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2016年7月 1日 (金)

ピザの歴史

■ 書籍情報

ピザの歴史   【ピザの歴史】(#2525)

  キャロル ヘルストスキー (著), 田口 未和 (翻訳)
  価格: ¥2,160 (税込)
  原書房(2015/8/24)

 本書は、「18世紀のナポリ」に始まり、「貧しい民衆のための安くて便利な食べ物として重宝され」、「イタリア移民とともにアメリカに渡り、そこに第二の故郷を見出」し、アメリカで「独自の道」を歩み、チェーン店によって、世界中に広まったピザの歴史をたどるものです。
 序章「シンプルで複雑なピザ」でや、フランスの著述家であるアレクサンドル・デュマが1835年にイタリアのナポリを訪れ、「そこに住む貧しい人々の習慣と生活を観察」したとして、彼がこうした下層民衆を「ラッザローニ」と呼び、彼らが食べているピザについて、「ピザは見た目ほどシンプルな食べ物ではない。じつはとても複雑な食べ物」と語っていることを紹介しています。
 そして、「アメリカでは、ピザは単にイタリアを代表するエスニックフードではない。高級グルメであり、ノスタルジックな郷土料理であり、やみつきになる食べ物であり、家族の食事に欠かせないものであもある」と述べています。
 著者は、「ピザはグローバル化によって、逆に地域色の強い食べ物へと進化してきたように思える。その土地の消費者が自分たちの好みに合ったピザを作り出しているからだ」と述べています。
 第1章「イタリアのピザ」では、「ナポリではピザを食べることが貧しい人たちの文化の一部になっていた。住民のほとんどは十分な調理器具をもっていなかったので、通りで『ファストフード』を買うしかなかったのだ」と述べています。
 そして、「ピザが、大量生産されるフラットブレッドのファストフードになってしまったことへの批判や懸念の声は止むことがない」が、「ピザは時間と空間をまたいで広がりながら、ときにイタリアとの関係を失い、ときにそれを取り戻してきた。ピザの応用の幅広さがその人気を高めたという点では、民衆文化の遺産としてのピザの性質は受け継がれたことになる」と述べています。
 第2章「アメリカのピザ」では、「アメリカは世界中のどの国よりもピザの消費量が多い」とした上で、「アメリカの料理の歴史をたどってみると、さまざまな民族的背景をもつ消費者と起業家が一緒になって、移民が持ち込んだブリトー、春巻き、チーズフォンデュなどの食べ物を進化させ、大勢にアメリカ独自の料理として受け入れられるものにしてきたことがわかる」と述べています。
 そして、「ピザは19世紀後半にイタリア移民とともにアメリカにやってきた。南イタリアからの移民が多く住み着いた地域にピザが現れたのは偶然ではない。南部からの移民の多くは、非熟練労働者でも向上の仕事に就ける北東部の年に集まってきた。ピザは安上がりの食べ物として、移民たちが自分の家で作るものだった。あるいは、パン屋で作ったものをまるごとか、(通常は工場労働者か、金曜日に肉を買えない家庭の主婦が)買える分だけ切り売りしてもらっていた」と述べています。
 そして、「第二次世界大戦までは、ピザは北東部の州のイタリア系コミュニティの食べ物にとどまり、それ以外の地域のアメリカ人はピザという名前さえ聞いたことがなかった」が、「戦後になると、個人向けのピザが生まれ、自宅のキッチンやダイニングで自分一人で、あるいは家族だけでピザを食べるようになった。それを後押ししたのが冷凍ピザ技術の発達と宅配サービスの広まりだった」と述べています。
 第3章「ピザは世界を征服する」では、「アメリカのピザ好きたちは、『アメリカにピザを持ち込んだのはイタリア人かもしれないが、世界にピザを広めたのはアメリカだ』と思っている」とした上で、「規格化ピザの歴史を振り返ると、企業やナポリの実業家によって最初にピザが世界各地に伝えられたあとで、それぞれの土地で基本的なピザの形がさまざまに変化してきたことがわかる」として、「ほとんどのコミュニティがピザに自分たちのものとわかる特徴を付け加えた」と述べています。
 そして、「世界全体では、マクドナルドのハンバーガーより、ピザのほうが普及している」が、「おそらく、ピザへの抗議が少ないのは、ピザが今でもイタリアのルーツと結びついているからだろう」と述べています。
 また、「イタリア人はピザの退化を嘆いているかもしれないが、世界と出会い、ハイブリッドな食べ物となった今では、もうイタリアのピザだけを“本家”と呼ぶことはできなくなった。おそらくピザと同じように、世界も平らなのだ」と述べています。
 第4章「ピザの未来」では、「フラットブレッドに何らかの食材をのせたものをピザと呼ぶのなら、人々が自分の好きなものをのせて食べている限り、ピザの人気が衰えることはないように思える」と述べています。
 本書は、今や世界中で愛されているピザの歴史を追った一冊です。


■ 個人的な視点から

 今や「デブ」の代名詞ともなっているピザですが、こんなものに歴史などあるものかと思えば意外なドラマがあることに驚きました。
 寿司や餃子もそうですが、人の移動や戦争にともなって食文化は国境を越え、変貌を遂げ、オリジナルなものとは似ても似つかないものになることも含めての食文化なのでしょう。


■ どんな人にオススメ?

・ピザが食べたい人。


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