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2011年7月21日 (木)

ネアンデルタールと現代人―ヒトの500万年史

■ 書籍情報

ネアンデルタールと現代人―ヒトの500万年史   【ネアンデルタールと現代人―ヒトの500万年史】(#2042)

  河合 信和
  価格: ¥ (税込)
  文藝春秋(1999/08)

 本書は、「巨大な個体数(人口)にもかかわらず、ただ一種しか存在しない」という自然界の異端児である人類について、「ホミニド」という「かつて地上に現れた人類」は17種にも及ぶとして、「化石類人猿から現代人に至る変遷」をたどったものです。
 第1章「ネアンデルタール人の謎」では、ネアンデルタール人の特徴について、「「ずんぐりしていて身長はそれほど高くはなかったが、骨組みの頑丈さは抜群だ。四肢の骨幹は、現代人よりはるかに太く、弓なりになっている上に、関節も巨大そのものである。さらに仔細に見れば、骨稜は顕著でしたがってここに付着していた筋肉も想像を絶するほどだったろう。それでいて、四肢の長さは相対的に短い」と述べ、「仮に古典的ネアンデルタール人がこうした異常な頑丈さを持ち合わせていなかったとしたら、ヨーロッパを幾度と無く襲った氷河期を生き延びることは出来なかっただろう」としています。
 また、科学者からの扱いについて、「失脚と福建の繰り返しであった」と述べた上で、ネアンデルタール人をめぐる諸説の変遷として、
(1)現代人の祖先に位置づける説
(2)プレ・サピエンス説
(3)段階説
(4)多地域連続説
(5)単一種説
(6)多地域進化説
の6つの説を紹介しています。
 第2章「現代人の出現とネアンデルタール」では、「80年代の半ば、ネアンデルタール人が現代人の祖先だという論調が最高潮に達したまさにこの頃、新たなハイテク技術が、唐突に論議に介入した」として、「核内DNAよりも十倍というかなり速い速度で変化」しているため、「その変化率からどのくらい時間がかかったか逆算できる」こと、「母親からしか受け継がれない」こと、という2つの特徴を持つミトコンドリアDNAを調査した「ミトコンドリア・イヴ説」の発表により、「多地域進化説派にとって、横合いから食らった強烈なパンチとなった」と述べています。
 さらに、言語学のデータと重ね合わせた結果、「言語系統樹」が「DNAによる系統樹とほとんど重なりあった」と述べています。
 また、「中東で、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは、見た目には少なくとも5万年間は『共存』していた」と述べた上で、「氷河期ヨーロッパでのネアンデルタール人とクロマニヨン人(ホモ・サピエンス)との遭遇は、前者の側の相当なハンデの上での競争的共存であった」として、「後代な後背地を抱える中等と異なり、ネアンデルタール人に落ち着く先はもはやなかった」と述べています。
 そして、「大きな個体群が何かの理由で急激に個体数を減らし、もう一度膨張する」という「ビン首」という現象について、「ホモ・サピエンスにも、その可能性がある」と述べています。
 第3章「私たちは何ものか?」では、「人類史の想像図は、21世紀に入っても、なお流動し続けるだろう」とした上で、「彼らは、すべて絶滅し、ヒト族にその地位を譲ったということだ」と述べています。
 第4章「母なるアフリカを離れて」では、「従来からの果実、根茎類などの植物食に加えて、肉食を大幅に取り入れた雑食化によって、ヒト族が脳を拡大させたのは確かである」と述べ、「腸は、脳の食うエネルギーに見合うだけ、明らかに短くなっていた」と述べています。
 そして、ヒトがアフリカをでた理由として、「ヒトが肉食になったからだ」とする仮説を紹介し、人口密度を減らすためにユーラシアへ拡大していったと述べています。
 本書は、人類が現在の姿になるまでの興亡をまとめた一冊です。


■ 個人的な視点から

 昔の教科書では、類人猿から猿人、原人、ネアンデルタール人といった進化の段階を一直線に進んできたように教わったと記憶していますが、現在の人類がいくつもに枝分かれした人類の中の唯一の生き残りであり、場合によっては他の人類を皆殺しにしたのかもしれない、ということを今の教科書ではどのように教えているのかが気になります。


■ どんな人にオススメ?

・猿から人間までの進化の図を覚えている人。


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