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2008年12月22日 (月)

楽しい電子楽器―自作のススメ

■ 書籍情報

楽しい電子楽器―自作のススメ   【楽しい電子楽器―自作のススメ】(#1432)

  米本 実
  価格: ¥1,890 (税込)
  オーム社(2008/12)

本書は、「音と電気の関係や電子楽器について知識を深めたり、電子工作を楽しみながら技術の基礎を学ぶもの」です。著者は、「自分の好きな音を求める感覚さえしっかりとあれば、誰にでも楽器を作る才能がある」として、「ないから作る」ことこそが、「自作楽器の一番大切なところ」だと述べています。
 第1章「音についてのお勉強」では、テルミンやアナログシンセサイザーなど、「使い勝手が悪かったり、演奏が難しい古い音源方式の電子楽器に注目」があつまり、「自分でユニークな楽器やデバイスを開発する人たちの活動も、メディアで取り上げられるようになって」北理由として、
(1)機器や道具の使い捨てに対しての疑問
(2)自分で手を動かして何かを造りリアリティが求められている
(3)電子音に対する人々の「耳」が変わってきたこと
の3点を挙げています。
 第2章「電気と音の密接な関係」では、「エネルギーというものに良い悪いはない、問題があるとすれば制御がうまくいっていないのだ」というヨガの本の言葉を紹介した上で、著者が作成した「片側が100VのACプラグ、反対側がホーンプラグ」になった危険なコード、「PAキラーコード」を紹介しています。
 そして、電気楽器と電子楽器の違いについて、「アコースティックのものと同じ物理的な発音システムを持ち、その振動を本体に取り付けたマイクやピックアップで電気信号に変換」する電気楽器と、「必ず発振器があり、そこから出力されるシンプルな電子音が、他の電子回路を通って加工されて、スピーカーから出力」される電子楽器との違いについて解説しています。
 第3章「電子楽器の歴史」では、1906年にニューヨークに登場した、「大きさは小型船並で重さが200トンもある巨大な1台の電子楽器」テルハーモニウムについて、その音源には多数の水力発電機が用いられ、「12期の多重発電機から得られる交流の正弦波を組み合わせ、倍音は抵抗器で調整し、音色をコントロール」下と開設し、「厳密に構造から言えば、テルハーモニウムは電子オルガンの先祖ということ」ができると述べています。
 そして、独自のスピーカーシステムを持った1928年のオンド・マルトノや、鍵盤一つにテープレコーダーを一つ割り当てたメロトロンなどを紹介しています。
 また、1979年に発売されたナムコのゲーム「ギャラクシアン」が、「独自の回路で、すでにデジタル的に音を鳴らす方法を開発」しているとして、この考えを「音のドット絵」と呼んでいます。
 第4章「作ってみよう!!」では、「ボタンを押すとブザーが鳴るという、誰にでも作れるシンプルな電子楽器」である「ブザ男」、カセットデッキのヘッドを取り出して手でテープにこすりつけることで音を出し、「カセットテープ以外の磁気記録媒体もこすって音を聞くことが出来る」、「時期をスキャンするもの」という意味の「マグスキャン」、家庭に供給される100Vの電気を「音として聴く」ことが出来るだけでなく、電圧制御式のアナログシンセサイザーにつなげば50Hz(関西ならば60Hz)のLFOとしてビブラートをかけることが出来る「AC-LFO」、トランジスタとトランスを使った発振器で、「スイッチを押すと音が出て、ボリュームを回すことによって音程が変化するというシンプルな電子楽器」にもかかわらず拡張性抜群の「ヨネミン」など、奇天烈な電子楽器を多数紹介しています。
 第5章「電子楽器ORIGINATOR列伝」では、「美術と音楽、ポップと前衛、デジタルとアナログの狭間で、カテゴライズの難しい独自の活動を展開するアーティストや技術者を紹介」しています。
 蛍光灯を改造した音具「オプトロン」を演奏する伊東篤宏さん、YAMAHAから発売された「16×16のLEDボタンを使って、音楽の知識がなくても視覚的・直感的に作曲/演奏することが可能な21世紀の音楽インターフェース」である「TENORI-ON」を開発した西堀佑さん、ノコギリでデストロイされたZO-3ギターとの出会いから、「IZYO-SYA」や「MISYN」などの改造楽器の音楽スタイル「奇楽」にはまり込んでしまった異常奏者さん、「流体や磁気、波の動きなどの自然現象を鑑賞者が動かして体験する装置」を作る冨岡雅寛さん、改造された「スピーク&スペル」との出会いから市販の電子機器を改造する「サーキットベンディング」にはまったKaseoさん、ハーディ・ガーディと胡弓をくっつけた「回擦胡」を作成した尾上祐一さん、カエルのパペットの形をした電子楽器「ケロミン」を開発した奥山雄司さんといったファニーな人たちを紹介しています。
 本書は、ハンダゴテを持ったことがない人、シンセを触ったことがない人にも、電子楽器の自作の楽しさを教えてくれる一冊です。


■ 個人的な視点から

 昔、ギターマガジンに連載されていたエフェクターの自作記事を見て、秋葉原でパーツを買っては自作をしたものです。ギターの本体にプリアンプを組み込んだりといった簡単なものでしたが、大学受験のときにも、帰り道に秋葉に寄ってパーツを買ったりしてました。
 ところで、本書のタイトル「楽しい電子楽器」だけを見て、シンセサイザーの入門書と間違えて注文して公開してしまう人がさぞかしいるのではないでしょうか。
 そういえば、シンセサイザー自作キットが付録で付いていた「大人の科学マガジン」を買ったはいいけどまだ作ってません。この年末にでも作りたいです。


■ どんな人にオススメ?

・電子楽器は店で買うものだと思っている人。


■ 関連しそうな本

 大人の科学マガジン編集部 『大人の科学マガジン別冊 シンセサイザー・クロニクル』
 大塚 明 『サウンド・クリエイターのための電気実用講座』
 大人の科学マガジン編集部 『大人の科学マガジン Vol.17 ( テルミン )』
 本多 博之 『誰でも作れるギター・エフェクター』
 本多 博之 『誰でも作れるギター・エフェクター2』

■ 百夜百マンガ

ハゲまして桜井くん【ハゲまして桜井くん 】

 若ハゲだからこその悩み、悟られたくない、というのがこの作品の笑いのポイントだとすれば、全部ばれて子どもまでできちゃうと深刻さも薄れるのではないかと思います。

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コメント

こんにちは。

ギターと言えばいろんな思い出が有るな何しろ音楽は学生時代はまるで駄目大きくなってから音楽を聴くのが好きになってそれでギターを始めたんだが。

いつも会社から帰ってくると二階のベランダでギターを弾いて好きな彼女が2階のベランダの前を通りすぎて帰っていくのを見ていた記憶があるね何とかして僕のギターを弾いている姿を見せたくて。

そんな甘い記憶がギターにはあるかな、あぁそうそう今ではそんなこと言っていられない何しろ髪の毛薄毛になって剃れど頃ではないから。

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