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2014年2月 8日 (土)

図説 日本のメディア

■ 書籍情報

図説 日本のメディア   【図説 日本のメディア】(#2274)

  藤竹 暁
  価格: ¥1260 (税込)
  NHK出版(2012/9/26)

 本書は、「日本のメディアの現状を把握する上で必要な問題点を、第2次世界大戦後67年にわたる変化を視野に入れて、数量的データによってきちんと説明し、読者に日本のメディアを考える材料を提供」しようとするなどのものです。
 著者は、「マスメディアに依存しているだけでは、正しい情報を、適切な形で入手することは難しい」として、「人間が自由に生きていゆくためには、必要な情報を適切に処理し、多角的な視点で判断しなければならない」と述べています。
 第1章「新聞」では、大阪で誕生した「朝日新聞」と「毎日新聞」が、在京の新聞が深刻な被害を被った「関東大震災をきっかけに全国紙の地位を確立した」と述べた上で、「明治から昭和初期にかけては大小の新聞が林立し、37年末時点の日刊紙発行社は全国で1208社あった。それが、太平洋戦争下の1942年に、情報統制と資材の節減を目的に、新聞事業令による新聞統合が実施され、新聞社数は全国紙を1県1紙の計55社に減った」として、「現在の全国紙5紙と地方紙の1県1紙という全国地図は、歴史的には、関東大震災と太平洋戦争が契機となって形作られた」と述べています。
 そして、「日本の新聞は戦後長い間、1世帯あたりの発行部数が1部以上という高い普及率を誇ってきた。新聞の宅配によるところが大きいが、この数字も下落に歯止めがかからない」と述べています。
 第2章「放送」では、「現在、民放のネットワークは主に在京社をキー・ステーションとしてテレビ、ラジオとも5系列存在する」とした上で、「テレビにはこれ以外に3大広域圏内の圏域テレビで組織する『全国独立放送協議会』がある」としています。
 第3章「出版」では、「寡占状態にある販売会社のプラス面」として、トーハン・日販に委託すれば、「出版物が全国に配送される」ことを挙げた上で、「販売会社は出版社から委託された出版物を配送するが、出版物の特性である多品種少量生産品で扱い量が膨大であるため、出版物の配送が適時、適正、適量で書店に回らない」という「配本の偏在」の問題を指摘しています。
 第4章「映像・音楽」では、「音楽産業は、主要な収入源だったCDなどのパッケージの売上低下に伴い、新な収益構造を持つビジネスモデルの構築を迫られている」として、「水平的分業の下、異なる業種の企業がそれぞれ分担していた昨日を、今日では、一つの企業が自社内で完結させようとする試みが顕在化している。実際、レコード会社がアーティストのすべての活動に関与し、ライブコンサートや出版、関連グッズ販売など、多角的にビジネスを展開すべく、アーティストと包括的な『360度契約』を結ぶビジネスモデルが注目を集めつつある」と述べています。
 第5章「インターネット」では、「SNSやTwitterなどは日常的なコミュニケーション手段としても利用価値が高いが、緊急時の連絡手段としても有効であることが東日本大震災の際に明らかになった」と述べています。
 第6章「広告」では、「ネット広告が存在感を増すにつれ、『数字』がより厳しく問われるようになってきた。特に、制作費がかかるテレビや新聞は関係者が多く、独創的なアイデアは支持されにくい」と述べています。
 また、「マスコミ広告への依存に危機感をもたらした」インターネット広告、モバイル広告について、「総合広告会社も新しいメディアの登場に注目したが、マスコミ広告と比べて多種多様なため、取り扱いの効率の悪さから、メディアレップ(2次代理店)という業態の広告営業が医者を介して広告の買い付けを行なっているのが現状である」と述べています。
 第7章「情報の取得・利用」では、「テレビは、接している人の多さ(約90%)とその接している人の時間(行為者平均時間)の長さ(4時間近い)の両面で、他のメディアを圧倒している」とした上で、「1995年から2010年の変化を見ると、最も目立つのは、新聞の行為者率の現象とインターネットの行為者率の増加である」と述べています。
 本書は、日本のメディアの現状を包括的に知ることができる一冊です。

■ 個人的な視点から

 ジリ貧オワコンと言われて久しいマスメディアではありますが、外国と比較すると、これほど多くの人が宅配で新聞を読んでいる国は少ない(多くは新聞配達所で捨てられているとしても)上に、国民の何割もがテレビを見ている国は少ない(「世帯視聴率」であって家族全員がテレビの前に陣取っているわけではないにしても)わけであります。
 これからもマスメディアは日本の報道の中心を担っていくのは間違いないと考えてよいでしょう。


■ どんな人にオススメ?

・いまどきマスメディアなんて信用するまともな人はいないと思っている人。


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