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2016年8月 1日 (月)

「地方創生と消滅」の社会学: 日本のコミュニティのゆくえ

■ 書籍情報

「地方創生と消滅」の社会学: 日本のコミュニティのゆくえ   【「地方創生と消滅」の社会学: 日本のコミュニティのゆくえ】(#2556)

  金子 勇
  価格: ¥3,240 (税込)
  ミネルヴァ書房(2016/1/15)

 本書は、「北海道での過疎地域研究を基盤として、日本各地の事例から得られた『創生』に向けての知見を総合的に提唱する」ものです。
 第1章「地方日本の消滅論と地方創生問題」では、「『地方消滅』をめぐる論戦は2015年になっても活発に行われているのだが、全体社会の人口減少胴体に対して、消滅を克服した地方集落の単一事例を対置するという構図が濃厚であり、日本全体に応用可能な汎用性が得られていない」と指摘し、「増田批判者が好む農業限定の地方創生論は、社会的逆機能として多様性の機会を奪っていると言ってよい。活用可能な地域社会資源を農業分野に限定することは地方創生論を閉塞させ、むしろ増田『地方消滅』の批判者の思惑とは反対に、創生のための多様性の機会を奪うことになる」と述べています。
 第3章「サステナビリティ論による地方創生研究」では、パーソンズによれば、「すべての社会システムは次のAGILによって特徴づけられている」として、
・A(Adaptation):適応
・G(goal attainment):目標達成という利害関心のなかで環境を取り扱うこと
・I(integration):統合
・L(latent pattern and tension management):社会基盤の安定と社会的緊張の処理
の4点を挙げています。
 そして、「コミュニティ論の分野では、2つの死ゅ浮き的問題が発生する。それは、個人はいかにしてコミュニティと結び付けられ、コミュニティはいかにして社会と結び付けられるか、と表現できる」と述べています。
 第4章「コミュニティのDL理論と内発的発展」では、「社会システムにはコンフリクト、リスク、不調和、緊張などによる間接的影響と直接的影響が混在する。コミュニティの社会システム論でもそれは同じであり、過疎地域に関しての私の原体験は北海道後志地方であるが、かつての調査を思い起こし、調査ノートを参照しながら、社会システム論的な発想で地方創生への道筋を辿ってみたのが本書である」と述べています。
 第5章「地方創生と労働者の福祉活動」では、過疎地集落において、
(1)高齢者の小家族化
(2)商店街の空洞化
(3)産み育てる医療の崩壊
(4)バス路線など公共交通機能の縮小
(5)義務教育施設の統廃合
(6)交番の廃止
(7)郵便局の閉鎖
(8)ガソリンスタンドの廃止
などが、「順不同ながらかなり並行的に進む傾向にある」と述べています。
 本書は、各地の事例を元に、地方創生の可能性を探った一冊です。


■ 個人的な視点から

 「地方創生」という言葉自体は新しいかもしれませんが、地方の時代とか地域活性化とかもうかれこれ何十年も同じことを繰り返してはコンサルの皆さんの養分となり続けてきたわけです。


■ どんな人にオススメ?

・これからは地方の時代だと思う人。


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