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2011年9月

2011年9月 5日 (月)

太陽黒点が語る文明史―「小氷河期」と近代の成立

■ 書籍情報

太陽黒点が語る文明史―「小氷河期」と近代の成立   【太陽黒点が語る文明史―「小氷河期」と近代の成立】(#2059)

  桜井 邦朋
  価格: ¥520 (税込)
  中央公論社(1987/07)

 本書は、「太陽面から黒点が消えてしまっていた『マウンダー極小期』(1645-1715)を中心とした時代に関することがらであって、太陽と地球の両者にどのようなことが起こっていたか、そうして、それらが因果的にどのように関連していたと考えられるか」を述べたものです。
 プロローグ「『小氷河期』の時代」では、「1660年代半ば頃の数年は、ヨーロッパの西端に位置するイギリスを中心にペストが大流行した」として、「当時、イギリスを始めヨーロッパの国々の人々は、気候の寒冷化のために起こった食料生産の不振に苦しんでいた。ペストの流行と慢性化した飢餓が、ほとんどすべての国を襲った。この気候の寒冷化は寒冷化は、気候学的な研究に基づいて現在では『小氷河期』(Little Ice Age)と命名されている」と述べています。
 第1章「『小氷河期』の起源と発達」では、19世紀の終わり頃にマウんだーが、「1645年頃から1715年頃までの約70年間に、太陽活動が異常に低くなっていたことを明らか」にし、「その証拠とされたのは、17世紀初め以後に発表された黒点観測に関する数多くの論文が示す、黒点が太陽の表面から消えてしまったという結果であった」と述べています。
 そして、「中世から近代への移行期に地球を襲った小氷河期は、地球環境に流入する太陽エネルギーの現象によって引き起こされたのだ」として、「太陽に何らかの異変が起こったときに、人類がその活動に大きな影響をうけることは当然であろう」と述べています。
 第3章「太陽活動と近代文明」では、気候の寒冷化によって、「人々は生活しにくく、死の恐怖に常に怯えながら生きねばならない時代を迎えた」として、「このような時代の動きの中から、人々は自らの生き方や人間の本性について考え、そこから新しい人間観や世界観を築いていくことを余儀なくされた」と述べています。
 第4章「科学革命の時代」では、「現在にまでそのままつながっている科学や哲学に関わる思想が、マウンダー極小期のような気光学的に見て厳しかった時代に生まれてきたことは、大変に不思議である。また、新しい国家像の建設、そうして、そこから生まれ育ってくる資本主義国家への道が、経済の一般的危機の時代だといわれたマウンダー極小期を含む時代に胞胚するのも、ふしぎなことである。この時代が、こうした危機齢への恐怖に対決すべき大変な時代であったからこそ、このように、新しい時代への胎動が生じたのだと言ってもよいであろう」と述べています。
 本書は、太陽の活動と歴史の動きを関連付けた一冊です。


■ 個人的な視点から

 最近でこそ、過去の気候や環境を様々な方法で分析する手法がたくさん出てきてますが、そういった理系的なアプローチ方法と、実際の歴史や政治の動きとを重ねあわせていくと、より多面的に過去のことが分かるのではないかと思います。
 それにしても温暖化よりも寒冷化のほうが心配です。


■ どんな人にオススメ?

・歴史を動かした気候変化を知りたい人。


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