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2015年8月18日 (火)

白亜紀の生物 上巻

■ 書籍情報

白亜紀の生物 上巻   【白亜紀の生物 上巻】(#2490)

  土屋 健 (著), 群馬県立自然史博物館 (監修)
  価格: ¥2,894 (税込)
  技術評論社(2015/8/18)

 本書は、「1冊に1つ、もしくは2つの地質時代をテーマ」にまとめられてきた、技術評論社の“古生物ミステリーシリーズ”において、「情報を集め、執筆を進めていくうちに増量し、結果として上下の2巻構成」となってしまったうちの上巻です。
 第1章「羽毛恐竜の“聖地”」では、「白亜紀の“ポンペイ”」と評される中国遼寧省の熱河(ジュホル)層群について、「恐竜をはじめ、鳥類、哺乳類などの陸上動物、魚類や二枚貝類などの水棲動物、そして植物など、多種多様な化石が産出」し、「しかも、化石の多くはきわめて良質な保存状態を誇り、全身がそのまま残っているものや、微細な構造が確認できるものが少なくない」としています。
 そして、「鳥類は恐竜類である」という考えが、21世紀の現在では、「広く受け入れられている」はずだが、「認知度は高いとはいえ」ないと述べた上で、「鳥類の恐竜に起源がある」という指摘はダーウィンの時代からあるが、「1970年代になると、アメリカのジョン・オストロムの研究によって、小型獣脚類の手首の構造が鳥類と同じであることが指摘され、学会では鳥類の恐竜起源説が注目され始めた」として、近年刊行される「恐竜図鑑」の獣脚類には「大なり小なり羽毛が描かれている」と述べています。
 また、「大型の恐竜は体内の熱を逃がしにくい」ため、「羽毛は不要であると考えられてきた」が、2012年に報告されたユティランヌス(Yutyrannus)が「羽毛恐竜でありながら、その全長は9mにおよんでいた」ことから、その考えは覆されたと述べています。
 第2章「広大な恐竜化石産地『モンゴル』」では、「卵泥棒」という意味を持つオヴィラプトル(Oviraptor)について、「プロトケラトプスの卵を狙ってやってきて、何らかの理由で近くで死亡した」と考えられてきたが、近縁種キティパティ(Citypati)の化石が、「現生鳥類に見られるような抱卵姿勢で発見された」ことから、「とんだ濡れ衣だったことが1990年代に判明した」と述べています。
 そして、「タルボサウルスは、まちがいなく生態系の上位に君臨していたとみられている」にもかかわらず、「発見される個体数が多い」ことがミステリーの一つとされていたが、「王者タルボサウルスを、その『食料』になることで支えた恐竜がいたようだ」として、タルボサウルスの歯形がついた化石が発見されたデイノケイルス(Deinocheirusu)について、「さまざまな恐竜を掛けあわせたキメラのようなものだった」として、背中には魚食恐竜としつぃられるスピノサウルス(Spinosaurus)ににた帆を持ち、「背中の構造は巨大恐竜で知られる竜脚類のものに似て空洞化が進んで」おり、「足の骨は、鳥脚類のハドロサウルス類のものに」似て、全長は11m、体重は6.4tと推定されるとしています。
 第3章「『レバノン』、暖かく浅い海の記録」では、「不可思議な」「日本の化石」を意味するニッポニテス・ミラビリス(Nipponites mirabilis)について、「日本古生物学会のシンボルマークにも使用されている異常巻きアンモナイト」であり、「蛇が複雑にとぐろを巻いたようなその姿から、一見して『異常巻き』とわかる」としています。
 第5章「日本の恐竜たちと、その他の爬虫類」では、「21世紀に入り10年以上の歳月が立った現在でこそ、日本でも恐竜の化石が産出することはよく知られている」が、「1960年代は『日本から恐竜化石は出ない』というのが常識とされてきた」と述べた上で、1968年に「フタバスズキリュウ」の和名で知られるフタバサウルス・スズキイ(Futabasaurus suzukii)が発見され、1982年には、石川県白峰村を訪ねていた高校生の松田亜規が、「1本の獣脚類の歯化石」を発見したことをきっかけに、手取層群の福井県側からも化石が発見されたと述べています。
 また、兵庫県丹波市について、「2000年代に入って、新たな恐竜化石産地として脚光を浴びるようになった」として、2014年に新種として認められたタンバティタニス・アミキティアエ(Tambatitanis amicitiae)を紹介しています。
 本書は、今現在わかっている白亜紀の姿をビジュアル付きでわかりやすく紹介してくれる一冊です。


■ 個人的な視点から

 恐竜好き少年たちのあこがれ「白亜紀」。大スターであるティランノサウルスとか見るだけで嬉しくなってしまいますが、地味そうに見える他の恐竜や恐竜以外の生き物の化石も楽しです。科博に行くと子供そっちのけで楽しんでしまいます。


■ どんな人にオススメ?

・大きくなった元恐竜少年たち。


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