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2016年1月24日 (日)

オーロラ!

■ 書籍情報

オーロラ!   【オーロラ!】(#2517)

  片岡 龍峰
  価格: ¥1,404 (税込)
  岩波書店(2015/10/8)

 本書は、「オーロラの不思議を、この小さな本にギュッと閉じ込めようとした挑戦」です。「前半では、オーロラの秘密のベールが剥がされてきた過去100年間を一気に振り返り、最近のコンピュータ・シミュレーションによって50年の常識が覆されつつあるオーロラの発電について紹介」し、「後半は、オーロラの『真の姿』に迫りつつあるオーロラ観測の最前線を紹介」しています。
 第1章「オーロラはなぜ光るのか?」では、高さ80kmから先の「空の終わり」において、「酸素原子がエネルギーを受けたときに、自然に出てくる色」だとした上で、「オーロラは『なぜ』光っているのだろうか。つまり、空の終わりの酸素原子や窒素分子たちを叩くエネルギーは何であり、どこから来るのだろうか」という問題について、「オーロラは、地球規模で『輪』を形作っている」いて「オーロラオーバル(オーバルは楕円形)」と呼ばれていると述べ、「地球から少し離れた近場の宇宙は、むしろ電気うなぎのように、10億kwもの電力を自分で発電していることがわかっている。そしてその電力は電流として、特にオーロラオーバルに集中的に流し込まれる。そう、空の終わりの酸素原子を叩くエネルギーの正体は、この電流なのだ。この大電流、すなわち猛スピードで流れる大量の電流が、酸素原子にぶつかることで、酸素原子が励起されていたのである
 著者は、「地球が地場をまとっていることによって、電子は地磁気に捕らえられ、オーロラオーバルの近くに輪のように電子が流れ込みやすい状況になっている。そこで、猛スピードで大気へ流れ込んだ電子が、空の終わりの酸素原子と衝突して、オーロラを光らせていたのである」と述べています。
 第2章「発電する宇宙空間」では、「どこまでも広がろうとするコロナを引き止めていくれるのは、太陽から離れるほどに弱まっていく、太陽の重力だけである。距離の自乗で後ろ髪を引かれながらも、その重力を振りきったコロナのプラズマは、いきなり音速を越えたスピードにまで加速して宇宙空間へ流れ出す。1958年にパーカーが理論的に予言して『太陽風』と名付けた、超音速のプラズマの流れだ。コロナは太陽風になり、太陽風はオーロラを光らせる源となる」と述べています。
 そして、「太陽風は、地球の表面はもちろん大気にすら、直接吹き付けることはできない」理由として、「太陽風のプラズマは、見えない地磁気をバリアのように感じて、その進路を曲げる性質があるからだ」と述べた上で、「この雷神としての磁気圏」は、「押さえつけてくる太陽風の持つエネルギーを巧みに利用して、オーロラのエネルギー源となっている電力を生み出す。そして、太陽風のスピードが速いほど、反発して磁気圏の発電量は多くなり、オーロラも活発になるのだ」と述べています。
 また、「オーロラオーバルを精密に再現する、磁気圏全体のコンピュータ・シミュレーション」の結果として、「オーロラオーバルに流れ込むビルケランド電流を、その電源側へと逆にたどること」によって、「立体的に発電が起きていたこと」が明らかになったと述べ、その概要として、
(1)南向きの地場が持つ太陽風が地磁気に吹き付けることで、開いた地場と閉じた地場の隙間にプラズマが渋滞して詰まってしまい、圧力が高い領域が生まれる。
(2)この圧力の高いところから低いところに向かってプラズマが流れている場所で発電、つまり電場と電流が生まれる。
(3)そうして発生した電流が地球大気に流れ込み、立体的な電流回路ができる。
の3点を挙げています。
 第3章「速すぎるオーロラを追え!」では、「電磁波をとらえるアンテナを使うと、宇宙からぴよぴよと鳥の鳴き声が聞こえる」として、「磁気圏という巨大電気うなぎが発生している電磁波をラジオに通すと、ぴよぴよと不思議な音が聞こえてくるのだ」として、「この電磁波は、小鳥たちのさえずりを表す『コーラス』野菜で呼ばれている。ディフューズオーロラを光らせる電子が、磁気圏の中に大量に貯めこまれるときに、その電子のサイクロトロン運動によって発生する電磁波だ」と述べています。
 第5章「オーロラの過去・現在・未来」では、「銀河宇宙線から地球上の生命を守るバリアとなっているのが、まさにオーロラを作る3大要素である太陽風、地磁気、大気である。つまり、オーロラを知るということは、宇宙に住むためのバリア機能を知る、ということでもあるのだ」と述べてます。
 そして、「オーロラは、宇宙と地球の接し方の秘密を、人間の目にも見える形で見せ続けてきた」として、「オーロラは、宇宙と接して生まれ、宇宙に生きている私たちの過去・現在・未来を知る道標となる光だったのだ」と述べています。
 本書は、オーロラの仕組みと魅力を伝えてくれる一冊です。


■ 個人的な視点から

 残念ながら生まれてこの方オーロラを見たことはありませんが、一生に一度は眠い目をこすりながらオーロラを見てみたいと思いました。


■ どんな人にオススメ?

・オーロラを見たことがない人。


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