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2013年12月 6日 (金)

生命進化8つの謎

■ 書籍情報

生命進化8つの謎   【生命進化8つの謎】(#2216)

  ジョン・メイナード スミス, エオルシュ サトマーリ (著), 長野 敬 (翻訳)
  価格: ¥ (税込)
  朝日新聞社(2001/11)

 本書は、「進化の物語とは違う見方に立って、進化のいろいろな階層で繰り返して認められる基本パターンを論じよう」としたものであり、「進化における複雑さの増大は、一連の大きな〈進化的な移行〉の結果として達成されてきた。移行には、情報が蓄えられ、伝えられてゆく方法の変化が関係している」と述べています。
 第1章「生命と情報」では、「生命の起原の問題とは、『増殖』と『変異』と『遺伝』をもった存在が原始地球の化学的な環境を出発点として、最初にどのように生じてきたかという問題となる。これら3つの特性が与えられれば、生物に予期される他の特性は進化してくることができるだろう」と述べています。
 第2章「主要な移行」では、「情報が貯蔵され伝達され翻訳される方法における少数の大きな変化」である「主要な移行」として、
(1)複製する分子→区画に囲われた分子の集団。
(2)独立の複製体→染色体。
(3)遺伝子及び酵素としてのRNA→DNAとタンパク質。
(4)原核細胞→真核細胞。
(5)無性的なクローン→有性生物の集団。
(6)原生生物→動物、植物、菌類。
(7)孤独性の個体→コロニー。
(8)霊長類の社会→人類の社会と言語の起原。
の8点を挙げています。
 そして、移行について強調しておくべき特徴として、
(1)自然選択による進化はあらかじめ先を予見するものではないということ。
(2)移行は一度起きてしまうと逆行させるのが困難だということ。
の2点を挙げています。
 第3章「化学から遺伝へ」では、「現在の生物で重要な化合物の多くも含めて、広い範囲の有機化合物が生物無しで合成されることには困難は見られない。しかし行われる反応には特異性が欠けているし、特定の化学結合でつながったポリマー(タンパク質、核酸)がどうやってできるかは、特に理解が困難である」と述べています。
 第6章「真核細胞の起原」では、「真核生物の起原」は一連の複数の出来事だったとして、
(1)堅固な細胞壁が失われて、固形の粒子を接触する新しい方法が得られたこと。
(2)細胞内部の細胞骨格と新しい運動方法の起原。
(3)核膜も含めて細胞内部の新しい膜系が生じてきたこと。
(4)転写と翻訳が空間的に分離されたこと。
(5)いくつもの複製起点を持つ棒状の染色体が進化してきて、ゲノムの大きさについて制約が取り除かれたこと。
(6)細胞のオルガネラの起原、とりわけミトコンドリアと、藻類や植物では色素体の起原
の6点を挙げています。
 第7章「性の起原」では、「われわれが問題とするのは性が生じた理由、そしてなぜそれがいま広く普及しているのかという理由」だとした上で、「性が集団に利益をもたらす」方法として、
(1)有性の集団は変化する環境に対してより速やかに進化できる。
(2)性は集団内の有害な突然変異による負荷を減らすことができる。
の2点を挙げています。
 また、性の分化の歴史として、
(1)+と-という2つの交配型の進化があり、その推進力となったのは、細胞内のオルガネラを一方の親からだけ伝える必要性だった。
(2)運動する配偶子と食物を蓄える配偶子をそれぞれ生ずるという、雌雄の区別の進化があった。
(3)ある系統では両性の間に二次的な差が進化してきた。これを進める原動力は、一部は雄の間での競合、また一部は子育てにあたっての分業だった。
の3つの段階を挙げています。
 第11章「動物の社会」では、「真社会性の動物」の定義として、
(1)生殖に関する分業。すなわち一部の個体だけが生殖すること。
(2)コロニー内部で世代が重なり合っていること。
(3)育児個体が共同して子の養育を世話すること。
の3点を挙げた上で、「遺伝的類縁度は孤独性から社会性の子育てに移行する時決定的な役割を演じている」として、ハミルトンが提案した「包括適応度」について解説しています。
 本書は、生命がどのように進化してきたのか、という過程における8つの大きなブレイクスルーを解説した一冊です。


■ 個人的な視点から

 遺伝子について理解しようとすればするほど、人間を始めとする動物は情報を運び伝播する機械のように見えてしまうのは気のせいでしょうか。


■ どんな人にオススメ?

・人間は遺伝子を運ぶ機会であることを受け入れられる人。


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