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2010年1月20日 (水)

セレブの現代史

■ 書籍情報

セレブの現代史   【セレブの現代史】(#1826)

  海野 弘
  価格: ¥798 (税込)
  文藝春秋(2006/04)

 本書は、「きちんと説明されていないが、みんななんとなくわかっている社会現象」であり、「実は、現代文化を読むためにかなり重要なキーワードではないか」と思われる「セレブ」について、「もしセレブが鏡であるとするなら、そこに現代の社会と文化が映し出されているはずだ」として、「セレブをキーワードとして現代を読んで」みたものです。
 第1章「セレブの誕生」では、「50年代のグラマー(セレブリティといってもよい)は、成上がりではなく、生まれつき備わったような上品さ、輝かしさを持っていた」、「60年代のグラマーは未来の才能を感じさせる輝きを持っていた」が、「それ以後は、成り上がりの虚栄が鼻につくようになる」と述べています。
 第2章「映画スターのセレブ」では、「かつては、ある努力の結果であった名声は現代においては、ハイプ(誇大宣伝)、メディア操作で得られるものとなった」として、「セレブ企業は、ハイプ、買入れ、メディア操作、自己PR、提携などによって展開される」と述べ、「そのような変化は、それまでのスターをつくり出してきたハリウッドの衰退を背景としている」としています。
 そして、「セレブリティは<商売>、<財産目録>、<財産>、<製品>、<商品>となり、ファンは<マーケット>となり、現代の高度消費文化のワン・ピースとなった。セレブは投資の対象となった」と述べています。
 第3章「テレビのセレブ」では、アメリカのテレビが生んだ2人のセレブ、バーバラ・ウォルターズとオプラ・ウィンフリーを取り上げています。
 第4章「ポップスのセレブ」では、「グラム・ロックが解禁したロック音楽の資格化、スペクタル化は止まらなかった」として、「プロモーション・ビデオがレコードを売るためにつくられるようになったこと」が、「それに拍車をかけた」と述べています。
 第5章「アートとセレブ」では、アンディ・ウォーホルが、「アーティストのお金に対する罪悪感を払拭してしまった。よい芸術とは売れる芸術である。売れることがよいことなのだ」と述べています。
 また、「有名建築家はブランド化した」として、「建築・デザイン(グラフィック、インダストリアル、インテリア)・ファッションなどの分野が<セレブ>によってくくられ、混ざりあいはじめた」と述べています。
 第6章「ファッションとセレブ」では、「ファッション界も大きく変わった。デザイナー自身がセレブの仲間入りをしたのである」として、「いまやデザイナーは"洗練された暮らしの達人"と見られるようになる」と述べています。
 第7章「女性とティーンズ」では、「セレブリティ・ビジネスのマーケットの主力は、女性とティーンエージャーである。女性とティーンズはセレブに魅せられ、そのスタイルを真似、その服や持物と同じものを欲しがる。セレブはファッションやライフスタイルのリーダーと見られるのである」としたうえで、「ティーンズと女性によるセレブ・ビジネスのマーケットはますます加熱している」と述べています。
 第8章「政治とセレブ」では、「かつては有名人といえば、政治家や軍人がかなり多かった」が、今や、「セレブの中で政治家の占める割合はかなり少ない」と述べています。
 そして、「1990年代までに、セレブリティ・ポリティックスのシステムが確立された。それはテレビの画面のようにヴィジュアルであり、私たちは政治に参加するよりは、政治ゲームに見とれているようになった。政治はショーになった」と述べています。
 また、「日本でもこれに近い状況になってきているのではないだろうか」としています。
 第9章「セレブ・テン・ギャラリー」では、著者の好みによると前置きした上で、
・グレース・ケリー
・オードリー・ヘップバーン
・ジャクリーン・ケネディ・オナシス
・マドンナ
・ダイアナ
・アンディ・ウォーホル
・ミック・ジャガー
・マイケル・ジャクソン
・トム・クルーズ
・デイヴィッド・ベッカム
の10人のセレブを挙げています。
 エピローグでは、「セレブ時代の象徴ともいえるのが、ものまね芸なのである」とした上で、「<セレブ>がコピーの構造を持っていることを示している」と述べ、「セレブにあこがれ、そのコピー、そっくりさんになりたくなる。そのためにセレブの持物、服、化粧を真似る。セレブ文化=ものまね文化なのである」と述べています。
 本書は、言葉では聞いたことがある「セレブ」とは何かを考えさせてくれる一冊です。


■ 個人的な視点から

 一般には「セレブ」と言えばホテル王の娘とかを想像しますが、デザイナーやアーティストなど様々な世界で世に出る素質としてセレブかどうかが必要になっているのかと思うと寂しいものです。


■ どんな人にオススメ?

・セレブが好きな人。

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