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2009年6月 4日 (木)

一話3分 落語ネタ入門

■ 書籍情報

一話3分 落語ネタ入門   【一話3分 落語ネタ入門】(#1596)

  桂 歌若
  価格: ¥819 (税込)
  朝日新聞出版(2009/5/13)

 本書は、「落語のストーリー紹介のほか、落語家のエピソードや落語界に伝わる教訓、また舞台となった江戸庶民の生活事情なども織り交ぜ」た「読む落語」でで、『電通報』という業界紙に連載されていたものです。
 第1章「上席」では、落語「たがや」の落ちが、もともとは侍が「たが屋」の首をはね、それを見た見物人が「たぁーがや~」と落としていたものが、明治以降に「弱い立場の者が強者を叩きのめすという痛快な演出へ変更され」、町人が侍の首をはねるというものになったと解説し、「落語のやり方にも時代の空気が色濃く反映されていた」と述べています。
 また、落語「松竹梅」に関連して、落語家も披露宴でスピーチを求められると述べ、とある師匠が「あいさつを短く縮めるから縮辞(祝辞)という。これが長いと長辞(弔辞)になっちゃう」と話していることを紹介し、「あいさつは短めに、お二人の幸せは末永く」と語っています。
 さらに、「三年目」に関して、「落語には幽霊の登場する作品が数多くあり、怪談噺をのぞけば多くがコミカルに描かれて」いると述べています。
 第2章「中席」では、昔の落語家は「よく質屋を利用していた」が、質草として、「われわれのユニフォームである黒紋付き」を質入れし、「夏になったら冬物を、冬になったら夏物をと交互に質入れ」し、「質屋にとっては大事な預かり品」なので「傷まないように管理も万全」だと語っています。
 また、落語家の楽屋が「いつでも賑やかにおしゃべりをして過ごして」要る理由として、「楽屋で陽気な笑い話をして、その陽気な雰囲気のまま高座へ上がると、それがお客様にも伝わって落語がやりやすくなる」からだと語っています。
 第3章「下席」では、曲芸や奇術などの落語家以外の寄席の出演者を「色物」と呼ぶ理由として、「演者の芸名が書かれた札」である「めくり」を落語家は黒で書かれているのに対し、それ以外の芸人は朱で書いたことからだと述べています。
 また、役人が登場する「ぜんざい公社」や「二番煎じ」の「甘い汁は先にこちらで吸いました」や「二番を煎じておけ」などの落ちを紹介しています。
 そして、落語に登場する子供が、「頭の回転が速く小生意気」だが、「不思議と嫌味を感じさせ」ない理由として、「父親は権力の象徴で、子供はそれに対する庶民の素朴な疑問と感情を現している」という「落語のトリック」があると解説しています。
 また、落語界の「符丁」として、
一・・・ヘイ
二・・・ビキ
三・・・ヤマ
四・・・ササキ
五・・・カタゴ
六・・・サナダ
七・・・タヌマ
八・・・ヤワタ
九・・・キワ
という数の数え方を紹介しています。
 本書は、落語に馴染みのない人にも落語の世界に親しみを感じさせる一冊です。


■ 個人的な視点から

 本書が『電通報』に連載されていたということは、つまり広告業界にとっても落語は欠かせない基礎知識ということなのでしょうか。とりあえず、ゆうきまさみとか一部のマンガを読む上では落語がわからないとつまらないということは確かですが。
 そういえば、ドラえもんの「世の中うそだらけ」という話では、「壷算」を下敷きにジャイアンがのび太からアイスをせしめています。


■ どんな人にオススメ?

・落語は大人の基礎知識だと思う人。


■ 関連しそうな本

 吉原 健一郎 『江戸の町役人』 2008年01月04日
 福田 アジオ 『番と衆―日本社会の東と西』 2008年03月07日
 宮本 常一 『忘れられた日本人』 2006年06月25日
 八幡 和郎, 臼井 喜法 『江戸三〇〇年「普通の武士」はこう生きた―誰も知らないホントの姿』


■ 百夜百マンガ

タフ外伝OTON【タフ外伝OTON 】

 決して欠くことのできないいい味を出している「おとん」を主人公にしたスピンアウトものです。こっちのほうが面白いかも?

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コメント

前略御容赦願ひます。


白石良夫著『かなづかひ入門』で檢索してこちらに逢着致したました。


當時書いてゐたものを眞道重明さんのサイトの言葉の詮索(その4)

http://home.att.ne.jp/grape/shindo/kotoba9.htm#Ktoba9.htm

で公開してもらったところです。御一讀いただければありがたく一筆御案内申し上げます。

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