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2015年6月10日 (水)

音律と音階の科学―ドレミ…はどのようにして生まれたか

■ 書籍情報

音律と音階の科学―ドレミ…はどのようにして生まれたか   【音律と音階の科学―ドレミ…はどのようにして生まれたか】(#2425)

  小方 厚
  価格: ¥929 (税込)
  講談社(2007/9/21)

 本書は、「プラズマ波のフーリエ解析で学位を取った」物理学者である著者が、「なぜドレミ……という音階が人類に受け入れられたか」について、「サイコ・フィジクス(心理物理学あるいは精神物理学と訳される)に拠って、心理学の側からもこれを説明した」ものです。
 第1章「楽器にドレミ……を視る、ドレミ……に触れる」では、「デジタル楽器」と「アナログ楽器」の違いについて、音楽に使用される「デジタル化された音高がそのまま出るように作られているのが、デジタル楽器である」として、その典型である鍵盤楽器について述べています。
 そして、ピアノについて、「あるキーの周波数に『ある数』をかけると、半音上のキーの周波数になる」として、「1.0594…」という周波数比を示し、「この『ある数』の値をすべて同じに決める」音律、すなわち「隣り合う音高の周波数比が均一な音律を平均律と言う」としています。
 第2章「ドレミ……はピタゴラスから始まった」では、「周波数比が1対2の関係」にあるオクターブと、「周波数比が1対3の関係にある2音」について、「ピタゴラスは、この1対2と1対3という周波数比を組み合わせて音律を作ったのである」と述べています。
 第3章「永久に閉じない環をめぐって」では、ピタゴラス音律の欠点として、
(1)C(ド)とE(ミ)の響が悪いこと。
(2)周波数比2.02729……を2とみなしたこと。
の2点を挙げた上で、「ピタゴラスの5度を12倍すると円を一周する角度より大きくなる」と述べ、3を12回かけた結果531441と、2を19回かけたかけた数524288との周波数比である1.01364について、「ピタゴラスのコンマ」と言うと述べています。
 そして、「ピタゴラスのコンマにどう対処するかは、ピタゴラス音律にとどまらず、その後現れたほとんどの音律に共通する大問題であった」が、「これを一挙に解決してしまったのが、すでに紹介した平均律である」と述べています。
 また、「周波数比5/4の長3度音程の魅力を取り入れて、しかも転調・移調も行いたい」ために、「2の音の周波数比は整数比でなければならない」というルールを少々いじったものとして、「ミーントーン(中全音律)は長3度を優先するために完全5度を犠牲にして、しかもある程度の転調・移調を可能とした最初の音律であった」と述べています。
 第4章「なぜドレミ……が好き?」では、「われわれは可聴領域の端の方、すなわち高温域・低音域に行くにしたがい、2音の高さの差も認識しづらくなる」ため、およそ100~1000Hzの範囲よりも「低音側・高音側では周波数比をもっと広げないとオクターブ『らしく』聞こえない」ことから、「ピアノの調律は、あらかじめこの事実を計算にいれて作成した『調律曲線』に従って行う」と述べています。
 そして、「楽器で2つの高さの異なる音を同時に出したときの不協和度」について、「Cに協和する音は限られており、それらはC、E♭、E、F、G、A(ド、ミ♭、ミ、ファ、ソ、ラ)である」として、「西洋音楽はもっぱらこれらの音を使う」と述べています。
 第6章「民族音楽に理屈を付ければ」では、「4本の弦」を意味する「テトラコルド」について、「テトラコルドは音階の小単位で、これらを組み合わせるとオクターブの音階ができる」と述べています。
 また、「インドではオクターブを22分割するが、等分割ではない(すなわち、平均律ではない)。この22の音階から7音を選んで音階を作って使う」と述べています。
 第7章「打楽器が作る音律」では、「ガムランでは楽器間の周波数のずれが『うなり』を生じる。西洋音楽ではうなりは悪玉だが、ガムランはそうは見なさない。むしろうなりが与える深い陰影を活かす演奏こそが良い演奏であるとされる」と述べています。
 第8章「音律の冒険」では、「ジャズで最も好まれるのは、短7度(セブンス)を含んだ和音である」として、その裏コードとの間で、共通の音が2つもあることが、「交換可能な理由である」と述べています。
 そして、「西洋音楽の歴史を眺めると、次第に『心地わるい』非協和な響きが受け入れられてきたことがわかる」として、「ベートーベンはそれまで忌避されてきた減5度という不協和音をけっこう使ったし、ドビュッシーは全音音階すなわち6音平均律を使った」と述べ、「協和・不協和の概念も変化していくであろう」としています。
 本書は、音楽における音階と音律の歴史を物理学者の目で追った一冊です。


■ 個人的な視点から

 子供の頃からドレミで音楽を勉強していると12音の平均律が当たり前のものだと思ってしまいますが、世界の音楽を聞くと音階はもっと自由でいいんだということに気づけるかもしれません。


■ どんな人にオススメ?

・ドレミが当たり前だと思っている人。


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