の仕事なのか想像がつきにくい人まで揃っています。
 「わたしがやらずに、だれがやる――会社建て直し課長」では、りそなホールディングスの「競争力向上委員会」事務局というストレートな名前の肩書きの課長から、優秀な先輩社員が早期退職でどんどん辞めてしまい、危機感を感じたという、そごう横浜店の営業企画課長、"外資"になった関西さわやか銀行で、「やればやるだけ評価される」成果主義の目玉となった女性課長第一号、「あってはならない」事件を起こした雪印乳業の「謝りつづける部署」でストレスと戦う「お客様センター」の課長が紹介されています。
 「こんな時代でも、ヒットを飛ばします――イケイケ課長」では、メーカーにとって難しい年代だったローティーン少女ファッションに『エンジェルブルー」ブランドでヒットを飛ばしたナルミヤ・インターナショナル、"はとバス=田舎から上京したおのぼりさん"のイメージを、次々に新しいコースを開拓することで覆したはとバス、東京の冬の風物詩となった京王百貨店の駅弁大会を支える裏話と全国を駆け回って開拓される新企画などが紹介されています。
 「世のため、人のため、未来のため――社会派課長」では、都政の現場で活躍する課長が2人登場します。一人は、文学部哲学科卒だったのに、上野動物園に経理担当として配属されたことをきっかけに、「動物の多様性、バラバラなところ」にすっかりはまってしまい、希望して飼育課に異動したという多摩動物園の飼育課長です。"動物が好きなひと"であるだけでなく"動物を好きになったひと"である自分だからこそ「こういう風にしたら動物園がおもしろくなる」と他人に説明できるという強みがあると語っています。
 もう一人は、「ドラマや小説の世界」の課名なのではないかと著者が疑う「東京都児童相談センター虐待対策課」の課長です。縦割りの行政の中で、ケース・バイ・ケースの協議を重ね、戦っている姿が紹介されています。
 この他、勝手に「バンダイロボット研究所所長」を名乗り、ホームページを立ち上げてしまった「リアルドリーム ドラえもんプロジェクト」のリーダーが紹介されています。
 「二度目のお仕事――"有名人"課長」では、スポーツ界を沸かせたかつての名選手&現役アスリートが、企業で活躍する姿が紹介されています。國學院久我山高校、早稲田大学、サントリー、日本代表で活躍し"プリンス"と呼ばれた名ラガーマンは、スポーツドリンク『DAKARA』のブランド・マネージャーとして、1977年の夏の甲子園に1年生エースとして愛知県代表の東邦高校を準優勝をもたらし、"バンビ"の愛称で伝説を作った元高校球児は、日本鋼管から地元の商社にヘッドハントされていました。スピードスケートのメダリストが、会社への貢献が認められ、社内最短・最年少で課長に昇進したことも紹介されています。
 役所の課長が4人も紹介されているのは、「おらが町を、村を、おこします――ニッポン全国、村の課長、町の課長」です。名産「南高梅」によって、全国一の所得伸び率を誇る村となった和歌山県南部川村にある、日本唯一の「うめ課」長、日本中で「夕焼け」課長の名前で通ってしまう愛媛県双海町の地域振興課長、「どじょうすくい」の代名詞である「安来節」のふるさと「安来市」をどじょうの町にするために奮闘する「どじょう振興課長」が紹介されています。
 本書は、ニッポン全国の課長さんにとって、自らを励ますものになることはもちろん、課長さん以外にも楽しめるたくさんの仕事人生が収められた読み物ではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 著者は、「部長はスリーピースの雰囲気だが、課長にはスリーピースは似合わない。とはいえ、係長ほど安物の背広ではないはず」という、課長の微妙な立ち居地をうまく表現しています。しかし、本書には、現場で腕まくりをしてハツラツと働く課長がたくさん登場していて元気付けられます。特に、登場している役所の課長は、いつでも作業服を着て現場に乗り込む感じが共通しているのではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

・課長、またはそれ以外の人。


■ 関連しそうな本

 重松 清 『お父さんエラい!―単身赴任二十人の仲間たち』
 日本経済新聞社 (編) 『働くということ』 2005年02月24日
 田尾 雅夫 『会社人間はどこへいく―逆風下の日本的経営のなかで』 2005年02月27日
 金井 壽宏 『働くひとのためのキャリア・デザイン』 2005年01月30日
 八代 尚宏 『日本的雇用慣行の経済学―労働市場の流動化と日本経済』 2005年03月23日


■ 百夜百マンガ

おれは直角【おれは直角 】

 いくら名前が名前だからって、直覚に歩くことはなかろうにとは思いますが、昔はこれくらいわかりやすい(乱暴な?)キャラクター設定がマンガらしい設定だったのでしょう。

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