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2015年4月15日 (水)

フロントランナー 挑戦する科学者

■ 書籍情報

フロントランナー 挑戦する科学者   【フロントランナー 挑戦する科学者】(#2369)

  日経サイエンス編集部 (編集)
  価格: ¥1,728 (税込)
  日本経済新聞出版社(2014/6/27)

 本書は、月刊科学雑誌『日経サイエンス』に連載している研究者の紹介コーナー「Front Runner 挑む」37人分ををまとめたものです。
 第2章「ミクロ・量子の世界を究める」では、産業技術総合研究所なのスピントロニクス研究センター長の湯浅新治の、「スピントロニクスはまだ歴史が浅く、何が出てくるかわからない。基礎科学の研究対象としてすごく面白い」という言葉を紹介し、「スピンとは電子が持つ微小な磁石としての性質。磁気データ記録など磁気工学は、このスピンのみを利用する技術だ」と述べています。
 また、東京大学大学院工学系研究科教授の香取秀俊の研究に関して、「時間はあらゆる量の中で、最も精密に測定できる量だ。だからあらゆる測定は時間に引き直して測ると精度が上がる」と述べています。
 さらに、物質・材料研究機構グループリーダーの高野義彦が、「最近、短期的な成果を求める風潮が強まっており、『リスキーな研究に挑む若い研究者がいなくなるのでは』と心配する」と語っていることを紹介しています。
 第4章「生き物に魅せられて」では、京都大学フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所准教授の久保田信の研究に関して、「多細胞生物の中現在、不老不死が確認されているのはベニクラゲとヤワラクラゲで、後者の不老不死性は久保田が発見した」と述べています。
 また、国立科学博物館動物研究部研究主幹の川田伸一郎が研究しているモグラに関して、「交尾や出産の模様は、自然界においても飼育中の実験室においても、観察報告が世界で一例もない」として、「これほど身近な動物で観察されていないのはモグラだけ」だとしています。
 第6章「次世代医療を担う」では、理化学研究所網膜再生医療研究開発プロジェクトリーダーの高橋政代について、2006年に理研に移籍し、「ほぼ無限に増やせるES細胞(胚性幹細胞)の方が移植には有望」と考え、「笹井らとES細胞から網膜色素上皮細胞や視細胞を分化誘導する方法を開発し、実現に一歩一歩進んでいた」ところで、京都大学の山中伸弥らが開発したiPS細胞に出会い、「山中から『臨床研究をお願いします』と言葉をかけられ」、「5年でやります」と答えて、山中を驚かせたと述べています。
 第7章「難病・感染症を克服する」では、熊本大学教授、米国立癌研究所レトロウイルス感染症部長、国立国際医療研究センター理事・臨床研究センター長の満屋裕明の研究について、「エイズは25年で、『死に至る病』から『持病』のひとつになった」として、状況を変えた25種類の承認された薬のうち、「満屋はうち4つを見出した」と述べています。
 また、国立感染症研究所感染病理部部長の長谷川秀樹が研究しているインフルエンザワクチンについて、「長谷川のワクチンが従来のワクチンと決定的に異なるのは投与法だ。皮下に注射するのではなく、スプレーで鼻の中に噴霧するもので、『経鼻ワクチン』と呼ぶ」として、「中には死滅させたウイルスが入っており、これが粘膜に付着すると、ウイルスに感染した時と同じ免疫反応が起きて、鼻や喉、腸などの粘膜にIgA抗体が分泌される。その後本物のウイルスが鼻や喉にやってくると粘膜のIgAが結合し、感染をブロックする」と述べています。
 第8章「地球を見る・探る」では、東京大学地震研究所高エネルギー素粒子地球部地学研究センター教授の田中宏幸の研究について、「ニュートリノで地球の中を見てみたい」という目標に対して、「遠い銀河などから地球に飛んでくる宇宙ニュートリノを観測するために南極に建設された国際共同施設『アイスキューブ』で、地球内部を調べるプロジェクトが進行中だ」と述べています。
 本書は、科学の最前線で戦う科学者の素顔を追った一冊です。


■ 個人的な視点から

 科学の最先端のいる人達の顔ぶれは一度は見てみたいと思うものです。


■ どんな人にオススメ?

・科学の最先端を覗いてみたい人。


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