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2009年1月17日 (土)

卍の魔力、巴の呪力―家紋おもしろ語り

■ 書籍情報

卍の魔力、巴の呪力―家紋おもしろ語り   【卍の魔力、巴の呪力―家紋おもしろ語り】(#1458)

  泡坂 妻夫
  価格: ¥1050 (税込)
  新潮社(2008/04)

 本書は、小説家にして「紋章上絵師」である著者が、「図形による家のシンボル」である紋章について語ったものです。
 「紋章のこと」では、「平安時代からはじまり、およそ千年の歴史のうちに完成された、格調のあるデザインとバリエーションの豊富な紋」が、「世界中のデザイナーや美術館傾斜から注目されて」入るとして、1971年にアメリカで出版された『ザ・エレメンツ・オブ・ジャパニーズデザイン』(邦題『紋章の再発見』)を紹介しています。
 「垂れる形」では、「たれぱんだ」を取り上げた上で、「紋の変形の一つに『垂れる』という形式がある」として、「百をはるかに超えた変形法」があり、「同じ巴から数多くの変種を作り出した国は、日本以外にない」と述べています。
 「卍の魅力」では、「卍は古くから世界各地に現れ、神聖な印として大切に扱われて」北とした上で、戦前のドイツでナチス党章とされた「ハーケンクロイツ」と呼ばれる「右卍」について、紋では、「隅立五つ割り右卍」と呼ぶと紹介しています。
 「巴の魔力」では、「中国で巴は、もともと蛇がとぐろを巻く形とされて」いて、日本では、「渦を巻く水」とされ、建物の軒先に置く「軒丸瓦」が、またの名を「巴瓦」と呼ぶのは、「巴の水によって火災を防ぐ」という意味があると述べています。
 そして、「三つ巴を直線で表現」したものを「鱗巴(うろこどもえ)」と呼ぶことにしたうえで、「卍と巴との近い関係がよりはっきり」するとして、「卍は十字形の、4本の軸の先に鍵をつけたものであるのに対して、これはYの形に鍵をつけた形」だと解説しています。
 「麻の葉」では、「麻がまっすぐに伸びることから、子どもが丈夫で育つという幸せの印」だとした上で、歌舞伎狂言の「八百屋お七」が大当たりしたときのお七の衣装が、「浅黄色の麻の葉鹿の子振袖」だったと述べています。
 「独楽と駒」では、独楽は「古くは巻貝の貝(ばい)の殻を廻して」いて、「江戸期にはバイはベイと呼ばれ」ていたことから「ベイゴマ」担ったと解説しています。
 「非対称形」では、「四つ石」や「六つ組み合い亀甲」などを、「非対称に見せて、実は対称になっているという、一筋縄ではいかない紋」だとした上で、「同じような発想の変化法」として、「捻じ牡丹」「捻じ山桜」など、「捻じ」という一群の紋を挙げています。
 「見立て」では、日本の紋が、西洋の紋章と違い、「貴族のみが用いたのではなく、町人も家の紋をもって」いたとして、町人の礼装が「五つ紋のついた黒の羽織に袴」であり、「苗字は持たなくとも門はあった」と述べた上で、江戸時代に観光された紋帳が「時代が下るほど紋の数が多くなって」いることに、「町人がせっせと紋を作っていたからでしょう」と述べています。
 そして、江戸時代の文化に「見立て」という創作法が欠かせなかったことから、「紋の世界にも、見立てが頻繁に」現れるとして、
・柏の葉や桔梗の花→蝶
・牡丹の花と葉→蟹
・三つの稲妻→鶴
・銀杏→鶴
などの見立ての例を紹介しています。
 本書は、千年の歴史を持ち、江戸の文化の洗練を今に伝えてくれる「紋」に対する理解を深めるにはうってつけの一冊です。


■ 個人的な視点から

 「卍」という漢字は形そのままを表しているのですが、「巴」もそういう目で見ると形を現していることに気づきました。
 子供の頃は、襖紙や布団、建具などの模様を見ているのが楽しかったのですが、今ではそういう「紋」が隠れたものは少なくなったのでしょうか。意外に最新のツールの中に隠れていたら楽しいです。例えばケータイの裏側にこっそり入っていたら粋なのかもしれません。


■ どんな人にオススメ?

・「紋」といえば「家紋」くらいしか浮かばない人。


■ 関連しそうな本

 泡坂 妻夫 『織姫かえる―宝引の辰 捕者帳』
 泡坂 妻夫 『家紋の話―上絵師が語る紋章の美』
 高澤 等, 千鹿野 茂 『家紋の事典』
 岡田 保造 『魔よけ百科 かたちの謎を解く』
 能坂 利雄 『家紋を読む―ルーツと秘密を解き明かす』
 藤森 照信, 増田 彰久 『看板建築』 2008年04月12日


■ 百夜百音

もしもピアノが弾けたなら【もしもピアノが弾けたなら】 西田敏行 オリジナル盤発売: 1981

 個人的にはピアノが弾けない人間なのですが、子供の頃からこの曲を弾くたびに、男がピアノ弾けないからといって卑屈になるな!と思ってました。
 「ピアノ」というのが、「育ちのよさ」とか「教養」とかの意味なのかもしれないとも思いますが、「男だったらギター持て」と。はなわみたいにベースでもいいかも。
 ちなみに、作詞者の阿久悠は、「少しばかり器用なサービス精神」という意味だといっているそうですが、不器用だからこそアカペラで歌うことに意味があるような気もします。

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とおりすがりの者ですけど、あなたのブログ、画像とリンクの貼りすぎで非常に重いです。
検索してうっかり入り込んで、えらい目に会いました。
もっとすっきりしたブログの経営をなさってください。

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