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2010年1月23日 (土)

謎の田舎政治―これからは田舎暮らしがおもしろい!

■ 書籍情報

謎の田舎政治―これからは田舎暮らしがおもしろい!   【謎の田舎政治―これからは田舎暮らしがおもしろい!】(#1829)

  吉津 耕一
  価格: ¥1,631 (税込)
  ハート出版(1996/04)

恩書は、「田舎には人を追い出してしまうような力が働いている」として、「田舎政治」の力を指摘し、「そんな不思議な田舎の政治や行政、文化や人々の意識について」、「20年前に田舎に帰ってからずっと考えていたこと」と綴ったものです。
 第1章「私と田舎の二十年戦争」では、「ふるさとは病気になって帰るとこ」という川柳を紹介したうえで、突発性難聴になったことを機会に田舎に帰ったことを述べた上で、「人々のイメージの中にある田舎は、病気になったり、失恋したり、都会の人間関係に疲れて帰る場所なんだろう」と述べています。
 また、田舎の占拠について、「田舎には"お年始"という慣習があって、のし紙にくるまれた年始タオル一本とのし袋に1000円から3000円を入れて、普段お世話になっている人の家を歩く。選挙の年には立候補を予定している人は"お年始"の中身を増やしたり、ふだんはあげてない子供へのお年玉も奮発したりする」とした上で、「都会と違って田舎は血縁や地縁、職場での付き合いで支持者を決める人がほとんどだから、政策とか人柄とかはあまり関係ないし、買収も難しい」と述べ、「お金を渡したり受け取ったりする」のは、「わたしはあなたが投票してくれるとあてにしている」、「私は大丈夫、あなたに投票しますよ」という「確認のための儀式のようなもの」だと述べています。
 そして、「田舎の政治は、田舎の選挙そのものだし、旧来の慣習を打ち破るような形での立候補は、それ自体が非常に困難な仕組みになっている」として、「まさに政治は武器を使わない戦争行為のようなものだ」、「田舎政治にも中央の政治に負けない、駆け引きや業が発揮される」と述べています。
 第2章「謎だらけの田舎政治」では、田舎の政治家の体型は、「ずんぐり・むっくり・ハゲ頭」というタイプが7割以上だと述べ、「背の低いずんぐりした人は、おじぎをしたときに、相手から見れば見下ろす感じになるので、いかにも深々とおじぎをしてくれたという感じになる」からではないかと述べています。
 また、「田舎の選挙に金がかかるのは、決して、マスコミなどで言われているような意味での買収のためではない」として、「田舎の選挙では金を使う習慣がある」程度の表現が実情に近いと述べています。
 そして、「一般に町会議員を続けているうちは資金繰りに困ることはない」が、「選挙に落ちたり、政治家をやめて"ただの人"になったとたんに取り立ては厳しくなる」として、「只見町の町長経験者、あるいは町長選挙に挑戦して敗北した人で、その後十年以上も借金返済と財産処分、果ては一家離散の苦しい後始末の人生を送った人が何人もいる」と述べています。
 第3章「不思議な田舎の文化」では、「うわさは若い女の子が田舎に残りたくない大きな理由の一つ」だとして、「田舎にはきちんとしたプライバシー、個人の尊厳が確立されていない。それを利用して、自分の気に入らない人を陥れるために事実を捻じ曲げて話を大きくし、うわさを流して政治的に利用する人さえいる」と述べ、「どうせのこと、うわさが追いつかないほどの面白い事実を次から次へと起こして、旧い話や大したことのない話なんかつまらないと思われるくらいに活気のある町をわたしはつくりたい」としています。
 また、「田舎もずいぶん豊かになったなあ。どこの家にも農業用軽トラックのほかに自家用車があって、焼肉を腹いっぱい食べて、たらふくビールを飲んで、カラオケだもんな」と実感する一方で、その酒飲みの話題は、「最も貧しい時代と同じような、グチや不平不満ばかりの会話」であることに「びっくりした」と述べています。
 さらに、「只見町の祝宴には、必ずといっていいほど"赤飯付き折り詰め弁当"がつく」が、「これはその場で食べるものではない。最初から『お持ち帰り専用』にできているのだ」として、「このマナーを知らないで、折り詰め弁当のほうをガツガツ食べたりすると、『ばがやろ、田舎のしきたりもわがんねぇのが。持ち帰り用の「折り」をこっだどごでガツガツ食うどは、いやしい奴だな』と思われたりする」と述べています。
 第4章「わたしの田舎改造論」では、「田舎の旧くさい政治を変えるには、まずその旧くさい選挙を変える必要がある」として、「政治家が自分の政策を訴えるには選挙公報で十分であり、その内容が本物かどうかは有権者がその候補者の普段の生活や仕事を見て判断すれば十分だ」と述べています。
 そして、「田舎へ行けば行くほど、町村長が変わるたびに、自分を支持してくれる役場職員を重要なポストにつけ、自分を支持してくれた土建会社へ公共事業を発注しようという傾向が強い。自分に反対意見を言う者は遠ざけ、重要なポストから外す」と述べた上で、「このようないかにも『田舎政治』的なやり方は実は田舎だけでなく、日本の中央の省庁や一流の大企業、一流の大学の中でさえ広く見られる。『田舎的』というよりは、旧い日本の体質の名残なのだろう」と述べています。
 また、「かじっかのいっぱいいる川で泳げる街」が理想とする町だとして、「一日も早く、kぁじっかがいっぱいいて、子どもたちが安心して泳げて魚採りのできる川を取り戻したい。そこで大人たちも一緒に遊べる街をつくりたい」と述べています。
 本書は、高校を出てから田舎に暮らしていない人にはわからないディープな田舎を教えてくれる一冊です。


■ 個人的な視点から

 都会の人から田舎がよく見えるのは、田舎に住んだことがないか、大学から都会に出てしまって「田舎政治」に触れることが無かったからかも知れません。特に田舎の噂好きや陰口の面倒臭さを知ってしまうと幻滅してしまうでしょう。定年退職後にリサーチや免疫なしに田舎に引っ越してきても周りから孤立してしまって失意のまま都会に戻る人も少なくないようです。


■ どんな人にオススメ?

・知りたくもない田舎のディープさを知りたい人。

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