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2014年1月21日 (火)

連鎖する大地震

■ 書籍情報

連鎖する大地震   【連鎖する大地震】(#2258)

  遠田 晋次
  価格: ¥1,260 (税込)
  岩波書店(2013/2/7)

 本書は、「東北地方太平洋沖地震を例に、震災前後の地震活動の変化を紹介し、地殻・断層に作用する力の変化・伝播(伝わり方)という観点からその仕組みを解説」し、「地震の統計学的性質、活断層、地震発生確率、長期予測など折々に解説を加えつつ、震災の影響が懸念される地域・活断層などを指摘」するものです。
 第1章「東日本大震災の衝撃」では、「震源の位置決定制度が向上した今日、震源断層から大きくはみ出した場所でも多数の『余震』が発生することがわかって」来ており、「オフフォールト余震(off0foult aftershock)」や「誘発地震」と呼ばれると述べています。
 また、断層面に伝わる応力(ストレス)には2種類あるとして、
(1)剪断応力:断層面を横にずらそうとする応力
(2)法線応力:断層面を押さえつけようとする応力
の2点について解説し、この2つを組み合わせたものを「クーロン破壊応力(Coulomb failure stress)」と言うと述べた上で、「これまでの世界各地での研究事例から、地震活動に少なからず影響を及ぼすクーロン応力変化の絶対量は0.1バール程度とされている」として、「東北沖地震による影響は中部地方~北海道南部まで及ぶと考えられ」ると述べています。
 第2章「ピラミッド型『地震組織』」では、マグニチュードという指標には、
(1)これらのマグニチュードを用いて地震同士の物理的な比較ができないこと。
(2)大きい地震でマグニチュードがある大きさ以上に大きくならないこと(マグニチュードの飽和)
という2つの根本的な欠点があったとして、「これを解決すべく提案されたのがモーメントマグニチュードという指標」だと述べています。
 そして、地震学者ができるだけ小さな地震を検知しようと、感度の高い地震計を地下100メートル~3500メートルの深さに設置する理由として、「小さな地震の観測が大きな地震の予測につながる」ことを挙げ、経験則的にわかっている統計法則の一つとして、「グーテンベルク―リヒター則(GR則)」について、「滅多に起きない大地震を直接観測しなくても頻繁に発生している章地震の頻度(数)から、大地震の起こりやすさを評価」できるとしています。
 また、「断層は毎回繰り返し同じ範囲が動き、同じ範囲が規模の大地震が発生する」という「固有地震モデル」についても解説しています。
 そして、「巨大地震・超巨大地震の繰り返しに地震活動全体が支配」されることで、「数十年から数百年オーダーの『静穏期と活動期』の繰り返しが生じる」と述べてます。
 第3章「傷だらけの日本列島」では、「地震防災という立場から見た活断層とプレート境界の重要な違いは、震源断層から生活圏までの距離」だとして、「活断層による地震は内陸直下型です。地表から案層までの距離が数キロメートル以内です。まさに地面に埋められた時限爆弾が炸裂したような状態になり、局所的に激震(震度7)に見舞われます。一方で、プレート境界地震は地震規模の割りには激震が生じる地域が少なくなります」と述べた上で、「もう一つの違いは地震を引き起こす断層のずれ、すなわち地震断層が直接地表に現れるか、それとも海底かどうか」だとしています。
 第4章「今後どうなる列島の地震活動」では、「大地震後のゆっくりとした地面の動き」である「余効変動」について、「本震直後に余効変動のスピードは早く、その後急激に衰えていく傾向」があると述べた上で、「過去の超巨大地震を調べるかぎり、東北沖地震の場合も今後数十年間は余効変動が続くと予想され」るとしています。
 第5章「首都圏の地震危険度」では、地震確率の計算には大きく分けて2つの考え方があるとして、
(1)ポワソン確率:「大地震はこのくらいの頻度で発生する」という平均像を用いるもの
(2)条件付き確率:「大地震の繰り返しの間隔が推定できるので、最後に起こった地震からの経過時間によって次の地震の切迫度が決まる」
について解説しています。
 そして、首都圏が普段から頻繁に揺れを感じる地域である理由として、「複数のプレートがせめぎ合いながら関東平野直下に沈み込んでいるため」だと述べています。
 また、「首都圏で発生するプレート境界地震は必ずしも海溝型地震を意味しません。プレート境界地震が陸域直下で発生することもあります」として、「その点が首都圏特有」であり、安政江戸地震をその典型としています。
 本書は、大地震の後にいかに他の地震が続くかというメカニズムを解説した一冊です。

■ 個人的な視点から

 大きな地震が起きると「次は◯◯辺りが危ない」とか「今度は△△だ!」とかいったような「専門家」の記事が週刊誌に載ったりします。何を信じるかは人それぞれですが、まずはオーソドックスな基礎知識を仕入れるのも悪くないと思います。


■ どんな人にオススメ?

・大きな地震が心配な人。


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