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2013年12月27日 (金)

チンパンジーはなぜヒトにならなかったのか 99パーセント遺伝子が一致するのに似ても似つかぬ兄弟

■ 書籍情報

チンパンジーはなぜヒトにならなかったのか 99パーセント遺伝子が一致するのに似ても似つかぬ兄弟   【チンパンジーはなぜヒトにならなかったのか 99パーセント遺伝子が一致するのに似ても似つかぬ兄弟】(#2236)

  ジョン・コーエン (著), 大野 晶子 (翻訳)
  価格: ¥2940 (税込)
  講談社(2012/9/21)

 本書は、「人間とチンパンジーを隔てるものは、いったいなんなのか?」という疑問を追求したものです。
 第1章「進化のツリー」では、「たった1パーセントの遺伝子のちがいで、これほど多くのちがいが生み出せるものだろうか?」という問題について、「ヒトとチンパンジーが主としてはじめて分岐し、それから何百年かがたったとき、再び交雑するようになった」という「複合種分化」と呼ばれるシナリオによって、「チンパンジーX染色体がヒトに入り込み、ヒトX染色体の分子時計をリセットしてチンパンジーの分子時計に合わせたため、両者のX染色体だけが遺伝的に近くなったのではないか」とする説を紹介しています。
 第2章「種と種をつなぐもの」では、「雑種は、種と種のあいだを遺伝子が行き来するためにかけられた橋のような存在なのである」と述べています。
 第7章「心のギャップ」では、京都大学霊長類研究所の松沢哲郎が、「ヒトとチンパンジーの共通祖先も優れた瞬間記憶力に恵まれていたものの、ヒトは複雑な言語で互いに意思の疎通ができるようになると、その能力を失ってしまったのだと論じた」と述べています。
 第8章「頭と頭をつき合わせて」では、「人間の脳の進化とその成長スピードについて語ろうとするなら、最終的には、研究者がたびたび提案するような断片的な見解以上の、全体的なアプローチが必要となるだろう。人間は二足歩行するがゆえに女性の骨盤がチンパンジーより狭くなり、そのために大きな頭の赤ん坊を安全に産むことができない。そこから、人間はチンパンジーと比べて子育て期間が長くなった。男と女のパートナーシップと親戚縁者の存在が、それに貢献している」と述べています。
 第9章「歩いて進め」では、「180万年ほど前、ホモ・エレクトゥスが出現した。彼らは日本の足で歩けただけでなく、チンパンジーをはじめとする全類人猿とヒトをさらに隔てる技能を持ち合わせていた。四本足での疾走は無理でも、長距離を走ることができるようになったのだ」と述べ、「人類は、並外れて体温調節が得意である」ために、「日中の暑いさなかにそれができるのは、人間だけだ」としています。
 そして、「私たち人間は、チンパンジーとの共通祖先から進化するにしたがって、より多くの汗腺を発達させ、体毛のほとんどを失い、皮膚の色を多様化させていったのである。そうした変化のおかげで、体温調節機能が劇的に変化し、長距離を走ることができるようになった」としています。
 本書は、ヒトとチンパンジーを隔てる違いに焦点を当てた一冊です。


■ 個人的な視点から

 遺伝子の99%が同じだとしても、そもそも遺伝子のなかには使われていない部分がずいぶんあるらしいので、ヒトが何かの間違いでチンパンジーになってしまう心配はどうやらなさそうです。


■ どんな人にオススメ?

・ヒトが持っている心や体の由来を調べたい人。


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