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2014年2月 4日 (火)

10万年の未来地球史 気候、地形、生命はどうなるか?

■ 書籍情報

10万年の未来地球史 気候、地形、生命はどうなるか?   【10万年の未来地球史 気候、地形、生命はどうなるか?】(#2270)

  カート・ステージャ (著), 岸由二 (監修), 小宮繁 (翻訳)
  価格: ¥2310 (税込)
  日経BP社(2012/11/15)

 本書は、「地球温暖化の未来について、大多数の読者によく知られているものよりも、ずっと広大な眺望(パースペクティヴ)に読者を誘うこと」を目的としたものです。「これまでお馴染みの遠近法(パースペクティヴ)では、『長期的な』気候変動をわずか数年ないし数十年という時間規模の傾向として捉えてきた」のに対し、「未来の温暖化を予測する上で、古生態学者ができる最大の貢献」として、「時間の観念を提供すること」を挙げています。
 そして、「人間活動に起因する衝撃が消し難く刻印されている時代」を表す最新の学術用語として「人類世(Anthropocene)」を挙げ、その始まりは、「人間が排出する温室効果ガスによって、大気の状態が著しく変わりはじめた」西暦1700年代だとしています。
 また、「私たちは今後100年からそこら」のうちに、「できるだけ早期に非化石燃料に切り替えるのか、あるいは化石燃料の埋蔵量の残りをすっかり燃やし尽くしてから、やむなく切り替えを行うのか」の選択をしなければならないと述べ、「どちらを選んでも、温室効果ガスの濃度はおそらく西暦2400年までに頂点に達し、その後は、意図的な消費量の減少あるいは化石燃料の不足によって、横ばい状態になるだろう。二酸化炭素汚染が頂点を過ぎると、ゆっくりとした気候の『反転』が始まる。地球温暖化の傾向は一旦頂点に達した後に急転し、長期に渡りゆっくりと寒冷化し回復へ向かう。その結果、最終的には18世紀の産業革命以前の気温へと戻るだろう。だがこの過程は数千年ないし数万年にもわたって続くことになる」と述べた上で、「私たちは次の氷河期の到来を止めてしまった。自然の気候周期からすれば、5万年後に次の氷河期を迎えることになっているはずだ。いや、迎えることになっていた、というべきか。温室効果ガスによる汚染が長期にわたるために、次の大きな寒冷期はいつまでも漂う炭素の霧が十分に希薄化するまではやって来ない。おそらくは今から13万年後か、さらにはもっとずっと後になる。今日の私たちの活動の影響が計り知れない遠い未来に及ぶということが、炭素汚染の倫理学に重要な新しい要素を付け加える。人間が引き起こす気候変動はおそらくはほとんど否定的なものであろう。しかし私たちがさらにその先に続く物語にまで目を向けたとしたらどうだろうか?」と述べています。
 第1章「氷河を止める」では、「大衆的なメディアに載る多くの記事の書かれ方からすると、私たちが温室効果ガスの排出を止めさえすれば気候変動は完全に防げるのだと読者は考えるかもしれない。だが気候というものは、私たちが存在しようがしまいが、常に変化するものなのである」と述べています。
 そして、「軌道周期カレンダーによれば、北極の夏に氷を生じさせるほどの寒気が次に訪れる危険性は西暦5万年ころまではない。しかし、人類が次の氷河期問題に参入してしまうのはまさにここだ。ほとんどの気候モデルでは、もし大気中の二酸化炭素の濃度が250ppmを超えることがなければ、未来のこの時点で氷河期の引き金が引かれることになっている。しかしこれを書いている時点での二酸化炭素濃度は387ppmで、しかも上昇中である。明らかなのは、濃度が下がって250ppmという閾値を再び下回ることは、非常に長い期間にわたってありそうもない」と述べ、「次の寒冷化周期がそもそもあまり厳しくない点、ならびに私たち人間の生み出した炭素汚染の長期効果が重なって、驚くべき結論が導き出される。この1世紀の間、私たちは炭素の排出によってこの世界を温暖化してきたばかりではない。私たちは、やって来るはずの次の氷河期への進行に、突如、ストップをかけてしまったのだ」としています。
 第2章「地球温暖化を超えて」では、「歴史上の今この瞬間に私たちが存在するという事実そのものが、私たちに驚くような力——人によっては名誉と呼ぶかもしれない——を与えてくれる。数十万年の未来のために地球のサーモスタットをセットするという力だ。私たちは既に複雑な気候という遺産を、延々と続く未来世代のために残してしまった」と述べています。
 第3章「最後の大いなる解氷」では、「人類世の温暖化が未だ明かされない気温のピークに向かって進んでいくとき、私たちの隣人として長い苦しみを味わってきた生き物たちは、氷河期と間氷期が織り成す長い劇的な歴史の中で一度も経験したことのない、新たな状況に直面することになるだろう」として、私たち人間の存在が、「生物の移動にとって大きな障害になっている」ことを指摘しています。
 第5章「未来の化石」では、「化石燃料に由来する汚染が身近な問題になっている専門家」として、
(1)生態系を生物学的活動レベルで観察する生態学者
(2)比較的最近の出来事について、それがいつどこで起こったかを調べる法医学研究者
(3)泥や氷や木や石といった太古の堆積物の中に、はるかな古い歴史を読み取る地球科学者
の3つを挙げ、「これらの研究者達は、炭素原子を道具として利用し、自然界の科学的理解を革命的に変えた秘密のテクニックを駆使することができる」が、「その研究自体も、気候の変化を引き起こしているのと同じ気体によって、強い影響を受けてしまっている」として、「私たちはすでに5500万年前のPETM期の超温室と肩を並べるほどの、地球規模で炭素13が減少した状態の中を生きている」と述べています。
 第6章「酸の海」では、「純粋に気候中心の見方からすれば、余分な二酸化炭素を取り込んでくれる海は、頼もしい同盟者に似ている」が、「二酸化炭素は海洋のような水塊に入っても単に消滅してしまうわけではない。それは炭酸へと姿を変えるのである」と述べています。
 第7章「上昇する海」では、「私たちの子孫のほとんどにとって、将来受けることになる苦痛は急性の激痛というよりは慢性の鈍痛により近いものとなろう」として、「海水順の上昇は破局の原因であるというよりは、経済的な負担の増大という意味で悩ましい問題である」と述べています。
 そして、「かつてのように内陸への移動を促すというよりは、海面上昇は世界中の潮間帯の生物生息域を人間居住域という突破しがたい壁に向かって容赦なく追い詰めているのだ」と述べています。
 第10章「熱帯はどうなる?」では、「ハドレー空気塊、エルニーニョ、および関連する気象システムが地球の平均気温の上昇にともなってどのように反応するのか、確かなことは分からないにしても、それでもかなり確実に言えることがある。それは、変化は進行中ではないにしろ、差し迫ったものであるということ、そして変化の中には過酷なものもありうるということだ」と述べています。
 エピローグでは、「私たちが不安に感じるのは、地球温暖化というよりは、いかなる種類であれ変化というものに対してではないか」と述べ、「一部の活動家たちが、どんな手段を使ってでも多くの人々を刺激してよりよい方向へと動かしていくことを正当な行為だと感じている理由が、私には理解できる。しかし自分たちで引き起こした汚染を私達が制御し、多くの朱を絶滅に追い込むのを止められるよう、私は確かに願って入るが、その際に騙されて行動を起こすよりは、むしろ、人々がはっきりとした意図を持って行動できるよう促したいものだ」としています。
  そして、「私たちがどんな決断をしようともこの人間中心の時代の舵取りをし、私たちと未来の地球を共有する生態系および生物種たちの運命を決定することになるのは、私達自身だということ」だと述べています。
 本書は、地球的な規模の時間軸から温暖化の問題を考えた一冊です。

■ 個人的な視点から

 いっときの「地球温暖化ブーム」の時にはすぐにも海面が上昇してシロクマが絶滅してしまうかのような論調が聞かれました。
 今はなき銀座のLOHASカフェとかでオーガニックな食事を楽しみ、二酸化炭素を出さない原子力発電をCOOLと言っていた皆さまとか「ソトコト」とかもいましたね。


■ どんな人にオススメ?

・数十万年単位で温暖化の影響を見てみたい人。


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