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2016年1月25日 (月)

三畳紀の生物

■ 書籍情報

三畳紀の生物   【三畳紀の生物】(#2518)

  土屋 健 (著), 群馬県立自然史博物館 (監修)
  価格: ¥2,894 (税込)
  技術評論社(2015/6/12)

 本書は、「ペルム紀末に発生した空前絶後の大量絶滅事件をこえて」、生態系を再構築した「三畳紀」の生き物を鮮やかなイラストともに解説したものです。
 第1章「大絶滅から一夜明けて」では、「今から2億5200万年前、ペルム紀末に起きた絶滅事件は強烈なものだった。この事件で、海棲動物種の約96%、陸上動物種の約69%が姿を消したといわれる。古生代がはじまって以来気づかれてきた生態系はリセットされた」と述べ、「中生代は、3つの「紀」で構成されている。その最初の時代である三畳紀は、ペルム紀の後、約2億5200万年前に始まり、約5100万年間続いた。この期間は、中生代の紀のなかで最も短い。『3つの畳』とは、変わった名前のように思われるかもしれないが、じつはかなり直接的な名称だ。19世紀に各地質時代の名前が次々に決められていったなかで、この時代についてはドイツに分布する3つの地層が注目され、名付けられてあのである」富んべています。
 そして、三畳紀の大きな特徴として、「最初と最後に大量絶滅が発生しているということ」を挙げています。
 第2章「再構築された海洋生態系」では、「三畳紀を含め、『中生代』を一言でいえば、それは『爬虫類の時代』である。陸・海・空のすべてで爬虫類が主導権を握ったのだ。そして、その先駆けは、まず海に現れた。海棲適応した爬虫類、『魚竜類』の登場である」として、「魚竜類は三畳紀に出現してジュラ紀に絶頂期を迎え、白亜紀の半ばに滅ぶことになる海生爬虫類である」と述べています。
 第4章「テイク・オフ!」では、「三畳紀になって登場した滑空性の爬虫類の一つ」であるクエネオサウルス類について、「いずれの種も短い首に小さな頭、長い尾をもち、肋骨に独特の特徴がある。背から腰にかけての肋骨は腹側に回りこまず、その先端から側方へ向かって細く長い骨が関節しているのだ」として、「各骨の間には、皮膜が張っていたと見られとり、これによって『翼』をつくっていたようだ」と述べています。
 また、「翼竜は三畳紀だけではなく、中生代全体を代表する『空飛ぶ爬虫類』だ」として、「そんな翼竜が最初に登場したのが、三畳紀後期に当たる約2億2500年前のことである」と述べています。
 第5章「クルロタルシ類、黄金期を築く」では、「ペルム紀末の大量絶滅から生態系が回復していくなかで、三畳紀諸島の陸上ではある爬虫類グループが台頭し始めていた。そのグループは一見すると現生のワニとよく似ている」が、「現生ワニ類は四肢が体の横方向に突き出していて、いわゆる『這い歩き』を主にする」のに対し、「クルロタルシ類は体の下に向かってまっすぐ四肢が伸びている」と述べています。
 また、「クルロタルシ類には、現生ワニ類とは似ても似つかないものもいた。その姿は全体的にスレンダーで、小さな頭と長い首、長い尾をもつ。前足は短く、後ろ足が長い。このため、二足歩行をしていたと見られている」として、ポポサウルス類を取り上げ、その一種「エフィギア」について、「1億年以上のちの時代に出現する、ある恐竜たちと似ている」として、「オルニトミモサウルス類」を挙げ、「この類似は、『速く走る』ということに対して起きた収斂進化であると見られている」と述べています。
 そして、ラウィスクス類について、「ティランノサウルス類との収斂といっても過言ではない」とされるとして、「幅のある頭部と鋭くて大きな歯は、たしかにティランノサウルス類とそっくりだ」と述べています。
 著者は、「サウロスクスやファソラスクスに代表されるラウィスクス類は、まさに『クルロタルシ類の黄金時代の象徴』といえるだろう。三畳紀において、クルロタルシ類は生態系の頂点に立ち、その一方で植物食性の獲得など、多様化も進めていた」と述べています。
 また、「この地における三つ巴の様相」として、「ペルム紀の支配者だった単弓類の生き残りと、三畳紀の支配者であるクルロタルシ類、そして、のちの時代の覇者となる恐竜類が同時期に同じ場所に存在し、苛烈な生存競争を繰り広げていた」と述べています。
 第6章「時代の先駆け」では、「恐竜形類」という聞き慣れない言葉について、「恐竜が誕生する直前の、恐竜とは別のグループである。いうなれば恐竜形類は、恐竜の祖先に当たる動物たちなのだ」と述べています。
 そして、「肉食動物にとっても植物食動物にとっても、大きいことは何かと都合がよい。一つは、自然界においては『大きいことは強い』という基本原則がある」とした上で、「巨大な動物は外温性であっても自分の体温を保てる」ことから、「巨大な体ほどエネルギーの節約になる」と述べています。
 第7章「第4の大量絶滅事件」では、「三畳紀の世界は、いうなればペルム紀末の大量絶滅事件で受けた壊滅からの再構築だった。しかし、三畳紀末、約2億100万年前。再び大量絶滅事件が勃発する」として、「前回の大量絶滅から5000万年後という間隔は、ビッグ・ファイブのなかで最短である」と述べた上で、「2012年、鹿児島大学の尾上哲治たちは今から2億1500万年前に巨大隕石が衝突していた証拠を岐阜県坂祝町から発見した。それは地球表層には本来極めて微量しか含まれないはずの白金族元素の濃集だった。尾上たちによれば、これはカナダ北東部ケベック州にある直径約100kmのマニクアガン・クレーターが作られたときのものだという」と述べています。
 エピローグでは、「『三畳紀末』という時期を境にして、陸と海では生物相の入れ替わりが生じた。陸上脊柱動物においては、三つ巴の戦いの勝者として恐竜だけが次の時代へと大きな一歩を踏み出すことになる」として、「それまでクルロタルシ類が支配していた生態系が、ほぼ空っぽの状態で提供されたのである。恐竜はその生態系を奪取することに成功し、自らの地位を確立していく」と述べています。
 本書は、恐竜ファンには今ひとつ馴染みの薄い三畳紀の素顔を教えてくれる一冊です。


■ 個人的な視点から

 ジュラ紀、白亜紀といった花形に比べて、影が薄い感のある三畳紀ですが、本当の通は三畳紀に注目するらしいです。本当かどうか知りませんが。


■ どんな人にオススメ?

・細腕三畳紀とかが懐かしい人。


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