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2014年2月12日 (水)

気候は変えられるか?

■ 書籍情報

気候は変えられるか?   【気候は変えられるか?】(#2277)

  鬼頭 昭雄
  価格: ¥1470 (税込)
  ウェッジ(2013/11)

 本書は、「IPCCの評価報告書に20年来関わってきた筆者」が、「気候変動とその理由や影響、それへの対処」について述べていますものです。
 序章「四季に富んだ日本」では、「今世紀末には、太平洋高気圧の北上が弱まることにより梅雨明けが遅れ、梅雨が長引く」と考えられ、「温暖化により気温は今より上昇し、大気中の水蒸気量が増えて、太平洋高気圧の西縁を時計回るに回ることで南からの水蒸気の量が格段に増えるため、大雨が振りやすくなる」と述べています。
 第1章「異常気象はいつから現れたのか」では、「気象庁では2012年から、50年に1回程度の頻度で起こるような稀な大雨が、ある程度の面的な広がりを持って起こっているときに、『これまでに経験したことのないような大雨』という表現を使って、『記録的な大雨に関する全般気象情報』を出して警戒を呼びかけて」いるとしています。
 また、「日本の記録的な高温の出現は、おおむね1990年以降に集中」しているとして、真夏日・猛暑日や熱帯夜の増加および冬日の減少は、「地球温暖化と都市化の複合産物」だと述べています。
 さらに、「日本の年間総降水量には過去100年間の長期的な変化傾向は見られませんが、大雨が降る頻度は増加しつつあり、逆に弱い降水も含めた降水日数は減少(無降水の日数は増加)しつつある」ことがわかってきたとしています。
 第2章「地球の気候はどのように維持されているのか」では、「地球が太陽からどれだけのエネルギを受け取り、どう宇宙空間へ放出するか、といった地球の放射エネルギーの収支が、地球の気候を決める上で決定的な役割を果たしている」として、地球の放射収支が変化する要因として、
(1)入射する太陽放射の変化(地球の軌道や太陽自身の変化など)
(2)太陽放射の反射率の変化(雲量、エーロゾル、植生の変化など)
(3)地球から宇宙空間へ戻る長波放射の変化(温室効果ガス濃度の変化など)
の3点を挙げています。
 第3章「気候は変えられるか」では、温暖化への対象方法として、
(1)緩和策:温暖化を増大させない、あるいは温暖化の程度を小さくしようとする。
(2)適応策:気候変動に伴う様々な影響を防ぐための対策。
の2つの方向性を挙げたうえで、前者の「緩和策」について解説しています。
 そして、「人為的な気候変動の対策として行う意図的な地球環境の大規模改変」と定義される「気象工学」について、
(1)太陽放射管理(SRM:solar radiation management)
(2)二酸化炭素除去(CDR:carbon dioxide removal)
の2つの方法を挙げ、太陽放射管理については、「おおむね安価で、かつ温度上昇を抑えるのに即効性がある」とされるが、「二酸化炭素の排出削減ではなく、大気中二酸化炭素濃度の削減にはつながらない」とする一方で、二酸化炭素除去については、「温暖化のみならず海洋酸性化を抑えることができる可能性がある」が、「温室効果ガス削減(緩和)策と同等かそれ以上に費用がかかること、効果が出るまで数十年を要し即効性がないこと」などの欠点を挙げています。
 第4章「気象変動を上手く付き合うために」では、「21世紀末までの予測として、気温が極端に高い日が大幅に増加することは確実」だとしたうえで、「予測される極端な気候・気候減少の増加による影響やリスク」への対応策について論じています。
 第6章「これから気候はどうなるか」では、気象庁が2013年3月に刊行した「地球温暖化予測情報 第8刊」から、21世紀末には20世紀末と比較して、日本付近でどのような気候変化が予測されるかについて解説しています。
 本書は、淡々と気候変動について解説した一冊です。


■ 個人的な視点から

 地球が今後、温暖化するのか寒冷化するのかは一概には言えませんが、少なくともかつてないほどの二酸化炭素濃度が続くことは間違いなさそうです。


■ どんな人にオススメ?

・人間の活動が気候に与える影響を知りたい人。


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