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2014年5月

2014年5月30日 (金)

笑うに笑えない 大学の惨状

■ 書籍情報

笑うに笑えない 大学の惨状   【笑うに笑えない 大学の惨状】(#2324)

  安田賢治
  価格: ¥842 (税込)
  祥伝社(2013/10/2)

 本書は、大学入試のピークだった1992年には123万人も受験生がいたが、2012年には18歳人口事態が119万人に激減し受験生も3割減ってしまった中で、生き残りをかけて学生を集める「大学全入時代のキャンナス事情」を紹介するものです。
 第1章「大学が大きく変わった」では、1986年から1992年までの7年間が、受験生が爆発的に増え、どこの大学にも志願者が押し寄せた「ゴールデン・セブン」と呼ばれる「受験バブル」だったと述べています。
 そして、「今後も18歳人口は減少し」、2018年からは一段と減ることから大学側は「2018年問題」として大きな危機観を抱いているとしています。
 また、「社会の高度化、多様化に合わせて設置される学部が増えた」として、1992年の学部の種類は115だったのに対して、2012年には461にまで増加し、「以前には考えられなかったような学部た、たくさん新設されている」が、「受験生がしっかり意味を理解できないカタカナ名もある」と述べています。
 第2章「入試が大きく変わった」では、「最近のトレンドは女子志願者の獲得にある」として、「リケジョ」の増加やバンカライメージだった明治大学にパウダールームが設置されたことを紹介しています。
 そして、推薦入試の問題点として、「推薦入試で入学した学生と一般入試で合格した学生に学力差がある」ことを挙げ、「1月まで一生懸命勉強してきた学生の学力のほうが高い場合が多いのだ。わずか3ヶ月の差ではあるが、現役生の場合、最後に学力は伸びる」と述べています。
 また、AO入試について、「学生募集が厳しい大学にとってはたいそう活用しやすい入試方式だ」として、「面接だけで合否判定でき、高校時代の成績も学科試験も必要ない」ため、「勉強しなくても大学に進学できる方式」だとしています。
 第3章「学部・学科の人気も大きく変わった」では、「トップ校での高2での文系、理系分けでは、圧倒的に理系が多くなっている」として、ある私立一貫校で、5クラス中、文系1クラス、理系2クラス、医学部2クラスだったと述べています。
 そして、国際系の学部人気のなかでも、秋田にある国際教養大が「授業が全て英語で行われること」を特徴とし、就職も引く手あまただとしています。
 また、一時は教員採用が少なく人気がなかった教育学部は、団塊の世代の大量退職に伴う採用増で再び人気が上がっている一方で、不況に強いとされた法学部は、法曹に進むには法科大学院に進学しなくてはならなくなり、公務員の人気が落ちていることから志願者が減っていると述べています。
 第4章「受験生の大学情報収集法」では、「今は願書を実際に記入しているのは大半が母親」であり、ある有名大学の願書には、「願書の書き方の問い合わせは、必ず受験生本人がしてくること」と注釈があると述べています。
 第5章「大学入学後~就職までも大きく変わった」では、中退者が多い中、中退理由として、「昔のように、やりたいことがあるから大学をやめるというわけ」ではなく、「大学はこんなに勉強するところだと思わなかった」というものや、「ここにいたら自分がダメになる」というものだったと述べています。
 本書は、昔とは様変わりしただれでも入れる大学の現状を教えてくれる一冊です。


■ 個人的な視点から

 昔は、大学に入れるかどうかで一定の選別がされていたのに対し、現在では大学を選ばなければ学力的な部分での障害はないわけで、もはや「大卒」は親の経済力とかを見るためのラベルでしかなくなってしまったのかもしれません。


■ どんな人にオススメ?

・「大卒」の重みを感じなくなった人。


2014年5月29日 (木)

OL誕生物語 タイピストたちの憂愁

■ 書籍情報

OL誕生物語 タイピストたちの憂愁   【OL誕生物語 タイピストたちの憂愁】(#2323)

  原 克
  価格: ¥2,052 (税込)
  講談社(2014/2/27)

 本書は、「『台所から、街頭へ!』を合言葉に、オフィスに登場した働く女性たち」の誕生と日常をたどったものです。
 著者は、「今日OLが直面している問題の多くは、実は1920年代すでにして、そのほとんどが発生している。雑務ばかり割り振られる、重要な仕事を任せられない、なかなか昇進させてもらえない、仕事への無理解から無理難題をしつけられる、オフィスの花でいるように求められる、美人ばかりがもてはやされる、同僚のファッションと比べられる、結婚を機に早期退職を迫られる、課長からセクハラを受けるなどなど。挙げてゆけば切りがない」と述べています。
 第1章「ラッシュアワーにも慣れました」では、「都市においては、それまであった村の伝統的な作法が通用しなくなり、代わって、これまでになかった都市の作法が生まれてきた」が、「こうした変化は、なるほど、社会の構造に関わる大がかりな話である。しかし、こうした『大いなる物語』は、人びとにとって見れば、日々の暮らしのあらゆる局面において生じる、ささやかな具体的できごととして体験されることになる」と述べています。
 そして、「和洋論争のなかでしばしば守旧派から持ちだされた根拠、すなわち『着物は日本の伝統である』という物言いは、正確性を欠いている」として、「正確にいえば、着物というのは、たとえば封建制度下などで、働く必要のなかった社会集団に固有の衣服だった。これである。したがって、着物に固執する論客が伝統と言挙げするとき、それは日本の歴史総体のことを指すのではなく、わけても近世以降の封建制度を構成していた世界観のことを懐古的に想念しているにすぎないのだ」と指摘した上で、「男性サラリーマンの場合には、仕事のもつ機能性からの要請に応じて、早くから、和装を捨て洋装に切り替えるという変化は遂行された。それに対して、女性の場合には、機能性の要請という点では男性と大差ないはずなのに、和装であり続けることが固陋に墨守されてきた。極端にいえば、多少働きにくかろうが、様相によって手に入れられる機能性などに比べれば、和装のままでいることのほうが、はるかに大切なものが得られ、守られる。あたかも、こういう判断がなされたかのようだ」と述べています。
 また、「働く女性が増えるにつれ、男たちは職業婦人を恐れた。なぜなら、家庭がお留守になることにより、中流階級の家族制度が崩壊するのをよしとしなかったからである。と同時に、専門技術を修養して男子に伍することにより、それまであった『男女間の職業上の区別も亦破壊せらるゝ』(「婦人の職業教育」『国民新聞』大正5年9月18日号)ことを恐怖したからである」と述べています。
 さらに、「社会通念あるいは市場原理としては、タイピストというのは同じ職業婦人のなかでも、一般の事務員などより高く評価されていたもののようだ」と述べています。
 第3章「課長、それは無理というものです」では、「タイプライターへの無理解の根底には、明治維新以来の近代日本における職業婦人そのものへの無理解が、かたくなに共鳴している」と述べています。
 第4章「残業デス、がんばるしかないわ」では、「女性の労働市場が再編成された」状況下で起こったこととして、
(1)労働市場の再編成にもかかわらず、それまでと同じように働き続ける女性たちが存在する。
(2)労働市場の再編成のおかげで、これまで働くことがなかった女性たちが、新たに職場を得て働き出す。いわゆる職業婦人たち。
(3)労働市場の再編成を目の当たりにして、それまでも働いていた女性及びその予備軍が、これまでであれば働くことになったであろう旧来の職場を捨てて、新しい職場に転身していく。
の3つのパターンを挙げ、「働く女性というのは古来から存在したが、職業婦人(ビジネスガール)というのは、1920年代あたらしく誕生した」と述べた上で、「少なくとも1920年代中葉、職業婦人という場合、労働者階級出身の働く女性は含まれない。労働者階級あるいは無産階級の子女たちは、昔も今も変わらずに働き続けているのだ。それに対して、中流階級の子女というのは、今でこそ職業婦人と称して労働するようになったが、かつてはその必要性に迫られることが基本的になかった人びとの謂である」と述べています。
 そして、「職業婦人を語る際に欠かせないポイント」として、
(1)職業婦人とは中流階級出身の者のことをいう。
(2)職業婦人とは何がしかの知識・技能を修養した者のことをいう。
(3)職業婦人とは男性社員のライバルと目されうる者のことをいう。
の3点を挙げ、「こうした一切合切を一身にまとって登場したのが、1920年代の職業婦人だった」と述べています。
 また、「1920年代以前、職に就こうとする女性は『何処かに欠点がある人』とみなされていた。これが当時の社会通念であった。なぜなら、女性というのは就職するまでもなく、家庭にとどまり、一家を運営してゆくのが社会的責務だと考えられていたからだ」と述べています。
 本書は、20世紀型女性知的労働者の苦悩の始まりを追った一冊です。


■ 個人的な視点から

 小学生の時に日本語タイプライターを見たことがありますが、文字がずらっと並んでいてかなり大きかったような気がします。当時は学校のプリントは「ガリ版」と呼ばれる謄写版で作っていました。その後、コピー機が普及する前にはリソグラフが使われていた気がします。事前に紙をよくさばいておかないとうまく印刷できなかったのを思い出します。


■ どんな人にオススメ?

・いつの時代もOLがは大変だと思う人。


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