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2014年3月31日 (月)

頭の中は最強の実験室: 学問の常識を揺るがした思考実験

■ 書籍情報

頭の中は最強の実験室: 学問の常識を揺るがした思考実験   【頭の中は最強の実験室: 学問の常識を揺るがした思考実験】(#2314)

  榛葉 豊
  価格: ¥1575 (税込)
  化学同人(2012/8/10)

 本書は、「さまざまな分野で行われる理論構築や仮説検証の手段」として、「文字どおり頭の中の推論だけで実験の代わりをしようとする方法」である「思考実験」を紹介しているものです。
 著者は、思考実験の必要性として、
(1)実際に実験することは技術的に困難であるから
(2)実際に実験でき、すでに証明済みなのに納得しない相手を説き伏せるために
(3)原理的に実験を行うことができないから
(4)実際の実験も行えるが倫理的に問題があって許されないから
(5)ある概念についての考え方を浮き彫りにするために
(6)理論を建設していくための指導原理を探るために
(7)何かがおかしいという状況を作ってみせる
の7点を挙げた上で、思考実験の特徴として、
(1)単純な設定にする。そして難しい推論や計算はしない
(2)極限状態を設定する
(3)パラメーターや設定を自在に変えられる
の3点を挙げています。
 第1章「頭の中だからこそできる!――これぞ真骨頂の思考実験」では、「トロッコ問題」について、功利主義的判断をターゲットとしていると述べています。
 第2章「人間と世界の存在を根底から問う!――哲学・世界観の思考実験」では、サールが提唱した「クオリアの逆転が現実にあったとしても、そのことを実証することはできない」という思考実験を紹介しています。
 また、「機械が知能をもてるかどうか」を判断する「チューリング・テスト」について、その考え方は「関係論的把握の立場に立つ『機能主義』」であると述べています。
 また、ラッセルが示した「世界5分前創造仮説」について、世界が6000年前に創られたとする「創造科学」との類似性を指摘しています。
 第3章「確率と可能性のロジックを探る!――数学・論理の思考実験」では、「モンティホール・ジレンマ」について、ドアを3つから100に増やすことで「ベイズ解」を受け入れやすくなると述べています。
 本書は、思考実験の世界の入口を紹介してくれる一冊です。


■ 個人的な視点から

 思考実験の良いところは何と言ってもお金のかからないことです。
 「自分が赤だと思っているものは他の人には違って見えるかもしれない」というクオリアの逆転問題などは、自分でも子供の頃から不思議に思っていたことなのでこういう形で示してもらえるのは嬉しい限りです。


■ どんな人にオススメ?

・世界を頭の中に再現したい人。


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