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2008年9月17日 (水)

上司をマネジメント

■ 書籍情報

上司をマネジメント   【上司をマネジメント】(#1336)

  村山 昇
  価格: ¥1470 (税込)
  クロスメディアパブリッシング(2007/09)

 本書は、現代人にとって、「物理的な時間、空間的に過す場所、そして心理的な気持ち空間の『最大の占有者』」である仕事からの使者である「上司」にかんして、「部下が働く現場で遭遇する具体的なシチュエーションや疑問、無意識に自問しているキャリアテーマを随所で取り上げ、それをどう解釈し直し、どう行動に結び付けていけば、自分の夢・志(=大いなる目的)につながっていくのかを一番の中軸に据えて」まとめたものです。
 第1章「マインドのリセット」では、「小さくは日々の業務で成果を上げるため、大きくは自分の仕事上の想いや夢、志をかなえるために、上司という資源を有効に活用することが賢い職業人」だとした上で、上司を
(1)権限、機能を持った存在・・・「一役職人」としての上司
(2)知識、能力、経験、人脈を持った存在・・・「一能力人」としての上司
(3)個性、人格を持った存在・・・「一人間」としての上司
の3つに分解してとらえることができると述べています。
 そして、「上司や組織に対するポジティブな働きかけは、必ず何かポジティブな結果を引き出」すと述べ、「会社に入れば『上司がもれなく付いてくる』」ことは、「有難い話」であるとしています。
 また、「リーダーシップ」に対応する「フォロワーシップ」について、
(1)模範的
(2)孤立型
(3)消極的
(4)順応型
(5)実務型
の5つのタイプを挙げています。
 さらに、「上司には活用できるいろいろな『引き出し』」があるとして、
(1)権限という引き出し
(2)能力の引き出し
(3)人格の引き出し
の3点を挙げ、「職業人としての成功の半分は、上司の引き出し方にかかっていると言っても過言ではない」と述べています。
 第2章「上司を理解する」では、「部下は『聞き上手』でなくてはならない」として、そのためには、
・観察力
・読解力
・設問力
の3つの力が重要であると述べています。
 第3章「自分を発する」では、「部下は上司だけでなく、所属する組織(部や課)に対しても自分を『よく見える状態』にしておかなくては」ならないとして、「自分を拓いていくには、いい意味で『目立つ』こと」が重要であると述べています。
 そして、「材料を複数の観点から揃え、選択肢を設定し、自分のシナリオを持って、自分の選ばせたい選択肢に誘導する」準備を着実に行うことで、「部下は上司の持つ主導権の何割かを奪うことができる」と述べています。
 また、「上司から言われたことを、会社が持つ既存の方法を使って、言われたレベルで返すこと」は当然やるべき仕事であるとしたうえで、「既存の会社のやり方を疑ってみる、そして自分なりの工夫や新しい視点を加えてみる。そうした自分のオリジナルな提案を混ぜて、仕事を10%分上乗せして上司に返す」ことが「優秀な部下の習慣」であると述べています。
 第4章「信頼・共感を得る」では、「有効な上司/部下関係をベースとして、強い組織を形成しているところは、必ず当事者たちが担当仕事の意味や意義を、第三点として、設定して共有している」として、
・対顧客/対取引先/対経営陣
・担当事業の未来
などの「共有する目線方向」を持っていると述べています。
 そして、仕事の二面性として、一面には「苦役」であるが、もう一面には「チャンス」とあるとして、仕事は、
・自分の可能性を開いてくれる成長機会
・様々な人と出会える触発機会
・何かことを成し遂げることによって味わう感動機会
・学校では教われないことを身につける学習機会
・あわよくば一攫千金を手にすることもある経済機会
であると述べています。
 第56章「場・脈をつくる」では、「上司と部下の関係は、二者間で閉じていると、どうしても互いの能力の出来不出来や人間性のことに気が集中しがちになり、感情的なものの支配が強く」なるとして、「大人の職業人であるべき私たちは、関係をある程度安定化させるための理性的な『第三点』を求め」る賭して、
・両者が共有できる目標やビジョン
・組織内の他社員
という「第三点」を求めると述べています。
 そして、「良い仕事が出来たという最大の報酬は、次なるもっと良い仕事の機会を得ること」であると述べています。
 第6章「ストレスと共生する」では、「自分の労働や労働時間、そしてそこから生まれるアウトプット物をそれなりの値段で買ってくれる人を顧客と呼ぶとすれば、サラリーマンにとって新の顧客は、あなたを雇用してくれる『会社』」であるとして、「その顧客の代表として、あなたの労働の質・量が値段(=給料)に見合っているかどうかを評価しているのが上司」だと述べています。
 第7章「大いなる目的を持つ」では、「真の出世とは、自分の働く忠誠心を職・仕事に置き、その職・仕事を通して、会社内は当然のこと、業界内、そして広く世のなかに認められていく、そして各方面に意義を与えていく状態」を言うとして、「自分の競争意識は、常に業界標準、世界標準を超えることに向けられて」いると述べています。
 さらに、キャリアは、中長期的には、「本人の『将来こうなりたい』という強い『意志の力』(=志力)が決定的な要因となる」として、「『志力』を起こすための4つのヒント」として、
(1)理想イメージを持つ
(2)共感人を持つ
(3)行動で仕掛ける
(4)自分を持つ
の4点を挙げています。
 本書は、サラリーマンにとって避けて通ることが出来ない「上司」を、どうとらえるかによって仕事生活がいかに変わるかを教えてくれる一冊です。


■ 個人的な視点から

 サラリーマンにとって、悩み事の8割上は、上司/部下の関係に起因するものではないかと思いますが、本書は、そういった目の前の問題に苦悩する多くのサラリーマンに、より高みにある「北極星」を見せてくれる一冊ではないでしょうか。
 それにしても、著者も村山さんは、非常にすっきりとしたロジックで一冊の本をまとめていて、しかも内容が充実しているにもかかわらず、「一テーマ一冊」でわかりやすく展開するので、ビジネス書としては模範的なのではないかと思います。
 一方で、そつがないというか模範的過ぎるがために、口コミで大ヒットに広がる起爆剤となるような、ロジックを無視した熱い語りの部分や、読む人を圧倒する壮絶な人生経験の部分が弱いのかもしれません。


■ どんな人にオススメ?

・上司/部下の関係を客観的に見つめたい人。


■ 関連しそうな本

 村山 昇 『「ピカソ」のキャリア「ゆでガエル」のキャリア』 2005年07月19日
 山本 寛 『昇進の研究―キャリア・プラトー現象の観点から』 2005年09月01日
 キャメルヤマモト 『稼ぐ人、安い人、余る人―仕事で幸せになる』 2005年05月24日
 金井 寿宏 『ハッピー社員―仕事の世界の幸福論 解決!組織で働く悩み』 2005年05月09日
 金井 壽宏 『変革型ミドルの探求―戦略・革新指向の管理者行動』 2005年03月12日
 小河原 直樹 『新しい社会契約』 2006年11月30日


■ 百夜百マンガ

ナース・ステーション【ナース・ステーション 】

 医療現場を描いたリアル路線の漫画の草分け的な作品。今の医療漫画ブームもこの作品がなければ存在しなかったかも知れません。

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