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2016年7月16日 (土)

歴史の謎は透視技術「ミュオグラフィ」で解ける

■ 書籍情報

歴史の謎は透視技術「ミュオグラフィ」で解ける   【歴史の謎は透視技術「ミュオグラフィ」で解ける】(#2540)

  田中 宏幸, 大城 道則
  価格: ¥886 (税込)
  PHP研究所(2016/1/16)

 本書は、「最新技術であるミュオグラフィの特徴を明確にするために、そしてその重要性と可能性とを知るために、比較として近年盛んとなってきているいくつかの科学的手法の歴史学・考古学分野への応用性を紹介」したものです。
 第1章「ミュオグラフィ――ピラミッドや火山を透視する」では、「ミュオンは100万分の2秒で崩壊してしまう非常に不安定な粒子であるにもかかわらず、重さは電子の20倍もあり、X線と比較すると桁違いに高い透過力を持って」おり、「1000万年かけて銀河を旅してきた陽子という素粒子が、地球の大気と反応してできるもの」であり、「常に地表に雨あられのごとく降り注いでいるにもかかわらず、われわれがその存在に気づくことはない」と述べています。
 そして、「火山観測でいち早くミュオグラフィの学術的な成果が上がった」理由として、「火山内部に大きな密度コンテクスト(密度の相違)があったこと、ミュオンの透過力が火山の透視に適していたこと」を挙げています。
 また、「遺蹟や歴史的建造物へも適用されつつある」として、イタリア北東部のアクイレイアやインドネシアのブランバナンの例を挙げています。
 さらに、「我々はこれまで入手不可能であったピラミッドの内部構造に関するまったく新しい情報を得ることができる可能性があることに気付かされる」と述べています。
 第2章「宇宙技術を用いた考古学――未発見の古代遺跡はどこにあるのか?」では、「空撮の最も進歩した形態」である「宇宙技術を用いた考古学」について、「この分野の先駆けとなったのは日本の東海大学」であり、「人工衛星を用いたリモートセンシング(人工衛星や航空機などを使用して、遠隔から地球の表面を測定・観測する手段。対象物が反射、放射する光[電磁波]の特性を把握する)を使えば、地面を掘ることなく、成果を上げることができる新しい考古学の道を切り開いた」と述べています。
 そして、「このような衛星を使用した考古学という分野が注目されている反面、例えばエジプトでは古代エジプトの都市を発見するために人力でドリルを継ぎ足しながら、数メートル地下のコアを抜き出し、そこに含まれている土器などから状況を推測しているのが現状なのである」と述べています。
 第3章「水中考古学――沈没船なら何がわかるのか?」では、「水中考古学を学問レヴェルに引き上げたのが、後に世界初となる水中考古学の講座をテキサスA&M大学で開講することとなる『水中考古学の父』ジョージ・バスであった」として、「地元漁師による半盗掘のような状況であった海中の遺蹟は、ゲラドニア岬以降、考古学者たちが自ら海に潜り、可能な限り陸上と同じ手法・基準で発掘を手掛ける新たな考古学のフィールドとなった」と述べ、「今や水中の発掘現場は、精緻な記録が取られ、過去の出来事を復元するという考古学本来の姿が展開されている」としています。
 第4章「生物学的技術を用いた考古学――ツタンカーメンとは何者か?」では、「1485年にイングランド中部レスターの西郊に位置するボズワースの戦いで、ヨーク朝にて期待するランカスターはが擁立したリッチモンド伯ヘンリー・チューダーと干戈を交えることと」なったリチャード3世について、「伝承・伝説では、その戦いの最中」に、「頭部に斧による打撃を受け戦死したと伝わっている」とした上で、「レスターで発見されたリチャード3性の遺骨には明らかに戦闘で被った痕跡が頭部に見られたのである。人骨の頭部には打撃痕と鋭利な武器で刺されたような傷跡があり、背中には鏃が刺さっていた」と述べ、「リチャード3世に関する伝承・伝説は、歴史的事実であったことが、発見された遺骨とそのDNA鑑定により明らかにされた」と述べています。
 そして、「ルイ17世のものだと伝わるミイラ化した心臓」について、DNA鑑定の結果、「ハプスブルク家の母方の親族の子どもであることを示しているに過ぎないが、その子供に該当する人物はルイ=シャルルしかいないことは歴史学が証明している」と述べています。
 本書は、最新の科学技術によって変貌する考古学の世界をのぞき見ることができる一冊です。


■ 個人的な視点から

 私たちの体の中は常に色々なものが通過していらっしゃるようでそういうものをいかに捉えられるかというお話。
 スーパーカミオカンデみたいなのでピラミッドとか火山を通過したミュオンを捕捉しちゃうよ、っていう話ばかりかと思ったら、それは頭だけで、以降最新技術を使った分析手法が紹介されていました。


■ どんな人にオススメ?

・歴史の謎を問いてみたい人。


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