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2014年12月28日 (日)

仮面ひきこもり あなたのまわりにもいる「第2のひきこもり」

■ 書籍情報

仮面ひきこもり あなたのまわりにもいる「第2のひきこもり」   【仮面ひきこもり あなたのまわりにもいる「第2のひきこもり」】(#2350)

  服部 雄一
  価格: ¥864 (税込)
  KADOKAWA/角川書店(2014/2/13)

 本書は、「普段は元気に会社にいったり、専業主婦の仕事をこなしたりしており、ひきこもりには見えない」が、「ひきこもりと同じ基本症状があり、よく観察すると、本当の自分を隠しながら社会生活をしている」という「仮面ひきこもり/潜在的ひきこもり」について、その「実態を明らかにして、治療が可能であると示すこと」を目的としたものです。
 第1章「仮面ひきこもりとは何か」では、「仮面ひきこもりは、社会参加をするひきこもりである。彼らは普通の社会生活をしており、部屋には閉じこもらない。しかし、社会的ひきこもりと同じく、誰とも親しくなれない特徴がある」として、「会社員ばかりでなく、主婦にも多く見られ、フリーターから教師、公務員、専門家に至るまで、社会のあらゆる部分に存在している。彼らの多くは、人間不信と対人恐怖を笑顔で隠して、相手に嫌われないように生活をしている。相手に合わせる苦しさと孤独感は彼らに共通する感情である」と述べています。
 そして、「社会的ひきこもりは、仮面ひきこもりの表の自分が崩れた人たちである」として、「彼らの多くは引きこもる前は『良い子』であった。しかし、いじめや人間関係のトラウマのために人に合わせる表の自分が崩れてしまった」のに対して、「仮面ひきこもりは表の自分がしっかりしている。彼らは学校や職場に行き、普通の社会生活ができる。自分の弱みや問題を人には見せない。親とは激しい対立をしないがその分だけ感情を抑圧している」と述べ、「社会的ひきこもりと比べると、仮面ひきこもりは表の自分が頑張っている。彼らは、人間関係のストレスに耐えながら生きるので『我慢』が信条である」としています。
 第2章「仮面ひきこもりの症状と傾向」では、「仮面ひきこもりの症状は母との絆の欠落(アタッチメント・トラウマ)から始まる」として、その基本症状として、
(1)人間不信
(2)対人恐怖
(3)感情マヒ
の3点を挙げています。
 そして「彼らは次のような感覚を知っている」として、
・私を好きになる人はいない。
・結婚できないと思う。
・結婚しても子どもを育てるのは無理かもしれない。
・自分から死ぬ勇気はないが、誰かが殺してくれるなら、それはかまわない。
・私を理解する人はいない。
・このままいくと廃人になるかもしれない。
等の感覚を挙げ、「この感覚の背後にあるのは『絆の欠落』である」と述べています。
 第3章「仮面ひきこもりはなぜ起きるのか」では、「母と絆がもてない子どもは人格が2つ形成される。母(人)に合わせる『表の自分』、母(人)に見せない『本当の自分』である」として、仮面ひきこもりのメカニズムとして、
(1)母に愛されない赤ちゃん「本当の自分」
(2)母に合わせて「表の自分」を作る=仮面をつける子ども(本当のことを言わない子ども)
(3)仮面をつけて成長する「表の自分」
(4)「表の自分」が社会生活をする(本当の自分は心の中に隠れている)
の4つの段階を挙げています。
 第5章「仮面ひきこもりと日本社会」では、仮面ひきこもりの家庭が、「夫婦の愛情が大切という考えがない。患者の親は、世間体のために結婚して、世間体のために離婚しない。愛情のない結婚を続けるのは義務の一つである」と述べています。
 そして、「今、日本人の二極化が静かに進んでいる」として、
(1)子孫を残すグループ
(2)子孫を残さないグループ
の2つにはっきり別れることを「日本人の自然淘汰と言ってもいいだろう」と述べた上で、後者は、
(1)社会的ひきこもり
(2)仮面ひきこもり
(3)見合い文化で育った人たち
の3つにさらに分けることができるとしています。
 本書は、日本社会の中に静かに生活している「仮面ひきこもり」について論じた一冊です。


■ 個人的な視点から

 「ひきこもり」っていう言葉をつけると何やら新しい現象のようにも見えますが、昔から「人付き合いが苦手」という人は一定数いたのではないかと思います。そういう意味で、昔は「変わり者」くらいに見られて、それはそれで受け入れられていた人が、今の目で見ると何かの「病気」や「障害」を抱えている可能性は相当あるのではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

・世間との間で生きづらさを抱えている人。


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