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2014年2月27日 (木)

群れは意識をもつ 個の自由と集団の秩序

■ 書籍情報

群れは意識をもつ 個の自由と集団の秩序   【群れは意識をもつ 個の自由と集団の秩序】(#2291)

  郡司ぺギオー幸夫
  価格: ¥1155 (税込)
  PHP研究所(2013/7/20)

 本書は、動物の群れが生き物のように統率のとれた行動をとれる理由について、人工知能研究などの知見を用いて、「個と集団の微妙な関係性に新たな光を当てる」ものです。
 第1章「意識と群れ——モノとコトの未分化性」では、ムクドリの巨大な群れについて、「明確な縁を持った塊であり、密度のあまりの高さゆえ、黒い、光沢さえ感じるような様態を示す」とした上で、ムクドリの群れは1個の巨大な生物のように振る舞い、同時に、群れの構成要素は各々が1個の個体であり、周囲の状況を自ら判断して行動する。だから機械よりずっと高度なシステムに思える。部分が状況判断して行動しているのだ。個体には何らかの、意識のような意思決定機構があると思われる。人間のような意識とはいわないまでも、機械とは思えない」と述べています。
 そして、「動物の群れに、モノとコトの分化・融合過程を見出す。このことが、『群れに意識を見いだせるか』という問いに答える鍵となる」とています。
 また、「集合知とは、一つ一つでは知的判断のできない単純な虫(スウォーム)ロボットが、集団として振る舞うことで知的判断を可能とする、そういった知能モデル」だとして、スウォーム・インテリジェンスにおいて現れる一般的問題として、
(1)ここに知的発見を実現するという意味での知性があるのかという問題。
(2)スウォームの身体性の問題。
(3)群れ全体の振る舞いに対するこの多様性の問題。
の3点を挙げた上で、「私たちは、群れの意識という問題を、まさしくモノとコトの両義性の形成過程、さらにはその分化・脱分化過程として、展開する時期に来ている」と述べています。
 第2章「動物の群れ——個体の視点におけるモノとコト」では、クレイグ・レイノルズが完成させた仮想空間内の鳥である「ボイド」について、「ボイドは極めて簡単な3つの規則に従って仮想空間内を飛び回る」として、
(1)群れ誘引:近くに他個体を発見したら、その個体に接近する。
(2)速度平均化:近くの個体の速度に自らの速度を合わせる。
(3)衝突回避:一定の近さを超えて接近することを互いに避ける。
の3点を挙げています。
 第3章「ミナミコメツキガニの群れは痛みを感じているか」では、「個体が水際の移動を繰り返し、個体の密集度がある場所で高まり、可能的遷移の重複が高まりを見せる。こうして、みんなが入るならおれも入るという空気が、水際に横溢し、その空気が最高潮に達したところで、ある個体が受動的に選ばれ、水域に入っていく。その構図は、熱湯風呂に入っていく竜兵そのものである」と述べています。
 第4章「群れによる時計・身体・計算機」では、「生命とは、モノとコトに分化することで、その両義性を備え、またある時は両者を融合して、新たな分化のタイミングを伺う。生命とは、モノとコトの分化・融合を繰り返す、生成の場と考えることができる」として、「ミナミコメツキガニの群れによって時計を現象させる」実験について紹介しています。
 そして、「群れを実現する相互予期過程自体に未分化な受動と能動、すなわち未分化なモノとコトが内在し、モノとコトの分化・融合を繰り返す。結果的に実現される動的な群れが、ある環境条件(楕円のミナミコメツキガニを封入する容器)のもとで、群れというレベルでのモノとコトの分化・融合を繰り替える」と述べています。
 第5章「群れの意識——条件から経験へ」では、「モノとコトとの関係」について、「操作できる身体部位の総体としての身体スキーム、帰属する全体として構想される身体イメージの対は、モノとしての身体、コトとしての身体の対であった」と述べています。
 そして、「群れは、自律的なモノ化を通して、外界からの刺激に対するイメージを、群れ内部の強相関領域として形成し、これらを操作、計算して、外界に対する判断をすることが可能となる。それは、意識をモノ・コトの未分化性から構想できるだろうという当初の目論見を満足させるものには違いない。それは、感覚し、計算し、判断する意識である」と述べています。
 本書は、動物を題材に個と集団の関係性に注目した一冊です。

■ 個人的な視点から

 ムクドリ怖いですよね。夕闇の空を大量に移動しているムクドリの群れを見ると巨大な生き物みたいで恐怖を感じます。まあ、襲い掛かってくるわけではないですが、爆弾は投下してくるので困ったものです。


■ どんな人にオススメ?

・ムクドリの群れのなかには群れを統率するボスが居るんだと思っている人。


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