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2015年6月27日 (土)

残念な教員 学校教育の失敗学

■ 書籍情報

<strong>残念な教員 学校教育の失敗学</strong>   【残念な教員 学校教育の失敗学】(#2442)

  林 純次
  価格: ¥864 (税込)
  光文社(2015/2/17)

 本書は、「プロフェッショナルとして生徒の成長という『結果』を重んじるスタンスで教育活動を行っている」著者hが、「プロフェッショナルと呼べる教師が増え、日本中の生徒が大きく成長できること」を願って書かれたものです。
 第1章「教育現場の実情」では、教育現場に存在する「残念な教員」について、その理由は「生徒を成長させない」という意味においてだとして、「“残念な教員”らの言動は法的には処罰できないので、教育会が自ら解決していかなければいけない問題である」と述べています。
 そして、「自分の仕事に関連する本を、月に2冊すら読まない人間が約8割もいる」として、「その8割の教員は今すぐ教員免許を破り捨てるべきである。なぜなら、我々教育者は学び続けることを課せられた職業人だからである」と述べてた上で、「学べない」とは、「本来社会人としてすでに持っているべき成長の方法が身についていない」ことを意味し、「新聞を読み、読書をする教員でも、『学べない』ために、平等性や科学性、正確性などを一切無視した発言を平気ですることがある」と述べています。
 第2章「教師の技術」では、「授業が荒れるのは、教員が生徒の自己実現欲求や所属欲求に向き合わず、的確なコミュニケーションがとれていないからだ」と指摘しています。
 そして、「教員の多くは説明・解説の練習もせずに教壇に立っている」と指摘しています。
 また、授業で生徒が感じる三大ストレスとして、「見えない・聞こえない・わからない」の3点を挙げ、「教科書に書かれている内容の劣化版イミテーションを黒板に再現することを授業だと考えている教員が多数存在する」として、「この教員による出来の悪い書写行為で貴重な10第の時間を浪費している生徒を見ると、憐れでならない。真面目な生徒であればあるほど、きちんとその板書をノートに映し続け、受動的になっていく。さらに学力の高くない生徒は、教員が間違えて板書したものをそのまま書き写していたりする」と述べています。
 さらに、プリントへのコメントについては、「多く書けば書くほど、受け手側はショックを受け」、「それぞれのアドバイスが生徒のなかで相対化されてしまい、何が重要なのか優先順位がツケられない」ことから、「返却する際のアドバイスは多くても2つに絞るようにしている」、「それ以上は書いても意味がない」と述べています。
 第5章「授業について」では、予見可能性が低い「応答型」の授業を可能にするには、「深い教材研究と膨大な教養、常識が不可欠」であり、「新人や未熟練教員にはこれらが決定的に足りない」ために、「多くの場合で生徒が集中力を失い、それがクラス全体に伝播していき、閾値を超えると教室が荒れる」にもかかわらず、「大多数の教員が持つ“いい授業のイメージ”は応答型なので、いきなりそれに挑戦しようとする」と指摘し、「まずは分相応の実践を行い、徐々に応答部分を増やしていくのが賢明」だと述べています。
 第6章「教員が技術を身につける順序」では、「生徒が学習面で学校から離れていく勢いは止まらない」理由として、
(1)多くの学校には、指示文書にかぎらず、良い技術を共有化するシステムや文化がない。
(2)塾や予備校などの外部教育機関は、“指示”以外の部分でも高い指導力を持っている。
(3)学校という教育現場が持つ根源的な要素“プロフェッショナリズムの欠如”
の3点を挙げています。
 そして、「“生徒心理理解”は、重要かつ必要な技術ではあるが、じつは習得に時間がかかるレベルの高い技術」だとして、「まだ習得していない技術や苦手な技術を使わない、あるいは使用頻度を減らした授業設定をすればいい」として、「教員は、教育の目的達成のためにいかなるルートを通ってもいい」とする「羅生門(的)アプローチ」を紹介しています。
 本書は、プロフェッショナルとしての教員の仕事を論じた一冊です。


■ 個人的な視点から

 通常、保護者は自分の子供のクラスしか見学することがないためか、若い先生の授業を比較しながら見てみると、人によって授業技術の差が大きいことを誰も指摘しないことに驚きます。
 授業参観のときにはぜひ自分の子供のクラス以外の先生の授業技術を見比べてみることをおすすめします。


■ どんな人にオススメ?

・教師なんてだれにでも務まると思っている人。


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