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2009年12月17日 (木)

優れた企業は「日本流」

■ 書籍情報

優れた企業は「日本流」   【優れた企業は「日本流」】(#1792)

  原 正紀
  価格: ¥756 (税込)
  扶桑社(2009/8/28)

 本書は、「これからの日本企業が目指すべき新しい企業のかたち」として、「和の力、情の心、不安への備え」をキーワードとした「人肌経営」を提唱しているものです。
 第1章「日本人に最も適した企業のかたち『和』の組織」では、「バブルで血を流した記憶は、経営者や社員につらい思い出として残った」ため、「二度とこのような思いをしたくないということから、環境変化に対して柔軟な対応が可能であり、総額人件費をコントロールしやすい非正社員化に走った」と述べています。
 そして、従来型の日本企業保っていた特徴である「社員と長期にわたる信頼関係を結ぶことを前提とした仕組み」について、「こうした日本企業が従来持っていた良さが、バブル崩壊に伴う組織改革によって損なわれる結果となっている」と述べたうえで、「これからの日本で大事なのは、中間管理職の再活性化なのではないか」と述べています。
 第2章「ベンチャーの雄、IT企業が突如終身雇用を宣言したその理由とは?」では、株式会社サイバーエージェントを取り上げ、人材が激しく流動していたインターネット業界で、「一時は、離職率が30%を超えていた」ことから、「人材の定着率を挙げ、優秀な人材を確保」するために「新しい終身雇用制度」を柱とする人事制度の強化を図ったと述べ、年功序列型の賃金体系を禁じる一方で、「勤続年数の長い社員には福利厚生で還元」していると述べています。
 第4章「新入社員の不安を解消するため社内に"家族"を作ってしまった会社」では、スカウト・ヘッドハンティング事業や新卒採用のコンサルティングを手がけるレイス株式会社を取り上げ、新入社員の心のケアを行うため、「入社した新入社員2~3人を『子』として、2年目の社員を『兄・姉』、そして3年目以上の社員を『親』とする"里家族"」を作り、食事会やバーベキューなど、「もっと近い距離でコミュニケーションを図っていこう」としていると述べています。
 第8章「仕事の誇りと、教える技術を取り戻す体験教室の先生になるという試み」では、清川メッキ工業株式会社を取り上げ、「以前はメッキ加工業に対する世間のイメージが悪く、新卒採用を行っても全く人が集まらなかった」と述べた上で、小学校に出張してメッキ加工という仕事を知ってもらう「めっき教室」について、そのメリットとして、
(1)社会貢献
(2)企業のイメージアップ
(3)仕事への誇り
(4)教える本人の学び
(5)企業へのロイヤリティ
(6)技術の伝承力
等の点を挙げています。
 第11章「人は労働商品ではない。欧米とは違う日本独自の派遣のあり方を目指す」では、旭化成アミダス株式会社を取り上げ、「同社の最大の特徴は、仕事と人材のマッチング方法にある」として、「人材の募集、面接・採用、派遣先への営業、仕事を紹介するコーディネートなどの業務」を細分化せず、「あえて一元管理という方法を採用している」と述べた上で、「派遣という欧米から輸入した就業の仕組みに、日本的な"情""不安解消""和"という3つの要素を、上手に取り入れた」と述べています。
 第12章「衰退した日本特有の復活鉄工所が試みた、『和』の組織の作り方」では、「研修会や委員会の始めに、参加者の心を重ねる目的で、歌をハモるトレーニングを導入した」と述べています。
 第13章「新たな成長に向かって『和』する組織を作る重要な4つの要素」では、「人の気持ちや精神をとても重視する経営、"人財中心"の経営こそが日本流経営の骨格」だとした上で、「和」の組織を作り上げる重要な要素として、
(1)和する組織作りに、もっと注力すべき
(2)勤勉に主体的に活動する個人の育成
(3)顧客へ向かう力を高め、現場を活性化すること
(4)経営そのものに人を活かす思想を強く埋め込むこと
の4点を挙げています。
 本書は、日本企業が本来持っていた良さを教えてくれる一冊です。


■ 個人的な視点から

 本書で取り上げられている例の多くは、もしかすると昔ながらの日本企業にとってはさほど珍しいものではないのかもしれませんが、あえて意識して導入しているところが新しい部分なのでしょうか。


■ どんな人にオススメ?

・日本企業は古臭いものだと思う人。

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パットナムについての記事ですが
要点がまとめられていて参考になりました!

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