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2014年12月27日 (土)

人類の進化: 拡散と絶滅の歴史を探る

■ 書籍情報

人類の進化: 拡散と絶滅の歴史を探る   【人類の進化: 拡散と絶滅の歴史を探る】(#2349)

  Bernard Wood (著), 馬場 悠男 (翻訳)
  価格: ¥1,080 (税込)
  丸善出版(2014/2/25)

 本書は、「人類化石研究の第一人者であるバーナード・ウッドが、極めて正直に人類進化について解説した本」です。
 第1章「はじめに」では、「本書では、人類進化の長い旅の最後の部分、つまりヒトとチンパンジーの最後の共通祖先から現在のヒトに至る道筋に焦点を当てる」とした上で、本書の目的として、
(1)人類進化史に関する理解を進めるために、古人類学者たちがどのように仕事をしているかを説明すること。
(2)人類進化史について古人類学者が得た知識を紹介すること。
(3)その知識がいかに不十分かを示すこと。
の3点を挙げ、人類進化史の理解を進めるための戦略として、
(1)新しくデータを集めること。
(2)既存のデータを解析する方法を改良して、人類進化史の理解を深めること。
の2点を挙げています。
 第2章「われわれは何者か」では、「ダーリンは進化生物学に2つの独創的な貢献をした」として、
(1)いかなる2つの生物個体でも、完璧な複製のように同じではないとする「個体によって変異がある」という認識。
(2)自然の資源が有限であり、かつ、無方向の変異が起こるなら、ある個体は他の個体より資源を得るために有利になるという自然選択という考え方。
の2点を挙げています。
 第3章「化石人類の調査と背景」では、「人類進化の後半では、長期的な地球の低温化に加えて、深海底堆積層から推定した周期的気候変動が多大な影響を及ぼした」として、「大陸棚の多くが陸化したので、現代人の祖先がユーラシアからオーストラリアあるいはアメリカに移住することができた」と述べています。
 第4章「化石人類の分析と解釈」では、「初期人類の化石コレクションに何種類の人類種が含まれているのかを決めるのはきわめて難しい。なぜなら、生物学的な変異が連続的で区別できなからだ。そのため、種と種の境界線を引くのは、科学的に妥当とみなされる判断と議論に基づいて行うことしかできない」と述べています。
 第5章「初期猿人:かもしれない人類」では、「分けたがり屋(スプリッター)の研究者と纏めたがり屋(ランパー)の研究者は、人類進化の初期段階に関してまったく異なるイメージを持っている」として、纏めたがり屋が、「ゴリラやオランウータンよりはヒトやチンパンジーに近い800~500万年前の高等霊長類は一つの分類群しかなく、それが属するのは3つの選択肢しかないと考えている」のに対し、分けたがり屋は、「ヒトの最初期の祖先やチンパンジーの原始的な祖先はいくつかの近縁な分類群のなかの2つにすぎないと考え、800~500万年前の化石が別の分類群に属する可能性を考える」として、「ヒトとチンパンジーの共通祖先、ヒトの原始的な祖先、あるいはチンパンジーの原始的な祖先」の3つの他に、「ヒトとチンパンジーを含む単系統群の姉妹群として絶滅したヒト亜族やチンパンジー亜属を想定している」と述べています。
 第7章「原人と旧人:古代の人類」では、「ネアンデルタール人と現代人の関係については2つの対立する見方がある」として、
(1)ネアンデルタール人は現代人とは形態的な違いが大きいのでホモ・サピエンスには含められないというものであり、あまりに特殊化しているので現代人の遺伝子プールに大きな貢献はしなかったというもの。
(2)ネアンデルタール人と現代人の形態的に違いは小さいので、彼らをホモ・サピエンスに含めようというもの。
の2点を挙げています。
 第8章「新人:われわれ自身の人類」では、「1980年代に、一部の研究者は、3つの証拠を組み合わせることにより、アフリカの重要性に気がついた」として、
(1)レバント(レバノン、イスラエル、シリアなどの地中海東岸地域)から出土した人類化石の年代が見直されたこと。
(2)南アフリカとエチオピアで現代人的な化石が見つかったこと。
(3)古人類学ではなく、分子生物学的方法で現代人の変異を研究した結果。
の3点を挙げ、「この事実は、以下の可能性のどちらか、あるいは両方を示している」として、
(1)現代人つまりホモ・サピエンスは、世界のどこよりもアフリカに長く住んでいた。
(2)かつて、アフリカ人の人口は世界中のすべての人々の人口より多かった。
の2点を挙げています。
 本書は、人類の進化についてこれまでわかっていることを淡々と記述した一冊です。


■ 個人的な視点から

 「人類の進化」というと、類人猿がだんだん直立していって現在の人間に「進化」していく図をイメージする人が多いと思うのですが、想像以上に現在の人間に至るまでの経路は枝分かれしていて時には別れた道がまたくっついてるかも……とか色々考えると面白いです。


■ どんな人にオススメ?

・人類は一直線に進化してきたと思っている人。


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