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2007年4月 1日 (日)

なぜ人は宝くじを買うのだろう 確率にひそむロマン

■ 書籍情報

なぜ人は宝くじを買うのだろう 確率にひそむロマン   【なぜ人は宝くじを買うのだろう 確率にひそむロマン】(#801)

  岸野 正剛
  価格: ¥1785 (税込)
  化学同人(2007/1/20)

 本書は、「偶然に起こる事柄の、起こりやすさの程度を測る物差し」である「確率」について、「楽しい話(ロマン)を中心に、我々が日常無意識のうちに接する確率に関わる話題をいろいろな角度から取り上げた」エッセイです。
 第1章「宝くじは買うべきか?」では、300円のくじの、すべての賞について、金額と当たる確率をかけて足し合わせた「期待値」が、141.99円であることを示し、「お金だけの損得勘定をすると、300円で買って期待できる当選金の金額は142円。ずいぶん損である」としながらも、「宝くじには、もしかしたら1億円が当たるかもしれないという『夢』がある」と述べています。そして、宝くじの期待が低い秘密として、宝くじの益金が公共事業の資金に使われるため、期待値が低く抑えられていることが解説されています。
 第2章「競馬にかけるロマン」では、2005年の日本ダービーでのディープインパクトの人気があまりに高く、「馬券の単勝の支持率が実に73.4%にも達し」、払戻金は、110円と歴代最低の払戻金であったことが述べられています。
 第3章「冠婚葬祭は重なるもの?」では、2つの行事が重なる確率を、誕生パーティーを例に計算し、23人以上では、誕生日の重なる確率のほうが、重ならない確率より大きくなることを示しています。
 第4章「確率が絡む誤解と先入観」では、「サイコロを6回振ったが、6の目は一度も出ていない。もうそろそろ6の目が出てもいいはずだ」という発想を取り上げ、同じような考え方として、戦場において、「一度当たった箇所には二度と当たっていないようだ」というものを紹介しています。
 第5章「優等生社長が成功する確率」では、戦後の日本の大企業で大量生産されてきた、「何もしない多くの優秀なサラリーマン」の存在が、優等生社長の成功する確率が低い原因と関係があることを示しています。
 第6章「甲子園出場と確率」では、甲子園出場に有利な条件として、
(1)強いチームを作ること
(2)地区大会での出場校が少ないこと
(3)実力のレベルが低い地区であること
の3点を挙げています。
 第7章「サイコロ賭博師メレの成功と没落」では、確率論誕生の契機となった、メレの大失敗談を紹介し、「自分が必ずかつと確信していた賭博に負けた原因だけは確かめなくてはならない」と考えたメレが、哲学者で貴族仲間のパスカルの元に駆け込んだことが紹介されています。
 第9章「神は存在するのか?」では、パスカルが、「神は存在するか、存在しないか」について思い悩み、神と無限大との間にいくつかの類似点があることに気づいたことが解説されています。
 本書は、「確率」をキーワードに様々なエピソードを散りばめた一冊です。


■ 個人的な視点から

 本書の中で、「確率」の計算によって一儲けした後、計算ミスによって財産を失い、そのことが確率論誕生の基礎となったという賭博師メレのエピソードが紹介されていますが、著者自身が一財産失うかも……?
 というのは、出版社のサイトによれば、
 
> DOJIN選書「なぜ人は宝くじをかうのだろう」についてのお詫びと対応について
 
> 1月20日発売のDOJIN選書「なぜ人は宝くじを買うのだろう」の内容に著者の勘違いによるミスが発覚いたしました.ご購入いただきましたお客様におかれましては,多大なご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます.改訂版の出来上がりが4月上旬の予定でございます.すでにご購入いただきましたお客様につきましては,お取り替えをさせていただきますので,誠にお手数ではございますが,弊社営業部まで着払いにてお送り願います.改訂版が出来次第改めて交換分としてお送りさせていただきます.

という「お詫び」が掲載されています。着払いで交換、となると相当な負担なのですが、相当な部分を間違えたのか、宝くじやJRAの逆鱗に触れるようなとんでもないミスなのか、おそらくその両方なのではないかと思います。
 さて、この著者(福井工業大学 工学部 岸野正剛教授)は、統計の専門家ではないというものの、Amazon(http://tinyurl.com/256vf9)でみると20冊の著書があり、半導体デバイスに関する専門書が中心ながら、
○数学の教科書や一般書
『今日から使える物理数学』
『難しいがおもしろいに変わる基礎数学のコツ』
○量子力学の教科書
『今日から使える量子力学』
『量子力学―基礎と物性』
『量子力学の基礎』
○科学エッセイ
『電子はめぐる―先端エレクトロニクスとその開拓者たち』
『狂歌で迫るパスカルの謎』
『戦略の謎』
など、様々な本を出版しています。
 今回のミスでミソをつけちゃった感じですが、これらの本で勉強した経験のある方は、自分が勉強してきた内容に対する不安に苛まれるんじゃないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

・「へぇ~」と思う程度の科学読み物が読みたい人。ただし、「嘘を嘘と見抜けないと難しい」ので素人にはお奨めできない。


■ 関連しそうな本

 岸野 正剛 『今日から使える物理数学』
 岸野 正剛 『今日から使える量子力学』
 谷岡 一郎 『ツキの法則―「賭け方」と「勝敗」の科学』
 A・K・デュードニー (著), 田中 利幸 『眠れぬ夜のグーゴル』 2005年12月25日
 ジョエル ベスト (著), 林 大 (翻訳) 『統計はこうしてウソをつく―だまされないための統計学入門』 2006年1月8日
 デイヴィッド サルツブルグ (著), 竹内 惠行, 熊谷 悦生 『統計学を拓いた異才たち―経験則から科学へ進展した一世紀』 2006年11月23日


■ 百夜百音

生存証明【生存証明】 さいたまんぞう オリジナル盤発売: 2001

 さいたまんぞうが岡山県出身だったことにショックを受けましたorz。
 昔、目黒の寄生虫館に行ったときに権之助坂を見て、ここがビートきよしの「雨の権之助坂」の舞台かと思って感動しました。


『珍味』珍味

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