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2015年6月22日 (月)

なぜ女性は仕事を辞めるのか: 5155人の軌跡から読み解く

■ 書籍情報

なぜ女性は仕事を辞めるのか: 5155人の軌跡から読み解く   【なぜ女性は仕事を辞めるのか: 5155人の軌跡から読み解く】(#2437)

  岩田 正美, 大沢 真知子 (著), 日本女子大学現代女性キャリア研究所 (編集)
  価格: ¥1,728 (税込)
  青弓社(2015/6/24)

 本書は、「国際的に見て日本の高学歴女性の労働参加率は低く、子育て期にあたる三十代では就業率が低下する傾向がある」ことについて、「学卒時に就業意欲が高い女性ほど離職している」天に着目し、「高学歴女性のキャリア形成の問題と課題は、結婚や出産との両立が困難である以前に、初期キャリアにおける人材育成にある」ことを指摘しているものです。
 第1章「M字就労はなぜ形成されるのか」では、「日本の高学歴女性は結婚や出産以前に、キャリアに行き詰まって退職している」とした上で、女性労働者の離職が、「女性自身の都合による理由(プル要因)であるならば、統計的に女性を差別することは企業の合理的な選択」であるとする一方で、「その理由が企業側の理由であるならば、企業は有能な人材を採用しているにもかかわらず、その人材を自ら手放してしまっていることになる」として、
(1)逆選択
(2)予言の自己成就
の2つの仮説を挙げています。
 そして、「非婚化や晩婚化という現象の背後にある理由の中にこそ、日本の女性労働者が抱える問題が隠されているのであり、それは企業の女性に対する『統計的差別』なのではないだろうか」として、「大手企業で、出産をした女性や育児休業を取得した男性には、所得の低下や昇進の遅れなどマイナスの影響が生じている」ことを指摘し、「企業で実施されているこのような雇用管理制度が、究極のところ女性労働者に仕事か家庭かどちらかを選ぶように求めているのである」と述べています。
 第2章「初職継続の隘路」では、M字カーブが解消することでもたらされる効果として、
(1)労働市場での男女の平等化
(2)労働力の確保
(3)少子化の改善
(4)女性の経済的自立
の4点を挙げています。
 そして、「長期間働いてもなお定型的な仕事から発展性がなく、命令系統の末端で働き続けるというような、仕事の裁量の幅が限定的で将来的な展望を持てない人の場合、現職へのコミットメントは低くなる」一方で、「仕事で中心的な位置に立って相応の責任を伴うようになると、心身ともに大きな負荷がかかることにもなる」と述べています。
 また、「育児休業取得という『幸運』に恵まれても、育休取得後も就業継続する人がその4割に満たないという、これまでほとんど注目されてこなかった事実」について、「出産・育児期の女性の就業継続の中心的施策である育児休業が必ずしも有効に働いていないことがまず指摘できるが、同時に、育休復帰後の評価システム、教育訓練、配置・昇進・処遇など仕事そのものの評価が低下するような問題がなかったかを検討する余地があるように思われる」としています。
 第3章「就労意欲と断続するキャリア」では、「雇用労働者の4割以上を占める女性労働者」について、「年収の低さも、男女の賃金格差の大きさも、さらには、女性管理職割合の低さも、どれもみな、女性が『キャリアを積み上げるような働き方をしていない/できない』ことを表している」と述べています。
 第4章「非正規女性たちのキャリアのゆくえ」では、「初職を非正規雇用で就職する人は年々増加していて、高学歴女性も同様の状況にある」と述べた上で、「初職を非正規として働き始めたり、育児などで一時仕事を中断した後に非正規で働き始めたりした女性にも、能力開発の機会があることで、企業にプラスの効果をもたらすことができるが、そのような機会がある人は少なく、十分な評価も行われていない状況にある」と指摘しています。
 第5章「専業主婦の再就業」では、「現在無業の主婦の8割以上が就業を希望しているが、いますぐに働こうとしている人は約1割にとどまる」と述べた上で、「主婦たちがたとえ働きたいと思っていても、仕事と家庭の両立、知識や技術のキャッチアップ、困難な就職活動、子どもの預け先の確保、病気時の対応など、働くためにはクリアしなければならないさまざまな問題が立ちはだかっている」
 第7章「資格は本当に役立つのか」では、「取得者数が多い割に活用している人が少ない医療事務関連資格の謎」について、「就業中や離職中に取得している人が突出して多い」ことを指摘し、「自分の能力を採用側にアピールするための行為が資格試験の受験であり、それに合格すると取得証として目に見える形になるのが資格という制度なのである」と述べています。
 本書は、イメージで語られがちな「女性のキャリア」をデータを元に読み解いた一冊です。


■ 個人的な視点から

 最初の就職がその後の仕事人生に大きく影響することは男女問わず同じではないかとも思いますが、明示的な研修は少ないとしても能力開発の機会というのは重要だと考えさせられます。


■ どんな人にオススメ?

・長い仕事人生について考えたい人。


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