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2014年6月17日 (火)

生物の大きさはどのようにして決まるのか: ゾウとネズミの違いを生む遺伝子

■ 書籍情報

生物の大きさはどのようにして決まるのか: ゾウとネズミの違いを生む遺伝子   【生物の大きさはどのようにして決まるのか: ゾウとネズミの違いを生む遺伝子】(#2334)

  大島 靖美
  価格: ¥1,728 (税込)
  化学同人(2013/11/30)

 本書は、「生物の大きさの多様性と、明らかになったその決定の分子機構について、幅広く、またやさしく解説」するものです。
 第1章「生物の体の大きさはこんなにも違う」では、「基礎代謝率と体重それぞれの対数の関係を種々の哺乳動物で比較」すると、その傾きが0.75になる「クライバーの法則」について述べています。
 そして、「動物の時間的な性質も大きさと関係が深い」として、「動物が50%の大きさに達する時間、妊娠期間、呼吸間隔、心臓の拍動間隔などは、どれも大ざっぱに体重の1/4乗あるいは一次元サイズの3/4乗に比例するといわれる」が、「これについては、良い説明がなされていない」と述べています。
 第2章「動物、植物に共通な大きさ決定の仕組み」では、「哺乳動物では細胞の数が体の大きさの決定要因として重要である。他方、無脊椎動物や植物では、種間でも一つの固体内でも細胞の大きさはより変化が大きく、体全体の大きさの決定に細胞の大きさが重要となる」と述べています。
 そして、「真核生物に共通する細胞周期の調節機構は、一般に細胞の数と大きさの両方を調整している。したがって、それに関与する非常に多くの因子の遺伝子は、どの真核生物においても細胞の数及び大きさの両方を決める遺伝子であり、細胞の大きさを決める遺伝子と数を決める遺伝子とをはっきり分けることは、一般にはできない」と述べています。
 第3章「動物の大きさはこのようにして決まる」では、ティラノサウルスについて、「成長速度が驚異的に高かった」として、「動物では、一般に成長が早いこと、成長の時間(寿命)が長いことが大型になる要因であろう」と述べています。
 第4章「肥満になるのはなぜか」では、「肥満を調節する物質として従来から知られていた代表的なものは、インスリンである」とした上で、「もうひとつは、植物中の脂肪、脂肪酸、タンパク質が刺激となって十二指腸から分泌されるコレシストキニン」であり、「レプチンは、分子量約1万6000のタンパク質であるが、比較的最近(1994年)発見され、最も強力な食欲の抑制作用を持つ」と述べています。
 第5章「植物の大きさはこのようにして決まる」では、「幹の根元の直径の2乗=1.0×10^-4×高さの3乗」という式によって得られる太さの幹ができれば、そこまで高くなれるとして、「高さ200mの木では、根元の太さとして28m以上が必要である」と述べ、「幹の太さの限界を決める要因は複雑そうでよくわからないが、物理的な支持の点でも150mくらいが高さの限界のように思われる」と述べています。
 そして、巨大カボチャとして知られるアトランティックジャイアント(略称AG)について、普通のカボチャとの比較で、「数十kgの実では、細胞の直径が約2倍、したがって体積は約8倍であった」として、「AGの実の大型化は細胞の大きさと数の両方の増加にもとづくことがわかった」と述べています。
 さらに、「光合成、リン酸やアミノ酸の輸送、タンパク質の分解、タンパク質のリン酸化、オーキシンに対する応答、ジベレリンの合成、細胞壁の構成などに関与するタンパク質の葉における発現が、AGと対照カボチャとの間で大きく(50倍以上)違っており、これらが実の大きさの違いの要因である可能性が示された」と述べています。
 本書は、生物の体の大きさを決める幾つもの要因をわかりやすく説明してくれる一冊です。


■ 個人的な視点から

 毎年秋になるとジャンボカボチャのコンテストの記事が定番ですが、普通のカボチャに比べて細胞の大きさと数の両方が多いことが巨大化の原因だというのはわかりやすかったです。


■ どんな人にオススメ?

・ゾウやクジラが自分たちと同じ生き物だとにわかには信じがたい人。


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