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2013年12月12日 (木)

ウイルスと地球生命

■ 書籍情報

ウイルスと地球生命   【ウイルスと地球生命】(#2222)

  山内 一也
  価格: ¥1,260 (税込)
  岩波書店(2012/4/14)

 本書は、「地球上で最大の多様性をもつ最も数の多い生命体」という観点からウイルスの世界を眺めたものです。
 序章「あなたはウイルスに守られて生まれてきた」では、「ウイルスにより人や羊の胎児が出産まで守られている」という報告について、「母親の免疫反応で拒絶されるはず」である胎児の保護に重要なはたらきを担っている「合胞体栄養細胞」が妊娠とともに形成される機構は「長い間謎」であったが、人内在性レトロウイルスの被膜にあるシンシチンと呼ばれるエンベロープ・タンパク質の作用によって作られることが明らかにされたと述べています。
 第2章「ウイルスは生きているか?」では、生物の命を支えるために必要な代謝とエネルギーの2つの機能を欠いたウイルスは「生きた代謝系に寄生する単なる寄生物」ということもできるが、「植物の種子は、生きていない状態で生命の能力を保っている」ことから、「ウイルスは種子に似た存在かもしれない」と述べています。
 第5章「病原体だけではないウイルスの意外な役割」では、「生物の進化は突然変異と自然選択により段階的に起きていると説明されてきた」が、それだけでは「突然新しい種が生まれてくる不連続性の説明は難しい」ことからいろいろな議論が行われてきており、「そのなかで、ウイルスの共生が進化の原動力になってきたという見解が生まれてきた」と述べ、「進化でのウイルスの役割を考えた場合に注目されるのは、霊長類が進化してくる過程でトランスポゾンに大きな変動が見られることである」としています。
 第7章「広大なウイルスの世界」では、「海に存在するウイルスの総量を推算した例」として、「海洋全体では10の31乗個のウイルスが存在することになる」と述べ、「海洋には、まさに天文学的な量のウイルスが存在している」と述べています。
 本書は、地球上で最も数が多い生物としてのウイルスの側面に着目した一冊です。


■ 個人的な視点から

 生物の進化にとってウイルスが重要な役割を果たしていると聞くと驚く人も多いと思うのですが、なにしろ地球上で最も総量の多い「生物」であるならかかわらずに生きていくことこそ難しいのだと思います。


■ どんな人にオススメ?

・ウイルスって病気の原因くらいにしか思っていない人。


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