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2014年2月28日 (金)

インターネットにおける誹謗中傷法的対策マニュアル

■ 書籍情報

インターネットにおける誹謗中傷法的対策マニュアル   【インターネットにおける誹謗中傷法的対策マニュアル】(#2292)

  中澤佑一
  価格: ¥ (税込)
  中央経済社(2013/11/7)

 本書は、「インターネットトラブルのうち、最も発生頻度が高い類型である誹謗中傷や個人情報の流出、コンテンツの盗用などインターネット上での情報発信によって被害を受けた場合の対処法を解説するもの」であり、「具体的には被害のもととなっている情報を削除し、情報の発信者を特定し、情報の発信者に対して権利を行使するための手続きを解説」するものです。
 第1章「法的対処における基本」では、「プライバシーや表現の自由など発信者の側の利益との兼ね合いから、匿名の発信者を個人特定することができるのは法律が定める要件を満たす場合に限定」されており、インターネット上での情報発信者を特定するための手続きを「発信者情報開示請求」と呼び、「プロバイダ責任制限法」に要件と手続きが規定されていると述べています。
 また、インターネットトラブルへの対応として、
【法的対応】
(1)当該情報を削除する
(2)当該情報の発信者を調べる
(3)発信者等に対して損害賠償請求を行う
(4)刑事告訴・被害届の提出
【法的対応以外の方法】
(1)積極的にプレスリリース等の情報発信を行う
(2)技術的な手段によって当該情報を見えにくくする(いわゆる逆SEO対策)
の方法を挙げています。
 さらに、被侵害権利ごとの解説として、
(1)名誉毀損
(2)プライバシー侵害
(3)名誉感情に対する侵害(侮辱行為)
(4)その他の人格権侵害
(5)知的財産権・営業権など人格権以外の権利の侵害
の5つの類型について解説しています。
 (1)の名誉毀損については、削除を求める場合の要件として、
(a)社会的評価を低下させるおそれのある事実の流布
(b)表現内容が真実ではないかまたはもっぱら公益を図る目的のものでないことが明白であること
(c)被害者が重大にして回復困難な損害を被るおそれのあること
の3点を挙げた上で、名誉毀損の成否のポイントとして、「インターネット上でなされた具体的表現を被害者の属性や周辺事情と照らし合わせながら、特定の人物に対する内容であることを主張立証することが必要」だとしています。
 (2)のプライバシー侵害については、プライバシーが保護されるか否かの要件として、
(a)私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのあることがらであること
(b)一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合、公開を欲しないであろうと認められることがらであること
(c)一般の人々に未だ知られていないことがらであること
の3点を挙げています。
 第2章「対策マニュアル〜手続きの流れを理解する」では、「削除や発信者情報開示を求める場合、訴訟ではなく民事保全法の仮処分手続きを利用するほうが迅速かつ簡便に実行」できるとしています。
 そして、「サイト管理者から発信者情報の開示を受けても、ほとんどのケースでは発信者の氏名などはわからず、投稿に使用されたIPアドレス等のアクセスログしか」わからないとして、この後、「投稿に使用されたプロバイダ」を調査し、アクセスプロバイダに対して、氏名、住所、電子メールアドレスなどの発信者情報開示請求を行っていくとしています。
 第3章「対象サイト・プロバイダ別対策」では、筆頭に「2ちゃんねる」を挙げ、2ちゃんねる上で権利侵害が発生した際の法的対応として、
(1)仮処分命令申し立てを行い、裁判所の決定を取得した上で、
(2)指定の掲示板にて削除・発信者情報開示申請を行う
の2点を挙げています。
 本書は、つかみどころがないと思われがちなネットの世界で、発信者を特定し、必要な対策を講じるための手続きを淡々と解説した一冊です。


■ 個人的な視点から

 ネットを巡るトラブルは多々ありますが、ネットに接続している場所が自宅だったりするとプライベートな空間にいるような感覚になってしまうのかもしれませんね。


■ どんな人にオススメ?

・ネットのトラブルに悩まされている人。


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