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2013年11月28日 (木)

トップアスリートの動きは何が違うのか: スポーツ科学でわかる一流選手の秘密

■ 書籍情報

トップアスリートの動きは何が違うのか: スポーツ科学でわかる一流選手の秘密   【トップアスリートの動きは何が違うのか: スポーツ科学でわかる一流選手の秘密】(#2208)

  山田 憲政
  価格: ¥1785 (税込)
  化学同人(2011/12/2)

 本書は、「スポーツと物理学、数学、そしてコンピュータ・プログラミング」を結びつけた研究を紹介するものです。著者は、「合理的な動きについて知っていれば、運動障害に悩まされる機会を少なく出来るのではないだろうか」と述べています。
 第1章「いかにして動きに迫るか」では、1878年にアメリカの写真家・マイブリッジによって疾走中のウマが撮影されたことについて、「絵画の世界では、マイブリッジ前とマイブリッジ後という語があるくらいで、マイブリッジ後とはカメラを用いて動きを正確に確認して描くという意味を含んでいる」と述べています。
 そして、「これまでは現象を可視化することだけで大きな意義があったのが、次の段階として数理的モデルを用いてその背景に潜むメカニズムの解明が求められるようになった」と述べています。
 第2章「動きの化学――全力疾走の解析」では、「全力疾走中の膝伸展においては、筋力によらない、二重振り子の原理に基づくトルクが働いていることが確かめられた」と述べています。
 第3章「ハンマーをいかに加速させるか――二重振り子とハンマー投」では、「ハンマー投の技術においても加速器で二重振り子の原理が用いられている」とした上で、「ブランコの長さを変えて加速させる技術がハンマーを回転させる技術にも用いられている」と述べています。
 第3章「投球動作――二重振り子の三次元空間への拡張」では、「正確なボールの軌道は最終的にはそれを発生させる身体の動きの正確性にかかってくるが、できるだけ正確に身体の動きをコントロールするには、関節の可動範囲を多少犠牲にするほうが良いことが、運動の制御の研究から明らかにされている」と述べています。
 第6章「衝突の科学――スポーツにおける瞬間の技術を捉える」では、「一流のアスリートには一連の運動がリズムとして構造化されて知覚されている場合がある」として、「その自己の感覚が特定の音楽(為末選手の場合はドリフターズの音楽)を用いることで他者に伝わる情報となっている」と述べています。
 第7章「運動観察の科学」では、「ミラーニューロンの発見以来、動きを見ることと同時に自分の身体の動きを脳でシミュレーションしていることもわかってきた。つまり、脳内部では見るときに仮想的な運動(内的身体運動)が起きていると考えられる」として、「他者を観察するときにあたかも自己が運動しているように見ることで発生する運動観」である「運動共感」が指導者には必要であるとも言われていると述べています。
 本書は、スポーツの動きを、数的に解析する取り組みを紹介した一冊です。


■ 個人的な視点から

 スポーツって本来的には科学とものすごく相性がいいはずなんですが、日本ではむしろ「運動部」と「科学」って対極にあるものくらいに認識されているのが不思議なところです。やっぱり「部活」神話のせいなのかもしれません。


■ どんな人にオススメ?

・理屈じゃないんだッて思う人。


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