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2013年12月31日 (火)

鏡のなかのアインシュタイン―つくられる科学のイメージ

a■ 書籍情報

鏡のなかのアインシュタイン―つくられる科学のイメージ   【鏡のなかのアインシュタイン―つくられる科学のイメージ】(#2240)

  井山 弘幸
  価格: ¥ (税込)
  化学同人(1998/03)

 本書は、「一生に一度も科学者と会わない人でも、科学や科学者のイメージをその人なりに形成している」として、「われわれはどのようにして科学に関する心象を形成するのか。どのようなことを手がかりにして、科学の姿を想像するのだろうか」を考えようと、「「ジャーナリストたちの伝える科学、文学者や評論家の語る科学、小説や戯曲などの架空の物語に登場する科学、そして少々難しくなるが、哲学者や思想家が捉えた科学の像」を追ったものです。
 第1部「ジャーナリストの見たサイエンス・イメージ」では、荒俣宏について、「19世紀以降科学が職業として確立し、稼げる仕事になって以来久しく忘れられていたアマチュア精神を彼は発掘した」と述べています。
 また、C.W.ニコルの『風を見た少年』の一節が、「科学活動の所産がどのようなものとして象徴化されやすいかをわれわれに教えてくれる」として、
(1)金属でできていて、
(2)電気じかけの機械であり、
(3)絶大なパワーを持つ反面、
(4)人間に災いをもたらしうる脅威の存在となっている
の4点を指摘しています。
 第2部「小説家の見たサイエンス・イメージ」では、トウェインの『アーサー王宮廷のヤンキー』について、「1300年前の世界に、19世紀以降人類が手に入れた最新の科学知識を導入した場合、果たして当時の人々はそれを理解できるであろうか」という思考実験であり、「奇跡と見紛うような科学の成果は、ことごとく当時の文脈、つまり魔術の文脈で解釈されていた」と述べています。
 第3部「文学者の見たサイエンス・イメージ」では、イプセンの戯曲『民衆の敵』について、「自分が伝える科学の福音を信じない大衆を痛罵し科学者選民思想ともエリート主義とも取れる尊大な発言をさせているところを見ると、イプセンはこの時代から台頭し始めた科学者に対して、一抹の不安を抱いていたのかもしれない」と述べています。
 第4部「思想家の見たサイエンス・イメージ」では、「神学者テイヤールにとって、科学は二つの顔をもっている。一つは究極の実材を目指してがむしゃらに分析を押し進める修験者のように厳かな顔、もう一つは世界に完全に内在する法則性のうちに真理を眺め、その心理をつかむことができるのは俺一人だと考えるファウスト博士の傲慢な顔である」と述べています。
 第5部「多様な科学の心象風景」では、科学のイメージの特徴として、
(1)価値中立的イメージ
(2)好ましい正のイメージ
(3)忌まわしい負のイメージ
(4)子供と大人が同居したイメージ
の4群を挙げた上で、「科学者でないふつうの人間にとって、科学はこれらの多くの虚像が雑然と合わさった印象を与えている」と述べています。
 本書は、科学がどのように見られているかを考えさせてくれる一冊です。


■ 個人的な視点から

 科学者というとまず思い浮かべる顔の一つが舌を出したアインシュタインだったりするわけですが、そう言えば、アインシュタイン以降で科学者のイメージを代表する人っていましたっけ?


■ どんな人にオススメ?

・科学者に先入観を持ってしまう人。


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